中国語の簡字体についての質問です。
簡字体にして良かった事実、悪かった事実について教えて下さい。
例えば、実際に経済効果があったという事実は証明されているのでしょうか?
よい面:
学習に有利で、識字率アップに貢献していると言われています。非識字率の高かった中国では、略字でもとりあえず書けることが重要だったのです。しかし、実際の識字率は簡体字の中国本土よりも、繁体字を使う台湾や香港の方が高く、一概には言えないようです。
http://www.recordchina.co.jp/group/g8835.html
また、外国人の中国語習得率アップにもつながる、といわれています。
悪い面:
繁体字で書かれている古典が読めず、伝統文化継承の妨げになります。簡体字は1960年代以降の文字なので、それ以前の文化と現在の文化には断絶があります。
中国本土と台湾は違う文字を使うので、双方の文化的・経済的交流の妨げになる、ようです。たとえば中国の出版物は台湾の人には読むのが難しいなど。
まず、正式には「簡体字」もしくは「簡化字」といいます。簡字体という言葉はありません。
漢字の簡略化に賛同する人たちによれば、簡略化は筆画数と漢字数を減らすことになるため、学習難度を下げ、同時に書くスピードを加速することが指摘されます。これは教育上の利益といえます。
日本においても、明治維新以降、極端な場合には漢字廃止の意見が出されましたが、これは「複雑な漢字を学ばなければならないことになると、識字率が上がらない。したがって、漢字は反教養的である」という考え方に基づいています。識字率を上げるためには、漢字を廃止してアルファベットにするか、あるいは漢字を制限することが必要だという考え方です。逆に、難しい漢字を押しつけるのは「反民主的」とされました。戦後の当用漢字による漢字制限はこの思想に基づいています。それによって、文盲をなくすというのが最大の目的であって、直接的に経済効果を期待しているわけではありません。
これについては「昭和を騒がせた漢字たち―当用漢字の事件簿」という本が詳しいです。中国の簡体字についても同様の目的が伺えます。
http://mediamarker.net/u/kotono8/?asin=4642056416
デメリットとしては、中国語の同音異義語が同じ簡体字で表現される例が挙げられます。「髪」と「發」が同じになったり、「乾」「干」「幹」等が「干」に統一されたりするものです。また、「機」が「机」とされたために、もとからある文字と混乱が生じる場合もあります。これによって、学習の負担が減らず、混乱が生じるという批判もあります。
また、中国大陸・シンガポール・マレーシアが簡体字を採用しており、13億人が使用しています。これは世界の漢字のデファクトスタンダードとなりつつあります。繁体字は台湾・香港・マカオ・韓国で1億人足らず。そして日本の現在の字体が1億人強という勢力分布です。中華圏の書籍やCD・DVDなどは、簡体字版・繁体字版が同時に発行されることもあります。これについての経済効果はよくわかりません。
なお、現在の中国大陸では、ファッション的に繁体字を使う若者もいます。また、台湾ではひらがなの「の」が人気を得ています。
ありがとうございます。
簡体字でした。
回答を読む限りでは、デメリットの方が大きい印象を受けました。
識字率が上昇した等のデータは公表されているんでしょうか?
もう少し、回答を受け付けてみます。
よい面:
学習に有利で、識字率アップに貢献していると言われています。非識字率の高かった中国では、略字でもとりあえず書けることが重要だったのです。しかし、実際の識字率は簡体字の中国本土よりも、繁体字を使う台湾や香港の方が高く、一概には言えないようです。
http://www.recordchina.co.jp/group/g8835.html
また、外国人の中国語習得率アップにもつながる、といわれています。
悪い面:
繁体字で書かれている古典が読めず、伝統文化継承の妨げになります。簡体字は1960年代以降の文字なので、それ以前の文化と現在の文化には断絶があります。
中国本土と台湾は違う文字を使うので、双方の文化的・経済的交流の妨げになる、ようです。たとえば中国の出版物は台湾の人には読むのが難しいなど。
まだ、はっきりとした効果は証明されていないというところでしょうか。
悪い面に関しては、
>繁体字で書かれている古典が読めず、伝統文化継承の妨げになります。
これは日本語でも同様で、日本語の古典を現代人が読むのに苦労するのと同様の問題だと思います。
古典を現代語訳すれば良いだけではと個人的に思ってしまいます。
(もちろん、そのための労力や費用などもあると思いますが。)
あなたの質問からはちょっと外れたことですが、
「簡化漢字一夕談 中国の漢字簡略化」という本が
いろいろなことを示唆していると思います。
ありがとうございます。探して読んでみます。
漢字の悲劇 ~ わたしのノートから ~
中国の簡体字、朝鮮のハングル、日本の略字体を推進した人々は、時
の権力に便乗しただけで、今日のパソコン時代を予想できませんでした。
古代人と現代人が、同一の文字を常用する必要がなくなったのです。
中国:漢字や英字の定見なき混在により、文字の体系を見失った。
朝鮮:ハングルを普及した結果、大卒の2割が漢字で名前を書けない。
日本:JIS漢字コードにもとづいて、新旧約一万字が管理されている。
── 一九六〇年に北京人民大会堂で郭さんにあったとき、わたくしは
「漢字は将来どうなりますか」とたずねた。郭さんは即坐に「永遠に保
存される」とこたえられた。わたくしはかさねて「どこで保存されます
か」とたずねると、郭さんは「博物館で」とこたえられた。(改版)
── 倉石 武四郎《漢字の運命 19520410-19661220 岩波新書》P189
いま見るところ(博物館ではなく)日本のパソコンに保存されたのだ。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20070101
宿命 ~ 文化果つるところ ~
http://jp.epochtimes.com/jp/2006/12/html/d71567.html
↑中国漢字、簡略化の弊害 20061231 ↓漢字は生命体 20050717
http://jp.epochtimes.com/jp/2005/07/html/d65661.html
世界最大の漢和辞典は、日本人が編んで、中国政府が買っている。
http://www.taishukan.co.jp/info/ayumi.html
── 《大漢和辞典 全13巻 19430910-19600525 大修館書店》
鈴木 一平 大修館書店 18871024 千葉 19710829 83 /19180910 創業/18841024生
諸橋 轍次 漢字学 18830604 新潟 19821208 99 /19280616 出版契約/都留文科大学長
石井 茂吉 写真植字 18870721 東京 19630405 75 /19551103 巻一完成
白川 静 漢字学 19100409 福井 20061030 96 /立命館大学名誉館友
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0987.html
── 三部作《字統 1984‥‥ /字訓 1987‥‥ /字通 1996‥‥ 平凡社》
繁体字は画数が多く、書きにくいが、人に認識されやすく、遠いところから見ても意味が明白に伝わる特徴がある。それに対し、簡体字は画数こそ少ないが、人に認識されにくいため、却って解読に時間がかかり、不便である。
これは、簡体字反対派の意見だと思いますが、面白かったです。
詳細にありがとうございました。
まだ、はっきりとした効果は証明されていないというところでしょうか。
悪い面に関しては、
>繁体字で書かれている古典が読めず、伝統文化継承の妨げになります。
これは日本語でも同様で、日本語の古典を現代人が読むのに苦労するのと同様の問題だと思います。
古典を現代語訳すれば良いだけではと個人的に思ってしまいます。
(もちろん、そのための労力や費用などもあると思いますが。)