「歴史の皮肉」って言葉はよく聞きますが、メジャーな具体例があまり思い浮かびません。
私としては、
・秦の商鞅は多くの法を定めたが、後に謀反を疑われて逃れたところ、「旅券を持たぬものは宿に泊めてはならぬ」という自らが定めた法のために難渋し、ついには処刑された。
・ナポレオンの相次ぐ勝利は国民軍の有効性を世界に知らしめ、各国で国民軍が設立される契機となった。一方で、相次ぐ戦役によってフランスの兵役人口は疲弊し、フランスでは外人部隊が設立される契機となった。
・米国は、不道徳な習慣を一掃すべく禁酒法を制定した。結果、酒の密輸などでマフィアは大いに潤い、もぐり酒場が横行し、アルコール依存症患者はむしろ増加した。
とかがそうかと思うのですが。
他にはどんな例があるでしょうか。ご教示ください。
a:なるべくメジャーな話を。
b:知りたいのは「歴史の皮肉」の例です。特定政党や国家、人物への皮肉を言いたい方はどうかご遠慮ください。念のため。
(上の例も結果的にはナポレオンとかへの皮肉になってるかも知れませんが)
よろしくお願いします。
世界史関連で思いついたものを挙げてみます。(数が多いので簡単に)
1.八王の乱
三国時代の魏では、皇帝の一族が弱かったため司馬氏に実権を奪われてしまう。
その司馬氏の晋では、皇族に権限を与えたが、その為に八王の乱で皇族同士が争い、国を弱体化させた。
2.隋の大運河
煬帝は大運河の建設などで隋の国力を弱め滅びてしまう。
現在では、中国の南北統一に有効だったと再評価される。
3.林則徐
国のために、厳しいアヘンの取締りを行なう。
イギリスに口実を与えアヘン戦争を招き、自国でも左遷される。
4.火薬の発明
発明した中国が、アヘン戦争以後、西洋諸国の火器にコテンパンにやられる。
5.ルイ14世
コルベールの起用によって、フランスの財政を確保し、全盛期を築く。
しかし、対外戦争とベルサイユ宮殿に巨費をつぎ込み、財政破綻の原因もつくる。(フランス革命へとつながる。)
6.イギリスの植民地アメリカに対する課税強化
七年戦争の時、アメリカ大陸を巡ってフランスと戦い、その戦費に当てるため、植民地のアメリカへの課税を強化する。
アメリカ合衆国の独立を招き、東部植民地自体を失う。
7.義和団事件
「扶清滅洋」(清を扶け、外国を滅ぼす)をスローガンに掲げる。
結果は逆で、外国の進入が加速し、清が賠償金を負うはめに。
8.冷戦
米ソの対立が激しくなるが、恐怖の均衡により直接の武力衝突がなかった。(結果論ですが)
9.冷戦終結
冷戦が終わり世界が平和になるかと思いきや、地域紛争が顕在化してしまった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%89%A6%E5%B7%A8%E7%A0%B...
多分、ご存知なんじゃあないかなぁ、と思いながら。
太平洋戦争序盤における日本軍の作戦はアメリカに航空主兵主義を叩き込んだ形となりました。航空主兵主義はその国の工業力がものを言う主義で、つまりは物量の問題となってしまうのですが……一艦の建造に時間がかかる戦艦に対して、航空機はマスプロで生産が可能。ただし一度の戦闘でその航空戦力は消耗してしまう可能性があり、結論として航空機の継続的生産・パイロットの養成が必要となる訳で、対して大艦巨砲主義を脱し得なかった日本は戦艦大和・武蔵と言った史上最大の戦艦を建造しました。
空母機動部隊同士の殴り合いとなったミッドウェイ海戦が太平洋戦争のターニングポイントになったのはご承知の通りです。
ああっ、そういえばそうですね。
・日本は航空主兵主義を導入してアメリカ海軍に大打撃を与えたが、生産力の関係で大艦巨砲主義を脱せなかった。その後アメリカ海軍は生産力を生かして空母戦術を完成させ、日本海軍を壊滅させた。
知識として知ってはいても「“歴史の皮肉”の例」として整理されていなかったので、助かります。
ありがとうございました。
日本の権利のために戦うのは仕方なかったでしょうか。
元の朝貢しろというのを拒否して、元寇が発生し(1274, 1281)。
鎌倉幕府は、戦闘の結果の疲弊、報償を武士に渡せなかったというのも
一因として1333(1333-1281=52)に滅びました。52年はなれているので
元寇だけの問題とは言えませんが。
元が日本の侵略に成功しなかった原因の一部に韓国(朝鮮)での抵抗運動を
平定する手間があります。韓国人は別に日本を助けたいわけではなかった
でしょうから韓国に助けてもらったというのは歴史の皮肉ではないでしょうか?
第二次世界大戦で10倍の経済力のある米国に宣戦布告したのは
元寇で負けなかったという歴史の影響もあると思います。
それは歴史の皮肉ではないでしょうか?
かと言って元寇に負けてた方が良かったとは言いませんが。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E5%AF%87
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%8C%E5%80%89%E5%B9%95%E5%BA%9...
むむむ。なるほど。
もしも元寇に負けてたら、そのまま明・清に服属→イギリス植民地→数世紀にわたる独立運動……と経て、今頃「ヤポネシア共和国」とかいう名前で独立してるんじゃ、とか妄想したことがあります。
・鎌倉幕府は元の侵略を撃退したが、戦った武士に恩賞が出せなかったために結局崩壊した。
・朝鮮は元の日本侵略の足がかりとされ、甚大な被害を受けた。朝鮮が元に抵抗運動を起こしたおかげで元の日本侵略は失敗した。
・二度の神風のおかげで日本は元の侵攻から守られた。それが結果的に対米戦突入を招き全土は焼け野原となった。
こんな感じでしょうか。
厳しい法律で、秦は中国を統一したが、厳しすぎる法律が、反乱を招き、早々に滅びるきっかけとなった。
●陳勝・呉広の乱
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B3%E5%8B%9D%E3%83%BB%E5%91%8...
商鞅の話ともちょっとかぶりますが、そうかも知れませんね。
法体系に問題があったと言うより、焚書坑儒とか大規模土木工事の連発とかに問題があった気もしますが。
思いつくまま、挙げてみます。
1.天智系と天武系の皇位継承
天智天皇は、弟の天武天皇ではなく、子の大友皇子への直系の皇位継承を図る。
天武天皇は、壬申の乱で大友皇子を倒し、兄弟での皇位継承を果す。
しかし、天武系のその後の皇位継承は逆に直系が基本となる。
天武系に替わって天智系が復活すると、今度は兄弟での皇位継承が増える。
2.日本を開国させたアメリカ
ペリー来航以後、アメリカの希望する日本の開国が実現する。
通商条約まで結んだのに、アメリカ本国の南北戦争で日本どころでなくなる。
イギリスとフランスを中心に幕末の日本に対する外交の主導権をとられる。
さらに、開国後に力をつけた日本と太平洋を挟んで対立してしまう。
そして、戦争へ。
3.五・一五事件
野党の政友会にいた犬養毅は、民政党の浜口雄幸内閣のロンドン海軍軍縮条約に対して、海軍の対外強硬派とともに政府批判を行なう。
民政党内閣が倒れ、犬養は首相となったが、五・一五事件で海軍強硬派の青年将校に暗殺される。
4.ハプニング解散の結果
自民党の第二次大平正芳内閣のとき、大平派と福田派の党内対立から与野党の思惑に反して内閣不信任案が可決してしまう。
解散総選挙戦となるが大平首相が急死、弔い合戦の様相を呈し、まとまりを見せた自民党が圧勝する。
そういえば、現在の総理総裁派閥の麻生派は大平派の系統のひとつですね。
この度の選挙では、どんな「皮肉」が生まれますでしょうか?
おお、知らなかった話もたくさん。
ありがとうございました。
1.戦後処理の皮肉
http://drupal.cre.jp/node/2843
ちょうど昨日、こちらの記事を読んでいて歴史の皮肉だなぁと思いました。
出征した兵士の6割死傷という多大な犠牲を払った第一次世界大戦時のフランス。戦勝国として敗戦国ドイツに対し、領土割譲だけでなく徹底的な軍備削減、天文学的とも言える賠償金などかなり過酷な要求をしました。
普仏戦争、第一次世界大戦と続けて苦しめられたフランスとしては、ドイツを徹底的に弱体化させることにして将来の禍根を絶つつもりだったのでしょう。
しかしその結果、疲弊し追い詰められたドイツはヒトラーという強い指導者を得て、再び軍事大国への道を邁進し、第二次世界大戦序盤の電撃作戦によってフランスを占領することになるのです。
もし大戦後にそれほどのドイツを追い込まず友好的な外交を展開していれば(国民はなかなか納得しなかったかもしれないけど)、すんなりヒトラーが権力を握ることも無かったかもしれません。
また再軍備後、主に東欧において領土拡張にいそしむナチスドイツに対して及び腰だった英仏両国の態度ですが、一度強硬的に介入してしまったら再び戦争まで発展することを恐れたというのもあるようです。しかし結果的には先の大戦を上回る戦火に至ったのは皮肉ともいえますね。
2.戦果の皮肉
太平洋戦争終盤、旧海軍が戦術として特攻を選択し戦果をあげたのは公式には1944年10月25日とされています(これには諸説ありますが)。
http://landinggear.hp.infoseek.co.jp/kamikaze/1st.kamikaze.htm
その背景として、航空戦力の質量の逆転、高度に発達した米軍の防空システムにより、もはや通常の航空攻撃では被害ばかりで戦果を挙げられなくなってきていたというのがあります。
その時の戦果として、正規空母撃沈・撃破と報告され驚喜しました。
しかし実情はすべて戦時急造の護衛空母であり、しかも度重なる航空戦を経て疲弊し、かつ沈没の直接の原因は体当たりではなく、火災鎮火に失敗してたまたま艦内の爆弾・ガソリンが数度に渡って爆発したといういくつもの偶然が重なった結果でした。
一方、英米では戦中から熟練したパイロットではなくても充分効果的な攻撃方法である反跳爆撃(もしくは跳飛爆撃)が採用されていました。
ビスマルク海海戦の大損害などで遅ればせながら日本軍もその戦法を採用し、実施したのが奇しくも特攻作戦が行われようとしていた1944年10月24日。
しかし護衛の戦闘機との合流に失敗して、爆撃隊のみでの攻撃は相手の戦闘機に妨害されて目標到達前に全機撃墜されるという結果に。
たまたま特攻作戦は最初に戦果をあげたように思われた(実際は勘違い)ので、終戦まで引き続き実施されて多数の若者が死が決定された攻撃に駆り出され、危険度は高くてもまだ生還の見込みあった反跳爆撃は最初が大失敗であったために繰り返されることなかった。
もし初回の結果が逆であったならば、特攻という愚かな戦術があんなに大規模には行われなかったのかもしれません。
ドイツの戦後処理は確かに。
……チェンバレン外相の宥和政策が時間稼ぎになって、イギリスは対独戦の準備を整えられた、という話もありますが。
特攻作戦……。
「特攻よりマシな戦術があります」って示せば、大本営は考えを改めたんでしょうか……。
世界史関連で思いついたものを挙げてみます。(数が多いので簡単に)
1.八王の乱
三国時代の魏では、皇帝の一族が弱かったため司馬氏に実権を奪われてしまう。
その司馬氏の晋では、皇族に権限を与えたが、その為に八王の乱で皇族同士が争い、国を弱体化させた。
2.隋の大運河
煬帝は大運河の建設などで隋の国力を弱め滅びてしまう。
現在では、中国の南北統一に有効だったと再評価される。
3.林則徐
国のために、厳しいアヘンの取締りを行なう。
イギリスに口実を与えアヘン戦争を招き、自国でも左遷される。
4.火薬の発明
発明した中国が、アヘン戦争以後、西洋諸国の火器にコテンパンにやられる。
5.ルイ14世
コルベールの起用によって、フランスの財政を確保し、全盛期を築く。
しかし、対外戦争とベルサイユ宮殿に巨費をつぎ込み、財政破綻の原因もつくる。(フランス革命へとつながる。)
6.イギリスの植民地アメリカに対する課税強化
七年戦争の時、アメリカ大陸を巡ってフランスと戦い、その戦費に当てるため、植民地のアメリカへの課税を強化する。
アメリカ合衆国の独立を招き、東部植民地自体を失う。
7.義和団事件
「扶清滅洋」(清を扶け、外国を滅ぼす)をスローガンに掲げる。
結果は逆で、外国の進入が加速し、清が賠償金を負うはめに。
8.冷戦
米ソの対立が激しくなるが、恐怖の均衡により直接の武力衝突がなかった。(結果論ですが)
9.冷戦終結
冷戦が終わり世界が平和になるかと思いきや、地域紛争が顕在化してしまった。
素晴らしい。
ありがとうございました。
第二次世界大戦での海軍の失敗を歴史の皮肉として取り上げるなら、日露戦争での日本海海戦での大勝利まで遡る必要があるでしょう。
自軍の損害が殆どなかったことからアウトレンジ戦法が考え出され、大和に46センチ砲が搭載され、撃沈されることを恐れてホテル程度にしか使われなかったのですし、ワシントン条約を受け入れるという慢心やロジスティック軽視という風潮も産んでしまいました。
日本史上最大の皮肉だと私が思っているのは、秀吉が慶長の役に家康を出兵させず、豊臣家滅亡を早めることになったことです。
家康を出陣させなかった理由には諸説ありますが、朝鮮に家康を出せば当然恩賞を与えなければならない、つまり徳川の勢力を大きくすると豊臣家の立場を危うくすると秀吉が判断したからだと考えます。
結果は大敗して豊臣恩顧の武将は疲弊し、文治派と武断派との争いを招いたことで関が原の戦いでも武断派が東軍についてしまうという結果を招いてしまいました。
……ワシントン海軍軍縮条約を「慢心」と見るべきか、いうとちょっと何とも言えませんが……。
戦争は、負けた側の方が熱心に研究をするのが常ですから、大勝利が巡り巡って次の敗北をもたらす、というのは他にもありそうですね。
慶長の役の話は初耳でした。ありがとうございました。
ハンニバルは古代有数の将軍だった。愛国者にして勇壮無比。
本国カルタゴの援助がほとんど得られる状況のもと、スペインで育成した私兵のみにて拡張主義の
軍事国家ローマをギリギリまで追いつめる。
カンネエの戦いはそのピークを示すものだった。
しかし、後年ハンニバルの戦術を身に付けた大スキピオがザマの戦いにおいて、ハンニバルを大破する。
これは、皮肉にして悲劇的な結末です。
また、小スキピオがカルタゴを陥落させるわけですが、その時に彼がローマをそうなると予見したごとく、AD388年にローマは滅ぶというには
皮肉というより盛者必衰のことわりというべきかもしれません。
「ローマもいつか滅びる日が来るのであろうか」
美しい言葉ですね。おっしゃるとおり、仏教的な無常観が漂っているのが日本人好みなのかも知れませんが。
「スキピオの戦術は、ハンニバルを師とした」
ですか。初めて知りました。ありがとうございました。
「はだしのゲン」で石をぶつけられてた死体でしたっけ。(うろおぼえ)
確かに皮肉ですね。
素晴らしい。
ありがとうございました。