そもそも公約は、議員の任期4年間において実現するものであって、最初の1年間ですべて実現するものではありません。したがって、任期が続いている現時点で、公約破りだとの判断すること自体がナンセンスでしょう。
公約の中間総括にはまだ早いと思いますが、しかしまあ政権も変わったことですし、こういう節目で公約の達成度を見直すのも良いのではないかと思います。
■景気回復
内閣府の景気動向調査によれば、2005年を100とした景気動向指数(CI値先行指数)は、麻生内閣が総辞職した2009年8月の時点で83.4まで後退しましたが、その後民主党政権に政権交代してから景気は回復し、2010年3月の時点で102.7まで回復しています。
景気動向指数 結果
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
長期系列
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/0521ci.xls
このように、数値的にははっきり景気回復しておりますので、公約は実現していると言えます。
ただし、数値的な景気回復が、国民多数の実感となっているかというと、必ずしもそうは言えないわけで、一部の人しか景気回復を実感できていません。
要するに、小泉竹中構造改革により、一部の資本家だけに景気回復や経済成長の恩恵が集中している構造になっているわけで、景気回復すればするほど一部の資本家だけにますます資本が集中する構造になっている。この構造をかえないかぎり、多数の庶民は景気回復を実感できません。
公約としては景気回復は実現しているけれど、それを実感するためには、景気回復とは別に、労働政策や厚生行政の是正など、再配分政策に係る行政改革を進めていく必要があります。
■暫定税率廃止
2010年度予算では急激な景気後退により財源不足のため廃止が見送られました。
急激な景気後退は公約を掲げた時点では想定されていなかったので、経済状況の急変により廃止を一次的に見送った民主党政権の判断は妥当と思われます。
なお、暫定税率は、政府が2011年度導入を目指す地球温暖化対策税に置き換えたうえで、税の簡素化や納税者の負担軽減を含む抜本的な見直しを図る予定になっており、地球温暖化対策税などの抜本見直しは政府内で進められています。
したがって、現時点では、公約破りとの批判は当たりません。
■ガソリンを25円値下げ
現時点では25円値下げになっていませんが、いつまでに25年値下げさせるのか、実現の時期については明確に書いていませんので、現時点で25円値下げになっていないとしても公約を破ったとは言えません。
したがって、公約破りとの批判は当たりません。
まあ、世間的には暫定税率の件はバラマキだという批判がありますので、結果的にバラマキという批判は回避できたから結果オーライだという見方もできるかもしれません。
■漁船燃料高騰分の補てん
民主党は、政策INDEXにより漁業所得補償制度に基づいて漁船燃料高騰分の補てんするものとしていますが、民主党のこの政策は旧自公政権で実施された「直接補てん」のようなバラマキ予算とは異なり、この漁業所得補償制度の実施の前提として、個別漁業者ごとの漁獲可能量の割り当て(個別TAC)と資源管理計画制度を導入することになっています。
現在、農水省では、漁業所得補償制度、個別TAC、資源管理計画制度という三点セットの具体的な内容を検討中ですが、赤松農水大臣は、2010年2月14日、漁業関連団体と懇談において、漁業者の所得補償制度について2011年からの導入を目指し、漁業共済の在り方を含めて検討していることを明かしています。
したがって、公約破りとの批判は当たりません。
■高速道路の無料化
東京など大都市に住んでいる皆さんは、無料化されていないことに腹をたてているかもしれませんが、私の住んでいる地域の高速道路は、無料化予定路線となることが決定となりました。
したがって、少なくとも私の住んでいる地域では、公約は実現したといえます。
そもそも高速道路の輸送コストは、地方在住者に負担が重く、地方在住者は大都市圏よりも余計な輸送コストを負担させられています。輸送コストは、商品価格への転嫁、販売価格の上昇という形で地方在住社が負担させられています。所得の低い地方在住者が高い輸送コストを負担し、所得の高い大都市圏の人は輸送コストがあまりかからないという現状は、不平等であり、このような不公平は見直す必要があります。
大都市圏の人に高速道路のコストを地方在住者よりも多く負担させることは、近郊ある国土の発展という観点から、とても良い結果をもたらします。地方在住者を中心に無料化を先行させたのは、地方と大都市の負担の均衡を図る弱者対策という意味で、新政権の対応はとても有意義な対応だったと思います。
なお、無料化する高速道路をどこに設定するかについては、ビラでは明記しておりません。すべての高速道路をすぐに無料化するとも書いていません。将来的には、大都市圏でも無料化する地域がでてくると思われます。
■中小企業への財政・金融対策
2010年度予算で実現しました。
したがって、公約破りとの批判は当たりません。
■最低賃金を全国平均1000円に引き上げ
2010年6月3日、政府は最低賃金を2020年までに平均1000円に引き上げる目標を新成長戦略に盛り込むことを決定しました。
「2020年までに」ということは2011年に実現する可能性はゼロではありませんが、仮に2020年に実現するということになると、結果的に任期内に公約が実現しないことになりますので、その場合は公約破りになります。ただ、現時点では任期が続いていますので、ただちに公約破りとは言えません。
しかし、事実上の公約先送りだと批判することは可能と思います。
ただし、この決定は鳩山内閣が総辞職直前に決定したものであり、菅新総理は雇用対策について鳩山内閣とは異なる方針を示していますので、公約先送りを再修正する可能性はあるとは思います。
■パート契約社員の均等待遇
パート契約社員の均等待遇につながる労働者派遣法改正案がすでに国会に上程され、現在国会で審議中です。
自民党やみんなの党が労働者派遣法改正案の審議拒否をしていたため、審議が進んでいませんが、社民党は審議に参加の予定であり、今国会で成立見込みです。
事実上、公約は実現したと考えるべきでしょう。
菅首相 社民党は、普天間の問題は意見が合わないと離脱したが、それ以外の多くでは意見が一致している。労働者派遣法など、苦労して法律までこぎつけたものについて、ぜひ一緒に成立させようと、福島(瑞穂)党首からもお話をいただいた。広い意味での国会運営の協力もお願いする。共に賛成する法案については同じような行動を取れると思う。
(2010年6月4日 菅首相会見より)
■時間外手当50%に増額
改正労働基準法により、2010年4月から時間外労働に対する賃金の割増率について、月60時間を超える部分を50%以上に引き上げること新労働基準が施行されました。
しかし、この法改正は、2008年11月18日に成立した労働基準法改正案に基づくものであり、民主党だけの政策ではありません。
たしかに公約としては結果的に実現しました。しかし、あらかじめそうなることがわかっていることを書いてあるだけですので、民主党単独の公約としてはあまり意味が無いと批判することは可能と思われます。
ビラには嘘は書いていません。嘘は書いていませんが、自公政権との違いという点では疑問があります。
■子ども手当ての創設
2010年度予算で実現しました。
すでに給付がはじまっています。
したがって、公約は達成しました。
■まとめ
というわけで、ビラに書いてある公約を客観的に見直すと、言われているほどひどいビラではないな、というのが現時点での私の印象です。
さらに印象で書くなら、なんでもかんでも配られたビラを読んだままマ受けて、ビラをひどいひどいと言っている人の選挙リテラシーの無さの方がずっと問題だな、と思いました。
以上。
そもそも公約は、議員の任期4年間において実現するものであって、最初の1年間ですべて実現するものではありません。したがって、任期が続いている現時点で、公約破りだとの判断すること自体がナンセンスでしょう。
公約の中間総括にはまだ早いと思いますが、しかしまあ政権も変わったことですし、こういう節目で公約の達成度を見直すのも良いのではないかと思います。
■景気回復
内閣府の景気動向調査によれば、2005年を100とした景気動向指数(CI値先行指数)は、麻生内閣が総辞職した2009年8月の時点で83.4まで後退しましたが、その後民主党政権に政権交代してから景気は回復し、2010年3月の時点で102.7まで回復しています。
このように、数値的にははっきり景気回復しておりますので、公約は実現していると言えます。
ただし、数値的な景気回復が、国民多数の実感となっているかというと、必ずしもそうは言えないわけで、一部の人しか景気回復を実感できていません。
要するに、小泉竹中構造改革により、一部の資本家だけに景気回復や経済成長の恩恵が集中している構造になっているわけで、景気回復すればするほど一部の資本家だけにますます資本が集中する構造になっている。この構造をかえないかぎり、多数の庶民は景気回復を実感できません。
公約としては景気回復は実現しているけれど、それを実感するためには、景気回復とは別に、労働政策や厚生行政の是正など、再配分政策に係る行政改革を進めていく必要があります。
■暫定税率廃止
2010年度予算では急激な景気後退により財源不足のため廃止が見送られました。
急激な景気後退は公約を掲げた時点では想定されていなかったので、経済状況の急変により廃止を一次的に見送った民主党政権の判断は妥当と思われます。
なお、暫定税率は、政府が2011年度導入を目指す地球温暖化対策税に置き換えたうえで、税の簡素化や納税者の負担軽減を含む抜本的な見直しを図る予定になっており、地球温暖化対策税などの抜本見直しは政府内で進められています。
したがって、現時点では、公約破りとの批判は当たりません。
■ガソリンを25円値下げ
現時点では25円値下げになっていませんが、いつまでに25年値下げさせるのか、実現の時期については明確に書いていませんので、現時点で25円値下げになっていないとしても公約を破ったとは言えません。
したがって、公約破りとの批判は当たりません。
まあ、世間的には暫定税率の件はバラマキだという批判がありますので、結果的にバラマキという批判は回避できたから結果オーライだという見方もできるかもしれません。
■漁船燃料高騰分の補てん
民主党は、政策INDEXにより漁業所得補償制度に基づいて漁船燃料高騰分の補てんするものとしていますが、民主党のこの政策は旧自公政権で実施された「直接補てん」のようなバラマキ予算とは異なり、この漁業所得補償制度の実施の前提として、個別漁業者ごとの漁獲可能量の割り当て(個別TAC)と資源管理計画制度を導入することになっています。
現在、農水省では、漁業所得補償制度、個別TAC、資源管理計画制度という三点セットの具体的な内容を検討中ですが、赤松農水大臣は、2010年2月14日、漁業関連団体と懇談において、漁業者の所得補償制度について2011年からの導入を目指し、漁業共済の在り方を含めて検討していることを明かしています。
したがって、公約破りとの批判は当たりません。
■高速道路の無料化
東京など大都市に住んでいる皆さんは、無料化されていないことに腹をたてているかもしれませんが、私の住んでいる地域の高速道路は、無料化予定路線となることが決定となりました。
したがって、少なくとも私の住んでいる地域では、公約は実現したといえます。
そもそも高速道路の輸送コストは、地方在住者に負担が重く、地方在住者は大都市圏よりも余計な輸送コストを負担させられています。輸送コストは、商品価格への転嫁、販売価格の上昇という形で地方在住社が負担させられています。所得の低い地方在住者が高い輸送コストを負担し、所得の高い大都市圏の人は輸送コストがあまりかからないという現状は、不平等であり、このような不公平は見直す必要があります。
大都市圏の人に高速道路のコストを地方在住者よりも多く負担させることは、近郊ある国土の発展という観点から、とても良い結果をもたらします。地方在住者を中心に無料化を先行させたのは、地方と大都市の負担の均衡を図る弱者対策という意味で、新政権の対応はとても有意義な対応だったと思います。
なお、無料化する高速道路をどこに設定するかについては、ビラでは明記しておりません。すべての高速道路をすぐに無料化するとも書いていません。将来的には、大都市圏でも無料化する地域がでてくると思われます。
■中小企業への財政・金融対策
2010年度予算で実現しました。
したがって、公約破りとの批判は当たりません。
■最低賃金を全国平均1000円に引き上げ
2010年6月3日、政府は最低賃金を2020年までに平均1000円に引き上げる目標を新成長戦略に盛り込むことを決定しました。
「2020年までに」ということは2011年に実現する可能性はゼロではありませんが、仮に2020年に実現するということになると、結果的に任期内に公約が実現しないことになりますので、その場合は公約破りになります。ただ、現時点では任期が続いていますので、ただちに公約破りとは言えません。
しかし、事実上の公約先送りだと批判することは可能と思います。
ただし、この決定は鳩山内閣が総辞職直前に決定したものであり、菅新総理は雇用対策について鳩山内閣とは異なる方針を示していますので、公約先送りを再修正する可能性はあるとは思います。
■パート契約社員の均等待遇
パート契約社員の均等待遇につながる労働者派遣法改正案がすでに国会に上程され、現在国会で審議中です。
自民党やみんなの党が労働者派遣法改正案の審議拒否をしていたため、審議が進んでいませんが、社民党は審議に参加の予定であり、今国会で成立見込みです。
事実上、公約は実現したと考えるべきでしょう。
■時間外手当50%に増額
改正労働基準法により、2010年4月から時間外労働に対する賃金の割増率について、月60時間を超える部分を50%以上に引き上げること新労働基準が施行されました。
しかし、この法改正は、2008年11月18日に成立した労働基準法改正案に基づくものであり、民主党だけの政策ではありません。
たしかに公約としては結果的に実現しました。しかし、あらかじめそうなることがわかっていることを書いてあるだけですので、民主党単独の公約としてはあまり意味が無いと批判することは可能と思われます。
ビラには嘘は書いていません。嘘は書いていませんが、自公政権との違いという点では疑問があります。
■子ども手当ての創設
2010年度予算で実現しました。
すでに給付がはじまっています。
したがって、公約は達成しました。
■まとめ
というわけで、ビラに書いてある公約を客観的に見直すと、言われているほどひどいビラではないな、というのが現時点での私の印象です。
さらに印象で書くなら、なんでもかんでも配られたビラを読んだままマ受けて、ビラをひどいひどいと言っている人の選挙リテラシーの無さの方がずっと問題だな、と思いました。
以上。