ある日、石油会社がA銀行から1千万ドルを買うことにします。
石油会社は石油を買うためにドルを買い、そのお金で石油を買います。
結果として、石油会社の手元には石油が残っていますが、ドルは支払われ残っていません。
石油会社が行ったのは「ドルの買い切り」で何年経っても売り戻しのないポジションです。
さて、A銀行は石油会社にレートを表示し自分の意志とは関係なくドルを売ったので、
ドルの相場変動によっては時おりドルのショートカバーを行います。
このような場合、同じような「ドルの売り切り」が行われない場合、
ドルは永遠に上昇し続けることになるのでしょうか?
あるいは、そもそもこのような現象自体が起こりえないのでしょうか?
元投資銀行員ですが、日米欧の大手金融機関がリスクトレードをしないということはありません。銀行の為替ディーリングは、リスク込みの通常のトレードと、リスクなしのカスタマートレードの2種類を行っています。90年代前半まではリスクトレードが占める割合が圧倒的に多かったのですが、日本の大手金融機関に限り、バブル崩壊の影響を受けてリスク回避指向が強まった結果、日本の金融機関がリスクトレードを行うことはしなくなったというだけです。
欧米の大手金融機関の場合、また、日本でも野村のような証券系の大手金融機関の場合、自己勘定によるリスクトレードは大きな収益源となっています。
元質問の場合、実需のドル需要が発生していることになりますから、このような場合はドル高に流れるのは当然です。反対に実需を伴わないカラ取引の場合は、時間が経過すると共に反対取引への圧力が高まります。
ショートカバーが売りポジションの買い戻し、という意味であれば、この場合の想定には関係ないと思います。
http://www.foreland.co.jp/market/word/jp/si21.html
あくまで、「日本」の会社が「米」ドルを現物で買い、「アメリカへの」支払いへ使った、
という事ですよね?
(この場合、日本でなくともいいです。あくまでアメリカ以外の国。また、アメリカへの支払いでない場合もあると思いますが、ややこしくなるだけなのであくまでアメリカ本国の石油資本にでもしておきます)
A銀行は日本の会社とアメリカ連邦銀行との仲介をしただけの事で、この想定に何ら関係はありません。ポジション調整もドルを買い切ってしまう訳ですからやりようがないし、自銀行での売り買いは今回の想定には関係ありません。
一方的にドルを買うのみであればドルは上昇すると思います。
ただ、それでは貿易が成り立たなくなっていきます。
一方的に貿易赤字が増えるだけの事です。
通常は、日本側も売る商品があるので、ドル(日本円でも)を受け取る機会もあります。
この不均衡が是正されないと、買う一方の国の経済は崩壊し、崩壊した国の通貨を受け取っている国も困ったちゃんになります。
単純にはそんな感じで、、
そこで、為替相場が変動したり、貿易赤字を是正するために政府が介入し、IMFが乗り込んできたり、色々とある訳で、、
回答ありがとうございます。
>ポジション調整もドルを買い切ってしまう訳ですからやりようがないし
買ったからといって誰かが売りポジションをもつことにはならない
ということなのでしょうか?
なんだか混乱していますがとても勉強になりました。
某商社に勤めています。
質問の銀行による、為替管理がどのようなものかは、分かりませんが、質問の取引の場合の原則は下記の通りです。
<原則>
この取引(ここでは、1千万ドル)が”our risk(自分で為替変動リスクをとる)” か”their risk(取引先が為替変動リスクをとる”
です。
質問は、銀行が為替リスクをとる(つまりour risk)の場合は?ということだと思います。その場合はこの1千万ドルの為替変動リスクをすべて銀行がとるということです。
>ドルは永遠に上昇し続けることになるのでしょうか?
私が取引上、注意していることは「為替は神様にしか分からない」というこです。つまり、ドルが上昇するか、下降するかは、だれにも分かりません。そのため、質問に対する解答は、「分からない」というこです。
>あるいは、そもそもこのような現象自体が起こりえないのでしょうか?
銀行だけでは、なくFXでもそうですが、銀行等は基本的為替リスクはとらず、手数料で利益をあげるビジネススタイルです。そのため、そもそも、銀行が為替をour riskで管理するということが起こりえないと思います。
参考url
回答ありがとうございます。
>銀行等は基本的為替リスクはとらず、手数料で利益をあげる
>ビジネススタイルです。
なるほど。確かに銀行はリスクをとりませんよね。
いろいろ勉強になりました。
「ドルの買いきり」という決して売り戻しのないポジション
はその反対のポジシヨンを誰かが持つことになると思う
のですが。時間的な差が生じることは上昇圧力に関係
しないのでしょうか?
単純に時間制限がある売り方と永遠保持の買い方との取引では
売り方は買い戻す必要性が常に存在し、また買った値段以上で
売りたいと思うので売り価格が上昇していくように思えるのですが・・
>為替は神様にしか分からない
確かにその通りですよね。どこに間違えがあるのだろう・・
元投資銀行員ですが、日米欧の大手金融機関がリスクトレードをしないということはありません。銀行の為替ディーリングは、リスク込みの通常のトレードと、リスクなしのカスタマートレードの2種類を行っています。90年代前半まではリスクトレードが占める割合が圧倒的に多かったのですが、日本の大手金融機関に限り、バブル崩壊の影響を受けてリスク回避指向が強まった結果、日本の金融機関がリスクトレードを行うことはしなくなったというだけです。
欧米の大手金融機関の場合、また、日本でも野村のような証券系の大手金融機関の場合、自己勘定によるリスクトレードは大きな収益源となっています。
元質問の場合、実需のドル需要が発生していることになりますから、このような場合はドル高に流れるのは当然です。反対に実需を伴わないカラ取引の場合は、時間が経過すると共に反対取引への圧力が高まります。
回答ありがとうございます。
さすが元投資銀行員といった感じですね。他の方々の回答も勉強になりましたが、
より深く理解できました。
回答ありがとうございます。
さすが元投資銀行員といった感じですね。他の方々の回答も勉強になりましたが、
より深く理解できました。