THEME:「海苔の日に」「聖バレンタインデー」「梅花を愛でる」
「今日をちょっと楽しく、特別にすることって何だろう? イエで過ごすいつもの時間を素敵に変える小さな魔法のサプリがあったら……」と展開してきた“リブ・ラブ・サプリ”コーナーの続編のひとつ、シーズン・バージョン。季節をさまざまに楽しむ暮らしのサプリを、テーマに沿って語らいませんか? 豊かな暮らしを創っていく〈イエはてな〉のマインドで投稿ください!
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富士山を神体山とする富士山本宮浅間大社、そして全国各地の浅間神社にまつられている木花開耶姫。一般にこの名前は、木の花を桜の花と解して、桜が咲くように美しい女性の意味、ととらえることが多いのですが、
『万葉集』では梅をよんだ歌が多かったのに対して、『古今和歌集』以降は桜をよんだ歌が増えたからだそうだ。
というのと同じ理由で、木花開耶姫信仰が生まれた時代には、木の花といえば梅を指していたのではないかという説があります。
梅はかつて、5弁の花びらが数霊の五=火に当たることから、火を象徴する花とも考えられてきたようです。松竹梅のひとつとして今も縁起のよい花とされているのも、そんなことの名残でしょう。
それと、火中出産の神話から火の神と考えられ、さらに火山国日本一の秀峰富士山富士山に鎮座して国を守護する御神徳が結びつくのも、想像に難くないことではないかと思います。
後に桜が多くの人に愛されるようになって、信仰的な世界での桜は、火をつかさどる梅に対する、水の気をつかさどる花とも考えられるようになっていったようです。
富士山本宮浅間大社の社伝では、木花開耶姫は噴火を鎮めるために富士山に鎮座した水の神であるといった記述が見られるようですが、それも梅から桜へと人々の関心が移り変わっていった歴史と関係していくのかもしれません。
ともあれ、桜とはまた違った風情のある梅。これもほんと、いいものですよね(^-^)
日本で春の花といえば、ほとんどの人は桜だと言われるが、自分は桜より梅が好きだ。
天皇の私的な在所であった内裏で、天皇元服や立太子、節会などの儀式が行われた正殿である紫宸殿の南庭には、
現在、東に桜、西に橘が植えられていて、「左近の桜、右近の橘」と称される。
しかし、この「左近の桜」も当初、梅だったそうだ。
梅が紅梅と白梅で一対になるという感覚は、すでに光琳の紅白梅図屏風にも描かれているように我々には馴染み深い。
けれども古代では、梅は橘と組んで一対とされていた。
紫宸殿に植えられたのは、もともとは左近の梅と右近の橘なのである。
この一対が常世からの果実をもたらすものだったからで、それがいつしか左近の桜に替えられた。 松岡正剛『日本数寄』
「左近の梅」が「左近の桜」になったのは、ちょうど『古今和歌集』が編纂される頃だとのこと。
『万葉集』では梅をよんだ歌が多かったのに対して、『古今和歌集』以降は桜をよんだ歌が増えたからだそうだ。
そして、その流れが桜の歌を数おおく詠んだ西行などを通じ、日本人の桜好きにつながっているのだ。
自分が桜より梅が好きなのは、花自体に対する好みというより、梅の木の枝ぶりやその木肌に惹かれるからだ。
古代人は梅を漠然と好んだのではない。「梅が枝」と「梅の香」を好んだ。
松岡正剛『日本数寄』
この古代人が好んでいたという「梅が枝」はすごくわかる。
松岡氏によると、梅の木の「冬の風雪に耐えた黒褐色の枝が、かくかくと命の形状をつくっていく枝ぶりが好まれた」のだそうだ。
あとはやはり、えもいわれぬいい香りの「梅の香」だろう。
「東風(こち)吹かば 匂い起こせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春な忘れそ」
菅原道真が当時の都、京都から太宰府に左遷される際に、自宅の梅の木に
「私がいなくなっても、春になったら忘れずに花を咲かせるんだよ」と詠んだ歌。
梅の花を見ていると、学生の頃に覚えたことが色々と思い出される。
そもそも梅は食用、薬用の目的で中国からもたらされたものなので、観賞用のほかに食用の目的も大きい。
見て美しい梅と、梅酒、梅干にして良い梅とは別物というわけだ。
鑑賞用の花梅には八重咲きが多いため果肉は薄く、特に紅梅は苦味が強いという。
梅の花は、ゆっくり咲き、ゆっくり散る。パッと咲き、パッと散る桜とは、この部分でも違いがある。
自分はこの、ゆっくり咲き、ゆっくり散る梅のほうが好きだ。
まだ風は冷たい時でも、梅花を眺めていると春がそっと覗いているようだ。
少し風邪気味の自分は紅梅を見つめつつ、心の中で「春よ来い、早く来い」と歌った。
日本数奇 (ちくま学芸文庫)