木と紙の自然素材が織りなす和の世界。障子のある部屋っていいですよ。以前も障子について書いたことがありますが、障子には、
- 光の効果
- 直射日光を穏やかな光に変えて室内に取り入れることが出来る。
- 太陽光が拡散するので、光と陰の差が穏やかになる。広い範囲に渡って均一な太陽光を届けてくれるので、部屋全体が明るく見える。
- 夜間は障子紙の白が照明光を反射するので、照明の効率・効果がアップする。
- 省エネ効果
- 夏場は直射日光による室温の上昇を減少させる。
- ガラス窓と併用した場合、隙間の空気が断熱層となり冷暖房効率が向上する。
冬場は窓で冷えた空気が下層に流れ込むコールド・ドラフトも減らすことが出来るので、足元まで温かな暖房が実現しやすい。
- 室内環境向上効果
- 障子紙の多孔性がもたらす調湿効果で、多湿時と乾燥時の変化を穏やかにしてくれる。
といった様々な効果があります。
障子のない部屋に新たに障子を取り付けるには、それなりのリフォームが必要ですが、自作も出来ないことはありません。といっても、障子の枠の自作にはかなり高度な技術が必要ですから、普通は、
- 建具屋さんに依頼して作ってもらう
- 建具メーカーが作っている既成の障子を購入する
- 中古建具屋さんで気に入った物を探して購入する
といった方法が実用的ですね。
中古建具の場合、年季の入った、あるいは高度な細工が施されたインテリア的価値の高い物は新品より高価だったりしますが、実用本位の物なら、かなり安い物も見つかります。ただ、業者さんの数が少ないので、障子を探すより、お店を探す方が大変かもしれません。
私の友人は、わが家の障子を見て自分の部屋にも欲しいと、市販の障子風スクリーンを加工して作ってしまいました。安価な製品の中にもなかなかいい物がありますから、うまく流用できるサイズの物が見つかれば、なかなかの障子が作れます。
窓枠への取付は、既存の窓枠に自作の鴨居と敷居──あ、これは障子をはめ込む木製のレールのことですね。上側を鴨居と呼び、下側を敷居と呼びます──を取り付けて設置します。鴨居や敷居の取付は、窓の取り付け枠の周囲に木材が使われていれば、そんなに難しい作業ではありません。
なお、鴨居や敷居は無垢の厚板を削り出して作りますが、溝を掘るにはちょっと特殊な工具が必要ですので、板の上に細い角材を離して並べて、角材と角材の間を溝とするような作り方でも構いません。
さて、今回のイエコト・ミシュラン的アイデアの本番はここからです。障子はそれその物が木と紙という天然素材そのままのインテリアですが、これをさらに自然素材で彩っていこうという楽しみ方のご紹介です。
まず、障子紙を木の葉で彩る方法。最も簡単なのは、木の葉を漉き込んだ障子紙や、障子紙としても使えそうな和紙がありますから、それを使う方法ですね。
私は、木の葉をアルカリ液で処理して葉脈標本とし、それを和紙の間に挟んだ自作障子紙を作ってみました。
■ 重曹で葉脈標本を作ってみる by id:YuzuPONさん
http://q.hatena.ne.jp/1216183566/175399/#i175399
自分で紙漉きが出来れば最高ですが、糊を引いた薄手の和紙の間に挟んで押しをしておくだけでも、素敵な障子紙が出来ました。光に木の葉の葉脈が透けて、とっても綺麗ですよ。押し葉や押し花を使っても同様のことが出来そうですが、これは時間が経つと素材から色がシミのように染み出してきたりして、ちょっとうまくいきませんでした。素材とする押し葉や押し花をきちんとコーティングし、ノリではなく専用のアイロンフィルムなどで接着していくようにすれば、うまくいくかもしれません。
天然染料で和紙を染めて、それを障子紙として張っていくのも素敵です。染め上がった和紙の市販品もありますが、お勧めはやはりお手製。それも、生葉による「叩き染め」なんてどうでしょう。子供の頃、やりませんでしたか? 葉っぱや花を和紙や布の上に置いて、叩いて色を移していく染め方です。何枚もの葉の跡を重ねて植え込みのような模様を作ってみたり、はらはらと舞い落ちる木の葉のような表現にしてみたり。工夫次第で様々な表情の障子が作れます。
私は藍の生葉が手に入ったので、それでやってみました。やり方の概略は次のページをご覧ください。
http://www.lsearch.jp/report/070910_ai-tatakizome.php
「あおもり藍工房」さん独特のシルクスクリーンを挟んで葉を置く方法は、叩き染めにありがちなベチャッとした仕上がりが防げる優れた方法です。丁寧に作業すれば、とても綺麗な障子紙が出来ますよ。なお、藍の叩き染めの場合、最初のうちは葉緑素の色が勝って緑をしていますが、日が経つにつれて葉緑素は退色し、藍の色が勝ってきます。この変化もまた自然素材の味わいです。
そのほか、全面を染めた和紙を何色も配色を考えながら貼り込んで光に透かすとステンドグラス風。全面を色付きにせず、障子の枠の上の方にだけ、市松模様風に色つき和紙を配置してみるのもいいですね。こうすると、採光性を損なうことなく、部屋の光にほのかな色を添えることが出来ます。春は華やかな桜色、夏は涼しげな青系の色、秋は夕暮れを想起させる橙色、などなど、季節ごとにあしらう色を変えてみると素敵です。一マス単位の色の入れ替えなら、そんなに手間は掛かりません。
なお、染めた和紙を障子紙に使う場合は、きちんと色止めされていないと、障子の木枠に色が染み込んで手に負えなくなることがあります。予め色落ちしないか、よく確かめてから貼ってください。色落ちする和紙の場合は、障子のマスより一回り小さく切り、それを一マス大の白い和紙に貼り付けてから枠に張っていくといいですね。
こんなふうに、障子も白一色とは限りません。カーテンを掛け替えるように障子もイメチェン。皆さんも色々工夫して、オリジナルの障子を楽しんでみませんか。こんな楽しみも視野に入れていくと、障子は和室だけでなく洋室にも似合う素敵なインテリアになっていきます。
木と紙の自然素材が織りなす和の世界。障子のある部屋っていいですよ。以前も障子について書いたことがありますが、障子には、
冬場は窓で冷えた空気が下層に流れ込むコールド・ドラフトも減らすことが出来るので、足元まで温かな暖房が実現しやすい。
といった様々な効果があります。
障子のない部屋に新たに障子を取り付けるには、それなりのリフォームが必要ですが、自作も出来ないことはありません。といっても、障子の枠の自作にはかなり高度な技術が必要ですから、普通は、
といった方法が実用的ですね。
中古建具の場合、年季の入った、あるいは高度な細工が施されたインテリア的価値の高い物は新品より高価だったりしますが、実用本位の物なら、かなり安い物も見つかります。ただ、業者さんの数が少ないので、障子を探すより、お店を探す方が大変かもしれません。
私の友人は、わが家の障子を見て自分の部屋にも欲しいと、市販の障子風スクリーンを加工して作ってしまいました。安価な製品の中にもなかなかいい物がありますから、うまく流用できるサイズの物が見つかれば、なかなかの障子が作れます。
窓枠への取付は、既存の窓枠に自作の鴨居と敷居──あ、これは障子をはめ込む木製のレールのことですね。上側を鴨居と呼び、下側を敷居と呼びます──を取り付けて設置します。鴨居や敷居の取付は、窓の取り付け枠の周囲に木材が使われていれば、そんなに難しい作業ではありません。
なお、鴨居や敷居は無垢の厚板を削り出して作りますが、溝を掘るにはちょっと特殊な工具が必要ですので、板の上に細い角材を離して並べて、角材と角材の間を溝とするような作り方でも構いません。
さて、今回のイエコト・ミシュラン的アイデアの本番はここからです。障子はそれその物が木と紙という天然素材そのままのインテリアですが、これをさらに自然素材で彩っていこうという楽しみ方のご紹介です。
まず、障子紙を木の葉で彩る方法。最も簡単なのは、木の葉を漉き込んだ障子紙や、障子紙としても使えそうな和紙がありますから、それを使う方法ですね。
私は、木の葉をアルカリ液で処理して葉脈標本とし、それを和紙の間に挟んだ自作障子紙を作ってみました。
自分で紙漉きが出来れば最高ですが、糊を引いた薄手の和紙の間に挟んで押しをしておくだけでも、素敵な障子紙が出来ました。光に木の葉の葉脈が透けて、とっても綺麗ですよ。押し葉や押し花を使っても同様のことが出来そうですが、これは時間が経つと素材から色がシミのように染み出してきたりして、ちょっとうまくいきませんでした。素材とする押し葉や押し花をきちんとコーティングし、ノリではなく専用のアイロンフィルムなどで接着していくようにすれば、うまくいくかもしれません。
天然染料で和紙を染めて、それを障子紙として張っていくのも素敵です。染め上がった和紙の市販品もありますが、お勧めはやはりお手製。それも、生葉による「叩き染め」なんてどうでしょう。子供の頃、やりませんでしたか? 葉っぱや花を和紙や布の上に置いて、叩いて色を移していく染め方です。何枚もの葉の跡を重ねて植え込みのような模様を作ってみたり、はらはらと舞い落ちる木の葉のような表現にしてみたり。工夫次第で様々な表情の障子が作れます。
私は藍の生葉が手に入ったので、それでやってみました。やり方の概略は次のページをご覧ください。
http://www.lsearch.jp/report/070910_ai-tatakizome.php
「あおもり藍工房」さん独特のシルクスクリーンを挟んで葉を置く方法は、叩き染めにありがちなベチャッとした仕上がりが防げる優れた方法です。丁寧に作業すれば、とても綺麗な障子紙が出来ますよ。なお、藍の叩き染めの場合、最初のうちは葉緑素の色が勝って緑をしていますが、日が経つにつれて葉緑素は退色し、藍の色が勝ってきます。この変化もまた自然素材の味わいです。
そのほか、全面を染めた和紙を何色も配色を考えながら貼り込んで光に透かすとステンドグラス風。全面を色付きにせず、障子の枠の上の方にだけ、市松模様風に色つき和紙を配置してみるのもいいですね。こうすると、採光性を損なうことなく、部屋の光にほのかな色を添えることが出来ます。春は華やかな桜色、夏は涼しげな青系の色、秋は夕暮れを想起させる橙色、などなど、季節ごとにあしらう色を変えてみると素敵です。一マス単位の色の入れ替えなら、そんなに手間は掛かりません。
なお、染めた和紙を障子紙に使う場合は、きちんと色止めされていないと、障子の木枠に色が染み込んで手に負えなくなることがあります。予め色落ちしないか、よく確かめてから貼ってください。色落ちする和紙の場合は、障子のマスより一回り小さく切り、それを一マス大の白い和紙に貼り付けてから枠に張っていくといいですね。
こんなふうに、障子も白一色とは限りません。カーテンを掛け替えるように障子もイメチェン。皆さんも色々工夫して、オリジナルの障子を楽しんでみませんか。こんな楽しみも視野に入れていくと、障子は和室だけでなく洋室にも似合う素敵なインテリアになっていきます。