1993年米騒動というのがありました。もう18年も前のことになるんですね。記録的な冷夏による米の不作がもたらした米不足。大正時代の米騒動になぞらえて、平成の米騒動とも言われたりします。
私はそのころはまだ子供で、詳しいことはよくわかりませんでした。しかし、大人の苦労は大変なものがあったはずです。必ずタイ米を抱き合わせで買わされる。あるいはあらかじめ輸入米と混ぜ合わせたブレンド米としてしか販売されない。それでも品薄。
最悪だったのは本来ジャポニカ米のような「炊く」という調理方法をしないタイ米を、ジャポニカ米に混ぜてしまったブレンド米だったそうですね。これでタイ米はまずいという評判が立ってしまったそうですが、タイ米にしてみれば迷惑な話です。ちゃんとタイ米に合った料理にすればおいしいのに…。
とにかく子供なんてものはまずければ食べませんから、日本中の親の皆さんは、大変な苦労をされたと思います。うちの親もそうでした。やっと日本産のお米100%のご飯を食べた時は、おいしくて、ありがたくて、本当に涙が出たと言っていました。
それからです。わが家がお米の初物、新米をありがたがるようになったのは。その年の新米を買ってくると、最初の夕食がイベントになります。夕食の時間が遅くなっても、極力家族が揃ってから炊き始めます。炊き上がる湯気の香りを楽しむのです。父が帰る前に炊き始めると、「あの香りが楽しみなのに」と、とても残念がります。今は私もそれが分かりますから、今夜は新米だよと言われた日は、先に炊かれてしまわないように急いで帰ります。同僚に「今夜付き合え」と誘われても、「帰ってイエでご馳走なんだ」と断ります。
香りを楽しみつつ炊き上げ、蒸らしが済んだら、最近はそれを「おひつ」に移しています。こうして食べるのが本来の日本のお米の食べ方ですから、本当の伝統のご飯の味を楽しみたければ、この工程が欠かせませんね。そしてこの一手間もイベントです。移す時に、ほわっと湯気が立ち上ります。これで「わーっ」と歓声も上がります。
おひつが、うやうやしく食卓に運ばれます。これはだいたい父の役目。というか、晴れがましい役目として、やりたがるんです(笑)。私は家族の茶碗と箸を大急ぎで運びます。母は、味噌汁と漬け物を運びます。メニューはこれだけ。お茶碗にご飯をよそい、各自行き渡ったら、この時ばかりは両手を合わせて「いただきます」。
まずは白いご飯を一口。うまい!これぞ最高の初物です。お天道様ありがとう、水にも土にもありがとう。そして農家の皆さん、本当に本当にありがとう。そんな気持ちが湧き上がってきます。これは思わずあらためて手を合わせたくなりますね。家族もみんな、最高の笑顔をしています。
あとは、味噌汁と漬け物で食べていきます。本当にお米をありがたいと思うと、これだけで最高のご馳走。どんな高級な料理にも勝る、これぞ最高のディナーです。食べ終わったら、また家族揃って手を合わせて「ごちそうさまでした」。普段はごちそうさまを言うにしても各自バラバラなことが多いですから、みんな揃ってが、これまたイベントです。
なお、去年からわが家では発泡スチロール箱のベランダ田んぼで稲を育てていますので、そのお米も少量取って炊き込んで、新米感謝祭を楽しみます。自分たちの手で育てたお米が入っていると思うと、さらに感激ひとしおです。
今年もまた、去年収穫できたお米を種もみにして、ベランダ田んぼをやってみたいと思っています。これからは、イエで育てたお米も一緒に炊く感謝祭が恒例になっていくでしょう。
1993年米騒動というのがありました。もう18年も前のことになるんですね。記録的な冷夏による米の不作がもたらした米不足。大正時代の米騒動になぞらえて、平成の米騒動とも言われたりします。
私はそのころはまだ子供で、詳しいことはよくわかりませんでした。しかし、大人の苦労は大変なものがあったはずです。必ずタイ米を抱き合わせで買わされる。あるいはあらかじめ輸入米と混ぜ合わせたブレンド米としてしか販売されない。それでも品薄。
最悪だったのは本来ジャポニカ米のような「炊く」という調理方法をしないタイ米を、ジャポニカ米に混ぜてしまったブレンド米だったそうですね。これでタイ米はまずいという評判が立ってしまったそうですが、タイ米にしてみれば迷惑な話です。ちゃんとタイ米に合った料理にすればおいしいのに…。
とにかく子供なんてものはまずければ食べませんから、日本中の親の皆さんは、大変な苦労をされたと思います。うちの親もそうでした。やっと日本産のお米100%のご飯を食べた時は、おいしくて、ありがたくて、本当に涙が出たと言っていました。
それからです。わが家がお米の初物、新米をありがたがるようになったのは。その年の新米を買ってくると、最初の夕食がイベントになります。夕食の時間が遅くなっても、極力家族が揃ってから炊き始めます。炊き上がる湯気の香りを楽しむのです。父が帰る前に炊き始めると、「あの香りが楽しみなのに」と、とても残念がります。今は私もそれが分かりますから、今夜は新米だよと言われた日は、先に炊かれてしまわないように急いで帰ります。同僚に「今夜付き合え」と誘われても、「帰ってイエでご馳走なんだ」と断ります。
香りを楽しみつつ炊き上げ、蒸らしが済んだら、最近はそれを「おひつ」に移しています。こうして食べるのが本来の日本のお米の食べ方ですから、本当の伝統のご飯の味を楽しみたければ、この工程が欠かせませんね。そしてこの一手間もイベントです。移す時に、ほわっと湯気が立ち上ります。これで「わーっ」と歓声も上がります。
おひつが、うやうやしく食卓に運ばれます。これはだいたい父の役目。というか、晴れがましい役目として、やりたがるんです(笑)。私は家族の茶碗と箸を大急ぎで運びます。母は、味噌汁と漬け物を運びます。メニューはこれだけ。お茶碗にご飯をよそい、各自行き渡ったら、この時ばかりは両手を合わせて「いただきます」。
まずは白いご飯を一口。うまい!これぞ最高の初物です。お天道様ありがとう、水にも土にもありがとう。そして農家の皆さん、本当に本当にありがとう。そんな気持ちが湧き上がってきます。これは思わずあらためて手を合わせたくなりますね。家族もみんな、最高の笑顔をしています。
あとは、味噌汁と漬け物で食べていきます。本当にお米をありがたいと思うと、これだけで最高のご馳走。どんな高級な料理にも勝る、これぞ最高のディナーです。食べ終わったら、また家族揃って手を合わせて「ごちそうさまでした」。普段はごちそうさまを言うにしても各自バラバラなことが多いですから、みんな揃ってが、これまたイベントです。
なお、去年からわが家では発泡スチロール箱のベランダ田んぼで稲を育てていますので、そのお米も少量取って炊き込んで、新米感謝祭を楽しみます。自分たちの手で育てたお米が入っていると思うと、さらに感激ひとしおです。
今年もまた、去年収穫できたお米を種もみにして、ベランダ田んぼをやってみたいと思っています。これからは、イエで育てたお米も一緒に炊く感謝祭が恒例になっていくでしょう。