家電でよく目にする 「プラズマイオン 」 とか 「マイナスイオン」 って・・・

「マイナスイオン」という言葉は、化学や物理学で用いられている「イオン」とはまったく関係のない、実証されていない非科学的存在です。世の中には、負の電荷をもつ陰イオンは多数ありますが、その中には塩素イオンやフッ素イオンや硝酸イオンや硫酸イオンや亜硫酸イオンなど、そのままだと有害なものも多数あります。マイナスイオンを主張する人の本を読むと、厳密な化学的・科学的分析はまったくなく、ただ化学用語の「マイナスイオン」を勝手に借用して用いているだけということがわかります。その「マイナスイオン」の定義さえもあいまいで、ただ「空気中にある体によい物質」がマイナスイオン、有害なものをプラスイオンと呼んでいるにすぎません。となれば、もちろん医学的な臨床実験も一つも存在しないわけです。「マイナスイオン密度測定器」も科学的裏付けが得られていません。

マイナスイオン発生をうたった商品は「水滴を帯電させる」機能を持っていたようで、それならば湿気を与えたりする効果はあるとはいえますが、それなら霧吹きと大してかわらないというのが科学的な結論ということになります。マイナスイオンを作ったら必ずプラスイオンもできているはずで、もし体によいマイナスイオンだけが作り出せるというのであれば完全に魔法の世界です。

マイナスイオンについての批判としては、マイナスイオン原稿　市民のための環境学ガイドのページがよくまとまっていますのでご参照ください。最近はマイナスイオンをうたう機器はほとんどなくなってきていると思います。

一方、プラズマクラスター、プラズマクラスターイオンおよびPlasmaclusterはシャープ株式会社の商標です。シャープのサイト（プラズマクラスターとは | プラズマクラスターイオン発生機：シャープとかプラズマクラスター：シャープ）によれば、要するにプラズマによって陽イオンとしての水素イオンと陰イオンとしての酸素イオンを作り出し、それによって殺菌するという仕組みということになります。これはマイナスイオンとは違って一応は科学的な裏付けがあるといえます。ただ、これも原理的には科学的ですし一応の実証実験もなされていますが、その効果のほどについてはユーザーの感想次第としか言いようがありません。

ですから、「マイナスイオン」は何の根拠もない疑似科学、「プラズマクラスターイオン」はとりあえず殺菌効果を持ちそうなものが出てる、というふうに考えてよいと思います。

こういった類のものとしては、ほかに「ゲルマニウム」がありますね。もともとは「有機ゲルマニウムを内服すると万病に効く」と思い込んだ科学者がいて、それがいつの間にか金属ゲルマニウムが含まれるモノは何でも体にいいかのように宣伝されています。もちろん、ゲルマニウムが体にいいということはまったく実証されていません。