EUの財政状態が良くない国をPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)と呼ぶようですが、EUのいくつかある国のうち、これらの国が金融不安に至った理由を教えてください。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/european_union/
例:
・国土、地理が良くない
・国民性として生産、価値の創出よりも消費が多い
できるだけ推測は避け具体的な理由を教えていただけるとうれしいです。

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id:NazeNani No.1

回答回数1615ベストアンサー獲得回数276

ポイント49pt

元々、EUのユーロ統合以前から、各国の物価の差や、
GDPのバラツキ、失業率の高い国とそうでない国に
分かれてはいました。東側の新EU諸国を除くと、
西側でもこれらの国の中には元々、通貨統合前からも
物価が安く、経済問題や失業問題や財政の問題を抱えた
ギリシャやポルトガルや新EUの東側の国もありました。
その一方で、EU内でもリーダー格で、高い経済力やGDPを誇る
フランスやドイツの様な国というのもあります。
そして、これらの国が全部同じ、ユーロを使っているので、
経済格差があり、中には足をひっぱる国も出て来ます。

しかしながら、今回のようなユーロ危機のそもそもの原因は、
世界金融不景気とギリシャの巨額の財政赤字負債隠しのためです。
世界金融不景気のことの発端を遡ると、2007年の米国での
サブプライム問題、不動産価格暴落、CDO事件がきっかけになった
世界中の金融・銀行の資金繰りの悪化や不良債権と負債、
2008年のリーマンショックや、ヘッジファンド、
アイスランドの投資銀行の金融破綻の煽り等を受けて、
それに投資していたEUをふくめた世界中の銀行や
関連ビジネスも資金繰りに困り、不良債権や貸し渋りや負債が増えて、
企業倒産や経済に悪影響を及んだことがあります。
2010年に発覚したギリシャの巨額の財政負債隠しでは、
そこに投資していたイタリアやEUの銀行やビジネスなども
資金を回収できなくなったことで、ギリシャに続いて、
イタリアも財政破綻への懸念が出て来ました。
そうでなくてもイタリアもローマを境とする北と南に
経済格差があり、失業問題等や脱税問題も抱えていました。
金融政策の不手際もあり、国のGDPを超える様な赤字国債を
発行する一方、それを返済するための経済力の不透明さから、
今、ギリシャとイタリアは特に危ぶられています。

ギリシャの巨額の財政赤字に関しては、ユーロ導入以前の、
昔からの怠慢な財政の運営に問題があったと言われています。
ギリシャ最大の産業は国家で、公務員の数が多く人件費が高く、
多額の資金をかけて公共事業が実施される一方で、GDPの横ばいで
すでに財政赤字。しかも民間では闇経済がはびこり、脱税や賄賂で
減税収入なので、更なる財政赤字はインフレファイナンス政策で
ツケは中央銀行の紙幣発行に回され、帳簿は改ざんされ隠蔽され、
当然採算が合わずにユーロの価値にも関わりますが、それらがずっと
報告されずにふくらみ、スキャンダラスな脱税や帳簿の操作で、
膨らんだ負債が明るみに出た時には、国が破綻しかねないくらいの
巨額になっていたのです。詳細文書があるのでリンクしておきます。:
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%80%80%E5%8E%9F%E5%9B%A0&source=web&cd=1&ved=0CD4QFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww5.cao.go.jp%2Fj-j%2Fsekai_chouryuu%2Fsh10-01%2Fpdf%2Fs1-10-1-4-2.pdf&ei=fIjlTvmzCtS98gPF_OT9Aw&usg=AFQjCNEkFJX2AOu862dMvu3t3_Myt69aWQ

一方、米国やユーロゾーンを巻き込んだ世界不景気の煽りで、
先述の様に元々、物価も安く国内でも経済状態が良くなかった
ポルトガルが、ユーロゾーンの自国内でも長年の経済低成長と
財政改革の遅れ、資金の回収が出来なくなり、そこに出資した
金融やビジネスまでもが、財政的に危なくなってきました。
ポルトガルの産業はEU依存型で、主要の製造業はというと、
せいぜい小規模な機械類、衣類、コルク製造、観光業等くらいでした。
元々は物価の安いのんびりした国でしたが、ユーロになったことで
製品が値上がり、中国製の安い製品などにシェアを奪われて、
主要出資国のスペインに貸し付けが返せなかったり、
貸し付けてもらえなくなって、一般的な教育や産業設備の遅れ、
また財政改革の遅れもあり、今年の春くらいにとうとう
財政難に陥って、EUの援助を受ける事になりました。

スペインも元々物価の高い国ではありませんでしたが、
外国に対する融資の八割を隣国のポルトガルに貸し付けていて、
ポルトガルの煽りをもろに受けました。加えての世界不景気の煽りで、
経済危機や財政危機に陥りました。失業率も元々高い方でした。
スペイン国内の経済も、外資系企業や安価な中国製品が
どんどん参入してくる一方、これといった強い国内産業がなく、
安価な野菜などの農業や酪農の輸出、ワイン製造等はありますが、
その安価な野菜輸出も、少し前にスペイン産の無実のキュウリが
一時ドイツで人が死亡した悪性大腸菌の食中毒の疑いをかけられ、
EU国内からいったん撤退を余儀なくされ、農家等がダメージを受け、
後に原因が別にあったことが調査で判明はしたものの、
農家がEUに賠償を求めたりしても不十分の様な経済状況でした。
(ちなみに食中毒の原因はドイツ産のカイワレ大根でした。)
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-13605910

アイルランドも物価が安くて小規模な国ですが、英語圏かつ
ユーロゾーンなので、外国との貿易に大きく依存していたため、
これまた世界金融不景気の煽りを受けて、財政危機になりました。
ここも自国内の主力産業があまりないので、危ぶまれています。
ユーロゾーン内でもこういった財政経済不安が沢山ありますと、
当然共通通貨であるユーロの価値が下がり、収入が減り、
他の国や投資してくれている内外の銀行や関連ビジネスにも
迷惑がかかりますので、ユーロ崩壊を防ぐ必要があります。

同じユーロゾーンですので、EUの他の国としては、
ユーロが破綻財政すると困るので、更なる飛び火を
避けるためにも策が必要になってきました。
最近、EU内でもGDPが高く経済力のあるリーダー格の
フランスとドイツを中心に、IMFも交えて経済対策用の
会合が繰り返されたりしているのはこのためです。

米国と取引の多い英国も2008年のリーマンショックの頃に
クレジットクランチの負債で、金融財政問題を抱えたのですが、
元々、ドイツやフランスと並んでEUトップ3に入る経済力等と
高い教育水準や産業があったため、財政的な見直しも進む中、
ヨーロッパ最大の金融街や英語ベースの貿易力等もあること、
また独自の通貨を持っていてEUの中でもユーロ制をまだ
導入していなかったことなどから、2009年末からの
いわゆるユーロ危機の危険国の中には含まれなくなりました。

しかし、PIIGSはメディアの造り上げた軽蔑的な語ですので、
英国の金融街のシティのエグゼクティブとか、当事国の
ギリシャやイタリア人の前でこの用語を使うと、
デリカシーのないマナーの悪い人だと思われますので、
気をつけて下さい。「Eurozone crisisの国」で充分です。
EUの危機とはいえ、米国でも他人事ではなくて、
実際、現在の世界不景気の発端は、米国のスキャンダルにも
遡れる話なので、知る所知っている人達には不安材料です。
ユーロが崩壊すると、米国をはじめ、世界中の投資家に
迷惑がかかるために、それも防がなくてはいけません。
そのために、世界金融不景気の裏で米国のマスメディアなどに、
このような悪口みたいな呼び方をつけられたのだと思います。
しかし、そもそもの原因には、米国でのサプブライム事件やCDO危機、
アイスランドの投資銀行の無茶な投資での破綻などの不良債権事件も
発端になっているので、EUのこれらの国だけの問題ではありません。
只、EU内の経済格差で、国が財政赤字を抱えて融資等を受ける際に、
返済に使われる主要な産業のクレジット・レーティングが低かったりして、
負債の返済のめどが危うい国が危機国になっており、それが現在は、
ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペイン、アイルランドなのです。

更に最近はEU内での悪循環もあって、同じEU内だと好きな国に居住・
労働できますので、新EUの東側の貧困国の低賃金労働者や、
現在危機にある国の知的層などが、別のEUの物価の高い国に出稼ぎに来て、
現地の若者の失業率が増加して問題になり、移民問題でももめています。
また移住もできるので、税金を困窮中の自国の方に納めなくなって、
更に国の財政が悪化したり、失業問題などでデモや暴動が起きたり、
日本でもそうですが、景気が悪くなると富裕層でも出費を控えますので、
消費の低迷によるビジネスへの影響、銀行の貸し渋りから倒産に至る企業、
又、スペインは年間日照時間が長く温暖でお天気が良いので観光に人気で、
物価の高い英国などから物価の安いスペインのホリデーハウスに投資する
不動産投資や土地転がしがずっと流行していたのですがそのバブルも崩壊、
米国から飛び火した英国不景気の影響でその不動産業界や金融も悪化、
更なるスペイン国内の経済悪化や観光収入の減少も起きました。
景気が悪くなると治安にも懸念材料が出てきて、もし観光客が減ると
更なる収入減の懸念も出て来ます。イタリアやギリシャも観光で有名で、
米国の不景気で、長年、裕福な米国人観光客等の観光収入も
大きな財源の一つだったので、更なる不景気につながりました。
そういう感じで原因に相互関係があり、色々つながっていますので、
必ずしもこれらの国だけの問題とは言い切れないのです。

国民性に関しては、ポルドガルもスペインもイタリアもギリシャも
のんきで、あまり勤勉な国民性ではないような雰囲気ですが、
今はさすがにEUの一員として、変えようとしてはいるようです。
ユーロも値下がって安い中国製品と競合するには少し有利になったから、
ポルドガルもEU内でもっと安価な機械を造ろうとしていたり。
でも、実は、EUで一番ホリデーを取るのは、意外にもフランスで、
正社員でも2ヶ月くらいホリデーが取れて、残業も滅多にしません。
やたらストが多いので、それで労働条件を交渉しているようです。
ドイツとフランスは、EUの中でも裕福な国で、現在はユーロ危機を
救いつつ、悪影響を回避する側なので、特に問題国ではありませんが、
将来、何らかの問題が飛び火する可能性は全くは否定できないです。
基本的にはEUは統合的な国土が大きく、
EU内で自由に好きなところに移動して労働できるので、
そのビジネスに向いた土地でビジネスができるので、
現在は立地や地理や国民性だけで不利になる部分は少ないです。

只、現在は不景気で金融機関も貸し渋りをする傾向があるので、
ポルトガルにいちから会社を興すよりは、もっと設備のある国の
都会に行くことが多いので、そういうEU内での地域格差の点では、
主要国内産業の弱い国ということで危機に陥ったのだと思います。
国土・地理・国民性というより、教育や産業設備等の問題が大きいです。
いくら物価が安くても、教育や設備がなくて、働く所がなければ、
当然失業率も増えるので、GDPも上がらず、国の福祉財源を圧迫し、
価値の創出よりも消費が増えてしまいます。
負債を抱えても主要国内産業のある国は返済のめどがあるので
融資を受けられて破綻を防げますが、負債額に対しての
主要国産産業のクレジット・レーティングが弱く、
返済のめどの危うい国が危機国のPIIGSになっているのが現状です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/PIIGS

id:fmht7

EU金融危機の背景解説、各国の特性など詳細に解説いただきありがとうございます。
PIIGSへのご指摘もありがたく承りました。

国力が違い、物価水準も異なる国の通貨を統一してしまうとこういうことが起こるという実例という理解をしました。

自分で検索していたら、こちらも欧州各国の事情について分かりやすく書かれていると思いました。
知られざる欧州の素顔:日経ビジネスオンライン

2011/12/15 02:02:26

その他の回答3件)

id:NazeNani No.1

回答回数1615ベストアンサー獲得回数276ここでベストアンサー

ポイント49pt

元々、EUのユーロ統合以前から、各国の物価の差や、
GDPのバラツキ、失業率の高い国とそうでない国に
分かれてはいました。東側の新EU諸国を除くと、
西側でもこれらの国の中には元々、通貨統合前からも
物価が安く、経済問題や失業問題や財政の問題を抱えた
ギリシャやポルトガルや新EUの東側の国もありました。
その一方で、EU内でもリーダー格で、高い経済力やGDPを誇る
フランスやドイツの様な国というのもあります。
そして、これらの国が全部同じ、ユーロを使っているので、
経済格差があり、中には足をひっぱる国も出て来ます。

しかしながら、今回のようなユーロ危機のそもそもの原因は、
世界金融不景気とギリシャの巨額の財政赤字負債隠しのためです。
世界金融不景気のことの発端を遡ると、2007年の米国での
サブプライム問題、不動産価格暴落、CDO事件がきっかけになった
世界中の金融・銀行の資金繰りの悪化や不良債権と負債、
2008年のリーマンショックや、ヘッジファンド、
アイスランドの投資銀行の金融破綻の煽り等を受けて、
それに投資していたEUをふくめた世界中の銀行や
関連ビジネスも資金繰りに困り、不良債権や貸し渋りや負債が増えて、
企業倒産や経済に悪影響を及んだことがあります。
2010年に発覚したギリシャの巨額の財政負債隠しでは、
そこに投資していたイタリアやEUの銀行やビジネスなども
資金を回収できなくなったことで、ギリシャに続いて、
イタリアも財政破綻への懸念が出て来ました。
そうでなくてもイタリアもローマを境とする北と南に
経済格差があり、失業問題等や脱税問題も抱えていました。
金融政策の不手際もあり、国のGDPを超える様な赤字国債を
発行する一方、それを返済するための経済力の不透明さから、
今、ギリシャとイタリアは特に危ぶられています。

ギリシャの巨額の財政赤字に関しては、ユーロ導入以前の、
昔からの怠慢な財政の運営に問題があったと言われています。
ギリシャ最大の産業は国家で、公務員の数が多く人件費が高く、
多額の資金をかけて公共事業が実施される一方で、GDPの横ばいで
すでに財政赤字。しかも民間では闇経済がはびこり、脱税や賄賂で
減税収入なので、更なる財政赤字はインフレファイナンス政策で
ツケは中央銀行の紙幣発行に回され、帳簿は改ざんされ隠蔽され、
当然採算が合わずにユーロの価値にも関わりますが、それらがずっと
報告されずにふくらみ、スキャンダラスな脱税や帳簿の操作で、
膨らんだ負債が明るみに出た時には、国が破綻しかねないくらいの
巨額になっていたのです。詳細文書があるのでリンクしておきます。:
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%80%80%E5%8E%9F%E5%9B%A0&source=web&cd=1&ved=0CD4QFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww5.cao.go.jp%2Fj-j%2Fsekai_chouryuu%2Fsh10-01%2Fpdf%2Fs1-10-1-4-2.pdf&ei=fIjlTvmzCtS98gPF_OT9Aw&usg=AFQjCNEkFJX2AOu862dMvu3t3_Myt69aWQ

一方、米国やユーロゾーンを巻き込んだ世界不景気の煽りで、
先述の様に元々、物価も安く国内でも経済状態が良くなかった
ポルトガルが、ユーロゾーンの自国内でも長年の経済低成長と
財政改革の遅れ、資金の回収が出来なくなり、そこに出資した
金融やビジネスまでもが、財政的に危なくなってきました。
ポルトガルの産業はEU依存型で、主要の製造業はというと、
せいぜい小規模な機械類、衣類、コルク製造、観光業等くらいでした。
元々は物価の安いのんびりした国でしたが、ユーロになったことで
製品が値上がり、中国製の安い製品などにシェアを奪われて、
主要出資国のスペインに貸し付けが返せなかったり、
貸し付けてもらえなくなって、一般的な教育や産業設備の遅れ、
また財政改革の遅れもあり、今年の春くらいにとうとう
財政難に陥って、EUの援助を受ける事になりました。

スペインも元々物価の高い国ではありませんでしたが、
外国に対する融資の八割を隣国のポルトガルに貸し付けていて、
ポルトガルの煽りをもろに受けました。加えての世界不景気の煽りで、
経済危機や財政危機に陥りました。失業率も元々高い方でした。
スペイン国内の経済も、外資系企業や安価な中国製品が
どんどん参入してくる一方、これといった強い国内産業がなく、
安価な野菜などの農業や酪農の輸出、ワイン製造等はありますが、
その安価な野菜輸出も、少し前にスペイン産の無実のキュウリが
一時ドイツで人が死亡した悪性大腸菌の食中毒の疑いをかけられ、
EU国内からいったん撤退を余儀なくされ、農家等がダメージを受け、
後に原因が別にあったことが調査で判明はしたものの、
農家がEUに賠償を求めたりしても不十分の様な経済状況でした。
(ちなみに食中毒の原因はドイツ産のカイワレ大根でした。)
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-13605910

アイルランドも物価が安くて小規模な国ですが、英語圏かつ
ユーロゾーンなので、外国との貿易に大きく依存していたため、
これまた世界金融不景気の煽りを受けて、財政危機になりました。
ここも自国内の主力産業があまりないので、危ぶまれています。
ユーロゾーン内でもこういった財政経済不安が沢山ありますと、
当然共通通貨であるユーロの価値が下がり、収入が減り、
他の国や投資してくれている内外の銀行や関連ビジネスにも
迷惑がかかりますので、ユーロ崩壊を防ぐ必要があります。

同じユーロゾーンですので、EUの他の国としては、
ユーロが破綻財政すると困るので、更なる飛び火を
避けるためにも策が必要になってきました。
最近、EU内でもGDPが高く経済力のあるリーダー格の
フランスとドイツを中心に、IMFも交えて経済対策用の
会合が繰り返されたりしているのはこのためです。

米国と取引の多い英国も2008年のリーマンショックの頃に
クレジットクランチの負債で、金融財政問題を抱えたのですが、
元々、ドイツやフランスと並んでEUトップ3に入る経済力等と
高い教育水準や産業があったため、財政的な見直しも進む中、
ヨーロッパ最大の金融街や英語ベースの貿易力等もあること、
また独自の通貨を持っていてEUの中でもユーロ制をまだ
導入していなかったことなどから、2009年末からの
いわゆるユーロ危機の危険国の中には含まれなくなりました。

しかし、PIIGSはメディアの造り上げた軽蔑的な語ですので、
英国の金融街のシティのエグゼクティブとか、当事国の
ギリシャやイタリア人の前でこの用語を使うと、
デリカシーのないマナーの悪い人だと思われますので、
気をつけて下さい。「Eurozone crisisの国」で充分です。
EUの危機とはいえ、米国でも他人事ではなくて、
実際、現在の世界不景気の発端は、米国のスキャンダルにも
遡れる話なので、知る所知っている人達には不安材料です。
ユーロが崩壊すると、米国をはじめ、世界中の投資家に
迷惑がかかるために、それも防がなくてはいけません。
そのために、世界金融不景気の裏で米国のマスメディアなどに、
このような悪口みたいな呼び方をつけられたのだと思います。
しかし、そもそもの原因には、米国でのサプブライム事件やCDO危機、
アイスランドの投資銀行の無茶な投資での破綻などの不良債権事件も
発端になっているので、EUのこれらの国だけの問題ではありません。
只、EU内の経済格差で、国が財政赤字を抱えて融資等を受ける際に、
返済に使われる主要な産業のクレジット・レーティングが低かったりして、
負債の返済のめどが危うい国が危機国になっており、それが現在は、
ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペイン、アイルランドなのです。

更に最近はEU内での悪循環もあって、同じEU内だと好きな国に居住・
労働できますので、新EUの東側の貧困国の低賃金労働者や、
現在危機にある国の知的層などが、別のEUの物価の高い国に出稼ぎに来て、
現地の若者の失業率が増加して問題になり、移民問題でももめています。
また移住もできるので、税金を困窮中の自国の方に納めなくなって、
更に国の財政が悪化したり、失業問題などでデモや暴動が起きたり、
日本でもそうですが、景気が悪くなると富裕層でも出費を控えますので、
消費の低迷によるビジネスへの影響、銀行の貸し渋りから倒産に至る企業、
又、スペインは年間日照時間が長く温暖でお天気が良いので観光に人気で、
物価の高い英国などから物価の安いスペインのホリデーハウスに投資する
不動産投資や土地転がしがずっと流行していたのですがそのバブルも崩壊、
米国から飛び火した英国不景気の影響でその不動産業界や金融も悪化、
更なるスペイン国内の経済悪化や観光収入の減少も起きました。
景気が悪くなると治安にも懸念材料が出てきて、もし観光客が減ると
更なる収入減の懸念も出て来ます。イタリアやギリシャも観光で有名で、
米国の不景気で、長年、裕福な米国人観光客等の観光収入も
大きな財源の一つだったので、更なる不景気につながりました。
そういう感じで原因に相互関係があり、色々つながっていますので、
必ずしもこれらの国だけの問題とは言い切れないのです。

国民性に関しては、ポルドガルもスペインもイタリアもギリシャも
のんきで、あまり勤勉な国民性ではないような雰囲気ですが、
今はさすがにEUの一員として、変えようとしてはいるようです。
ユーロも値下がって安い中国製品と競合するには少し有利になったから、
ポルドガルもEU内でもっと安価な機械を造ろうとしていたり。
でも、実は、EUで一番ホリデーを取るのは、意外にもフランスで、
正社員でも2ヶ月くらいホリデーが取れて、残業も滅多にしません。
やたらストが多いので、それで労働条件を交渉しているようです。
ドイツとフランスは、EUの中でも裕福な国で、現在はユーロ危機を
救いつつ、悪影響を回避する側なので、特に問題国ではありませんが、
将来、何らかの問題が飛び火する可能性は全くは否定できないです。
基本的にはEUは統合的な国土が大きく、
EU内で自由に好きなところに移動して労働できるので、
そのビジネスに向いた土地でビジネスができるので、
現在は立地や地理や国民性だけで不利になる部分は少ないです。

只、現在は不景気で金融機関も貸し渋りをする傾向があるので、
ポルトガルにいちから会社を興すよりは、もっと設備のある国の
都会に行くことが多いので、そういうEU内での地域格差の点では、
主要国内産業の弱い国ということで危機に陥ったのだと思います。
国土・地理・国民性というより、教育や産業設備等の問題が大きいです。
いくら物価が安くても、教育や設備がなくて、働く所がなければ、
当然失業率も増えるので、GDPも上がらず、国の福祉財源を圧迫し、
価値の創出よりも消費が増えてしまいます。
負債を抱えても主要国内産業のある国は返済のめどがあるので
融資を受けられて破綻を防げますが、負債額に対しての
主要国産産業のクレジット・レーティングが弱く、
返済のめどの危うい国が危機国のPIIGSになっているのが現状です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/PIIGS

id:fmht7

EU金融危機の背景解説、各国の特性など詳細に解説いただきありがとうございます。
PIIGSへのご指摘もありがたく承りました。

国力が違い、物価水準も異なる国の通貨を統一してしまうとこういうことが起こるという実例という理解をしました。

自分で検索していたら、こちらも欧州各国の事情について分かりやすく書かれていると思いました。
知られざる欧州の素顔:日経ビジネスオンライン

2011/12/15 02:02:26
id:mikayuchon No.2

回答回数276ベストアンサー獲得回数17

ポイント2pt

いろいろあると思いますが、私がわかるのは
イタリアだと、自分の国で生産したものが他国では売れるのに
自分の国で売れなかったりだとか、他の国のものの方が安かったりで、
不利益がせいじるみたいですよ。

id:fmht7

他国で売れるのなら外貨が稼げて良いと思います。
さらに他国の安い物を購入するのなら、貿易黒字になるということですよね?
必ずしも不利益にはならない気がします。

2011/12/15 02:15:21
id:miharaseihyou No.3

回答回数5222ベストアンサー獲得回数717

ポイント49pt

 全体的にバブルのツケが原因という感じです。
一番有名なギリシャの直接の引き金になったのはオリンピックでの借金ですが、それ以外の原因も多い。
財テクで儲かっていたので国債の利率も良く、借金を重ねた。
公務員の削減をしようにも経済の破綻に直面するほど公務員の経済力に依存している。
 
 残りの各国も国中でバブルを謳歌していた所、バブルの崩壊により破綻寸前まで追い詰められています。
日本もそうなのですが、稼ぐ以上に使って、借金を重ねて、財テクで帳尻が合っていた時代があった。
様々な分野に借金して投資すれば儲かっていた。
いずれ崩壊すると分かっていながら、短視眼的な消費や投資に歯止めが掛けられなかった。
そういう意味では日本も同類です。
国家の借金による補助金に頼る経済構造。
いずれ同じ結果が待っているでしょう。

id:fmht7

ありがとうございます。
コメントと含め、EUだけの問題でなく、アメリカのリーマンショック以来の連鎖反応による問題と捉えた方が良さそうですね。

2011/12/15 02:16:41
id:miharaseihyou

一番の原因は借金です。
普通の感覚では我慢して貯めたお金で買い物をするんですが、こういった諸国では欲しいものを借金して買ってしまって、その後も同じ程度かそれ以上の支出を続けています。
パチンコや宝くじにはまった主婦のようなものです。
長くはもちません。
日本の政府も五十歩百歩。
国民が稼いでいるからもっているようなものなのに、態度を改めようとするどころか既得権益の確保に躍起になる各省庁は国賊ものだと感じます。

2011/12/18 22:57:26
id:motoki-777 No.4

回答回数4ベストアンサー獲得回数0

ぼくはイタリアだとおもいます

  • id:miharaseihyou
     結局の所、自由貿易体制の矛盾が集約された結果だと思います。
    架空の経済価値が一人歩きしてしまう。
    巨大財閥も天文学的な数字の借金も、全て目の前にある「使えるお金」を使ってしまった結果です。
    欲しい国&人は使い、貯めることができる会社&人は何でもアリで貯める。
    そして、お金の価値は物の価値を離れて、通貨の価値で決まる。
    最近では資源の枯渇や環境容量の問題が被さってきています。
     
     いくらでも拡大できる経済なら問題は無かった。
    限界が見えてきたからこそ、世界経済は、まるで生き物のように対応しようとしているように見えます。
    合理性を欠く経済体は削除される運命にある。
    稼ぐ以上に使いすぎた経済体が破綻するのは避けられないでしょう。
    それが大企業でも、数億の人民が暮らす国家でも。
     
     ソビエト連邦の崩壊は、そういう意味で言えば、国家の経済的な崩壊の先触れでもあったのです。
    軍事的な侵略を受けなければ崩壊しないのが国家という共同体の常識でしたが、これからはそうならない可能性があります。
    北朝鮮も、国際社会に強制されて、生産する以上は消費していないからこそ存続していると思う。
    いくら巨大でも生産する以上に消費する経済体は存続が不可能になる時代が来つつあると感じます。
  • id:fmht7
    資本主義に代わる次の世代に向けた新しい社会の枠組みが必要なのかもしれないと感じました。
    新時代の自給自足生活みたいな方向性かなぁ。実際に産み出す価値以上の贅沢はできないような仕組みとか、お金の利子という概念をなくしてみるとか。

    少し早いですが、そろそろ終了とさせていただきます。
    ありがとうございました。

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