レンズ付きフィルムISO400で、日光など同じ条件の下、等距離で細かい文字の書いてある色紙を撮影しました。
一つは、白い壁に貼り付けて撮影、もう一枚は一般の風景の中で固定して撮影しました。
20枚くらいはそれぞれ撮影しましたが、後者の文字は潰れて全く判読出来ないのに対し、
白い壁に貼り付けたものはハッキリと細かい文字が読めるものも数枚あり、
そうでなくても風景の中で撮影したものよりも明らかに解像していました。
これをラボの店員さんにお聞きしたところ、背景が真っ白の場合、色紙の色とほぼ同じだから
補正による劣化がほとんど無く出来たからここまで文字を浮き立たせることが出来た、
という回答を頂きました。
素人なので、良く分からないのですが、要は白い背景に色紙を置いた方が解像度(解像感?)を
上げる事が出来るのでしょうか?
どうしてこのようなことになるのか、原理が良く分かりません。
お詳しい方いらっしゃいましたらご回答お願い致します。
また店員さんの見解は色紙を囲む色が同一だったからあまり劣化せず補正出来たという事でしたが、「こうなったから違いが出たんじゃないのか」という皆さんのご意見もお聞きしたいです。お願い致します。
これは、ラボの機械の補正能力の問題なんですよ。
フィルムの写真は、プリントに焼き付ける時に、機械が補正をしてくれます。それによって、多少暗い写真や、多少明るすぎる写真でも、きれいにプリントできます。
ラボの機械は写真をざっと調べて、内蔵コンピュータが画像の中の一番暗いところ、一番明るいところを探します。一番暗いところを真っ暗に、一番明るいところを真っ白にしようと考えて計算します。色に関しても同様の分析をして計算します。
白と黒しか存在しない画像では簡単です。黒い文字を真っ黒に、白い背景を真っ白になるように計算すれば良いのです。しかし、他の色が存在するとラボの機械はそれも考慮して計算するために、平均化されてしまい黒いところが真っ黒になりにくかったり白いところが真っ白になりにくかったりするんです。ラボの機械には、背景の色合いを損なわないようにプリントしたいのか、黒いところをくっきりプリントしたいのか分からないので、平均的に仕上げるんです。
デジタル写真だともっと高度な補正ができます。これはデジカメの写真をPCのソフトやiPadのアプリで補正します。デジタル補正の仕組みは、写真の中身を何万個もの点の集まりだと見立てて、それぞれの点(ピクセル)を数値に変換して行います。光の三原色R,G,Bそれぞれを16ビットや32ビットの数字にするんです。一旦数字にしてしまえば、あとはコンピュータが計算してくれます。Photoshopなどの高度なソフトを使って部分的に計算させたり、最新のソフトを使って顔認識して顔の色を美しく変換したりできます。
ラボの機械はアナログ時代のもので、どんな写真でもそれなりにきれいになるように設計されています。そのため、最新のソフトで一枚一枚希望に合わせて補正すれば出来ることでも、ラボの機械では限界があるんです。
解像度の問題ではなく、コントラストとホワイトバランスの問題です。
文字が黒色であれば、地の色(色紙の色)が白色である場合に最もコントラストは高くなり、白黒ハッキリした状態で文字がプリントできます。
次に、文字が黒色であり地の色が白色であるように色調整するためのホワイトバランスがあります。これも、写真の中に白色の部分が多ければ多いほど、正確にホワイトバランスをとることができます。
なので、風景の中より背景が真っ白の方がよいです。
もちろん手動でコントラストとホワイトバランスの調整をすることはできますが、印画紙へのアナログプリントの技術者は減っていますから、現像所では自動調整していると思います。
解像度、焦点深度、階調など、話が入り交じってややこしくなってきたので、仕切り直しします。ここでは階調の話をします。
話を単純化するために、フィルムの中の明るさの濃さを100段階で示してみます。実際にはアナログなので連続した値ですが、100段階に四捨五入したと考えてください。カラーなので実際にはカラーバランスを考慮しなければ行けないのですが、濃さだけで話します。0が真っ白、100が真っ黒です。
色紙の黒い文字の中の一番黒いところが80だったとします。色紙の文字でも実際には光の当たり加減や反射などで明るさには段階があります。文字の中の一番明るいところが70だったとします。今度は色紙の白いところの一番白いところが20だったとします。色紙の中でも強く光が当たっているところや、紙のテクスチャーなどで濃淡があります。紙の地色の一番暗いところが30だったとします。周囲に色紙を使ったとしてそれが50の明るさだったとします。
これを50段階のプリントに焼き付けると考えてください。実際にはアナログな連続値ですが、四捨五入したと考えてください。
文字の中の一番黒いところをちょうど50の印画紙で再現できる一番黒い色にします。上記の全部から30を引きます。マイナスは0、50以上は50とします。
ラボの補整がこの計算をしたとしたら、文字の階調は美しく再現できますが、カラーふちは明るい別の色になり、白地の時模様やテクスチャーや陰は全部白く飛んでしまいます。
今度はカラーふちの色合いを美しく出すために、100段階で50のカラーを、50段階の25にします。そのためには全部から25を引きます。マイナスは0、50以上は50とします。
文字の階調と白地の階調が失われましたが、ふちの色合いを残すことができます。
文字をいちばんくっきり焼き付けるには、文字の中のいちばん暗いところもいちばん明るいところも真っ黒に焼き付けることです。それには20を引きます。マイナスは0、50以上は50とします。
これで文字は真っ黒にくっきりプリントできます。カラーふちの色合いは別の色に変わります。
デジタルだとコントラスト補整を行って、文字だけくっきりさせることができますが、アナログだと基本的に上記のような調整になります。ここでは明るさだけで計算しましたが、実際にはこれを光の3原則のRGBそれぞれについて行います。これが「だわかき」さんがカラーバランスと呼ばれている行程です。
ここで計算した数字は、全体から20, 25, 30を引きましたが、これが実際の機械ではネガの上に点灯する露光ランプの点灯時間です。露光時間を調整することで、ネガからプリントに焼き付ける時の明るさや色合いを補整するのです。
ラボの機械は自動補整を行います。カラーふちがある場合には自動的にカラーふちの色合いを損なわないように計算するので、文字や白地が影響を受けます。それを手動で補整するのは「機械をだます」テクニックが必要です。そんなことをしたことの無い人が大多数でしょうから、なかなかな技が必要だし、補整できる限界もあると思いますよ。そんな調整機能のない機械もあるでしょうし。
今解像度の実験を学校の研究で行っていてその為わざとレンズ付きフィルムで撮影したんです。
2013/05/26 15:54:10勿論自分でもある程度は画像編集ソフト扱えるので、それで少し露出補正したりコントラスト等いじりましたが、やはり文字を浮き立たせるのは難しいし、背景が白い方が上手くいくのは変わりませんでした。
多分、レンズ付きフィルムで文字が完全に上手く撮れたのは一度だけで、その時も白い壁に貼り付けて撮影しました。
学校で研究しているのですね。それなら、解像度、焦点深度、階調の3つについて学校で先生に聞いたり、クラスメイトと調べてみると良いですよ。ここで問題になっているのは、実は解像度でも焦点深度でもなく、階調の問題なんです。フィルムの階調をうまく再現するためのラボの機械の露光量の問題なんですよ。
2013/05/27 04:16:03