韓国の議員が、福島第1原発事故の影響で韓国国内の水産業が打撃を受けているとし、「韓国が受けた直・間接的な放射能の被害について、日本に損害賠償を請求すべきだ」との考えを示しているようです。彼は、韓国政府に対して「日本への中・長期的な被害賠償の方案を準備する必要がある」と主張し、水産物全般の売り上げが40%減少したことや、価格が急落したことを挙げ、「韓国政府の輸入禁止措置とは別の問題として、韓国政府は日本政府に被害の賠償責任を問う必要がある」と述べています。
自国以外の国、企業を個人が訴えられるのでしょうか?また、国家間で上記のような損害賠償請求の裁判などあるのでしょうか?国家間の裁判についてもよろしければ教えてください。よろしくお願いします。
>自国以外の国、企業を個人が訴えられるのでしょうか?
国に関しては残念ながら無理です。
外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律
(趣旨)
第一条 この法律は、外国等に対して我が国の民事裁判権(裁判権のうち刑事に係るもの以外のものをいう。第四条において同じ。)が及ぶ範囲及び外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「外国等」とは、次に掲げるもの(以下「国等」という。)のうち、日本国及び日本国に係るものを除くものをいう。
一 国及びその政府の機関
二 連邦国家の州その他これに準ずる国の行政区画であって、主権的な権能を行使する権限を有するもの
三 前二号に掲げるもののほか、主権的な権能を行使する権限を付与された団体(当該権能の行使としての行為をする場合に限る。)
四 前三号に掲げるものの代表者であって、その資格に基づき行動するもの
第四条 外国等は、この法律に別段の定めがある場合を除き、裁判権(我が国の民事裁判権をいう。以下同じ。)から免除されるものとする。
上記の法律により、日本国民が日本の裁判所に外国を訴える事はできません。
(一部例外がありますが、一般的な損害賠償(慰謝料・休業補償等)については日本の裁判所に裁判権はありません。)
外国法人を日本の裁判所で訴える事は出来ますが、質問の内容では多分無理です。
民事訴訟法
第一節 日本の裁判所の管轄権
(被告の住所等による管轄権)
第三条の二 裁判所は、人に対する訴えについて、その住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合にはその居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には訴えの提起前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
2 裁判所は、大使、公使その他外国に在ってその国の裁判権からの免除を享有する日本人に対する訴えについて、前項の規定にかかわらず、管轄権を有する。
3 裁判所は、法人その他の社団又は財団に対する訴えについて、その主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき、事務所若しくは営業所がない場合又はその所在地が知れない場合には代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
(契約上の債務に関する訴え等の管轄権)
第三条の三 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定めるときは、日本の裁判所に提起することができる。
(略)
八 不法行為に関する訴え 不法行為があった地が日本国内にあるとき(外国で行われた加害行為の結果が日本国内で発生した場合において、日本国内におけるその結果の発生が通常予見することのできないものであったときを除く。)。
ちょっと難しいかもしれませんが、外国の法人を訴えるにはその法人が日本国内に事業所がある事が必要です。
逆に日本国内に無い外国法人を日本の裁判所で訴える(日本で民事訴訟を起こす)事はできません。
もちろん、外国法人の所在国において、その国の国内法に基づいて民事訴訟を起こす事は可能ですが、一個人では多分不可能に近いと思われます。
回答ありがとうございます。
2013/09/16 21:19:41