主人公の『ガイジン』であるスイス出身の留学生が、場末のラーメン屋で夕食を食べ終わり会計を済ませ出る時に、テレビでベルリンの壁崩壊が様子がニュースで流れる様を見て愕然となり固まってしまいます。
次のシーンでは、悪夢~スクリーンにいろいろなものが浮かんでくる抽象的なもの~のシーンがでてきます。
このベルリンの壁というものは、スイス人でありながら、外ではフランス語を話し、家の中ではイギリス語と独語を使っていたという、徴兵制度がある国の冬山での戦車訓練を経験した主人公の留学生にとってどういう意味を持つものなのでしょうか。
北朝鮮と韓国の間の38度線がなくなったらどうなるでしょう。脱北者が毎日のようにうちころされているあの国境線です。いままで親類に生きているうちに一目会いたい、飢え死にしたくないといって逃げて見つかって撃ち殺されて死んだ脱北者は全員無駄死にだったのでしょうか。また、北朝鮮の飢えた人々がおおっぴらに韓国に出入りできるようになれば犯罪もすごく増えるかもしれません。もちろん負担が増える韓国の人も、「自分だけ幸せでいないで俺たちにもパンをよこせよ、同胞」といわれればイヤな顔はできません。それをさらに私たち日本人からはどう思うでしょう。口では、「あのくだらない壁がくずれたらしいぞ、おめでとう」と祝いながら大きな変化に怯える部分もあるでしょう。
と、そういうイメージじゃないかとおもいます。
特に徴兵されたことがあれば、「国の都合で人は死ぬ」ということにはスイス人は日本人よりずっと敏感でしょう。
他にもベルリンの壁が崩れたことをもうすぐ死にそうなおばあさんには知らせず隠し通すという映画もありました。それだけ欧米においてショッキングなことだったとおもいます。
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