「英語のプリンスは、皇族男子の親王および王の称号の英訳として用いられる。第二次世界大戦以前には、華族の最高位である公爵をデューク(duke)ではなくプリンス(prince)と英訳することが常だった。このため親王や王には公爵との混同を避けるために皇族であることを示す HIH(His Imperial Highness、殿下)の敬称を添えた。例えば、「近衛公」は単に “Prince Konoe” であったが、皇族の「東久邇宮」は “HIH Prince Higashikuni” とした。」
第二次世界大戦以前には、公爵をデューク(duke)ではなくプリンス(prince)と英訳することが常だったというのは、なぜでしょうか。宮内省(今の宮内庁)が、そのように指示したのでしょうか。或いは、外務省が。
日本とは比べ物にならないほど、大陸の王家・貴族たちは、国を越えた姻戚関係や血統が入り乱れていて、『王家Aの国王がB国から政略結婚で妃を取ったが、政権争いのすえに次代の政権を取ったのはC国の女王を祖母に持つ腹違いの第三皇子(王位継承権第四位、即位する前の地位は公爵)』といったことが、あちこちで頻繁にありました。
言語や人種をまたいだ、王族の国際政略結婚がほぼ存在しなかった日本の文化と言語感覚から見たときに、日本の実態に照らして、王位継承権を持つ特権階級の貴人男性を「王子(プリンス)」と呼びならわしただけのことかと思います。
その言語的慣習が第二次世界大戦後に改められた理由は、英語教育の導入然り、上流階級から庶民に至るまで、英語圏やヨーロッパとの交流がボリュームアップしたゆえの必然かと思います。
つまり、緻密な文化交流が加速したために、解像度を上げて正しい語彙を用いる転換が起きたのだと思います。
(※この文章は、日本とヨーロッパの時代小説やファンタジー小説や歴史書を読み漁った、市井の読書人でありアマチュア小説家である個人の推測です。)
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