薄くて軽く読めるのだけれども、中身は深くて楽しめるものをご紹介したいとおもいます。
ワームホールでタイムマシンを作ってしまおうという本。思考実験みたいなものです。タイムトラベルのパラドックスまで真面目に検討していて面白いです。
働きアリ(これをヒトに置き換える場合もありますね)のうち本当に働いているのは2割だけという「2:8の法則」はよく耳にしますが、「何故そうなっているのか?」を解説してくれる本です。生物学方面にご興味があるかどうか分かりませんが、血縁選択説とかビックリするほど数学的な考え方です。
古典的なものをあげます。ここに挙げたのはどの本も,超一流の物理学者・生物学者によるものです。時代の淘汰を受けた本ですから,私がここで足りない舌での説明を鵜呑みにするよりも実際に本を開いてみたほうが間違いがないでしょう。
名著と呼ばれる類の本だと思います。ファインマンはくりこみ理論で朝永振一郎,シュウィンガーとともにノーベル賞を受賞した物理学者です。学生時代は数学科であったこともあり,非常に数学に強かったと聞きます。物理学者であると同時にファインマンは,エッセイストとしての顔も持っていました。非常にユーモアにあふれていて,エッセイいがいちいち面白いのだから敵いません。物理の話も混じっています。アインシュタインの前で初めてセミナーを行ったときの若き日の回想なども。基本的に登場するのは物理学界の大スター達です。
こちらの本はタイトルから生物系かと思えるのですが,著者のシュレディンガーは量子力学の基本方程式に名前を残している物理学者です。(ちなみにシュレディンガーは女性癖が非常に悪かったそうです)そのシュレディンガーが,生命体に対して物理の見方を持ち込んだ内容で,非常に鋭い考察がなされています。この本の冒頭で「原子はどうしてこれほど小さいのだろうか」という疑問が読者に投げかけられます。この問いに対し,本の中では一つの解答が与えられています。私には十分納得のいく答えでしたよ。これがどう生物学と関係していくのか,興味をひかれたら是非読んでみてください。
DNA分子がとる二重らせん構造が,どのように発見されたのか。そこには天才のひらめきでは片づけられない,非常に激しい競争の中での科学者同士のドロドロした駆け引きがあったのでした。クリックとワトソンは記念碑的なわずか1ページの論文でノーベル賞を与えられることとなりましたが,その背景にはロザリンドという非常に職人気質の,誠実なX線技師の女性がいました。ロザリンドの尽力なくしてこの発見はなかったでしょう。しかしこのロザリンドの研究成果がどうしてワトソン・クリックの両氏の手に渡ったのか。そのあたりの話は非常に微妙な話であって,そういう意味でこの本は一種の告発本というか,外から見ると美しい学問の世界の暗部をさらけ出した本と言えるものだと思います。完全に余談ですが,その後クリックは非常にビジネス寄りの話で本を書いています。(ブルーバックスにもなってます)このあたりはアメリカ人っぽいなと思いますね。
まだたくさんありますが,ひとまずこれで。
皆様ありがとうございました。とても参考になりました!
どれもおもしろそうなので一冊一冊読んでいきたいと思います。