「御書物同心日記」「続・御書物同心日記」出久根達郎
短編のシリーズものです。現在第3弾まで出ているようです。
主人公は、新米同心の東雲丈太郎。本好きが高じて「紅葉山御文庫」に勤めることになります。
「紅葉山御文庫」とは、江戸時代、将軍家の書物を収めた蔵のこと。貴重な書物ゆえ、“御書物同心”という役割があったようです。
ストーリーとしては、丈太郎の周りで起こるちょっと変わった事件を、風変わりな丈太郎の同僚とともに、軽やかに描いた短編。時代モノですが、読みやすいです。
もう一つは「百器徒然袋 風」京極夏彦
京極堂シリーズ番外編。
主人公は、薔薇十字探偵社の探偵・榎木津礼二郎。元子爵の息子という家柄に、容姿端麗、眉目秀麗と、見た目は文句のつけようがないのですが、その実態は腕力最強・天下無敵のハチャメチャ野郎です。自然と他人の過去が“視えて”しまうという体質を持っているにもかかわらず、それを事件の調査に利用するわけでもなく、そもそも調査すらしないのに、いつも事件はなぜかめでたく解決している、という。
京極夏彦というと難解なイメージがあるかもしれませんが、これは全編ギャグです。あの京極堂ですらギャグと化している! おすすめの逸品。