現在のアジア、とりわけ太平洋沿岸諸国の軍事的安全保障は、
第二次大戦後の歴史的経過をそのまま残す
米国主導の安全保障体制が継続していると考えられます。
米国は北大西洋条約機構によって
多国間集団安全保障体制をとっていますが、
アジアにおいては多国間条約を結ばず、
個別の国々との条約によって成り立つ
軍事的地位保証を得ています。
しかしアジアには米国との軍事的同盟に
加わらない諸国も多いですから、
むしろこの軍事的寡占の成り立たないという事情が、
アジア全体の諸問題を武力の行使に依らず
外交によって解決していく必要性を高め、
諸国の安全につながっていると考えることができます。
今後のアジアの安全保障は、
まず経済的安全保障、食料的安全保障、エネルギー的安全保障などの
外交分野での多国間協議による前進を目指すと共に、
軍事面では各国個別の国防体制を堅持し、
最終的には米国を軸とした
ブリッジ共闘的集団安全保障体制をも脱却して、
軍事的中立諸国の「外交同盟的アジア圏」を確立していくことが、
アジアの軍事的安全の確立のためにも
望まれてくるものと思われます。
このへんもご参考にどうぞ。