◆基本的に「保守層」とは「現政権支持層」であると考えられます。
「保守」という言葉は政権に関する視点で使われる言葉であり、
支持政党に関する視点で使われる他の言葉とは
若干色彩が異なってきます。
たとえばご紹介した世論調査で見れば、
自公両党支持層34%だけでなく、
政権交代の設問について「民主党政権」を望まないと回答した51%をもって
それを「保守層」と考えていくのが妥当でしょう。
明確な政党支持の有無に関わらず、
「隠れ保守」が多い、と言えば分かりやすいかもしれません。
◆「中道」という言葉は日本においては
公明党と旧民社党の代名詞であった経緯があり、
その本質は「是々非々主義」と評されるものでした。
したがって、ある意味民社党が消えた今では死語であり、
ある意味、基本的な支持政党に関わらず
政治課題ごとに実際に投票する政党を変える人たち、
すなわち「浮動票」層を実質的にそう呼べるものと考えられます。
この中には、現政権支持の視点から「保守層」に分類される人たちが
多数含まれます。
◆「リベラル」という言葉は旧日本新党系などが好んで使ってきたもので、
政治思想的意味合いを表すということよりも、
「自民党との違い」を強調するために用いられてきたものです。
そしてその後自民党もこの言葉を好感度の得られるものと捉え、
「改革」路線を強調するために使ってきた経緯があります。
したがって日本に「リベラル層」と呼ばれる人々がいるわけではなく、
そう呼ばれたい政治家がいる、と受け止めていくのが妥当と思われます。
◆「革新層」という言葉は
過去においては社共両党の支持者に与えられていたものでしたが、
「二大政党」に急傾斜している今日では、
「二大政党制不支持層」と考えていくのが妥当のように思われます。
基本的には社共両党支持層とイコールになりますが、
その他、選択肢の激減につながる二大政党制に危機感を持ち
無所属を支持したいと考える人たちもここに含まれてきそうです。
割合としては、現状では「保守層」が過半数、
明確に「革新層」の意識を持っている人たちが1割以下、
その他の人々は明確に与えられる言葉を持たない
浮動票層と考えていくことができそうです。