リンク先→http://www.hatena.ne.jp/iwashi?mode=treedetail&thread=0000011227
質問文に引用するには長すぎるので、こうしたかたちにしましたが、ぜひリンク先の詩をよんでいただいて、次の3点にしぼって考察していただけませんか?
1.佐藤春夫は大石誠之助を「愚者」と思って、この詩を詠んだのか?
2.「偽(うそ)より出でし真実(まこと)なり」とは大石誠之助の言葉なのですが。佐藤春夫は、この言葉をどのように解釈したのか?
3.「町民は慎めよ。
教師らは国の歴史を更にまた説けよ。」
とはどういう意味なのか?
なお、大石誠之助とは「大逆事件=幸徳事件」に連座して刑死した、紀州新宮の開業医です。
URLダミーでかまいません。大石誠之助や佐藤春夫、大逆事件について、知りたいという方は、上記URLの「いわし」に書き込んでください。できるだけ、速やかに(わかる範囲で)お答えします。
それでは、よろしく御願いします。
「新宮の医師、大石誠之助も刑死した一人であるが、父の友人で顔見知りであった若き佐藤春夫は、その衝撃を「愚者の死」に託して発表した。その中で、「うべさかしかる商人(あきんど)の町は歎かん」と、新宮町民を皮肉っている。」
春夫の初期の詩、大逆事件で刑死した同郷の大石誠之助を悼んだ「愚者の死」、お召し列車が脱線したことに責任を取って自殺した鉄道員を悼む「清水正次郎を悼む長歌並短歌」にはその鋭い反逆精神が如実に出ている。
とりあえず、現代とは異なる時代状況の中で、どんな形であれ大逆事件に際し何かを発表するという行為には十分な危険が伴ったわけで、普通の解釈としては上記二つのように、これは直接咎めを受けるような言葉を使わず大逆事件への衝撃と、冤罪により死を受けた同郷の医師(春夫の父も医師でした)を悼んでいると解釈していいのではないでしょうか。というわけで
1愚者、というのは一般向けの諧謔的表現に過ぎない。
2「偽より出でし真実なり」これは、大逆事件が冤罪であること(本当は何ら実体の無い「犯罪」に過ぎない)を皮肉った言葉なわけですが、表面上「なんと図々しい言葉を…」と言いつつ、彼の言い分を引用することで代弁していると解釈していいのではないでしょうか。
3既に上京していた春夫の言語感覚として「町民は…」は同郷の人々への呼びかけというよりは叱咤であり、「教師らは…」というのはおそらく頑迷に変わらない権力の象徴に対する批判意識と読むのが適切かと思います。
皮肉というには生硬過ぎる表現ですが、そこが当時の春夫の若さかもしれません。ご参考まで。