親戚に禅宗の若いお坊さんがいます。
最初は高卒後縁のあるお寺(檀家も多い、立派なお寺)に預けられました。雑事の手伝いをしつつ髪をそりおとす儀式を授けてもらったり、基本の修行をさせてもらいました。
そのあとその出身のお寺の力で、とても有名なE寺に行きました。4年間くらい修行をつみまして、お経のほかお作法も修行(お式の式次第やサポート)もすべて仕込まれ、最終的には毎年行う重要な儀式での主役を勤められるまでやりました(それをこなせた=お経を読むのはもう全部一通りできるとみなされるので、資格というか名前が通用するようになった)。ちなみにその式には出身寺や生みの親の金銭的・および人手という意味での助力はかかせないもののようです。
そのあと出身のお寺に帰ったのですが、その人口密集地のお寺には跡継ぎは他にもいるので、小すぎはしないけれど出身地から遠くて苦労なお寺に派遣されそうです(たぶん、毎週出身の寺に手伝いに呼び戻され、移動の費用も時間もとられるのでまともに勤められるか疑問)。本人はまだ若いうちに信者を救うための高度な勉強をつづけておきたいといっています。
資格といういみでは、式の主席の役を務めたということはどこでも住職を勤められる程度の資格になるようですが、それでもまだ苦労(お金がなくても人手は集めないといけないので、人件費のやりくりが大変)の連続です。ただでさえ今のお寺の経営というのは経営と雑事に忙殺されるもののようですし、特に、小さなお寺は自由にみえても大きなお寺から援助をもらわなければなかなかやっていけず、しかも逆に言いなりになっていればいいというものでもないようで、細かい苦労が絶えません。万能な資格はないようですね。
その若いお坊さんの同僚には、親(檀家)に無理やり寺に預けられたが、なんにも根気が続かないまま直らないタイプの人もいて、長くいて年も30代を越えたしお経を読めるので、とても小さいお寺を丸ごと預けられた(派遣先の主になった。うまくいけば住職待遇?)が、寺の掃除も修行もまったくせず、別の県などをほっつきあるいてばかりいて、檀家がいつ行ってもいないことがばれたので、もとのお寺に呼び戻されました。還俗するという話もでていました。こうなると出身のお寺にも不都合ですし、「資格剥奪」にあたるのかしら。
別の禅宗系でない話になりますと、知り合いで、普通のサラリーマンが縁あってお寺の跡継ぎ娘と結婚し、宗教界に入った人もいますが、勤め先から有給休暇をもらっては、お経の試験だの山ごもりの研修だのに出かけ、やはり身のやすまる暇がないんじゃないか?と思うほど二足のわらじでがんばっています。もちろんお嫁さんもお経が読めるし修行や宗教界の事情を教えてくれるから2人で支えあってがんばれるのでしょう。2人とも儀式のために髪の毛をしょっちゅう剃り直していて、見た目はちょっと怖いかも?ですが、本人もはつらつとしていて働いていて、この場合は指導者(お嫁さん)に恵まれたし本人も向いていたのだとおもいます。
http://tukaeru.seesaa.net/article/9688886.html
http://www.jiin-unei.com/
結局お寺は地縁、人の縁でなりたつものですから、在家の信者では、お寺の跡継ぎと婚姻の縁を結ぶ(・・・となると出家の圧力も高いでしょうけど・・)以外は、住職になれるほどの資格(というより地位)は簡単にはとれないのではないかと思います。
でも、在家の信者のなかでの総代というだけでも、いろいろと遠いお寺にお手伝いに出向いたり、その準備として儀式の時に唱和するためのお経の歌を覚えたりいろいろやることがあり、何度も経験をつんで深いところまでかかわってゆけば、紙に書いただけの資格などなくても自然と頼りにされるのではないでしょうか。お経自体はたくさんの種類があって覚えるのが大変ですが、修行の中で前後の手続き的なことと一緒に覚えていくと結構どのお坊さんもなんとか覚えられるようですよ。
とりあえず親、親戚、友人なんでもいいので、年上の「つて」を頼ってどこかいい場所をさがして修行を始めてみてはどうでしょう。世俗で覚えたことをすべて捨てて働く覚悟があって、つてでわりと良心的なお寺をさがせれば、お金のことはなんとかなるかも・・です。