私は学部の頃に,心理言語学を学び,性差と言語の習得についても首を突っ込みました。言語の習得も,知的能力との関連があると思いますので---
第二言語習得研究において、女性が男性よりも優れているとする諸説があります。Eisenstein (1982)、 Farhady (1982) などでは、第二言語習得においては、女性の方が男性よりも達成度が高いと報告しているが性差と第二言語習得の相関関係についてもしばしば議論されています。
UK Assessment of Performance Unit (1986) の調査によると、フランス語の習得で、スピーキング以外のすべてのスキルで女性の方が男性よりも優れていました。Farhady (1982) は、能力別クラス分けのテストを受けた 800人の大学生を対象にした研究で、リスニングテストでは、女性の方が男性よりも成績が高いことを立証しました。Eisenstein (1982) でも、方言識別タスクと社会的地位の高い方言と低い方言とを認知する度合いでは、女性の方が男性よりも、かなり高い成績を得たことを明らかにしています。
日本の社会においても、「女性の方が男性よりも外国語習得に長けている」とされています。Nakamura (1997) は、同じ留学期間を経た後の男女のTOEFLの点数に、統計学上の優位差が表れるかどうか調査した。しかし、「言語習得において同じような期間と環境を与えられた場合、男女間に優位差は表れない」という結論を得ています。
文献
Eisenstein,M. (1982) A study of social variation in adult second language acquisition. Language Learning, 32
Farhady,H. (1982) Measures of language proficiency from the learner's perspective. TESOL Quarterly, 16
UK Assessment of Performance Unit (1986) In Cook,V. (1991) Second language learning and language teaching. Edward Arnold Publishers.
Nakamura,M. (1997) Foreign Language Acquisition. 関西外国語大学大学院修士論文(未公刊)