まず、核攻撃に関する危険性ですが、これは当面、ほとんど考えられないと思われます。
たしかに北朝鮮は核兵器を保有しているでしょう。しかし、先の「核実験」なるものは口だけのホラに過ぎず、そう見せかけた人工地震を起こして見せただけ、と考えるのが妥当です。これは主に国外向けと考えられる直後の朝鮮中央通信の発表において、全く放射性物質は漏れ出さないとしつこく強調されていたことが物語っています。
北朝鮮は要塞構築には長けていますから、横穴を掘ることはお手の物です。山にトンネルを掘ってそこに爆薬を仕掛けたと考える識者が多いのはそのためです。またこの方法であれば、衛星観測などにも察知されにくい工事が可能です。
しかし、山は純然たる地下とは異なります。どうしても表面積が大きく、そこから漏れ出す放射性物質は、純然たる地下核爆発に比べて多くなります。
ところが単純な爆薬による人工地震であれば、放射性物質などは出てきません。そこで、それはわが国の高い科学力の成果なのだと、しつこく予防線を張っていたと見られるわけです。
核兵器は確かに持っているでしょう。そんなものは金さえ出せば買える時代だからです。しかし今現在はまだ、それを実戦配備するほどのノウハウは持っていないと見るのが妥当で、日本が核攻撃を受ける可能性はほとんどないと見てよいのではないかと思われます。
しかし、物理的破壊力を持つミサイルの攻撃には、十分な警戒が必要です。
長距離ミサイルであるテポドンクラスになると発射までに相応の準備が必要ですから、これはその動きを察知すれば、今すぐにでも軍事攻勢をかけたいとウズウズしている米国を刺激するだけの結果に終わります。したがって、このクラスの大型ミサイルの使用は戦略的に見て無理があり、当面有り得ないと考えられます。中距離ミサイル、ノドンにおいても、だいたい同様です。
しかしスカッドクラスになると、これは予め大型トレーラーにでも搭載しておけば、それを発射地点に移動させるだけですぐに撃てます。発射時期も、発射ポイントも特定が難しいですから、当然追尾や迎撃も困難です。奇襲的な攻撃に最適なのが、スカッドクラスのミサイルなのです。
現在北朝鮮が保有しているスカッド型のミサイルは、推定最長射程距離およそ1,000km。従来のスカッドCに比べてかなり高性能になっている可能性があります。すると、その脅威にさらされる地域は、
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/7027/abrd.html
こちらのページの地図のノドン1の射程範囲にほぼ等しく、北海道の檜山あたりから本州の日本海側、さらには中国・四国のほぼ全域、そして九州の北半分くらいまでが射程範囲に収まります。
具体的な攻撃目標は、在日米軍施設でしょう。最も危険なのは、今後北朝鮮に軍事攻勢がかけられればその出撃拠点のひとつとなりうる岩国基地。特に岩国は安倍首相のお膝元の山口県ですから、その意味でも危険性が高いと見ることが出来ます。
佐世保と三沢は射程距離ギリギリであること、また佐世保は港湾施設、三沢は軍民共用施設であることなどから、危険性は若干低くなると考えられます。
しかし、日本が過度に「制裁」で北朝鮮を刺激すると、今まで北と日本をつないでいた港である新潟であるとか、対北朝鮮貿易の表玄関のひとつであった鳥取県の境港なども、「ついで」に攻撃対象とされてしまう恐れがありそうです。北朝鮮籍の船舶が多数入港していた山口県下関市も、岩国への攻撃の「ついで」として狙われるかもしれません。スカッドクラスのミサイルの場合、一度に数発が発射される可能性がありますから、標的は一つとは限らないわけです。
さて、北朝鮮が核実験を行ったと発表した10月9日は、奇しくもジョン・レノンの誕生日でした。戦うより愛し合おうと訴え続けた人です。
今の北朝鮮にとって、主敵はあくまでアメリカです。日本はアメリカとの軍事同盟ばかりに固執して北朝鮮と対立する前に、同じ利益を共有するアジアの国として、まず愛し合える可能性から模索していくべきでしょう。
日本は今後、これを機会に六カ国協議の枠組みを朝鮮半島統一のための協議の場に変え、北朝鮮を危険な国のまま独立させておくことをやめ、南と統一させて、日本と共通の価値観を共有する国の一部とすることに努力するべきであると思われます。その足がかりを早急に付けていくことが、日本をミサイル攻撃の危険から守る唯一の手だてといえるでしょう。
「戦争が起きた場合、東アジアからの攻撃ではまず若狭湾の原発が狙われる」
という話を社会科の授業で聞いたことがあります。