【フェロー・アカデミー】メールマガジン・バックナンバー
著書の『例解ビジネス英語キーワード辞典』では、例えばidentityという単語につ
いて、「アイデンティティ、身元、正体、素性、身分証明、本質、本人、自分自身、
己(おのれ)自身、自己認識、個性、独自性、主体性、同一、同一性、自己同一性、
一致、帰属意識、伝統、類似、類似例、民族性、国民性」と、これだけの訳語を載せ
ています。なぜここまでするかといえば、翻訳者のためです。翻訳者の立場に立って、
いい翻訳のためにいい辞書を作る。それが私の生きがいです。
どういう文脈で使うかによりますが、私の場合は「身元」といわれて、なるほどID カードは「身分証明書」になるわけだと納得がいったりします。
そもそも日本語に存在しない概念だし・・ ぴったりくる訳語は存在しないから、一つの言葉で置き換えようとせず、
ニュアンス毎に使い分けていくしかないんじゃないかな?
ですね。しょうがないともいえます。
アイデンティティカードとか「自己同一性」でからみて
言いたいことは「首尾一貫した自己」なのだと思う
昨日の自分と今日の自分がコロコロ変わったりはしませんよ、ということね。
方丈記とかプラトン?の万物流転とは逆ですけどね。
「自分が自分であること」
です。
自分が自分であることを示すカードがidentification card=IDカード、ですよね。
この違いが、Identityのうまい訳が場合ごとに探すはめになる齟齬なのだと思うのです。疑わしいヤツ、お前は何者?と問いかけずに戦後過ごせて来た地域日本ですから。Identifyの強制が少なかった日本は幸せだったと信じています。
カタカナアイデンティティ(青年心理、発達心理から導入された)は全く別物でしょう。
それを乱暴にひとくくりにしてる英語のほうが、
語彙数が足りないよなあと思いますよ。
さすがカライ料理とアツイ料理を両方hot dishで
ひとくくりにするだけのことはあります。