元の質問は: http://q.hatena.ne.jp/1230811276
分譲マンションの管理組合の会計監査と税務を、居住者の税理士なり公認会計士に依頼するのは、税理士法、区分所有法、その他法令上、可能でしょうか?
または、実際に会計事務を担当しているマンション管理会社が、税務も受託するのは可能でしょうか?
約250戸のマンションで、法人格は無し(任意団体と同じで、理事長の個人名で口座)。
年間予算が2000万円弱。一時的に億円超の収入の見込み。駐車場の第3者からの収入あり、自動販売機からの収入あり。納税実績なし。事業者届け無しです。
居住の税理士さんは、別の市で営業されているとのことでした。
マンション管理会社の業務には、税務は含まれていませんでした。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO034.html
法人格のないマンション管理組合は、人格のない社団に該当します。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(中略)
八 人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
人格のない社団等は法人とみなして法人税法が適用されます。
(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
第三条 人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第二を除く。)の規定を適用する。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO034.html#10010000000020...
ただし書きにより人格のない社団等は、収益事業を行った場合に納税義務者となります。
第二章 納税義務者
第四条 内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合、法人課税信託の引受けを行う場合又は第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合に限る。
http://www.osakacity-mansion.jp/mankan_qa_13c.html
収益事業とは33種類の決められた事業で継続して事業場を設けて営まれるものをいい、たとえば、共益費や組合費を集めて必要な事業を行うことは単に共通の費用を組合員が分担して負担することにすぎないため、非収益事業となり、法人税は課税されません。
http://www.imanaka-kaikei.co.jp/kss05.htm
後段に収益事業に関して詳細な説明が上がっています。但し、年度が古いために税率は間違っていますのでご注意ください。
しかし、共益費や組合費を集めて必要な事業を行うことは収益事業ではなく、ただ単に共通の費用を組合員が分担して負担することにすぎないため、非収益事業となり、法人税は課税されないことになる。
(3)収益事業の範囲
⑫駐車場業
ただし、この駐車場業等を有料で組合員以外の第三者に貸し付けたような場合には収益事業となる。
質問文から税務上で問題となるのは、「駐車場の第3者からの収入あり」と「自動販売機からの収入あり」に関してです。後者に関しては、自動販売機がマンションの住民にのみ提供されていれば下記の「管理組合という地域自治会が、その自治会の構成員を対象として行う共済的な事業であること」と同一視できそうです。マンションの住民以外にも提供されていれば、原則として収益事業となります。他にも有りそうでしたら上記の「収益事業の範囲」を参考にしてください。
> 一時的に億円超の収入の見込み。
修繕積立金の収納なのでしょうか。もしそうでしたら金額は大きいですけど、収益事業に該当しませんので税務とは無関係です。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/21/...
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質問文からマンション管理組合として税務を考慮しなければならない収益は、マンションの住民以外への駐車場の賃貸収入と自動販売機による収入です。法人税の申告は、マンション管理組合から税理士に依頼すれば宜しいわけです。税理士は住民に限定されていませんので、たまたま住民の中にいれば、その方に依頼してもいいですし、他の地域の顔見知りの税理士に依頼されても構いません。
マンション管理組合が管理会社に業務委託していることも多いです。その中に、駐車場の賃貸管理も含まれているとします。マンションの住民以外への駐車場の賃貸収益は収益事業になるのですが、管理会社に法人税の申告を依頼するのはダメです。
次のような事例を想定しました。事業会社X社が遊休土地を持っていて、駐車場の管理をZ社に委託したとします。X社の所得は、この駐車場収益だけとします。Z社がX社の法人税申告書を作成することは、税理士法違反となります。この事例では、X社がマンション管理組合となり、Z社が管理会社に該当します。法人税法第3条により、人格のない社団は法人とみなしています。マンション管理組合は法人とみなしているのですから自ら申告書を作成するか税理士に委託しなければなりません。税理士業務を行うことのできない管理会社(Z社に相当)は法人税の申告書を作成することはできないです。誤解のないように念押ししますが、税務に限定した事でして、管理費・修繕積立金の収納や会計帳簿の作成及び決算報告などは管理会社に業務委託していればお任せできます。
別に問題ありません。というか、管理組合の構成員が管理組合の税務処理を行うのは税理士資格がなくても可能です。
そうでなければ法人や人格のない社団等は税理士がいないとどうしても申告できなくなってしまいます。
ちゃんとした税理士に頼むのであればなおいいでしょう。
また、他市で営業していることは特に問題ありません。
自分のマンションの税務処理をしている税理士のブログがありました。
定款に決算公告は官報に掲載すると規定してあっても中小企業は決算公告をしない会社が多いです。罰則規定もありますけど機能していないのが現実です。それと同じで、自動販売機から上がる収益が少額であるならば、申告していないマンション管理組合もあると思います。
但し、この質問のようにマンションの住民以外に駐車場を賃貸していることは収益事業となりますので法人税の申告義務が生じています。申告しなければなりませんので、その際には自動販売機からの所得も合算すべきです。
> 従量電灯の電気代(17円87銭/KWH)相当の定額+消費税を受け取っています。
缶ジュースや缶コーヒーの補充や集金業務は自販機設置会社が全て行っていて、電気代だけを貰っているということなのでしょうか。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/26.htm
駐車場の貸付に伴う消費税に就いてです。
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イ 駐車場の貸付け………組合員である区分所有者に対する貸付けに係る対価は不課税となりますが、組合員以外の者に対する貸付けに係る対価は消費税の課税対象となります。
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課税売上が1千万円を超えますと課税事業者となります。課税売上はマンションの住民以外への駐車場の賃貸収入額です。1千万円を超えないと思うのですが、万一超えるのでしたら消費税の申告義務も生じます。1千万円以下の場合は、免税事業者となり収益・費用が税込みとして計算されます。
> 敷地の地下設備の権利関係の変更で発生する一時的な収入です。
実態には変化が無く、資産の売却等でも無いので、これも、扱いのよくわからない点です。
不動産の登記に変動は生じないのですね。マンションにお住まいの税理士さんにこの件に関する資料を集めてご相談なされるのが宜しいかと思います。
これは間違いです。
会計監査「人」となれるのが公認会計士のみなだけであって、法人格のない団体の会計監査は誰がやってもかまわないですし、ちゃんとした株式会社でも監査役には税理士資格さえなくても就任できます。
マンション管理組合の会計監査を公認会計士に限定する規定はありません。
「株式会社の監査役は原則として業務監査権限および会計監査権限を有するものと規定」
http://www.azsa.or.jp/b_info/letter/76/03.html
>> 従量電灯の電気代(17円87銭/KWH)相当の定額+消費税を受け取っています。
>缶ジュースや缶コーヒーの補充や集金業務は自販機設置会社が全て行っていて、
>電気代だけを貰っているということなのでしょうか。
はい、その通りです。 飲み物の値段は、少し安くなっています。
電気料金相当額ということなのですが、名目は「自販機収入」で、雑収入に入れています。 分別会計しておりませんので、居住者から受け取った消費税なしの項目と、自販機収入の様に、第3者から消費税込みで受け取った項目が混ざっています。
伴う出費は、ホール部分の毎日の清掃、電気設備の減価償却と定期点検などの経費(低圧電力で購入した電力を、自家設備で変圧して、共有部分で再販売?)などの一部(割り掛け比率は面倒)です。
> 課税売上が1千万円を超えますと課税事業者
一時収入の一部でも課税所得と判定されて1千万円を越えると、消費税や法人税、その前に、損益計算が必要となりそうに思えます。
> そもそも、会計監査というのは、公認会計士のみが使用できる言葉です。
会計監査の用語を誤解されておられます。会社の監査役の職務には会計監査と業務監査があります。非公開会社は定款に定めることにより会計監査に限定できます。
http://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95%E7%AC%AC389%E6%9D%A1
会社法
>>
第389条
1. 公開会社でない株式会社(w:監査役会設置会社及びw:会計監査人設置会社を除く。)は、第381第1項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
2. 前項の規定による定款の定めがある株式会社の監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
3. 前項の監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する議案、書類その他の法務省令で定めるものを調査し、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。
<<
http://www.kansa.or.jp/PDF/el001_060929b.pdf
18ページに監査報告書の雛形が掲載されています。項目名にカッコ書きで(会計監査権限のみ)と上がっていますのが、非公開会社の会計監査の場合です。
> 4.機関設計が「取締役会+監査役(会計監査権限のみ)」の会社の場合
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2.監査の結果(注ハ)
計算書類及びその附属明細書は、会社の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認めます。
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旧商法からの株式会社の機関設計を継続していましたら監査役は設置されています。大半の監査役は、公認会計士ではありません。cherry-pieさんの見解によりますと、会計監査を実施して監査報告まで株主総会に提出しているのは違法行為になります。会社法において、会計監査に限定できる場合が規定されていますので、その見解は間違っています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO025.html
金融商品取引法第193条の2
上場会社は公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければ上場不可ですし上場を維持することもできません。会社法では会計監査人と規定されている機関が実施します。
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(公認会計士又は監査法人による監査証明)
第百九十三条の二 金融商品取引所に上場されている有価証券の発行会社その他の者で政令で定めるもの(次条において「特定発行者」という。)が、この法律の規定により提出する貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類で内閣府令で定めるもの(第四項及び次条において「財務計算に関する書類」という。)には、その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
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http://www.kansa.or.jp/seido/index.html
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監査役は株主総会で選任され、取締役の職務の執行を監査することがその役割である。監査には、業務監査と会計監査とが含まれる。業務監査は、取締役の職務の執行が法令・定款を遵守して行われているかどうかを監査することで、一般に適法性監査と呼ばれている。
会計監査は、定時株主総会に計算書類が提出される前に行われ、株主総会の招集通知時に、会計監査と業務監査の結果が記載される監査役会の監査報告が提供される。
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この会計監査人は公認会計士又は監査法人に限定されています。監査法人は社員が公認会計士から構成されています。会計監査人は公認会計士でなければなりません。
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(4)会計監査
会計監査とは、計算書類およびその附属明細書を監査することであるが、大会社かつ公開会社では、公認会計士または監査法人を会計監査人として選任しなければならない(株主総会で選任するが、取締役会による選任議案には監査役会の同意を要し、また監査役会は選任議案の提案権を有する)。
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