上場時や増資、他企業との株式交換を行う際などは、そのときの株価が大事なのかもしれませんが、そういった出来事はそう頻繁に起こるわけではありません。普段は、ただ金融機関や個人投資家によって株が売買され、上がった下がったとニュースになるだけであって、株価がいくらになろうが発行している会社にとって直接の影響は何も無いように思います。社債の発行であれば、すぐに現金が資産として入ってくるのかもしれませんが、株式の発行にどういう意義があるのか納得できません。
また、株価や時価総額が会社の価値を表すとは言われますがこれもわかりません。会社とは全く関係無い場所で、勝手に株が売り買いされているだけに見えるからです。企業の業績が上がると株価が上がったり、赤字が出ると下がったりするのは、単に"投資家が、株価と会社の価値は連動するという幻想を共有している"からとしか思えません。
うまく説明できる方いらっしゃいますでしょうか?
確かに、時価総額=会社の価値ではないですね。現実には。たとえば、トヨタが1兆円の黒字を出したとき、トヨタの株式時価総額はたった5兆だったそうです。こんな安い買い物はないですよね。
ですから、サントリーなどは「短期的な利益を要求される株式公開に馴染まない」という理由で、あれだけの大企業であるにも関わらず、どこにも上場していません。
ですが、株式の発行と株価にはとても大きなうま味があります。
最近では、野村証券が1000億円以上の増資を~~とか言っていたように、
社債と同じように、すぐに現金に換える事が出来るからです。しかも社債と違って、株式には返済の義務がありません。
まさに現金を刷っているようなものです。
さて、赤字を出したので増資します。といったら普通株価はどうなるでしょうか?
確かに、「幻想の共有によって株価が変動している」というのも事実ですが、
増資をするという事は、市場に出回る株の数が増えるということです。
今まで100株しかなかったのに、新たに200株発行されたら?
普通は自分の持っている株の価値も下がるでしょう。
だから、「赤字を出す」と「株価が下がる」のは、あながち幻想だけ、とも言い切れないのです。
そして、会社もイザという時や、新規事業で大量に資金が必要になったときに備え、株価を気にしつつ、経営を行っているのです。
まず、株価というのは「その企業が将来にわたって稼ぎ出すであろう利益」を現在の価値に置き換えたものというのがファイナンス的な説明です。例えば今後10年、毎年一株あたり100円の配当を受け取れる株券というものがあれば、それを現在買うにはいくら必要かという値を計算したものが株価です。
この辺のことは割引率とかでググればもっと適当な説明はいっぱい見つかるはず。で、株価が企業価値を表すというのは、この「株価はその企業が未来にわたって稼ぎ出すお金」をあらわしているわけなので、「高い株価がつく」=「将来にわたっていっぱいお金を稼ぐ」という図式になるわけです。
将来性があると思われる企業は、例えその年の利益は赤字でも高い株価がついていたりします(ちょっと前のGoogleなんかがまさにそうでした)。こういう将来の成長性を見る指標のひとつとして、株価収益率(PER)などというものもあります。これは、株価を利益で割ったもので、これの比率が高いと「利益に比べて株価が割高=将来の成長性があると思っている」という見方ができます。
ですので、「株価があがる」というのは投資家が「この企業は将来有望だ」と思っているということの現れであり、逆に「株価がさがった」というのは投資家が「この企業はだめだね」と見ているということの表明ともとれるわけです。
で、企業価値というのはちょっと単純化して言ってしまえば「その企業が将来にわたって稼ぎ出すであろう利益の合計」に等しいとも言えるわけです。有望な企業は高い企業価値(=高い株価)という評価になるわけです。一昔前、Googleの時価総額はトヨタを越えたとかってのはつまり「Googleが将来にわたって稼ぎ出すお金は、トヨタよりもでかいんじゃね?」とみんな思っていたということと言えます。
次に、なんで市場が必要なのかという話になりますが、株券というのは普通あまり一般に流通しているものではありません。また、上の株価が決まるメカニズムでわかるように、株価というのは不確実な将来の稼ぎを元にして値段を決めているので、素人がぱっとその本当の価格を判断することも難しいという性質を持ちます。
そういった場合、誰かが「うちのところで株の売買する仕組みつくってやるよ。ただしここで株を売りたい企業はうちが決めるルールをきちんと守れや」というような仕組みがあると便利ですね、という話です。こうやって出来たのが東京証券取引所です。
ここに株券を売り出す企業(上場といいますね)は、自分たちがきちんとしたビジネスをやっているか、将来性はそこそこあるかとか、利益をちょろまかしてないかといった東証の審査を受けないと上場できません。
また、投資家のほうは、その企業が(一応)信用できる企業であるとわかるし、その株の値段も言い値ではなく、多くの市場に参加している投資家が「まあこんなもんだべ」と納得した値段だともある程度は信用できます。
あと株券というのは「売りたい」と思ってもその同じタイミングで「買いたい」と言ってくれる人が現れるとは限りません。ただ、多くの人が集まる場所にいけば「売りたい」「買いたい」という取引は比較的スムーズにできるはずです。なので株券を取引する市場があるほうが便利ですね(この取引がスムーズに行えることを「流動性がある」とかって言ったりします)。
一方企業のほうも、例えば大規模なビジネスをやろうとしたときに、新たに株券を発行することで銀行から借金する以外の資金調達の手段を手に入れることができます。
ただし上で言ったようなことに対する反論も当然あります。大きなところでは
・そもそも将来がわかるやつなんているわけないんだから、そんな将来にわたって利益を予想した上での適性な株価なん計算できるわけないだろ
・上場してる企業だって不祥事とかいっぱいやらかしてるじゃん。審査甘いよ、なにやってんの
・夢のような将来ビジョンでっちあげて株価つりあげるような企業もいるじゃん
・流動性とかいってるけど、ライブドアでシステム落ちて売りも買いもできなくなってたじゃん
・だいたい企業の持ってる株券が全部売買の対象にはなってねえし
などなど様々な批判や問題点があります。ただまあ市場に関係している人は「そうはいってもいまのところこれでうまくいってるしね」という感じです。とりあえずご参考まで。
あ、社債と株式発行の違いは既に回答されている方がいたので割愛しました。