質問者は日本史に精通しているわけではなく、高校の授業においても及第点とるのが精いっぱいでした。
最近、この不勉強を改めようと思い立ったのですが、どの本に手をつけたらいいのか見当もつきません。
事件の因果関係や、後世への影響など、明治維新を社会学的に分析している本。庶民、藩士、或いは海外など、異なった立場からの認識を紹介した本。等、高校の教科書と比べて、一歩踏み込んだ内容の本を探しています。
大学の講義で使うようなものでは頭が追いつかない可能性があります。新書のように、誰でも容易に手に入れることのできる本の中で、深い考察を持って明治維新付近の日本の情勢を論じている良書をご存知でしたらお教え願います。
「明治維新」「幕末」などの検索ワードに該当したタイトルを羅列するのはご遠慮願います。
コメントを拝見し、回答します。
時間に余裕があるのなら、まず歴史街道の定期購読をお薦めします。歴史を扱った雑誌は数多く出版されていますが、歴史街道はPHP出版の雑誌で、現在のパナソニックの創業者である松下幸之助の遺志を継いでいます。松下幸之助は幕末から明治維新にかけての歴史や文化の保存にも傾注した方です。
そのため、各号のメインテーマが幕末から明治維新にかけての時代から離れていても、何らかの内容がその時代の日本を扱っています。
目の前にある2010年3月号だと総力特集は「長篠合戦真実」ですが、特集は「幕末の私塾」ですし、東京23区内の幕末維新の偉人の銅像マップが記載されています。
これは書籍ではありませんが、京都を訪れるなら霊山歴史館に立ち寄るのも一興です。ここは、先述のパナソニックが寄付をしたりしていますから。
次に明治時代はどのように考え、政治が行われたのかを知る手っ取り早い方法としては児玉源太郎について調べるのがいいと考えます。彼を有名にしたのは日露戦争でのエピソードですが、神風連の乱鎮圧の直後、東京から現地へ真っ先に送られた電報「児玉少佐ハ無事ナリヤ」は、当時24歳の一少佐にかける期待がどれほどのものであったかを物語る逸話もあったほどの人です。太平洋戦争後も米軍から児玉が生きていれば負けたかもとまで称されています。
児玉については、
と結構出版されていますので、多読してみてください。
最後に意欲に火が点いたばかりの方の腰を折るようで申しわけありませんが、アドバイスを幾つか申し上げます。
目標は崇高です。その分障害が多いことを覚悟してください。例えば、明治末期まで日本が本当に強かった時代です。そのため現代とギャップが大きいんですよ。日本海海戦で大勝利して、戦艦を沈没させるのは愚将という見方をさせるようになってしまった。それが太平洋戦争で勝てる戦いでも戦力の投入を躊躇させることに繋がっていきます。
また、現在の腐敗政治に繋がるのもこの時代で、現在入手困難なので紹介はできませんが、「賄賂の歴史」という書籍が入手可能なら読んでみて下さい。後半のわずかだけですが、中学や高校の日本史の授業で維新以後を教えないのはこういった理由かと思えるような内容が記述されています。
現代の人が分かりやすくまとめた本で、ターゲットは歴史マニアではない普通の人ってところでしょうか?
当時を生きた人たちの認識は、御紹介いただいた文庫を購入して勉強しようと思います。
しかし、単に当時の出来事を事実として整理したかったわけではありません。
明治維新の後世への影響、根本的に変化した部分、当時の世界情勢においてどんな意味をもったかなど、現代を生きる、見識を備えた専門家の方の研究結果のような本も探しています。
専門家の方々の意見を参考にし、さらに多面的にアプローチすることで、自分なりに、明治維新とは何だったのかという結論を構築したいのです。ただ、私自身が専門家を目指しているわけではないので、一般人向けに噛み砕いた、或いはレベルを合わせた入門書のような本であると助かります。
●「江戸から東京へ」テキスト(教科書)について
>「江戸から東京へ」テキスト(教科書)(平成23年度版)(PDF形式:55MB)
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/nihonshi.htm
●高校講座HOME >> 日本史
http://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/nihonshi/
http://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/nihonshi/index2.html
「ベルギー公使夫人の明治日記」は注文しても在庫が無いようですので、却って図書館の方があると思います。
「明治日本見聞録」はちょっと図書館によるかなと言う感じです。
回答で紹介した3冊はどちらかというと教育関係に近いので、もうちょっと商業の内容を紹介したかったです。
漫画になりますが手塚治虫「陽だまりの樹」も幕末から明治にかけての動乱を手塚治虫の曽祖父の蘭方医と
架空の人物である武士を主人公にして描いた作品です。
これも漫画を受け入れている図書館ならば歴史の勉強になると所蔵されていることが多いです。
幕末から明治の動乱を医学を絡ませたSF歴史漫画「仁ーJINー」村上もとかは
作者が「花魁が悲惨な生涯をおくっていた時代に抗生物質があったらどんなに助かったのに」との
着想から始まった漫画なので鉛中毒に苦しむ歌舞伎役者など庶民に近いレベルから
脚気に苦しむ和宮など歴史の表に出てくる人物まで描写されています。
これは完結してまだ間もないこともあり多分図書館にはまだ所蔵されていないと思います。