素朴な理屈では、印刷においては、CMY(加えてK)のインクがあれば、全ての色を表現できるはずだと思われるのですが、「セミプロ向け」などと称する、色彩表現が高品質であることを前面に押し出したインクジェットプリンターは、たいてい、CMYKの4色を超える数のインクカートリッジを用いる仕様になっています。
なぜそのようになっているのか、私には理解できません。プリンターというデバイスの原理による科学的な理由からそうなっているのか、あるいは、コンシューマーの購買行動に最適化する目的でそのようになっているのかさえ、わかりません。また、それら両方なのかもしれません。
上記の疑問対する解説をお願い申し上げます。
印刷業界では、昔から特色インクというものがつかわれております。
CMYKだけですませてきたわけではないです。
特色 (印刷) - Wikipedia
CMYKよりコンピューターディスプレイのRGBのほうが色域が広いことは常識です。
今やコンピューターやスマホの色になじんだ大衆が見くらべるのですから、
紙にしたときにコンピューターで見ていたときより地味だ、
色がうすぎたなくなった…などとみられたくはない。
したがって特色インクでの表現向上は試みる価値があります。
極端な例でいうと、これだけネットに溢れている「初音ミク」http://miku.sega.jp/の蛍光がかった緑の髪色は、
普通の家庭用プリンターではとうてい再現できません(今でも追加インクで対応している家庭用プリンタはないはず)。
もちろん、プロが行う商業印刷では部数に応じて、特色・箔押しなどをもちいて
どのような色でも「その色っぽく」それでいて安くあがるよう処理されています。
STARBOOKS
例示のインクジェットプリンターでも、特色のようなインクの追加をしています。
ミクまで完璧をめざさなくてもいいのですが(だいぶがんばっていますよ)、
今どきの家庭用プリンターたるもの、
普通の黒髪とピンクがかった黄色みの肌色の人物写真くらいは綺麗にだせないといけません。
インクジェットの追加インクは肌色系のなめらかな表現の助けになる薄いグレーや薄い黄色が多いです。
これも色域を広げるためではないですが、表現をひろげるための特色インクにあたるでしょう。グレーなしの黒だけの機種だと肌のカゲに針の先のような点々がみえます。逆に黒なしグレーのみだと黒髪のツヤ表現がボケます。黄色や赤色も濃淡2色つかわないと肌色が不自然かどうかは人間の目はいちばん敏感です。
納得がいかなければ、プリンターを多数おいているパソコン店で、
試しに写真用紙にプリントアウトした写真をおいてあるのをみて
特色の有無でどうちがうかを比べてみてください。
また、プロのプリントアウトサービス(コンビニや、スーパーにあるプリントアウト自販機や、
プリクラなども仲間です)もありますので、
雑誌のグラビアと友達からきた年賀状の顔写真とゲーセンで撮影したプリクラなどで、
どれが一番綺麗か気にしてみるとおもしろいでしょうね。
http://www.suprint.jp/guide/technical/datacaution/da001.html
上の画像の、左の方は、
四色のインクだけで作れる色の範囲です。
四色だけでは作れない色を表現したい時に、
他の、特別な色を使う場合があります。