問題の根本は、人も虫も「群生」であるということだと思うんです。個体でいくら忌避しようとしても、個体対群生では、その効果はたかがしれています。殺虫剤というのは、その「たかがしれた対抗」のための手段でしかないと思うんです。
蚊やハエは、社会の努力で、その発生を防ぐべき存在なんだと思うんですよ。殺せ、絶やせではありません。不幸な命の発生を防ぐ。この考え方で行くべきだと思うんです。
自然のない場所に虫を発生させたら可哀想だ。本来自然界の所属であるはずの昆虫を都市に侵入させたら、彼らはどうやって生きていかねばならないか。そんな不幸を防ぐために、貯まり水を除去しよう、木々を適度に剪定して通気を確保しよう、生ゴミを除去しよう、入っては不幸になる場所に呼び込まないようにしようと。そういう社会努力が必要だと思うんです。
侵入してから迎撃する。これでは戦争です。平和を守るためには、侵入を未然に防ぐ外交努力が必要です。虫と人の関係もそれと同じだと思うんです。
一人では出来ません。人も生物として見れば群生です。その人の群生を社会と呼ぶんです。社会の努力が必要です。
ただ、ゴキブリに関しては、彼らはかなり人間の生息環境に順応します。いわば「共生可能な生物種」なんです。したがって、彼らは人の家で幸せに暮らしてしまいます。こういうのは、個人の努力で丁重にお引き取り願うしかありませんよね。
そのために必要なことが、卵の移動です。彼らは人の家に住み着く虫ですから、卵を家の中に産んでいるわけです。そこからどんどん新しい個体が孵化してきます。卵を放置しておいたら、いくら成虫を捕まえても、何の効果も上げられないんです。これが、外部から侵入してくる虫との対応の違いになります。
もちろん卵に対しては、たいていの殺虫剤が効きません。部屋中をガス室のようにする燻煙タイプの殺虫剤すら、卵に対してはほとんど無力です。物理的に卵を移動させるしか、手はありません。
ゴキブリは、たいていの場合、物陰に産卵します。キッチンの流し台の隅や下、そういう所に、卵鞘と呼ばれるエンドウ豆の鞘のような物に守られた卵を産み付けます。少々大がかりになりますが、どけられる物を片っ端からどけてこの卵鞘を探し出し、それを除去しない限り、ゴキブリにお引き取り頂くことは不可能です。
と、まあ、こんな具合。殺虫剤は毒性が強い割に役立たずなんです。つまり、人間にばかり被害を与えて、問題は何も解決してくれないのが殺虫剤なんですよね。
だいいち、殺虫剤に劇的な問題解決効果があるとしたら、そんなもの売れるのは発売当初のみ。問題が解決した翌年からは、パッタリ売れなくなるはずじゃないですか。なのになぜ何十年も、同じような物を売り続けているのでしょう。そんなダマシ商品が大手を振って売られ続けていること自体、私は問題だと思っています。
殺虫剤に幻想を抱いている限り、人は「害虫」と呼ばれるような虫の被害からは逃れられません。相手の生物の繁殖の仕方を知り、習性を知って、お互いが健全な生息環境に住み分けていける方法を考える。人の知恵は、そこに発揮されるべきなんです。殺虫剤に対する幻想が、その努力を阻害します。使わないとキッパリ決めてしまえば、本当に効果的な対処方法が見えてきます。
問題の根本は、人も虫も「群生」であるということだと思うんです。個体でいくら忌避しようとしても、個体対群生では、その効果はたかがしれています。殺虫剤というのは、その「たかがしれた対抗」のための手段でしかないと思うんです。
蚊やハエは、社会の努力で、その発生を防ぐべき存在なんだと思うんですよ。殺せ、絶やせではありません。不幸な命の発生を防ぐ。この考え方で行くべきだと思うんです。
自然のない場所に虫を発生させたら可哀想だ。本来自然界の所属であるはずの昆虫を都市に侵入させたら、彼らはどうやって生きていかねばならないか。そんな不幸を防ぐために、貯まり水を除去しよう、木々を適度に剪定して通気を確保しよう、生ゴミを除去しよう、入っては不幸になる場所に呼び込まないようにしようと。そういう社会努力が必要だと思うんです。
侵入してから迎撃する。これでは戦争です。平和を守るためには、侵入を未然に防ぐ外交努力が必要です。虫と人の関係もそれと同じだと思うんです。
一人では出来ません。人も生物として見れば群生です。その人の群生を社会と呼ぶんです。社会の努力が必要です。
ただ、ゴキブリに関しては、彼らはかなり人間の生息環境に順応します。いわば「共生可能な生物種」なんです。したがって、彼らは人の家で幸せに暮らしてしまいます。こういうのは、個人の努力で丁重にお引き取り願うしかありませんよね。
そのために必要なことが、卵の移動です。彼らは人の家に住み着く虫ですから、卵を家の中に産んでいるわけです。そこからどんどん新しい個体が孵化してきます。卵を放置しておいたら、いくら成虫を捕まえても、何の効果も上げられないんです。これが、外部から侵入してくる虫との対応の違いになります。
もちろん卵に対しては、たいていの殺虫剤が効きません。部屋中をガス室のようにする燻煙タイプの殺虫剤すら、卵に対してはほとんど無力です。物理的に卵を移動させるしか、手はありません。
ゴキブリは、たいていの場合、物陰に産卵します。キッチンの流し台の隅や下、そういう所に、卵鞘と呼ばれるエンドウ豆の鞘のような物に守られた卵を産み付けます。少々大がかりになりますが、どけられる物を片っ端からどけてこの卵鞘を探し出し、それを除去しない限り、ゴキブリにお引き取り頂くことは不可能です。
と、まあ、こんな具合。殺虫剤は毒性が強い割に役立たずなんです。つまり、人間にばかり被害を与えて、問題は何も解決してくれないのが殺虫剤なんですよね。
だいいち、殺虫剤に劇的な問題解決効果があるとしたら、そんなもの売れるのは発売当初のみ。問題が解決した翌年からは、パッタリ売れなくなるはずじゃないですか。なのになぜ何十年も、同じような物を売り続けているのでしょう。そんなダマシ商品が大手を振って売られ続けていること自体、私は問題だと思っています。
殺虫剤に幻想を抱いている限り、人は「害虫」と呼ばれるような虫の被害からは逃れられません。相手の生物の繁殖の仕方を知り、習性を知って、お互いが健全な生息環境に住み分けていける方法を考える。人の知恵は、そこに発揮されるべきなんです。殺虫剤に対する幻想が、その努力を阻害します。使わないとキッパリ決めてしまえば、本当に効果的な対処方法が見えてきます。