THEME:「わが家にお部屋に、ずっとありつづけるモノ」
“ディア・ライフ”=『親愛なる日々』。イエは暮らしと人生の舞台。「LIFE」という言葉に、生活と人生の2つの意味をこめて、イエと家族のストーリーを語り合いませんか? 心のページに刻まれた思い出も、現在のイエでの愛しいワンシーンも。毎回のテーマに沿って素敵なエピソードを、豊かな暮らしを創っていく〈イエはてな〉のマインドで投稿ください!
*回答条件* 下記のページをご覧になってご投稿くださいね!
「Welcome to イエはてな」
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20080731
テーマ詳細とアイデア例
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20101013
※ピックアップ受賞メッセージは、〈みんなの住まい〉サイトにて記事紹介させていただきます。またメッセージは表記統一や文章量の調整をさせていただくことがございます。
※〈イエはてな〉では、はてなスターを「おすすめメッセージ」として活用しています。投稿期間中ははてなスターのご利用を控えていただけますようお願いいたします。
※質問は10月18日(月)正午で終了させていただきます。
これはいいお話です。もしその椅子に何の事件も起こらなかったら、ここまでの思い入れは生まれなかったかもしれません。禍転じて福ならぬ、いたずら被害転じてリペアする楽しみ、喜びにつながっていった。これはモノ作り好きにとって、本当に得難い経験だったと思います。
その経験が生き続けて、Oreganoさんの今につながっているんでしょうね。その経験を与えてくれた椅子が、今も部屋にあり続ける。これは本当にいいお話です。きっとその椅子も、自分が出発点となって今のOreganoさんがあることを、誇らしく思っていることでしょう。私もモノ作り好きなので、このお話にはグッとくるものがありました。
背もたれのない、シンプルな木の椅子です。中学の技術・家庭の授業で作りました。木工作好きの私としては、大の得意分野。ほとんど会心の出来映えでした。ところがです。採点が終わって返ってきた私の椅子は、脚に嫌なイタズラをされていました。わからないように切れ込みが入れられていて、座るといつか折れて倒れるようになっていたんです。
先生、これ見てよ、どういうこと?心を込めて作った作品を台無しにされた私は、悔しくて悔しくて仕方がありませんでした。先生も驚いた様子でしたが、採点は終わって君のは最高得点だから、これはもう捨ててくれ、と言われてしまいました。
捨てるなんて、とんでもありません。一度作り上げたら、それはもう自分にとっては子供も同然です。持って帰って直しますと言ったら、先生はそうかと言って、授業で余った角材を分けてくれました。塗装に使ったニスも、違うのだと色が合わないからと、空き瓶に取り分けて渡してくれました。「薄め液は危険物で出せないから自分で買ってくれ、あと刷毛もな」「ありがとう先生」。
イエに持ち帰り、週末、修理に取りかかりました。まず、切れ込みを入れられて台無しになってしまった脚の除去ですが、中学生の工作とはいえホゾを掘って組み立ててあります。この部分の工作精度が良かったのが会心の出来の理由ですから、頑丈でなかなか外れません。やっとの事で除去完了。続いて、先生にもらった角材を加工して新しい脚を作ります。ホゾ部分の加工は手間がかかりますが、お!やっているうちに楽しくなってきました。修理という作業は、作る作業以上に面白いではないですか。
塗装も楽しい。すでに塗装されている部分と色を合わせる作業は、最初に作っていた時には無かった作業です。学校で分けてもらったニスは、塗装と着色を兼ねるニス。一度に濃く塗ってしまうと色が合わない恐れがありますから、薄目に溶いて塗っていきます。速乾ニスなので、乾きは早いです。乾いたら耐水ペーパーで磨くべし、磨くべし。ひたすら磨いてツルツルにするべし。色を見ながらさらに重ね塗り。できました!またもや会心の出来映えです!
完成品を学校に持っていって先生に見せると、ただ作るだけではなく作った物を愛する心を学んでくれた、先生はうれしいぞと、とても喜んでくれました。その椅子を教室に置いていたら、数人の男子が、ごめんよ、あれ俺たちがやったんだ、ちょっとしたイタズラ心だったんだけど、君がこんなに大切に修理するとは思わなかったと謝りに来てくれました。
いいんだよ、作るより直す方がずっと面白かったからと答えると、へぇ、そういうもんなのかと、ちょっと驚いた顔をしていました。そんな思い出のある椅子が、私の部屋にずっと置かれ続けています。