なぜ、腕時計はあんなに高いのでしょうか。

　
　風説なごり節 ～ 今昔いなかもん物語 ～
　
　わたしの仕事机にも、パソコン、テレビ、電話機、温度計それぞれに
時計が内臓されており、タクシーやバスや電車に乗っても、あらゆる所
で時刻を確かめることが可能であり、まさに目に余る現象です。
　
　わたしが、いまなお外出の折に、それなりに選んだ腕時計を離せない
理由は、とくに会話の途中に、目を泳がせないためです。相手が気づか
ないよう、ごく自然に目を落とせば、現在の時刻が読みとれるからです。
　
　わたしの幼時記憶によれば、家の中の柱時計は、数日ごとの手巻きで、
当時の大人たちは、わざわざ大げさな身振りでワイシャツの袖を引いて
から、左腕を高々と掲げ、うやうやしく文字盤を確認していました。
　
　いま思うに、万年筆と腕時計にメガネが私立名門校の“三種の神器”
だったのです。時は流れて、百円ショップでも買える時代に、かつての
優越感と劣等感の象徴として、その名残りを留めているのでしょう。
　
　いまどき飛行機があるのに、わざわざ列車で旅行する独裁者がいます。
　わが国の皇室では、外国の大使を迎えるとき、馬車を使います。
　しかし、貴族でも国賓でもない者には、まったく縁がありません。
　
　また、宝飾品として、貴金属を身に着けるのは、侵略者が植民地から
奪い取った戦利品の名残であり、一説に流浪の民族が、いつも全財産を
持ち歩くためとも云われるので、日本の歴史風土にはそぐわないのです。
　
　戦国時代の大名は、いざという時のために、華美な衣装で戦地に向い、
農兵に捕らわれると、小袖を与え、無事帰還したら、それ以上の褒賞を
約束しました（現代アメリカでは２０ドル紙幣が命札だそうです）。
　
　かつて若き日の野村 克也が、長嶋 茂雄との対談に備えて、ネクタイ、
タイピン、カフスボタン、もちろん高級時計で完全武装して行ったら、
時すでに何一つ身に着けない流行になっていて、恥をかいたそうです。
　
……　イタリア人は、三つの「レ」で生きている。アルファベットの逆
に、Mangiare（マンジョーレ）Cantare（カンターレ）Amore（アモーレ）。
「朝から食べて、昼に唄い、夜は愛する」というわけだ。
　
　１０代；カンターレ（歌って学ぶ、楽譜と言語を究める）
　２０代；アモーレ（愛と恋に秘術を尽くす）
　３０代；オシャーレ（月収一ヶ月分で、四季の身辺を整える）
　
　それ以下ではみすぼらしく、それ以上だと分不相応に見えるので。
http://q.hatena.ne.jp/1277723229#a1024250（No.8 20100628 23:37:46）
　男の一生 ～ わたしは、九つの「レ」を生きている ～
　
　なお、わたしの回答は、しばしば誤解されるので、要注意です。
　数十年前に、父の形見を修理すべく見積ったところ、十数万かかると
かで断念し、約1000円ほどの電子時計を愛用しています。
　
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20140331
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