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そもそも講評などが不要な方はお申し出ください。
『伸太と忍者の里』
僕の家には一匹の猫が住んでいる。名前はまだない。猫と言っても普通の猫ではなく、実はロボットだ。
見た目は狸に似ているけど、狸と言えば本人は怒る。本人ではなく本猫か? いやロボットだから本ロボットか?
彼の便利なところは、未来の不思議な道具を出してくれるというところ。さしずめ、22世紀の便利デパート。
成績も運動神経も悪く、落ちこぼれ気味で、特技と言えば、あやとりと射撃と早昼寝しかないような僕がなんとかやっていけてるのは彼のその不可思議道具のおかげ。
今回は、その彼との生活の中でも、特に壮大な、いわば大長編の物語について、語ろうと思う。
ある日、僕は、空き地でチャンバラごっこをしていた。突拍子もなく忍者に憧れた僕は折り紙で作った手裏剣を投げ、木陰に身を隠す。
でも、結局はガキ大将の武田君に棒でぽかぽか殴られて、地面に這いつくばる始末。
「おもいしったか! 忍者よりも侍の方が強いんだ! 忍者なんてばかばかしい」
「そうだ、そうだ!」とはやし立てるのは取り巻きの滑川だ。いわば武田の腰ぎんちゃく。
そのまま僕は、空き地から自宅まで泣き帰った。
「DRMN?2112?! 武田君がいじめるよ?」と叫びながら。
「どうしたんだい? そうか、チャンバラごっこでやられたのか? なに? 忍者になりたいだって?
きみねぇ、忍者になろうと思っても大変なんだよ。幼いころから修行もしないといけないし……。えっ? 修行するから忍者のところへ連れて行けだって?
しょうがないなぁ……」
と、DRMN?2112が取り出したのは情報検索マシンのググレマスだった。ちなみに、まだ名前の無い彼は製造形式番号で呼ばれている。
「ええっと忍者、忍者と……あった。ふんふん…………。すごい、この情報によると現代にも忍者は生き残っているらしい」
早速僕と、DRMN?2112は、空間超越扉をくぐって忍者の里へ向かった。
で、さっそく取り囲まれた。忍者の集団に。
「お前たち! どこから入ってきたんだ! 目的は? さては秘伝の書を狙ってきたんだな! その狸はなんだ! 忍術か?」
「違うんです! 僕は忍者になりたくて、修行をしに来たんです」
「狸じゃないやい!」
「え?い、うるさい、縛って牢屋に入れておけ!」
「待ちなさい!」と、やってきたのは、忍者の恰好をした若い女の人だった。
「これは……若!」
若と呼ばれた女の人が、忍者の集団に向って言う。
「まだ、子供じゃないですか。それに、私は見ました。突然扉が現れて、そこからこの子達が出てくるのを。予言の示す救いの子なのかもしれない」
「なんと!」
「秘伝の書が脅威にさらされる時、狸を伴った救いの子が現れ窮地を脱するだろう……。まさにこの状況なのでは?」
「ではまさか、風魔が!?」
「風魔はもう滅んだといわれています。しかし、新たな勢力が秘伝の書の所在を突き止めたのかも知れない……」
結局、僕たちは解放されて、しばらくの間の滞在を許された。
長老の家で夕食をごちそうになることになった。さっきの女の人はアヤメという名で長老の孫娘で一緒に暮らしているらしい。
僕は聞いた。
「秘伝の書ってなんなんですか?」
「私たちの里に伝わる巻物です。時が来るまで誰にもその内容を見せてはいけないという言い伝えが残っています」
「秘伝の書の存続。それだけが我らの使命なのじゃよ」と長老が言った。
翌日から忍術の修行が始まった。
手裏剣を的に当てる修行。これは、命中シールという道具を使った。このシールが貼られているものに向って投げられものは、自然とそのシールに吸い寄せられて命中するのだ。
他の修行も秘密道具を使って、うまく乗り切った。
「君たちどこで修行したの? わたしたちが長い間修行してきた忍術をこうも簡単にやってのけるなんて!」
「いやぁ、実はこれは未来の不可思議道具を使って……もがもが……」
「だめだよ。DRMN?2112。不可思議道具の事をばらしたら。ずるだってばれちゃうじゃない!」
「そうか、でもなんだか騙しているようで悪いなぁ……」
「違うよ、忍者はほんとにいるんだって! だって僕達昨日忍者の里に行ってきたんだもん」
空き地で、僕は武田君たちと言い争いになった。忍者を馬鹿にした武田と滑川の物言いがどうしても気に入らなかったのだ。
結局信じてもらえず、証拠を見せろと言われたので、武田と滑川としづちゃんを連れて忍者の里に行くことになった。
「まさか……ほんとに忍者がいるなんて!」としづちゃん。
「あら? 今日はお友達を連れてきたの?」
僕たちの前に、アヤメさんがやってきた。
「この子たちが忍者なんていないって言うから証拠を見せにきたんです」
「そう。じゃあ、見せてあげるわ」
と、アヤメさんは華麗な忍術を繰り出した。これには、武田と滑川も驚いて、すっかり忍者に魅了されてしまった。
「せっかくだから……『忍者スーツ』!!」と、DRMN?2112が、5組の衣装を取り出した。
「なにこれ? まさかこれを着れば忍術が使えるようになるとか?」
「いや、ただの雰囲気づくり。未来の子供が忍者ごっこをして遊ぶためだけの衣装だよ」
一同、残念がりながらも、忍者の衣装に身を包んだ。
と、その時、ヘリコプターのローター音が聞こえてきた。2台、3台? いや5台はあったろうか。
次々と着陸していく。
「あれは何? あなたたちの忍術なの?」
「えっ? ヘリコプターを知らないんですか?」
「ええ、私たち一族はずっと昔からここに隠れ住んでたから……」
着陸したヘリからは、黒づくめの自動小銃などで武装した集団が次々と降りてきた。
また、異常を察知した忍者の里の面々も集まって来た。
最後にヘリから降りてきた、恰幅のいい中年が余裕たっぷりに言い放つ
「まさか、こんな時代にまだ忍者などと……。しかしあの情報は本当だったようだな。秘伝の書。あれさえあれば、我々の目標を叶えることができるかもしれん」
「あなたたち! 秘伝の書を狙って!」
そのアヤメさんの叫びに呼応するかのように、忍者と武装集団との戦いが始まった。
しかし、最新の装備で身を包んだ武装集団と忍者ではあまりにも分が悪く、つぎつぎと忍者たちは倒されていく。
「待て! それ以上里の者を傷つけるわけにはいかん!」長老がゆっくりと相手のボスへと近づいていく。
それで、一時休戦状態となった。
「ほう、それでは秘伝の書を渡すつもりになったのかね?」
「しかし……それは……」
「明日の午後12時! 再びここにやってくる。それまでに秘伝の書を用意しておけ! それまでこのじいさんの身柄はあずからせてもらう!」
言い残すと、長老を捕えた武装集団とボスは引き上げていった。
「長老が人質に取られるなんて……」がっくりと肩を落とすアヤメさん。
わずかに残った忍者たちも、一緒になって相談しているが、秘伝の書と長老の命を秤にかけて、答えが見いだせないでいる。
「DRMN?2112?! なんとかしてよ?」
「よしきた!」と力強く頷くDRMN?2112。
思えば、今回はすっかり忘れてしまっていた。何を?
便利な不可思議道具をほとんど修理に出すとか、収納用の多次元ポケットを失くすとか言う制約をかけておくことを。
終盤に来てこの落ち度はでかい。
そうなんだった。すべての道具が自由自在に使える状況である。
まずは長老を『お取り寄せバッグ』で救いだし、『偵察衛星』で敵の本拠地を探り当てる。
『地球破壊爆弾(範囲限定型)』で、本拠地ごと一気に葬ろうとも思ったが、それではあんまりなのでさすがにやめた。
『通り抜けれる輪っか』や『石ころハット』(存在感が希薄になる)などを駆使して、ボスのところまでたどり着いた。
で、いろいろあって、偶然ボスの額に張り付いた『命中シール』目がけて僕が手裏剣を投げたので、ボスをやっつけた。
そこんところを詳しく書けって? いやもう文字数が……
「ありがとう、あなたたちのおかげで里に平和が戻ったわ。それに秘伝の書も守られた……」アヤメさんが僕たちに向ってお礼を言った。
「そもそも、秘伝の書って何が書かれてるんだろうね」
「それが公開されたとき、この国は滅ぶといわれている。幕府の秘密が書かれた書物なのじゃよ」と長老。
「幕府って?」
「江戸幕府に決まってるじゃない?」
「え、江戸???!」
それから、僕たちは江戸幕府なんてとっくに滅んだなんてことを、申し訳なくって言いだせないまま忍者の里を後にした。
?fin?
一本目を。
2112光年の孤独
のび太は小さな部屋の中で
眠り起きそしてなまけ
いつでもどらえもんに道具を欲しがったりする
どらえもんは未来の球の上で
何をしていたのか 僕は知らない
(或いは ネリリし キルルし ハララしているか)
しかしいまでは現代に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ
万有引力とは
引っ張り合うジャイアンの力である
しずかはおふろでかすんでる
それ故みんなはもとめ合う
スネ夫はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である
2112年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした
「ドラえも?ん、何とかしてよ?」
今日も今日とてのび太はドラえもんに縋り付く。
「全く、君って奴は本当に駄目だねぇ」
そう言ってドラえもんはまたお説教から始める。
「お兄ちゃん、いい加減にしなさいよ。これじゃのび太さんちっとも成長できないわ」
ドラミがそう言ってメロンパンを皿の上に置いた。相変わらずクッキー生地のサクサクしたメロンパンを食べている。
「そんなこと言ってもねぇ、道具を使うことで学べることもあるわけだし…それに僕たちは友達なんだよ。仕方ないだろう」
ドラえもんは四次元ポケットから幾つか道具を出して並べている。点検でもするつもりだろうか。
「ただいまぁ、ドラえも?ん、何とかしてよ?」
そして件ののび太が帰宅する。たんこぶやら擦り傷やらでボロボロの彼はランドセルを置かずにそのままドラえもんに例の台詞を言うのだ。
……。
これじゃ駄目だ。
おじいちゃんはこのままじゃずっと変われやしない。
僕はまた野比家の家系図を辿る。
どこからトチ狂ったのかはやはり分からないが、おじいちゃんがこんなんじゃ借金も無くせやしない。
嗚呼、22世紀のこの世の中で、僕は何て気苦労の多い子供なんだろう。
21世紀に流行った自殺でもしてやろうかな、なんて思ったりするものだ。
(最近の子供はひみつ道具で仕返しできるから自殺なんてしない。)
今日も借金を返済する術を考えながら、眠るとしよう。
「こら、ノビル! いい加減に勉強しなさい!」
「やってるよ、ほら、本読んでるでしょ! 野比家の歴史の勉強だよ!」
「それはセワシお爺ちゃんの日記でしょう、学校の宿題をやりなさいって言ってるの!」
「も?、うるさいなぁ」
「そんなこと言ってると20世紀に送るからね!」
「というところまでは想像できたんだけど、それを何とかするためにもお願いだからひみつ道具出してよ?!!」
「君の想像力は凄いんだから、それをもっと別の方向に使ったらいいと思うんだけどなぁ……」
そうして結局ドラえもんは四次元ポケットに手を突っ込む。
過去を変えるのは兎角難しい、そう思わないかい?