桃太郎「偵察の結果を聞こう。」
犬「何から聞きたい?」
桃太郎「鬼のアーマーは?」
犬「タイプ X-03 後期型。」
桃太郎「機数は?」
犬「後期型が3機、前期型の強化タイプが10機。」
桃太郎「アーマーのディフェンスは?」
犬「硬度1600と500の結晶を常時動かすタイプ。
隙間は有機化合物だがミクロン単位で、実体を侵入させるにはエネルギー平衡を崩してからでないと不可能だ。
反応速度は秒速数ミリだが、一気に加速させることも可能。
高機動時の移動速度はマッハを超える。
エネルギー兵器こそ失っているようだが、あのアーマーだけでも強力な攻撃兵器だ。」
さる「相手が悪いぜ。」
きじ「賞金は魅力的だが、あんたの剣で貫ける相手なのか?」
桃太郎「・・・」
「ふっ……、異形のものと蔑まれてきた我らが、鬼退治とはな」
ばっさりと書き直すと、規約に引っかかる可能性があるので、前の回答は残しつつ(という、お約束 :-)
桃太郎「D・・、エネルギー平衡を崩せば貫けるのか?」
犬「あんた、何考えてるんだ。向こうの反応速度は普通じゃないぞ。」
桃太郎「貫けるんだな?・・それが可能ならばやれる。」
さる「攻撃を同期させるんだな?平衡を崩してから貫く。」
きじ「一瞬でもタイミングが狂えば全滅だぞ。」
桃太郎「いったん街に戻る。資材を調達する。・・・みな・・ついてきてくれ。」
いぬ「いいだろう。あんたの能力は承知している。」
さる「退治できれば俺たちは大金持ちだな。」
きじ「俺はあんたについていく。借りがあるからな。」
明るい光の中、澄んだ声が響く。
「桃太郎、先に行くよ。」
その声が夢の中の自分の声だと気付く間もなくあさりは目覚めた。
目の前には簡易テントの土色の生地。
地獄のような戦場から脱出してのち、心休まる日は一日たりとも無い。
戦場での日々が続いている。
だのに、夢の中は幼い頃の日々。
自分が何者なのか知らなかった頃の幸せな記憶。
あさりは人工的に遺伝子を強化された人間だ。
人工子宮で発生し、隔離された環境で注意深く育てられた。
桃太郎とは同期で、同じ教育施設で育った。
遊びの中で戦闘を教えられ、常に厳しく育てられた。
飢餓や精神的な欲望に対する耐性訓練もあった。
孤独の中で迷ったとき、彼女はなぜかいつも桃太郎のことが気になった。
「あいつはどうしているかな?」って。
そして、そう考えることで何とか精神を崩壊させなかった。
訓練は常に厳しかった。
中略
桃太郎「先に一機、斥候の機体を拿捕する。手順は分かっていると思う。タイミングは任せる。私の方は確実に仕留めてみせる。」
いぬ「それから?」
桃太郎「応援が駆けつける前に拿捕した機体から死体を出して、・・そこに さる おまえが乗り込め。できるだけ派手に動いてもらう。」
さる「俺は道化かよ。精々派手に暴れてやるさ!」
桃太郎「携帯ミサイルはいぬが使う。弾数は限られる。効果的に頼む。」
いぬ「分かっている。あんたこそ仕留め損なうなよ。」
桃太郎「キジは上空から援護と牽制だ。最初の煙幕と牽制のレーザー、そして戦況報告を頼む。」
きじ「滞空できるのは30分が限度だ。無理すると15分でもやばい。さっさとけり付けないと逃げるからな。」
桃太郎「5分で終わらせる。いくぞ!」
桃太郎「あさり、何で・・」
あさり「死にたくない・・けど・・ああ・・さいごに会えて良か・・・・」
春の光の中、島のサクラが咲き誇っていました。
それは幸せ薄い女の命の花のようにも見えたのでした。