いつもの帰り道。わたしは列車に揺られ、希望が駅で降りる。そうして、家路に向かって、駅の自転車預かり所から自転車を出して、駅前通を通り過ぎて、父と母の待つ、坂の上の家に帰る。OLになっても自転車だなんて、なんだかおかしくなって、時々笑う。この町はとても治安の良い町でだから安心して帰ることができる。そのとき・・。


流れ星がひとつ、東の空を駆け下りた。

わたしは、ふと、願い事を言ってみた。言った後で、まわりに誰もいないことを確認して、少し顔が火照ってしまった。今夜は特に月が明るい。無事に帰宅して、ドアを開ける。「ただいま」「おかえり。今日もつかれたでしょ。あれ、なんだか、うれしそうね」「そうかな、なんでもないよ」

「創作はてな」です。よろしければ、続きをお願いします。

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「おかえり。今日も疲れたでしょ。あれ、なんだか、嬉しそうね」

「そうかな、なんでもないよ」

 なんでもないよ、と言った言葉が、よほど嬉しそう聞こえたのか、母はウフフ、と笑うと廊下をパタパタと歩いて、キッチンへ消えていった。私は何かへんなところでもあったのかな、と思いつつ、キッチンへと向かう。最近新調したばかりのオープンキッチンはピカピカと誇らしげに輝いて、その中で母は楽しげに料理を作っていた。

「お父さんは遅くなるから、先に作ってるの」

 特に聞いてもいないのに、母は独り言のようにそうつぶやいた。なにやらフライパンから肉汁をたっぷりと含んだハンバーグの香りがする。

 私は鼻をヒクヒクさせながらその香りを嗅いだ。

「おいしそーう」

 母はいそいそと支度をしながら、

「今日の特売品でね、安かったの」

 と、香りとは全く別の感想を漏らした。私はいったん台所を出て自室に鞄を置くと、暖かい湯船につかり、一日の疲れを洗い流した。お風呂から上がり、髪の毛を乾かす頃には、料理が食卓へと並べられていた。私はテーブルに腰掛けて母の後片付けが終わるのを待った。目の前にはテレビのリモコンがあった。こちらも最近プラズマに新調したばかりだ。私はとりあえずバラエティーにチャンネルを合わせると、しばらくテレビに釘付けになった。そうこうするうちに、唐突に、玄関のチャイムが鳴った。

「はーい」

 母はすぐに玄関へと出ようとする。

「いやいいよ、私出るから」

 私は母に伝えると、玄関へと向かった。

 廊下を歩いて玄関へ到達すると、私は小さな覗き窓を覗く事もせず、扉を開いた。すると、遅くなる、といっていた父がそこにいた。

「あれ、お父さん、今日は遅いんじゃなかったの?」

父は分厚いコートを脱ぐ動作と同時に靴を脱ぎ始めた。私は毎回、この動作を器用だと思う。

「いや、ハンバ-グは父さんの大好物だからな」

 父は満面の笑みを浮かべると自室へと向かった。きっと残業を断るのは大変だっただろうと私は思った。父の家庭に対する思いが伝わってくるようだった。




 ひとまず、これで家族全員が揃った。私たちは、手を合わせると、一時の団らんに心を和ませた。父は会社でのおもしろ話をし、母はそれを茶化す。このいつもの光景はどんなバラエティーよりも面白い。私はこの家族に生まれて良かった、とそう思っていた。そんな中、話が途切れ、ちょっとした沈黙が訪れることがよくあった。今日も例に漏れず、そんな瞬間が訪れた。父はこんな時に限り、必ずこんな話を始めるのだ。

「おまえ、結婚はどう考えてるんだ」

 あちゃー。私はこの質問が大の苦手だった。どうと言われても。私があからさまに嫌そうな顔をしていると、母がそこへ割って入った。

「およしなさいよ。今は時代が違うんだから、結婚だって本人の自由じゃない」

「俺としては、ハナを手放すのは嫌だ。だが、その俺が覚悟を決めていっているんだ。真剣に答えてもらわなくては困る」

 ますます逃げ場がなかった。私は小さくなると、そのままうつむき加減で、目の前のテーブルの角を見つめた。

「心配なさらなくても、この娘はきっといい人を連れてきますよ。ね?」

 母はこちらを向くとにっこり微笑んだ。まるで、見透かしているわよ、という表情だった。もしかして、帰った時の表情から察して言っているのだろうか。だとしたら結構勘違いしてるなー。




 ほんの数時間前、希望が駅から帰るとき、私は空を眺めていた。この辺りは郊外だから、比較的空気が綺麗だ。自転車をこぎ出すと、目の前には空一杯の星空が広がった。まるで、胸一杯にあふれるような素晴らしい景色に、私は果てしない宇宙を感じていた。それと、意中の彼の事も。彼は仲間聡(なかまさとし)という。私はにっこり顔で、まるで高校生みたく、立ちこぎで自転車を走らせた。そんな中、一筋の光が横切った。流れ星だった。私はその瞬きに向かって、彼と付き合えますように、そう願った。

 そこから、満面の笑みを浮かべたままで、私は家に帰ったのだ。




「こら、人の話を聞きなさい」

 父の声が私を星空の世界から引き戻した。食卓のハンバーグの油が白く固まろうとしてた。まだ食べきってもないのに、説教なんて。

「ほら、お父さん、まだ食事がすんでないのよ? この娘の食事が済んでからにしなさいな」

「いつもそうやって、引き延ばそうと……」

 父はしかめっ面のまま、食事を終えると、お母さん、ごちそうさま、と一言だけを残して書斎に消えた。

 母は父がキッチンから出て行くのを確認すると、私の方へずい、と顔を近づけると、ニンマリしてこう言った。

「ハナ、いい人出来たんでしょ。ほら、言いなさい、隠したって分かるわよ」

 どうして母こんなゴシップネタみたいな話が好きなんだろう。私は少しうんざりした。

「いないよ」

「あらそう? じゃあなんでさっきはあんなにニコニコしてたの?」

 母の方がよほどニコニコしている。わざわざ父を遠ざけて、聞きたいことは父と一緒か。先ほど「ナイスアシスト、母さん」と思った私が馬鹿だった。とんだオウンゴールだ。

 それから押し問答が続き、夜は更けていった。

 母はこうと思いこんだら絶対に自分の予測を曲げない。例え私が本当の事を伝えても。そこら辺は父にそっくりだ。

 だから結婚したんだね。二人とも。




 忙しそうに、社内の人間は動き回っている。あちこちでコピーの音が響き、ハイヒールを履いて颯爽と歩く女性社員や、PCの目の前で、渋い顔でキーを叩く男性社員が目に映る。私はデスクの角に張られた付箋紙に目を通すと、仕事を一つずつ片付けていった。

 ふと、私を呼び止める声がした。それは、低音で、とても渋い声の持ち主。私は高鳴る胸もそのままに、その声の主の方へと振り返る。彼だ。聡君だ。

「ああごめん、ハナちゃん。これのコピーを取ってきてくれないか」

 聡君は私にコピーを渡すと、再びPCに向かう。後ろ姿もクール&セクシー。なんて素敵なのかしら。私はしばらくその後ろ姿を見ていたい欲求に駆られながら、彼が手渡した書類を胸に抱きしめ、コピー機へと向かった。ああ、(彼が手を添えた)書類を離したくない。

 しかし、そうも言ってられない。私は一枚一枚丁寧にコピーを取ると、枚数を確認し、急いで聡君の待つデスクへと向かった。

「ありがとう」

 なんて爽やかな笑顔なのかしら。白い歯がきらりと光る。

「ごめん、ついでにそのコピーを各部署に置いてきてくれないか。回覧用って言えば分かるよ」

「はい」

 そう言い終わるが早いか、私は振り向こうとしたが、彼は私を呼び止めて、私のポケットについていた埃を、笑顔で払ってくれた。心臓がバクバクと鳴って、足が震えそうになりながら、何とか悟られないように、私はその場を後にした。他部署へゆくため、階段を下りたが、それでも鼓動は収まらない。私は呼吸を整えながら、書類に何となく目を通した。仕事のことを考えれば、少しは落ち着くかも知れない。そう思って、一枚一枚歩きながら目を通してゆく。そして、ふう、とため息をつき、私はなにげにポケットに手を入れた。あれ? これは何だろう。カードのような感触のものが、ポケットに入っていた。おかしいな、このスーツのポケットは普段使わないのに。私はそのカードらしきものを取り出すと、内容を確認した。そこには手書きの文字で、こう書かれていた。

“実は、前々から、君のことが気になっていたんだ。もし良かったら今度食事にゆきませんか”

 私は

「やったー!!」

の“や”の字まで叫びかけ、思わず口に手を当てて周囲を見渡した。不機嫌そうな男性社員が怪訝な顔つきでこちらを見た。通り過ぎる女性社員もきょとんとした表情でこちらを見ている。

「すみません」

 私は小声で謝った。




 そこからの展開は早かった。彼と幾多のデートを繰り返し、みるみるうちに、彼と私の仲は親密なものになっていった。そして、ある晩のこと、展望台の、夜景をバックに彼は小さな箱を取り出して、そっと目の前で開けた。それは夜景に照らされて、静かな輝きを放っていた。彼はその小さな輝きをそっと私の指にはめてくれた。

「結婚……しよう」




 父はいつにもまして厳格な表情でテーブルに座っていた。母がいそいそとキッチンに用意してあったクッキーの生地を焼く。いつもの見慣れた光景。大きな、花瓶の置いてある窓から日の光が降り注いでいる。父の顔にその光が当たり、険しい顔が余計に浮き彫りになった。隣には彼、そう、聡君が座っていた。もっとも、今の呼び方は聡、かな。

「娘とつきあい始めたのはいつからだね」

 沈黙を破って父が重低音を響かせた。こんな迫力のある父を見たのは、小学校で行方不明になりかけたとき以来だ。小さな埃が光の中をふわふわと漂う。

「一年前からです」

 もう一年になるんだな、と私は思った。こうやって常に何かを考えていないと、息が詰まりそうだった。

「なぜ報告しない」

 さらに重圧が強くなった。彼は真剣な眼差しで父と対峙している。がんばって。聡。

「申し訳ありません。本当はご報告に上がるつもりでしたが、仕事の都合があり、なかなか手が空きませんでした」

 私の情報を聡は有効利用した。父は仕事人間だから、きっとそういう理由を話せば黙らざる得ない。しかも、彼はまるで自分の意見であるかのように、表情を一切変えずに言ってのけた。度胸も据わっている。おまけにイケメン。最高よ、かっこいいわ、聡。

「それでは君の仕事とは何かね」

 聡は業務の内容を事細かに説明し始める。しかも、父の世代にはわかりにくいPCの話も、かみ砕いて分かりやすく伝えている。さすが、スーパーリーマンね。あ、これは褒め言葉としては微妙か。

「ううむ」

 父の表情が曇り始めた。やった。私はグーニーズのフラッテリー 一味が崩壊してゆくシーンを思い出した。父の牙城は崩れつつあった。

「娘は……」

 父が絞り出すような声を上げた。私は、もしかして、ドラマでおきまりのあの台詞が、父の口から聞けるのかと思って期待した。“娘はやらん”とか言ってくれそうだ。いや、言うのだろうか。

「娘は……娘は……」

 父は苦しそうに苦悶の表情を浮かべた。次第に父の顔が紅潮してゆくのが分かった。こんな真剣な場面だというのに、私はその顔を見て、思わず吹き出しそうになっていた。

「娘は……私のたった一人の、大事な娘なんだ。今までずっと母さんと一緒に面倒を見てきたんだ……それを、それを貴様は」

 まずい展開だった。だけど、どう転んでもこういう展開になるのだろうと思った。父の性格を考えれば仕方のない事だ。しかし、次の瞬間、父の口から予想外の言葉が飛び出した。

「た、頼む。連れて行かないでくれえぇー」

 父は顔を紅潮させたまま大泣きに泣き出した。まるで子供だった。そのままテーブルに伏せると、父は泣き続けた。聡はぽかーんとした顔をしている。母もポカーンとした表情でその顔を見つめている。そもそもクッキーを焼くことに余念がなかった母は今までの状況を分かっていない。私もポカーンとして父を見つめた。計三人のポカンが場の空気を完全に間抜けなものにしてしまった。そのまま三時間が経過して、父が復帰したのは夕方だった。

 私はこの日以来、この現象を三大ポカン現象と呼ぶことにした。



 それからというもの、聡が家へくるたびに父の涙腺はゆるんだ。聡は父の涙腺スイッチ係と化していた。らちがあかなかった。聡がくるたびに父は泣き落としで話を引き延ばしたのだから、いつまでも話が進展するはずもない。あれだけ「話をそらすな」、と幾度も言い、結婚話に引きづり込もうとした父の面影はどこにも見あたらなかった。

 聡も最初の頃はずっとまじめに父の説得を試みていたが、さすがにあれから一年を過ぎようとする頃、堪忍袋の緒が切れてきた。

「ハナのお父さん、ちょっとおかしいよ」

 私のイライラも最近ではさすがに最高潮に達してしまい、ついにこんな調子で口火を切った。

「聡がもっと忍耐強く説得しないからお父さんが折れないのよ。泣いてる人間になにてこずってんのよ!」

 もうあとはご想像通り。見る間に二人の中は険悪になり、ついには破局寸前まで悪化した。




 私はいつものように、あの希望が駅の自転車置き場から自転車を引きずり出した。だけど、今日は自転車に乗る気になれない。私はとぼとぼと坂道を自転車を押しながら、うつむいていた。自然と涙が流れ、足が止まる。時々通り過ぎる車のライトが私の顔を照らそうとするが、私はその時だけ後ろを向いて顔を隠した。それからまた、がんばってとぼとぼ歩き出したが、どうしてもやりきれなくなって、私は自転車を路上に止めてしゃがみ込んで泣き出していた。

 そんなときふと、道路が光ったような気がした。まるで雷の光が辺りを照らすような光だった。私は瞬時に空を見上げた。流れ星が一瞬尾を引いているのが見えた。私はその瞬間、手を合わせて、必死になって祈った。ほとんど本能的に、そうやっていた。

「聡と、聡と結婚させて!」




 家に帰ると、父がすでに帰宅しているようだった。父はなぜか上機嫌だった。しかもシラフなのに。父の上機嫌の意味が分からなかったので、私は母に原因を聞くことにした。母は言った。

「なかなかいい男じゃない、聡君って。私がもっと若ければなぁ」

 母はなんだか意味深なことを言った。私は訳が分からないまま父のところへゆくと、椅子に腰掛けてテーブル越しに父の顔をまじまじとのぞき込んだ。

「なんだ、この家から出て行く前に、お父さんの顔を焼き付けておきたくなったか」

 私は混乱した。お父さんはつい昨日まで聡の前で泣いてたじゃない。

「いやー、まさかおまえがあんないい男を連れてくるとは、夢にも思わなかったよ」

 私はからかわれている気分になり、席を立つと、キッチンから出て行った。

 おかしい。なんだこの違和感。私は自室に閉じこもると、昨日までの聡との戦況を考えた。どうせ別れるなら、勝ってから別れたい。負けたままで引き下がるのはいやだ。私は殺気をみなぎらせつつ、携帯を手にとって、聡が出てくるのを待った。やがて、電話口の向こうから聡の声がした。昔は、この声が大好きだった。フイにそう思ったのが命取りだった。私は切ない気持ちになってしまい、こちらからかけたのに、無言電話になってしまった。しかし、ちゃんと誰から着信しているか位は伝わっているはず。程なく聡の方からこんな言葉があった。

「どうしたの? どうして無言なの? まあいいや。今日始めてお父さんと会ってきてね、それで、結婚の話をしたんだ」

 えっ!? と思った。今日始めて? 一年前からのらりくらりとやってたじゃない。

「それでさ、お父さん、結婚を認めてくれて」

 私はふとカレンダーに目がとまった。その時ほど、私は自分の目を疑った事はない。そのカレンダーには、昨日まで2006年の文字が書いてあったはず。それが、今見ると、2005年で止まってしまっている。私はカレンダーにバツの字を付けるのが日課になっていたから今日が何日かも明確に分かった。それは、ちょうど聡が指輪をくれた3日後だった。




 そして私に、もう一度2006年がやってきた。だけど、あの時のように聡と喧嘩をしているわけではなかった。私は聡と食卓を囲み、傍にはスヤスヤと眠る赤ん坊の姿があった。不思議なことに、聡の出世の仕方だけは、前の2006年とあまり変わりがなかった。

何はともあれ、私は今日もこの平和な日々を過ごすのだ。

 私は窓を開けると、そこには尾を引く流れ星の姿があった。私は両手を合わせて心から願いを込めた。

「この幸せが続きますように」








おわり

id:aoi_ringo

新しいキャラクターが出来ましたね。笑。

今回のお話しもすてきです。あたたかいです。

ありがとうございました。

2006/10/24 05:59:35

その他の回答9件)

id:jyouseki No.1

回答回数5251ベストアンサー獲得回数38

ポイント15pt

家の電話が鳴った。

わたしが一番近くにいたので出た。

「運送屋です。昼間荷物をお届けに伺ったのですが、お留守でしたので持ち帰りました。今からお届けしてもよろしいでしょうか?」

「はい、今からならおりますのでどうぞ」

我が家では通信販売をよく利用するので、このような電話はよくある。

家族に確認するまでもなく、わたしは受話器を置いた。

「今の電話何?」

母が尋ねた。

「荷物が来ているから今から届けに来るって。誰か何か頼んだ?」

「さあ、頼んだ憶えはないけど」

「じゃあ、お父さん?」

「いや、何も注文していないよ」

「あれ? 何が来るんだろう」

しばらくするとトラックの音が聞こえてきた。

「こんばんは。荷物が来ています」

トラックには大きな箱が載っていた。

配達伝票から、送り主はテレビ局であることがわかった。

「おめでとうございます。クイズ番組『カラカラテレビ』の賞品があなたに当選しました」

と書かれていた。

やっと事情がわかった。

日曜日のゴールデンタイムにやっている、出場者が賞品を獲得できなかったときは視聴者に抽選で贈るというクイズ番組で、わたしが当たったんだ。

そういえば葉書を出していたけど、まさか当たるなんて思っていなかったから、忘れていた。

賞品は電動自転車!

さっき流れ星に「電動自転車が欲しいです」ってお願いしたんだ。毎日坂を上るのが少し大変だったから。

でも、お願いしたときはもう当たっていたんだけど・・・。

いや、きっと気の早い流れ星が時間の壁を超えて願い事を叶えてくれたに違いない。

「ねえ、お母さん、さっきね、流れ星に電動自転車が欲しいってお願いしたんだよ」

「まあ、そんな作ったような話して」

「本当なんだから・・・」

id:aoi_ringo

とても素朴で暖かみがあります。

ありがとうございました。

わたしも電動自転車ほしい・・。

2006/10/24 05:50:27
id:syujisumeragi No.2

回答回数7ベストアンサー獲得回数0

ポイント15pt

プシュッ。


私はビールの缶を開けた。昔だったら、仕事から帰ってビールを飲むのは父と決まっていた。

母がご飯をよそってくれる。不思議な光景だ。私は大人なのか子供なのか。


ビールをごくり、と一口飲み込んだ。幸せが、体中に広がる。

「さっきから嬉しそうな顔をして。どうしたのよ。」

母はしつこく尋ねてくる。ひとり娘である私の日常を聞いては、自分のことのように笑ったり怒ったりする。


「もしかすると、結婚できるかも……」


そう言うと、母の顔色が変わった。

「ど、どんな人なの。」

「んー。別にどんな人とかじゃなくて。」

私の答えに、母が不思議そうな顔をする。


「流れ星にお願いしてきたの。」


父が吹き出した。

「相変わらずだなぁ。」

そういうと父も冷蔵庫からビールを取り出した。


いつのまにか変わっていく日常。いつかは終わる日常。

でも、私はこのまま居たいと思った。


----

男ですが書いてみました。

id:aoi_ringo

いえいえ、「創作はてな」ですから。

静かないいお話しでした。

ありがとうございました。

2006/10/24 05:51:48
id:sun5sun No.3

回答回数358ベストアンサー獲得回数7

ポイント10pt

来年の今頃は、ダイスキな人との温かい家庭のある家に帰れるような未来が待っていますように・・・・

少し恥ずかしくなってしまった自分。

にやけた顔は、もちろん親にはすぐばれてしまったようだった

id:aoi_ringo

ありがとうございました。

2006/10/24 05:52:14
id:tarou4649 No.4

回答回数132ベストアンサー獲得回数0

ポイント10pt

「ぜったい何かあったでしょ!」「へへばれた?実はさっき流れ星にお願い事したんだ」「何をお願いしたの?」「あのね、OLはもういやだから彼氏がほしいって!」私は顔をほてらせていった・・・

次の日いつものように帰宅途中また流れ星と思ったらこっちに向かってくる!「な、なにあれ」必死に逃げてなんとかよけた。するとそれは超イケメンの男性だった。私はひとめでほれてしまった・・・


非現実的ですいません

id:aoi_ringo

いえいえ。ありがとうございました。

2006/10/24 05:52:52
id:aparonecia No.5

回答回数13ベストアンサー獲得回数1

ポイント15pt

私は小包を後ろ手に隠しながら、

弾む心を抑えつつ温かな食卓へと向かう。

大切な父と母の結婚記念日。

二人だけのお祝いの日だったけど今日からは私もお邪魔しようかな。

流れ星に

「お父さんとお母さんがいつまでも元気でいてくれますように」

なんていつまでもお願いできないだろうから。


両親と見る秋の夜長の大きな月は滲んで見えた。

うれしさ半分。さみしさ半分。

OLになってもまだまだ私は甘えたりないようだ。

id:aoi_ringo

うまいですね。

ありがとうございました。

2006/10/24 05:53:33
id:ElekiBrain No.6

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ポイント50pt

「おかえり。今日も疲れたでしょ。あれ、なんだか、嬉しそうね」

「そうかな、なんでもないよ」

 なんでもないよ、と言った言葉が、よほど嬉しそう聞こえたのか、母はウフフ、と笑うと廊下をパタパタと歩いて、キッチンへ消えていった。私は何かへんなところでもあったのかな、と思いつつ、キッチンへと向かう。最近新調したばかりのオープンキッチンはピカピカと誇らしげに輝いて、その中で母は楽しげに料理を作っていた。

「お父さんは遅くなるから、先に作ってるの」

 特に聞いてもいないのに、母は独り言のようにそうつぶやいた。なにやらフライパンから肉汁をたっぷりと含んだハンバーグの香りがする。

 私は鼻をヒクヒクさせながらその香りを嗅いだ。

「おいしそーう」

 母はいそいそと支度をしながら、

「今日の特売品でね、安かったの」

 と、香りとは全く別の感想を漏らした。私はいったん台所を出て自室に鞄を置くと、暖かい湯船につかり、一日の疲れを洗い流した。お風呂から上がり、髪の毛を乾かす頃には、料理が食卓へと並べられていた。私はテーブルに腰掛けて母の後片付けが終わるのを待った。目の前にはテレビのリモコンがあった。こちらも最近プラズマに新調したばかりだ。私はとりあえずバラエティーにチャンネルを合わせると、しばらくテレビに釘付けになった。そうこうするうちに、唐突に、玄関のチャイムが鳴った。

「はーい」

 母はすぐに玄関へと出ようとする。

「いやいいよ、私出るから」

 私は母に伝えると、玄関へと向かった。

 廊下を歩いて玄関へ到達すると、私は小さな覗き窓を覗く事もせず、扉を開いた。すると、遅くなる、といっていた父がそこにいた。

「あれ、お父さん、今日は遅いんじゃなかったの?」

父は分厚いコートを脱ぐ動作と同時に靴を脱ぎ始めた。私は毎回、この動作を器用だと思う。

「いや、ハンバ-グは父さんの大好物だからな」

 父は満面の笑みを浮かべると自室へと向かった。きっと残業を断るのは大変だっただろうと私は思った。父の家庭に対する思いが伝わってくるようだった。




 ひとまず、これで家族全員が揃った。私たちは、手を合わせると、一時の団らんに心を和ませた。父は会社でのおもしろ話をし、母はそれを茶化す。このいつもの光景はどんなバラエティーよりも面白い。私はこの家族に生まれて良かった、とそう思っていた。そんな中、話が途切れ、ちょっとした沈黙が訪れることがよくあった。今日も例に漏れず、そんな瞬間が訪れた。父はこんな時に限り、必ずこんな話を始めるのだ。

「おまえ、結婚はどう考えてるんだ」

 あちゃー。私はこの質問が大の苦手だった。どうと言われても。私があからさまに嫌そうな顔をしていると、母がそこへ割って入った。

「およしなさいよ。今は時代が違うんだから、結婚だって本人の自由じゃない」

「俺としては、ハナを手放すのは嫌だ。だが、その俺が覚悟を決めていっているんだ。真剣に答えてもらわなくては困る」

 ますます逃げ場がなかった。私は小さくなると、そのままうつむき加減で、目の前のテーブルの角を見つめた。

「心配なさらなくても、この娘はきっといい人を連れてきますよ。ね?」

 母はこちらを向くとにっこり微笑んだ。まるで、見透かしているわよ、という表情だった。もしかして、帰った時の表情から察して言っているのだろうか。だとしたら結構勘違いしてるなー。




 ほんの数時間前、希望が駅から帰るとき、私は空を眺めていた。この辺りは郊外だから、比較的空気が綺麗だ。自転車をこぎ出すと、目の前には空一杯の星空が広がった。まるで、胸一杯にあふれるような素晴らしい景色に、私は果てしない宇宙を感じていた。それと、意中の彼の事も。彼は仲間聡(なかまさとし)という。私はにっこり顔で、まるで高校生みたく、立ちこぎで自転車を走らせた。そんな中、一筋の光が横切った。流れ星だった。私はその瞬きに向かって、彼と付き合えますように、そう願った。

 そこから、満面の笑みを浮かべたままで、私は家に帰ったのだ。




「こら、人の話を聞きなさい」

 父の声が私を星空の世界から引き戻した。食卓のハンバーグの油が白く固まろうとしてた。まだ食べきってもないのに、説教なんて。

「ほら、お父さん、まだ食事がすんでないのよ? この娘の食事が済んでからにしなさいな」

「いつもそうやって、引き延ばそうと……」

 父はしかめっ面のまま、食事を終えると、お母さん、ごちそうさま、と一言だけを残して書斎に消えた。

 母は父がキッチンから出て行くのを確認すると、私の方へずい、と顔を近づけると、ニンマリしてこう言った。

「ハナ、いい人出来たんでしょ。ほら、言いなさい、隠したって分かるわよ」

 どうして母こんなゴシップネタみたいな話が好きなんだろう。私は少しうんざりした。

「いないよ」

「あらそう? じゃあなんでさっきはあんなにニコニコしてたの?」

 母の方がよほどニコニコしている。わざわざ父を遠ざけて、聞きたいことは父と一緒か。先ほど「ナイスアシスト、母さん」と思った私が馬鹿だった。とんだオウンゴールだ。

 それから押し問答が続き、夜は更けていった。

 母はこうと思いこんだら絶対に自分の予測を曲げない。例え私が本当の事を伝えても。そこら辺は父にそっくりだ。

 だから結婚したんだね。二人とも。




 忙しそうに、社内の人間は動き回っている。あちこちでコピーの音が響き、ハイヒールを履いて颯爽と歩く女性社員や、PCの目の前で、渋い顔でキーを叩く男性社員が目に映る。私はデスクの角に張られた付箋紙に目を通すと、仕事を一つずつ片付けていった。

 ふと、私を呼び止める声がした。それは、低音で、とても渋い声の持ち主。私は高鳴る胸もそのままに、その声の主の方へと振り返る。彼だ。聡君だ。

「ああごめん、ハナちゃん。これのコピーを取ってきてくれないか」

 聡君は私にコピーを渡すと、再びPCに向かう。後ろ姿もクール&セクシー。なんて素敵なのかしら。私はしばらくその後ろ姿を見ていたい欲求に駆られながら、彼が手渡した書類を胸に抱きしめ、コピー機へと向かった。ああ、(彼が手を添えた)書類を離したくない。

 しかし、そうも言ってられない。私は一枚一枚丁寧にコピーを取ると、枚数を確認し、急いで聡君の待つデスクへと向かった。

「ありがとう」

 なんて爽やかな笑顔なのかしら。白い歯がきらりと光る。

「ごめん、ついでにそのコピーを各部署に置いてきてくれないか。回覧用って言えば分かるよ」

「はい」

 そう言い終わるが早いか、私は振り向こうとしたが、彼は私を呼び止めて、私のポケットについていた埃を、笑顔で払ってくれた。心臓がバクバクと鳴って、足が震えそうになりながら、何とか悟られないように、私はその場を後にした。他部署へゆくため、階段を下りたが、それでも鼓動は収まらない。私は呼吸を整えながら、書類に何となく目を通した。仕事のことを考えれば、少しは落ち着くかも知れない。そう思って、一枚一枚歩きながら目を通してゆく。そして、ふう、とため息をつき、私はなにげにポケットに手を入れた。あれ? これは何だろう。カードのような感触のものが、ポケットに入っていた。おかしいな、このスーツのポケットは普段使わないのに。私はそのカードらしきものを取り出すと、内容を確認した。そこには手書きの文字で、こう書かれていた。

“実は、前々から、君のことが気になっていたんだ。もし良かったら今度食事にゆきませんか”

 私は

「やったー!!」

の“や”の字まで叫びかけ、思わず口に手を当てて周囲を見渡した。不機嫌そうな男性社員が怪訝な顔つきでこちらを見た。通り過ぎる女性社員もきょとんとした表情でこちらを見ている。

「すみません」

 私は小声で謝った。




 そこからの展開は早かった。彼と幾多のデートを繰り返し、みるみるうちに、彼と私の仲は親密なものになっていった。そして、ある晩のこと、展望台の、夜景をバックに彼は小さな箱を取り出して、そっと目の前で開けた。それは夜景に照らされて、静かな輝きを放っていた。彼はその小さな輝きをそっと私の指にはめてくれた。

「結婚……しよう」




 父はいつにもまして厳格な表情でテーブルに座っていた。母がいそいそとキッチンに用意してあったクッキーの生地を焼く。いつもの見慣れた光景。大きな、花瓶の置いてある窓から日の光が降り注いでいる。父の顔にその光が当たり、険しい顔が余計に浮き彫りになった。隣には彼、そう、聡君が座っていた。もっとも、今の呼び方は聡、かな。

「娘とつきあい始めたのはいつからだね」

 沈黙を破って父が重低音を響かせた。こんな迫力のある父を見たのは、小学校で行方不明になりかけたとき以来だ。小さな埃が光の中をふわふわと漂う。

「一年前からです」

 もう一年になるんだな、と私は思った。こうやって常に何かを考えていないと、息が詰まりそうだった。

「なぜ報告しない」

 さらに重圧が強くなった。彼は真剣な眼差しで父と対峙している。がんばって。聡。

「申し訳ありません。本当はご報告に上がるつもりでしたが、仕事の都合があり、なかなか手が空きませんでした」

 私の情報を聡は有効利用した。父は仕事人間だから、きっとそういう理由を話せば黙らざる得ない。しかも、彼はまるで自分の意見であるかのように、表情を一切変えずに言ってのけた。度胸も据わっている。おまけにイケメン。最高よ、かっこいいわ、聡。

「それでは君の仕事とは何かね」

 聡は業務の内容を事細かに説明し始める。しかも、父の世代にはわかりにくいPCの話も、かみ砕いて分かりやすく伝えている。さすが、スーパーリーマンね。あ、これは褒め言葉としては微妙か。

「ううむ」

 父の表情が曇り始めた。やった。私はグーニーズのフラッテリー 一味が崩壊してゆくシーンを思い出した。父の牙城は崩れつつあった。

「娘は……」

 父が絞り出すような声を上げた。私は、もしかして、ドラマでおきまりのあの台詞が、父の口から聞けるのかと思って期待した。“娘はやらん”とか言ってくれそうだ。いや、言うのだろうか。

「娘は……娘は……」

 父は苦しそうに苦悶の表情を浮かべた。次第に父の顔が紅潮してゆくのが分かった。こんな真剣な場面だというのに、私はその顔を見て、思わず吹き出しそうになっていた。

「娘は……私のたった一人の、大事な娘なんだ。今までずっと母さんと一緒に面倒を見てきたんだ……それを、それを貴様は」

 まずい展開だった。だけど、どう転んでもこういう展開になるのだろうと思った。父の性格を考えれば仕方のない事だ。しかし、次の瞬間、父の口から予想外の言葉が飛び出した。

「た、頼む。連れて行かないでくれえぇー」

 父は顔を紅潮させたまま大泣きに泣き出した。まるで子供だった。そのままテーブルに伏せると、父は泣き続けた。聡はぽかーんとした顔をしている。母もポカーンとした表情でその顔を見つめている。そもそもクッキーを焼くことに余念がなかった母は今までの状況を分かっていない。私もポカーンとして父を見つめた。計三人のポカンが場の空気を完全に間抜けなものにしてしまった。そのまま三時間が経過して、父が復帰したのは夕方だった。

 私はこの日以来、この現象を三大ポカン現象と呼ぶことにした。



 それからというもの、聡が家へくるたびに父の涙腺はゆるんだ。聡は父の涙腺スイッチ係と化していた。らちがあかなかった。聡がくるたびに父は泣き落としで話を引き延ばしたのだから、いつまでも話が進展するはずもない。あれだけ「話をそらすな」、と幾度も言い、結婚話に引きづり込もうとした父の面影はどこにも見あたらなかった。

 聡も最初の頃はずっとまじめに父の説得を試みていたが、さすがにあれから一年を過ぎようとする頃、堪忍袋の緒が切れてきた。

「ハナのお父さん、ちょっとおかしいよ」

 私のイライラも最近ではさすがに最高潮に達してしまい、ついにこんな調子で口火を切った。

「聡がもっと忍耐強く説得しないからお父さんが折れないのよ。泣いてる人間になにてこずってんのよ!」

 もうあとはご想像通り。見る間に二人の中は険悪になり、ついには破局寸前まで悪化した。




 私はいつものように、あの希望が駅の自転車置き場から自転車を引きずり出した。だけど、今日は自転車に乗る気になれない。私はとぼとぼと坂道を自転車を押しながら、うつむいていた。自然と涙が流れ、足が止まる。時々通り過ぎる車のライトが私の顔を照らそうとするが、私はその時だけ後ろを向いて顔を隠した。それからまた、がんばってとぼとぼ歩き出したが、どうしてもやりきれなくなって、私は自転車を路上に止めてしゃがみ込んで泣き出していた。

 そんなときふと、道路が光ったような気がした。まるで雷の光が辺りを照らすような光だった。私は瞬時に空を見上げた。流れ星が一瞬尾を引いているのが見えた。私はその瞬間、手を合わせて、必死になって祈った。ほとんど本能的に、そうやっていた。

「聡と、聡と結婚させて!」




 家に帰ると、父がすでに帰宅しているようだった。父はなぜか上機嫌だった。しかもシラフなのに。父の上機嫌の意味が分からなかったので、私は母に原因を聞くことにした。母は言った。

「なかなかいい男じゃない、聡君って。私がもっと若ければなぁ」

 母はなんだか意味深なことを言った。私は訳が分からないまま父のところへゆくと、椅子に腰掛けてテーブル越しに父の顔をまじまじとのぞき込んだ。

「なんだ、この家から出て行く前に、お父さんの顔を焼き付けておきたくなったか」

 私は混乱した。お父さんはつい昨日まで聡の前で泣いてたじゃない。

「いやー、まさかおまえがあんないい男を連れてくるとは、夢にも思わなかったよ」

 私はからかわれている気分になり、席を立つと、キッチンから出て行った。

 おかしい。なんだこの違和感。私は自室に閉じこもると、昨日までの聡との戦況を考えた。どうせ別れるなら、勝ってから別れたい。負けたままで引き下がるのはいやだ。私は殺気をみなぎらせつつ、携帯を手にとって、聡が出てくるのを待った。やがて、電話口の向こうから聡の声がした。昔は、この声が大好きだった。フイにそう思ったのが命取りだった。私は切ない気持ちになってしまい、こちらからかけたのに、無言電話になってしまった。しかし、ちゃんと誰から着信しているか位は伝わっているはず。程なく聡の方からこんな言葉があった。

「どうしたの? どうして無言なの? まあいいや。今日始めてお父さんと会ってきてね、それで、結婚の話をしたんだ」

 えっ!? と思った。今日始めて? 一年前からのらりくらりとやってたじゃない。

「それでさ、お父さん、結婚を認めてくれて」

 私はふとカレンダーに目がとまった。その時ほど、私は自分の目を疑った事はない。そのカレンダーには、昨日まで2006年の文字が書いてあったはず。それが、今見ると、2005年で止まってしまっている。私はカレンダーにバツの字を付けるのが日課になっていたから今日が何日かも明確に分かった。それは、ちょうど聡が指輪をくれた3日後だった。




 そして私に、もう一度2006年がやってきた。だけど、あの時のように聡と喧嘩をしているわけではなかった。私は聡と食卓を囲み、傍にはスヤスヤと眠る赤ん坊の姿があった。不思議なことに、聡の出世の仕方だけは、前の2006年とあまり変わりがなかった。

何はともあれ、私は今日もこの平和な日々を過ごすのだ。

 私は窓を開けると、そこには尾を引く流れ星の姿があった。私は両手を合わせて心から願いを込めた。

「この幸せが続きますように」








おわり

id:aoi_ringo

新しいキャラクターが出来ましたね。笑。

今回のお話しもすてきです。あたたかいです。

ありがとうございました。

2006/10/24 05:59:35
id:hanatomi No.7

回答回数853ベストアンサー獲得回数36

ポイント15pt

奥からはお腹の大きい姉の顔が見える。

「おかえり~。おつかれさん。」

姉のだんなはまだ帰ってないようだ。

母はエプロンで手を拭きながら満面の笑みで言う。

「今日はね、コロッケ。あのね、ジャガイモが安かったの。聞いてよ。こぉんな大きいのが、こんなに入って100円だったのよ!」

父が言う。

「だからって5袋も買ってきたの、お前くらいなんじゃないか?」

みんなの笑い顔が見える。



今年、私も結婚する。

相手は幼馴染で5人兄弟の末っ子。

小さい頃から良く遊びに来て 家でご飯食べてたなぁ

今、ガレージを改築して小さな部屋を作っている。

そこが私達の新しい場所となる。

ちっちゃいお家に沢山の笑顔。

これが我が家の幸せである。



さっきの願い・・

「みんなでずっと暮らせますように。」

もうすぐ叶うな。と思ってリビングから夜の空を見た。

お月さんが微笑んでるようだった。

id:aoi_ringo

きれいです。

ありがとうございました。

2006/10/24 06:00:41
id:kyrina No.8

回答回数64ベストアンサー獲得回数3

ポイント20pt

 その晩の真夜中だった、日付が変わったころだろうか?

私は、なんだか、呼ばれているような気がして、灯りをつけないまま窓際に向かった。

 まん丸なはずの月が、何か少し違和感を持って感じられた。

 月食だ。こうして見るのは何年ぶりだろう? ふと、視界端ににチカチカと点滅する光があることに気が付いた。

 携帯にメールが着信していたらしい。海外出張中の彼からだ。

「今夜、月食だよ。今僕は見上げている。君はどうしている?」

そうか、遠い空の下で、同じ月を今見上げているんだ。

「私もだよ」

短く返信をすると、再び、ジッとかけていく月に目を向けながら

「会いたいな」

と、願った流れ星への想いを思い出した。

今、叶っているような気がした。

id:aoi_ringo

すこし、古典の、特に漢詩の一節を思い出しました。

きれいですね。

ありがとうございました。

2006/10/24 06:01:51
id:TomCat No.9

回答回数5402ベストアンサー獲得回数215

ポイント20pt

台所からいい匂いがしてくる。

「あ、肉じゃが?」

「そうよ」

「父さん好きだもんねー。すぐ着替えてきて手伝うわ」

「いいよ、あなたは少し休みなさい」

 

母がお茶を淹れてくれる。私の家はこんな家。

 

「ねえ、誰か好きな人はいないの?」

あー、またこれだ。私はいつも笑って答える。

「毎日定時で帰ってくる娘じゃない方がいいの?」

 

そ、そういうわけじゃないけど、と母が慌てる。そこへ、父が帰ってくる。

 

「おー、肉じゃがだ」

 

ふふふ。私と同じこと言ってる。帰って来るなり、みんな肉じゃが。ひとつの料理で家族みんなが幸せになる。そんな素敵な物を作ってしまう家庭の主婦って偉大だなあ、と思う。私だって、そういう家庭を作ることに憧れてはいるのよ。

 

でもねえ。なぜか私の周りの男って、生活感のない恋愛ばかりを求めたがる。一緒に遊びに行く女ばかりを欲しがってるみたいなの。私の欲しい恋の形と、ちょっとずれてるの。だから私は遊びの誘いにも乗らず、毎日定時で帰ってくる。ここには、恋はないけど、愛があるもん。家族愛。

 

食卓を囲みながら、父がどーしょーもないギャグを言う。オヤジ丸出し。でも、そんな父を嬉しそうに見つめる母の視線が好き。私は、そういう恋がしたい。

 

さて、食後の団らんが済むと、父はお風呂に入る。私はいつもその後だけど、べつに嫌だったりはしない。ゆっくりと湯船に浸かると、小さかった頃を思い出す。父といつまで一緒にお風呂に入っていたっけ。私、ずいぶん育っちゃったな。あはは、おっぱいぷよぷよ。こんなもん、子供の頃にはなかったのに。

 

さあ。お風呂から出て自分の部屋に入ってからが今夜の勝負。毎晩毎晩負け続け。今夜はどうだろう。髪を乾かして、ローションぱたぱた、お肌の手入れをして、もう寝るばかりの姿になって、そしてドキドキしながらノートPCの蓋を開ける。

 

ぎゅいん。ランプがついて、ディスクが回る。来た!未読のメールが一件。おそるおそる、メールを開く。お星様、お願い!

 

がっくり。今夜も私の負け。来ていたメールはスパムでした。あー。カナダに行ったきりのあの人は、いったいいつ帰ってくるの? 私は忘れてない。

 

「お前の家って、なんかあったかいな」

「でしょ。私、ああいう家を作ってくれる人のお嫁さんになるんだ」

「そうか。じゃ、待ってろ。帰ってきたら、俺が引き受けるから」

「え? え?」

 

高校時代の先輩。私の大好きだった人。アメリカの大学に進んで、そのあとカナダに野生動物の研究に行ったきり。でも、今でも月一くらいでメールだけはくれるんだ。

 

そんな彼からのメールが欲しいと、私はお星様にお願いしたの。でも、だめだったみたい。消えるまでに2.8回くらいしか、願い事、言えてなかったのかも。

 

私はそのまま眠りに就いた。赤毛のアンに出てくるようなカナダの景色を思い浮かべながら。ちょっと涙を流しながら。北米との時差も忘れて・・・・。

 

*     *     *

 

翌日、突然仕事中に携帯に着信があった。彼、今日の便で成田着だって!! お星様、北米の夜に、願い事、届けてくれた!!

 

お父さん、お母さん、これから定時で帰らなくなる悪い娘を、よろしくね(はあと)。

id:aoi_ringo

文章がおもしろかったです。

ありがとうございました。

2006/10/24 06:03:42
id:miyahiko No.10

回答回数36ベストアンサー獲得回数7

ポイント25pt

「ーーなんだかうれしそうね。」

「そうかな?なんでもないよ?」

と私は返事を返す。

「流れ星に願い事を頼んできたんだよ。」

とは口が裂けてもいえない。

そんなことをうちの母さんに言った日には・・。

「お母さん、おなかすいたー」

母さんの変に鋭い洞察力に内心ドキリとしつつも、素直な欲求を

言葉にする。

「あらあら、もう少し待っていてね。今日はごちそうよ。」

「はーい。」

といいながら、期待感が否応にもなくふくれあがる。

この香りから察すれば、間違いなくシチューだ。

うちの母さんのシチューは天下一品。

そこら辺の美食家に食べさせれば、涙を流して喜ぶだろう。

流さない奴は、人間として認めない。

ちょっとうれしくなって、一段とばしで階段を昇る。

できあがるまでもう少し時間がかかるだろう。

それまで、明日の会議の準備をすることにした。

-------------------------------------------

「ただいま。」

「お帰りなさい。あれ、あなたもうれしそうね?」

「ん。いやちょっとね。おっ、それより今日はシチューか!」

僕はこのシチューが大好きだ。いろんな思い出が詰まっている。

何よりも味は天下一品なのだ。そこら辺の美食家に食べてもらえば

涙を流して喜ぶに違いない。

平然と食べる奴は人間じゃないと思う。

と、2階からバタバタ!ガタン!と音が聞こえてくる。

「あ、母さん、美雪帰ってきてたんだ。」

元気なのは良いんだけど、少しガサツな娘だなと思う。

誰に似たのか。

「ええ、少し前にね。さ、疲れたでしょ。今日はシチューですよ。」

微笑みながら、鍋を食卓に用意する。いつものように母さんは

テキパキとお皿を並べていく。

「いつもありがとう。愛しているよ。」

と、言いたいが、やっぱり恥ずかしいので

「おう、ありがとう。」

と答える。何よりスイッチが入ると困る。

さて、と。娘も降りてくるようだし、このまま食事にすること

にした。

----------------------------------------------

私が香りに誘われるように、階段を下りていくと父さんが帰って

きていた。

「父さんお帰りー。今日は早いね。」

「ああ、ただいま。もうシチューできてるぞ。」

と、うれしそうな顔で答える。父さんもシチューが大好きなのだ。

私はスプーンとコップを人数分用意すると、いつもの席に着いた。

「あら、ありがとう」

と母さんが言いながら、手際よくシチューを皿によそう。

それが終わると、みんなでそろって

「いただきます。」「いただきます」「いっただきまーす!」

と、三者三様の挨拶をした後、食べ始める。

やっぱりおいしい。

とろけるとような舌触りに、きのこの食感、バンブランソースと

食材の香りが絶妙なバランスで鼻腔をくすぐり、そしてなんと

言っても決め手となる牡蛎がダシ、火の通しともしっかりしてお

りーーーーーいけない、妄想がとまらなくなる。

とにかくそのくらいおいしいのだ!!

子供のような顔で食らいついていた父さんが、ふっと顔を上げ、

「実は美雪に謝ることがあるんだ。」

その表情はいつになく真剣だ。思い当たる節は無いのだが。

はっ!まさか、自転車で石を引っかけて転んだことがあったけど、

石を置いたのは・・!?

「実は・バイクを買ってきたんだ。お前のためにね。」

!?言われた言葉がすぐには理解できず、ゆっくりと脳が認識

する。

「え、ホントに!!ありがとう!!」

思わず、ガタッと飛び上がろうとしてしまう。

「お前、まえに自転車じゃつらいとか言ってたよね。だから。

 筋肉ばかりつくと、余計なものが付かなくなるからな。」

ーーそれこそ余計だ。と内心つっこみを入れつつ本当に

嬉しかった。

「流れ星に頼んだおかげね。」

と母さんがさらりといい、私はするりとうなずき返す。

しまった!と思ったときにはもうすでに遅かった。

父さんも「あっ。」と間抜けな声を出す。

「きゃー!やっぱりそうだったのね。帰ってきたとき嬉しそう

だったし、今日は星もきれいだったからそんな感じがしたのよね。

やだ、美雪ってば照れないでお母さんにも教えてくれれば

よかったのにー。私が父さんとあったときにはーーー」

・・始まってしまった。どこからスイッチなのかは分からないど、

ある条件のもとに母さんはメルヘンモードに入ってしまうのだ。

しかも、父さんとの思い出を毎回語り出すけど、どんどん尾ひれが

付いていってしまうのだった。

なぜ、健全なサイクリングでお姫様だっこがでてくるというのだ。

とにかく、しばらくは妄想の混じった思い出話が続くだろう。

こういうときは、うなずきながら、おとなしく

シチューにありつく方がよい。

こういった部分は、似て無くて良かったと思う。

悪い気もするが、ふと父さんに聞いてみる。

「私、前に自動車がほしいとは言ったけど。」

父さんは母さんの話を楽しそうに聞きつつ、

「だからはじめに謝っただろ。

半分はかなったんだから、後の半分は自分で実現しなさいな」

ああ、だからか。と納得する。父さんはこういった部分では厳しい。

シチューを食べながら、

今度流れ星にあったときは、自動車じゃなくて、

ジャンボジェットをお願いしてみようかなと本気で思った。

id:aoi_ringo

うまいですね。情景が浮かびます。

ありがとうございました。

2006/10/24 06:06:24

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