【イエはてな】“イエ・ルポ 2” #042

むやみやたらに切ってはいけないと戒めていたそうですね。

また、「おーい」と呼んで「おーい」と返ってくる「こだま」を「木霊」と書くところから、やたらに木を切ると木霊にたたられて、頭ががんがんしたり耳鳴りがしたりする、なんて言われていた地方もあるそうです。

そこで、木を切る時には隣りに苗木を植えて、木龍さん、木龍さん、このたびこれこれこういう事情でこの木を切りたいと思いますので、どうかこちらの苗木にお移りください、なんていうことをやっていたと聞きました。

まだ自然保護なんていう考えがなかった時代。むしろせっかく人が切り開いた土地も、ちょっと放置しておけばすぐに草木に飲み込まれてしまうような、自然が優位に立っていた時代。そんな時代にも、人々は様々な言い伝えで、樹木の大切さを説いていたんですよね。

植物も生きています。ペットの終生飼育が法的義務であるように、植物も一度植えたら、法律の定めはないものの、人はやはりその命に責任を持っていくのが当然ですよね。

動物を飼うなら、その前に、飼おうとしている動物が自分の居住環境や生活サイクルに照らし合わせて無理がないか、終生飼い切れる自信があるかを検討することが求められますが、庭木を植える時だって、将来どんな大きさになるのか、10年後、20年後も責任を持ってその場に生やし続けていけるのかを、しっかり検討していくことが欠かせません。木もペットも基本は同じ。生命尊重を第一に考えていきたいですね。