【謎解き・謎のリスト・Ｆ吉の企み】

「どうＢ美、Ｆ吉が何を企んでるかわかる？」
「Ｄ菜。こういうのはまず、不自然なところに注目するの。」
「え、もう分かっちゃったの？　えーと、不自然なところ……」
「ここ。なんかムカつく。何よ、最低って！」
「くすくす。違うわよ、良いところを突いてるけどね」
「あ、12個ある。もしかしたら星座？　これ、てんびん座のマーク？」
「違うわよ。これは巫女さんの「み」。わざとやってない？」
「やってない、やってない。ねえ、教えてよお、Ｂ美ぃ」
「例えば、確定ってみっつしかないわよね。ひとつは私だけど、あとはＪ尼」
「うん、うん」
「よく見ると、『制』がふたつあるわね」
「うん、うん」
「『相互に入れ替えＯＫ』というのが固まってるのも気になるわね」
「う～ん。で、結局、なんなの？」
「あら、噂をすれば……」
「あ、Ｆ吉。おーい、Ｆ吉ー。こっち、こっちー」
「ん、Ｄ菜？　Ｂ美も一緒か……」
「目が泳いでるわよ、Ｆ吉くん」
「な、なにが？」
「Ｊ尼はスタイルが良いから、ミニスカートとか似合うわよねえ。」
「ぎくっ」
「何よ、ぎくっ、って」
「私はどうしようかなあ……」
「……」
「もう、ばれてると思ってるんでしょ？」
「ま、まあね。携帯で写真撮ったら、シャッター音が鳴るからな」
「えー、こっそり撮ったつもりだったのにぃ。あ、思い出した！　何よ、このＤ菜最悪って！」
「痛っ、違うよ、そういう意味じゃなくって……」
「じゃあ、何なのよ！」
「そのへんにしときなさいよ、Ｄ菜。ズバリ言うと、『Ｆ吉激写。美女カレンダー計画』ってところね」
「あ、それで12個なのね」
「そう、来月からの撮影計画ってところじゃない？
　『花』、『浴』、『水』、『体』ときて女の子の名前が横に書いてある。
　それを書いたのがデジカメを買ったばかりのＦ吉ときたら被写体候補としか思えないわ。
　Ｊ尼(確定)の『水』、『サ』と12行あることから月ごとの計画だと考えると、
　『水』が水着、『サ』がサンタの格好だと気が付くのは、そう難しくは無いわ。
　あらためて月をふってみると、こうなるわね」

四月　制・・・Ｘ(未定)
五月　旅・・・Ｉ穂？　　　　　　←他にいいアイデアは？
六月　花・・・Ｙ(未定)　　　　　　最悪、Ｄ菜？
七月　浴・・・Ｂ美？　Ｊ尼？
八月　水・・・Ｊ尼(確定)
九月　体・・・Ｄ菜？　Ｊ尼？　　　相互に入れ替えОＫ
十月　図・・・Ｂ美(確定)　　　　　相互に入れ替えОＫ
11月　エ・・・Ｙ(未定)　　　　　　相互に入れ替えОＫ
12月　サ・・・Ｊ尼(確定)
一月　巫・・・Ｄ菜？　Ｂ美？
二月　私・・・Ｉ穂？　Ｄ菜？　　←Ｄ菜にはリも頼む？
三月　制・・・Ｘ(未定)

「『制』が二つあるのは、入学式と卒業式なのよ。
　相互に入れ替えＯＫなのは、スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋ね。体操服、図書館員、エプロンってところかしら。
　一月の『巫』は、初詣のイメージで巫女さんね」
「また思い出した。六月のＤ菜最悪って何よ！」
「痛っ、だから違うって……」
「ミナサン、楽シソウデスネ。今度ハ何デモリアガッテルノデスカ？」
「あ、Ｊ尼。ねえ、聞いてよ。Ｆ吉がＪ尼の恥ずかしい写真を撮りたい……」
「違う、違う。海水浴にでも行って、ちょっと写真を撮らせてもらえればなあ、って」
「ＯＫデスヨ。今年ハ水着ヲ新シクスルツモリダッタノデ、ハリアイガデマース」
「まあ、私も浴衣くらいなら良いかな」
「くりすます用ノみにすかーとモ持ッテマース。トナカイノ着グルミモアルノデ一緒ニ撮リマショウ」
「何よー、にやけちゃって！　もう、Ｆ吉ぃ！」

　　――――


「あれから七年も経つんだなあ」

　スマホのアルバムアプリを閉じると、つい独り言が口に出てしまう。結局、六月分は傘とレインコートでお茶を濁した感じになってしまった『Ｆ吉美女カレンダー』は、今も大切な思い出のひとつだ。機種を変えても、データはいつでも見られるように大事にとっておいてある。

「Ｆ吉、お待たせ。どうかなあ、結構気に入ってるんだけど」

　着慣れない白いタキシードで小一時間待たされているぼくに、今日、何度目かのセリフを言うＤ菜に、ぼくも何度目か覚えていない、同じセリフを返す。

「うん、似合ってるよ。Ｄ菜が気に入ってるなら、それで良いんじゃないかな」
「そう？　一生に一度だけのことだから、妥協はしたくないのよね」

　『Ｆ吉美女カレンダー』は、三ヶ月後に完成する予定だ。
　きれいだよ、Ｄ菜。

このリストですが、

カレンダーの写真ではないでしょうか

学校のカレンダーということで、4月から3月まで。
メモは写真のモデルの着るコスチュームを示しています。

4月：入学式で新入生の女の子：制服　新入生だから未定。声かけて撮らせてもらう。もしくは盗撮。
5月：GWから旅行という繋がり。：旅姿。だけど、ちょっと学校らしくないのでアイデアを再考しないとというメモ。
6月：ジューンブライドから：花嫁　ちょっと無理があるが、最悪D菜ですまそうという魂胆
7月：夏だから：浴衣。　見栄えのしそうなB美やJ尼を考えてる。
8月：真夏といえば：水着　ガイジンのビキニにすでに決定済み
9月：秋は体育会シーズン：体操着　だれでもいい？
10月：読書の秋：図書委員　雰囲気でB美
11月：食欲の秋：エプロン　エプロンの似合いそうな子がいない
秋の9月10月11月は、秋のあいだは相互に入れ替え可能。
12月：クリスマス：サンタ　もちろんミニスカサンタのガイジン。これは譲れない。
1月：正月の初もうで：巫女　巫女の衣装を着れば誰でもOK　
2月：冬だから：私服　（リがわからない）
3月：卒業式なので、卒業生：制服　卒業生を撮らないといけないので未定

こんなことを考えましたが、いかがでしょう。


小説風に仕上がりませんでした。残念。

Ｂ美は淡々と言った。
Ｂ美「Ｆ吉ったらまたひとりで突っ走って途方もないことを考えてるわね」
Ｄ菜は尋ねた。
Ｄ菜「どういうこと？」

Ｂ美は確認した。
Ｂ美「Ｆ吉ってオタク要素満載よね？」
Ｄ菜は深く頷いた。
Ｄ菜「そうなの、萌属性が沢山あって……」
Ｂ美は解説した。
Ｂ美「そんなＦ吉がパソコンとデジカメを手に入れたらどうすると思う？」
Ｄ菜「デジカメがあったらとりあえず写真を撮るんだと思うけど……」
Ｂ美「そうよ、その着想が今回のメモなのよ」
Ｄ菜「どういうこと？」

Ｂ美は断言した。
Ｂ美「今回のノートへのメモは、Ｆ吉が大好きなコスチュームや女子の姿を並べていったものよ」
Ｄ菜「制って……じゃあ制服とか？　それを誰に着せるかって言うリストなの？」
Ｂ美「そう」

Ｂ美はメモを取り出して以下のようなリストを作った。

　制服
　旅行
　花嫁
　浴衣
　水着
　体操服
　図書委員
　エプロン
　サンタクロース
　巫女
　私服
　制服

－－－－－－－－－－
Ｂ美「これがそのリストの完成形よ」
Ｄ菜「どうして全部わかるの？　３つめの『花』だって花嫁じゃなくって花魁とかかもしれないじゃない？」
Ｂ美「よくまあ花魁なんて言葉がでてきたわねぇ。でも違うの。これには、リストの順序がが関係しているの。ねえ今は何月？」
Ｄ菜「えっ？　それは３月だけど……」
Ｂ美「そう、だから４月からこのリストは始まるの。そう考えたらすべてが納得いくわ。

４月は入学シーズンだから制服姿。
５月はＧＷがあるから旅行ね。ツアーガイドかしら？
６月はジューンブライドだから花嫁姿。ね、花魁じゃあ６月と繋がらないでしょ？（←ここ苦労しました）
７月は夏祭り気分で浴衣姿。
８月は水着ね。夏真っ盛りだから。

９月はスポーツの秋。ってことで体操服よ。ブルマー姿にさせられるわ。
１０月は、読書の秋で、図書委員。図書室とか図書館で写真を撮られるわ。
１１月は食欲の秋ということで料理研究家。エプロン姿ね。裸エプロンじゃないことを祈るばかりね。
」
Ｄ菜「なんか、駆け足でキャラも活きていないし面白くもなんともない台詞を長々とありがとう。
　そしたら、ひょっとしてこの相互に入れ替え可能っていうのは……」
Ｂ美「秋が続くってことでこの３つは相互に入れ替え可能なのよ。どれが秋でもおかしくないからね。
　さらに言えば、ここだけコスチュームっぽくなかったから、スポーツの『ス』から『体』に変更になったし、料理の『料』からエプロンの『エ』になったわね。
　『図』は苦しいけど他に読書を現す言葉ってなかなかないから……」
Ｄ菜「そういう意味での５月の『旅行』っていうのもゴールデンウィークでまあシーズンっちゃあシーズンだけど、いまいちしっくりこないから……」
Ｂ美「そう、『他にいいアイデアは？』なんて注釈を入れているの」
Ｄ菜「じゃあ、１２月はサンタクロースで１月はお正月だし巫女さんの衣装ね。あれ？　２月は『私服』？」
Ｂ美「２月と言えば節分かバレンタインだけど、鬼の格好だと萌えないし、エプロンは使っちゃったから。ひとつぐらい私服があってもいいって思ったんじゃない？
　で、最後は３月で制服に戻るというわけよ。卒業式シーズンだからね。毎月一枚ずつの写真といえば……」
Ｄ菜「そっかぁ、カレンダーね。Ｆ吉プロデュースのカレンダープロジェクトってわけかぁ！　Ｆ吉のやつぅ、なんてばかばかしいことを……
　急いでＩ穂とＪ尼に知らせなくっちゃ。まんまと口車に乗せられてモデルになんてならないように！！」
Ｂ美「それがいいわね」
Ｄ菜「あっ、ちょっと待って？　この２月の『私』の後の『リ』って何？」
Ｂ美「それは、多分『リボン』じゃないかしら？　バレンタインだし、チョコの代わりに私を貰ってって。よくあるでしょ？　アイドルの写真集なんかで」
Ｄ菜「それを私に頼もうってか？　もう、Ｆ吉。ただじゃおかないから！」

おしまい。