タイムトラベラー、タイムリーパー、テレポーター、超高速移動する人、長期間冷凍睡眠した人…
常人には越えられない時間や空間を越えた人ならおおむね何でも歓迎です。
××は読みました・見ました、というコメントを書くかもしれませんが、私が未見かどうかではポイント差をつけません。有名な作品でも気にせず挙げてください。
既出とかぶる回答は、魅力を独自の言葉で熱く語っていればOKです。(「自分も上と同じ意見です」はNG)
二回目いきます。
冷凍睡眠
冷凍睡眠と聞いて思い出したのが3作(うち「遙かなる賭け」については後述)でした。
『スリープ』
主人公は若年向け科学番組の人気レポーター・羽鳥亜里沙。
頭脳明晰・才色兼備、それでいて十代とは思えぬ落ち着きと常識を持ち合わせています。
未来科学研究所を取材した時、彼女のファンというより崇拝者であった所長によって開発段階だった冷凍睡眠カプセルに入れられ、目覚めた時には30年後の世界だった。
かつてのレポーター仲間で今はノーベル賞科学者の男性の助けによって目覚めるのですが、そもそも人の生死にまつわる冷凍睡眠技術は倫理的な解決がなされてなく、勝手に覚醒させるのは法に触れてしまう。
しかし亜里沙への想いが男性を突き動かし、30歳差の二人の逃避行が始まるというもの。
あらすじ的には冷凍睡眠によって一気に時間を超えた魅力的なヒロインのタイムトラベルストーリーのようなのですが、著者は『イニシエーション・ラブ』の乾くるみだけに単純な話ではなくて、驚愕の展開が待っているのですよ。
結末を知っている自分としてはここで紹介するにはふさわしくない気もしました。
かといってネタバレしちゃうとつまらない。だから特にレビューのリンクもしません。
そこは読んでみて判断してほしいところです。
『コールドスリープ』
冷凍睡眠から目覚めた主人公。繭のような容器から出て気付けば周りは小学校の教室みたいな部屋だった。
そして部屋を出て遭遇したのはいい歳して遊びに興じる頭のイカれた大人たち。
ここはどこでいったい何時なのか?
本格的なSFかと思わせておいて待っているのは予想外の展開。
正直、魅力的なタイムトラベラーと言えるのかどうか迷ったところですが、昨日読み直してみて登場人物たちの顛末が愉快だったのでつい入れたくなりました。
ホラー文庫として収録されていますが、どっちかと言うとブラックジョークの類ですね。
筒井康隆がお好きということなので、気に入るんじゃないかなぁと思いまして。
繰り返す一日
繰り返しものでは先に『リプレイ』と『七回死んだ男』を紹介しましたが、今度は同じ一日を延々と繰り返す二作です。
『ターン』
先に紹介した北村薫『スキップ』と同じく時と人の三部作の一つで『スキップ』と同じくらい大好きな作品です。
交通事故をきっかけにヒロインは自分ひとりしか存在しない世界でひたすら同じ一日を繰り返す。
まさに時間の牢獄といいますか孤島といいますか。
終わりの見えないターンの中で突然電話のベルが鳴ったことで物語は動き出す。
電話相手の男性はいったい?そしてヒロインはターンから抜け出せるのか?ヒロインの行く末に手に汗を握る展開はさすがと言えましょう。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20071031/1193837784
『秋の牢獄』
『ターン』がたった一人で一日を繰り返し、最終的に外との繋がりがその脱出のきっかけになるのに対し、こちらでは主人公のヒロインの他、同じ境遇の仲間がいることと、北風伯爵という異形の存在がいるという設定がおおいに違っています。
北風伯爵に出会ったリプレイヤーは抹殺されるとも脱出できるとも噂され、その存在は神か悪魔か。
ストーリーおよび全編に漂う幻想的な雰囲気の良さではこちらも『ターン』に劣らず読むものを惹きこませる内容だと思っています。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20101222/1293028206
パラレルワールド
『時砂の王』
25世紀において宇宙に進出した人類は突如侵略してきた機械型の異星人との戦いに明け暮れていた。
人類の反撃を受けて劣勢に陥った異星人が取ったのは時間遡行技術により過去の脆弱な人類への攻撃だった。
そこで人類も人間に限りなく近い人工知性体を過去の時代に送って、神のような存在となって人類を助けて戦うのです。
その中で本隊とは別に100年ごとに移動しながら戦っているのが主人公のO(オーヴィル)。
過去の人間たちは目の前の利害に執着するばかりにその隙を衝かれてしまって連敗続き。そんな中でオーヴィルが最終決戦として選んだのが邪馬台国の時代の日本であり、彼と組むことになった卑弥呼が魅力的なヒロインとして描かれています。
未来からの時間旅行者が神のような存在として扱われて神話として遺ったという設定はたまに見ますが、そこに異星人との戦いを入れたのがユニークでしたね。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20100911/1284183246
『ダイノサウルス作戦』
『異聞ミッドウェー海戦』にも登場するタイムパトロールのシリーズで、今回は恐竜進化のIFを取り上げています。
ちなみにここではタイムパトロール隊員のヴィンス・エベレットはお邪魔虫じゃなくて、ちゃんと主人公として活躍します(笑)
猿の系統から人類が進化したこの世界と、恐竜から進化した異類(実質、恐竜人と言える)の世界が存在し、それぞれ時間航行を発明した未来からやってきて、地球の歴史上で枝分かれした重要なポイントで睨み合っているという設定が面白いです。
そこで我らが主人公はトラブルに巻き込まれて時空を超え、知能を持った恐竜人と出会って戦ったり友情を結んだりするわけです。
恐竜人の扱いがエイリアンではなく、ひょっとしたら有りえたかもしれない人類と同等の存在として親しみを持って描かれていたのが良かったです。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110131/1296480024
なお、著者の豊田有恒は恐竜ではなく有袋類が進化した世界を描いた、これまたタイムパトロールシリーズの『カンガルー作戦』も発表しています。
どちらも生物の進化史を学びたくなるような興味そそる内容ですよ。
アンソロジー
アンソロジー短編集は内容がバラバラだったり玉石混淆だったりするので一回目は対象にしなかったのですが、この二つは特にセレクトが優秀なので入れてもいいかなと思いました。
中でも特に印象に残ったものを紹介します。
『タイム・トラベラー―時間SFコレクション』
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20120609/1339232235
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」という映画はご存じでしょうか?
http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/
80歳の状態で生まれ、年を取るごとに若返る人生を与えられた男の一生を描いています。
通常の人とは歳の取り方が逆ゆえに教育や恋愛などさまざまな面で障害にぶち当たる、なんともやるせない物語であり、その原作なのが「若くならない男」です。
他には記憶を改竄されてしまった男が愛する人のために自らも過去に溯って賭けに出た「ここがヴィネトカならきみはジュディ」。
不治の病の恋人を冷凍睡眠カプセルに入れ、未来への長い長い旅に出た男「遙かなる賭け」などただのタイムトラベルとは一味もふた味も違う優れた時間SFの短編が収録されています。
『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20100911/1284183247
こんばんは。口火を切ります。
宮部みゆき「たった一人」の探偵河野と、おそらく同じ系譜にあたる「蒲生邸事件」の平田次郎、それから半村良「戦国自衛隊」の伊庭義明を推したいと思います。このお題を耳にしてこの1週間にいろいろと読み返したのですが、この3作は僕にとっては頭一つ抜けています。共通するのは「歴史の自同律」に立ち向かって精一杯力を尽くして負けていくところ。中身は、3作とも何をどうしゃべってもネタバレになるので、まずは控えます。
中でも「たった一人」(『取り残されて』所収)の河野/梨恵子が僕にとってはベスト。宮部さんの文章がつっかえつっかえしているんです。終盤、がちがちに力が入っている。当時の宮部さんはどうしても「そのこと」を伝えたかったのでしょう。解説の北上次郎さんが見事に感化されているのも面白い(僕も通勤電車で感極まりました)。半村良も、軍隊とか天皇制に対してどうしてもいっておきたいことを、登場人物の科白や地の文で記しています。
ちょっとだけあらすじを。「たった一人」は、どういうわけか無性に気になる夢を見る25歳の地味なOL梨恵子が、夢にせかされるようにして初老の探偵河野を訪ねる不思議で鮮烈な話。「蒲生邸」は、さえない予備校生尾崎君が、宿泊先のホテル火災(ホテルニュージャパンからの着想かな…)を、タイムトラベラーの資質をもってしまった平田次郎に助けられ、昭和11年(雪の226の東京)にスリップし、女中勤めをするふきさんと淡い恋に落ちる話です。どっちもちょっと違うんですけど、「つかみ」としてはそういうことにしてください。「戦国自衛隊」は、あらすじ不要ですかね。演習中の陸上自衛隊の一団21名が戦国時代に時滑りするんです(対峙する長尾景虎と家臣の対応が見事です)。もし手に取る場合は、原作と、1549がつかない千葉真一のほうを見てください。
みんな負けていくんです。負けを引き受けるその潔い、あるところではニヒルな、しかし耐える姿に、再読/再視聴して、つくづく魅入られたこの1週間でした。
あと2作ほど用意しています。みなさまの紹介文を拝読して、場合によっては妙な角度から切り込ませていただく覚悟ですw
はっ早っ!! 素早い回答ありがとうございます。
「とり残されて」「蒲生邸事件」は大好きな作品で挙がってうれしいです。
「戦国自衛隊」もあらためて読み返したくなりました。
まだまだお手持ちのカードがたくさんありそうで、ワクワクしております♪
ありがとうございます。書いてからわがツンデレ振りに気づきました。「戦国自衛隊」もっとほめたいw えっとですね、伊庭義明は知(智)将です。なぜかは、お読みになった方にはわかる深い理由があって書けないのですが、こういういい方ならありかな、「信長の野望」に必要な知略は「戦国自衛隊」の伊庭の行動に詰まっているといっていいw タイトルがよくないんです。「戦国自衛隊」って角川映画そのまま。NHKは大河ドラマでやるべきです。何のこっちゃ。ほかのカードも繰っておきます!
※いつもに増して長文注意
さてタイムスリップ(タイムトラベル)作品というものはその現象からしてSF的であり、内容によっては本格的歴史ものにもなったり、冒険・恋愛・ミステリ・コミカルな要素も取り入れたりと多種多様に及んでいます。
さらに一口にタイムスリップの手段も様々です。
王道としてはタイムマシンですが、そんなものがなくても雷だの嵐だの隕石の落下だの磁気の乱れ(?)といった自然現象が関係することが多いですが、トンネルを抜けたり水の中に落ちたり階段から落ちるといったアクシデント、ラベンダーの香りを嗅いだり寝て目覚めただけだったり、中には生まれ変わりだったり本人の生まれつきの体質だったり気合によって時空を跳んでしまう。
対象が過去/未来はもちろんのこと、決して史実通りではなくパラレルワールドとして似ているがどこか違う世界だったり、全く違う進化をとげた世界さえあり。
オーソドックスに一人旅が多いけど、団体さんご一行もあり、利害が対立する人(集団)同士というお節介な設定、はたまた日本列島まるごとという破天荒なものまで。
まぁ今回は魅力的なタイムトラベラーということなのでほぼ一人か数名に絞られるかと思いますが。
せっかくの機会ですから、様々な傾向から質問の趣旨に合いそうな作品を紹介していきたいと思います。
1.過去へ
やはりタイムトラベルものの多くが時間を遡る内容になりますね。
そこでタイムトラベラーの行動は設定により大きく分かれます。
歴史知識を持っているか持っていないか(もっと細かく言えば歴史マニアだったり、教科書程度だったり歴史音痴だったり)。
さらにその行動としても、歴史に積極的に介入するか、しないようにするか。
前者は生き残りのためだったり特定の目的(誰かを救うなど)を持つ確信犯的であることが多いようです。
後者は逆に歴史を変えてしまうことによって自分が消滅したり元の時代に戻れなくなることを恐れたりしつつも結果的に変えてしまうことが多かったりします。
歴史を変えていたつもりが結果的には大きな流れは変えられなかったという、いわゆる歴史の修正力もよく見られます。
そのあたりで主人公の行動の結果によって歴史がどう動くか、主人公や周囲の人物の運命はどうなるのかがストーリーの醍醐味ですね。
①自分が誕生するより過去の時代へ
私の知る限り過去へのタイムスリップとして多いのが日本は戦国時代(安土桃山含む)、日本海外共通で第二次世界大戦前後です。
戦国時代ものの走りはdk4130523さんが既にあげている半村良の『戦国自衛隊』でしょうか。
個人的には映画(1979年公開版)で千葉真一演じる伊庭三尉が恰好良かったですが、内容的には原作小説(および田辺節雄による忠実な漫画化)の方がストーリーがしっかりとまとめられて断然良いです。
最近の戦国ものであれば一人戦国自衛隊とも言える『戦国スナイパー』の笠間慶一郎二等陸曹を挙げたいところなんですが、「魅力的な架空の飛び道具の使い手を紹介してください。」で回答してましたね。
『戦国自衛隊』(原作)はネタバレすれば一種のパラレルワールドであり、積極的に歴史介入した結果が実は…というオチが秀逸であります。
『戦国スナイパー』はなんせ一人だし本人が歴史介入に消極的ですが、実は影響しちゃってるらしい。結末がどうなるかはわかりませんが、織田信長という存在自体が歴史の鍵を握るだけにこの時代の中で笠間慶一郎がはたす役割に目が離せません。
前置きが長くなりましたが、第一弾はあまり知られてなさそうなところで『もしかして時代劇』を紹介します。
モデルを目指すヒロインの美雪は一切勉強する気ゼロのため、歴史知識皆無。
そんな彼女がひょんなことで北庄落城直前の茶々姫(後の淀君)と入れ替わってしまうのです(その後史実通り3姉妹で秀吉の元に行く)。
自分がどのような境遇にいようが茶々姫(美雪)はその天真爛漫さとお茶目ぶり(言い換えれば天然ボケ)で秀吉や家康といった有名武将を振り回し、美雪と愉快な仲間たちの活躍によって歴史を作ってしまう。
そのマイペースというかお気楽ぶりは数あるタイムトラベラーの中でも随一と言ってもいいでしょう(笑)
ギャグテイストでありながら、歴史好きでも楽しめる演出がさりげなく施されているのが嬉しいですね。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20090104/1231069231
ここでいきなりアニメにいきますが、実はクレしん映画はタイムスリップを扱った作品がいくつもあって、中でもお薦めは子供向けアニメとは思えないほどのクオリティとして評判が高い『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』。
なぜか戦国の世にすんなり馴染んでしまうしんのすけ始め、最後の合戦における野原一家の活躍が目覚ましい。しんのすけを切ろうとした敵武将に対してダイエット器具で防いだみさえの場面は今でも笑いと涙と共に鮮烈に目に浮かびます。
それにしんのすけに「おまたのおじさん」と呼ばれてしまう不器用だけど戦になると無類の強さを誇る井尻又兵衛と廉姫との身分を超えた恋の行末にも注目です。
あえて子供向けとしてはふさわしくない結末にしたのも、しんのすけ達がタイムスリップした意味を考えれば自然な流れであったのだと気づかされます。
映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 [DVD]
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20101204/1291463523
日本の他の時代を取り上げたものとしては『君の名残を』がかなり良かったです。
現代の高校生の男女三人が落雷をきっかけに平安時代末期にタイムスリップ。
バラバラになってしまった彼らは現代に戻る術も知らず、それぞれの出会いもあって時代の中に溶け込んで暮らしていかざるを得なくなります。
たまたま部活で剣道をしていたことが身を助けるのですが、やがて源平争乱の時代の中で歴史に名を残す役割を背負うことになり、長い年月を経て再会した時には互いに対立する勢力としての立場になってしまったのでした。
タイムトラベラーの生きざま自体がそのまま歴史として残ることになるという珍しいパターンです。
それゆえストーリー的には先が予想できてしまうのですが、それでも最後まで三人の行末には目が離せない。歴史の流れの中であがく三人それぞれの想いもあいまって大変優れた作品となっています。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20101211/1292074086
タイムスリップ小説に限らずSFオールタイムベストとして挙げられる某海外猫小説がありますね。
しかし私はあえて猫とタイムスリップならば、瀬名秀明による小説を紹介します。
時の冒険は一人きりの場合が多いですが、時には素敵な相棒がいることでその楽しさが倍増するわけで。
主人公は十代前半の少年。ある夏の日、いつもとは違う道を選んだら森の中に迷い込み、不思議な博物館を見つけてそこで出会った少女と黒猫とともに遺跡発掘最中の19世紀のエジプトに旅するという物語です。
主人公に感情移入しやすい点と、幻想的な一夏の冒険を終えた後の切ないラストが秀逸である点でこれも入れさせていただきました。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110319/1300540953
第二次世界大戦ものは歴史改変に重点を置かれているのが多くて、タイムトラベラー個人にスポットが当たることは少ないです。
そんな中で魅力的なヒロインが描かれているのが『エリアンダー・Mの犯罪』
いわゆるパラレルワールドものであり、ある犯罪行為によって歴史を変えたエリアンダー・モーニング(死後、意識を持ったまま生まれ変わる)と、祖母が残した創作とは思えない精緻な架空(実は改変前の歴史)史料の謎をつきとめようとする孫レスリーの二人の女性の物語が交互に描かれます。
壮大な歴史ミステリに切ないロマンスが巧妙に組み込まれています。
『タイムマシン』のH.G.ウェルズが意外なところで脇役として出てくるのも著者の悪戯心でしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110410/1302441801
欧州史では『ジーンズの少年十字軍』
タイムマシンで中世へお試しの旅をしたものの、とんだアクシデントで戻れなくなり、ドイツから聖地へと向かう少年十字軍に合流することになった少年ドルフ。
現代人から見れば不合理がまかり通る時代の中で、目の前の少年少女たちを救うため、主人公は現代の知識を元にグループのリーダーとして立ち上がるのです。
といっても本来十字軍を率いていた羊飼いの少年や頑迷な修道士を始め、少年少女たちを狙う盗賊や各地の領主、それに山越えでは飢えや寒さにも悩まされて前途多難。
幾度となく挫けそうになるも主人公はそのたびに知恵を絞り、仲間とともに何とか乗り越えてゆく、そんな手に汗を握る展開が待っています。
元々は中学生以上のティーン向けとして書かれたものなのですが、大人が読んでも充分に楽しめる内容となっていますね。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20140125/1390660491
それに積極的な歴史改変に関わる小説としては『闇よ落ちるなかれ』
西ローマ帝国滅亡後のイタリアにタイムスリップした考古学者が何とか中世の闇に落ちるのを防ぐべく、いかにして徒手空拳の状態から出発するか。
日本人としてはあまり馴染みの無い初期中世の様子や人物が生き生きと描かれており、現代の知識をもとになんとか歴史を変えんとする主人公との奮闘が見どころです。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110925/1316953379
ぐっと身近な時代を対象にしているのが『風が吹けば』
21世紀の高校生がタイムスリップしたのは25年前の1984年。
主人公の時代ではおじさんおばさんだった人たちが同世代で、青春を謳歌している姿にびっくり。21世紀とはまったく違うアイドル・ツッパリ・ゲームウォッチ・レコードといった若者文化に更にびっくり。
けれど同世代ゆえか、主人公がいつの間にか80年代に馴染んでゆく過程が楽しいです。
クールで無関心を装い、熱くなることはダサイと思っていた主人公が1984年では仲間とともに熱くがむしゃらに過ごしてしまうゆくのが微笑ましい。
80年代に青春を過ごしたおっさんホイホイ作品です。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110918/1316353472
②過去の自分自身
『リプレイ』
43歳の主人公は突然の心臓発作に襲われて死亡。そして気がついたら死ぬ前の意識を保ったまま18歳に戻っていた!
たまたま覚えていた競馬やスポーツの記録をもとにギャンブルで一山当て、ビジネスの世界でも成功を収めるのですが、43歳を迎えた時に死が訪れて再び18歳(微妙に前回とはずれてる)に戻ってしまいます。
どんなに成功した人生を送ろうがある時点で強制的にリプレイされてしまうというのがこの作品の特徴であり、人生のやり直しという千載一遇のチャンスを得た天国から永遠の時間のループに嵌っていたという地獄への落差が激しい。
そんな中で転機となるのが同じ境遇を持つヒロインとの出会いであり、やがてリプレイの果ての二人の運命が気にかかる。
リプレイし続けたからこそ先のわからぬ人生を大事にしたいと思わせる結末。
人生の時間遡行をテーマにした中では外せぬ名作です。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110120/1295529570
『七回死んだ男』
主人公はランダムに選ばれた日を9回繰り返すことになる「時間反復落とし穴」という特異体質を持っており、たまたま一族が集まった日に遭遇。元の一日とは違う行動を取ったために死ぬ予定になかった祖父が殺されてしまう。
どうやら祖父が遺言を残していたことが原因のようだが、いったい誰が何のために祖父を殺したのか?
残り8回の時間反復の間に犯人を見つけて祖父の死を防ぎ、元通りの一日として過ごさねばならない。
同じ時間を繰り返すという特殊な設定でありながら毎度毎度の展開も捻られており、厄介な運命を背負ってしまった主人公とともに一風変わった謎解きが楽しめる作品です。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110514/1305384664
『遥かな町へ』
主人公の中年男性が故郷で墓参りした際に気を失い、気づいたら中学生の時代に戻ってしまっていた。
もしも今の意識を保ったまま過去の自分に戻れたら?と夢想するのは中学生か高校生という人が多いのではないでしょうか。
では実際中身が48歳の中学生とはいかなものか?と描いています。
未来を知る大人の精神であることは色々と有利である反面、子供であれば知ることも無かった大人の事情もわかってしまう切なさもあるようです。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20130720/1374330795
2.未来へ
過去へのタイムトラベルと比べると、どうしてもその世界観が限定的かつ想像に頼ることになる現代→未来のバージョンは少ないです。
過去未来の行き来という形になりますが、『クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ 』では時間遡行を行うとその反動により、遥か未来に跳ばされてしまいます。
同じ場所なのに知る者は年老いてしまっている(または全く存在しない)時間の流れの残酷さ、それでも大事な人を守ろうとする健気なタイムトラベラーを描いていると言えましょう。
クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ (ソノラマノベルス)
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20101023/1287841848
過去から現代へという形も含めれば結構ありますね。
『ライトニング』
薄幸の美少女が絶体絶命の危機を迎えるたびに雷鳴と共に救いに現れる謎の男。
実は時間旅行装置を開発したナチスの一員だった…。
タイムマシンを用いた正統派スリル&サスペンスの傑作です。
惚れた女のためなら職務を投げ出し時空を超え人の運命さえ変えてしまうのです。ハッピーエンドならばそれでいいんです!
まぁヒーロー&ヒロインを追うナチスが典型的な悪の組織として書かれているのはご愛嬌。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20120421/1335018593
『テルマエ・ロマエ』は映画(1作目しか見てないけど俳優陣が濃い)にもなっているのでご存知かもしれませんが、魅力的なタイムトラベラーということでしたらこの浴場設計技師ルシウス・モデストゥスを挙げたく思いまして。
水に落ちて溺れるたびに現代日本の浴場にタイムスリップ。言葉が通じなくとも時空や文化のギャップを超えて(勘違いして)日本でお馴染みのものを毎回ローマの浴場で再現されてしまうのには思わずニヤリとしてしまいます。
中世のヨーロッパ人はあまり風呂に入らなかったそうですが、古代ローマ人は日本人みたいに本当に風呂が好きだったんだなぁ。
変わり種としては意識のみが未来の自分自身になってしまうという『スキップ』
女子高生がある日突然意識を失い、気が付いたら25年の時が過ぎ、42歳になっていた。
結婚していて年頃の娘がいて、知らないオジサンが夫になっていて・・・。
正直、同じ立場になったら心が折れて自暴自棄になってしまうかもしれません。
主人公もたいそう混乱するのですが、家族の理解とサポート、それに本人自身が理不尽な状況を受け入れた上で前向きに乗り越えていく、その姿に心打たれる物語です。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20071114/1195046913
3.その他
タイムトラベラーが偶然または故意による一般の時間旅行者とするならば、それとは別に時間旅行が可能な世界ではその力を悪用しようとする時間犯罪者およびそれを取り締まるタイムパトロールという組織が存在したりします。
私の知るかぎり、その元祖にあたるのがポール・アンダースンによるそのままずばり『タイムパトロール』ではないかと思われます。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110326/1301131230
そしてそのオマージュ&発展系として豊田有恒のタイムパトロールシリーズがあるし、小松左京もコメディタッチの『時間エージェント』(リクルートされてタイムパトロールとなった主人公と女性上司とのやりとりがなんとも愉快)を発表しています。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20101127/1290863908
未来を知ることは強力なアドバンテージになるわけで、金儲けや敵対者の排除など、やりようによってはいくらでも悪いことに使えてしまえるのです。
でもその結果歴史が無茶苦茶になっては困りもの。時間犯罪を取り締まる正義のタイムパトロール頑張れ!
と言いたいところですが、昔からひねくれものの私は余程の場合を除き、単なる歴史改変くらいならば悪役たる時間犯罪者の方を応援してしまいたくなるのです。
私が十代の頃読んで特に思い入れがあるのが豊田有恒の『異聞・ミッドウェー海戦』。
異聞・ミッドウェー海戦―タイムパトロール極秘ファイル (角川文庫)
海上自衛隊の護衛艦をタイムスリップさせるという力技で日本軍のミッドウェー海戦勝利を目論む表題作(ミッドウェー海戦は歴史改変の作品によく取り上げられるのですが、かわぐちかいじの『ジパング』の冒頭もそうでしたね)。
東京大阪に挟まれて第3の都市扱いが不満な名古屋人が尾張藩主徳川宗春公に経済政策を授けて名古屋繁栄を目論む「尾張名古屋異聞」→ちなみに時間犯罪者の名乗りは掛院都(ケインズ)(笑)
他に本能寺の変や壬申の乱の歴史改変を目論む者たち。
未来の知識・技術を用いてあと少しで歴史改変がなるいいところで現れるタイムパトロールこそお邪魔虫だと思ったものです。
同じような理由で子供の頃は『タイムボカン』も悪役トリオ(マージョ、グロッキー、ワルサー)を応援してました。
毎回毎回いいところまでいくのに自滅に近い形で負けるのが悔しかったものです。まぁその負けざまも彼らの愛すべき点なんですけどね。
一度だけタイムボカンが負けた時はたいそう喜んだものでした(おいおい)。
以上、長々と書いてしまいました。
せっかくリクエストを実現していただいた質問なので、だいぶ欲張ってしまいました。
さすがに大好きなジャンルだけに考えている内にあれもこれもと出てきて止まらなかったです。
一応これでも誰もが思い浮かべる名作や原作→映画・ドラマ化された有名作品はあえて外すなど絞ったつもりなんですが、各種タイムトラベラーを語る上でそれを徹底するのはさすがに難しかったですね。
往々にしてタイムスリップ作品はタイムトラベラー自身よりも、その時代人の方が魅力的に描かれていることもあります。
それも含めて紹介しきれなかった作品については、タイムスリップ小説まとめという記事があるようですので、お暇な時に見てはいかがでしょうか。
※一部誤字などを訂正しました(12/21 18:00)
タイムトラベルの手段として『テルマエ・ロマエ』の水落ち→風呂は新しいなと思っていたのですが、『天は赤い河のほとり』という先駆者がいたのですね。
少女漫画系は苦手分野なんで知らなかったですよ。
タイムボカンは挿入歌の数々が大好きでした。山本まさゆきは天才です。
質問に対して、こちらの作品を挙げるのは王道すぎて気が引けるのですが、80万年後の世界を描くという発想の大胆さ、新作のほうの特撮のレベルの高さなど、紹介させていただく価値はあると判断しました。
猛獣が都会の街を走り回るシーンが圧巻です。
映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城【映画ドラえもん30周年記念・期間限定生産商品】 [DVD]
映画版「ドラえもん」の中での傑作です。
アマゾンのレビューもぜひお読みください。
実写版もアニメ版も観ましたが(笑)、なぜかアニメ版のほうが感動しました。
自分でも不思議です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E3%82%92%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B0%91%E5%A5%B3_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E6%98%A0%E7%94%BB)
王道な回答ありがとうございます。こういうのも嬉しいです。
ジュマンジもいいですね。絵本版も好きです。
アニメ版時をかける少女もなかなか良かったです。
時空の旅ということならドラえもんが真っ先に浮かんだんですけど、既に出ているので割愛して、
さよなら私
岡田 惠和脚本の作品です。
書籍化、DVD化はされてないみたいです。
主人公かおると親友とが入れ替わってしまい、性格も生活もまるで正反対の二人がかおるの旦那と三角関係に。
しかし、友情は崩れず、そんな時に乳がんで余命宣告を受けて困惑するかおる。
自分の身体は死んでしまうが自分は生きている。
とても面白い作品でした。
宇宙戦艦ヤマト
言わずと知れた名作ですね。
ワープという現象をこのアニメで知り、ワクワクしてました。
マーティと博士が改造したデロリアンで未来や過去へ行って現実が変わってしまうというドタバタ劇ですが、何度見ても面白いですね。
今年、マーティが現れるんだよ、会いにいかないと。
ドクにあやまっておこう。ゴミをエネルギーに変える装置と、ホバーボードはできていないんだ。
そうなんだよね、今年来るんだよね。
実はね、ゴミをエネルギーにするのはもう出来てるんだよ。
バイオリアクターっていう装置。
http://www.kajima.co.jp/news/digest/aug_2001/tokushu/toku01.htm
車に積めるほど小さくはないけどね。
マーティは今の時代病気になっちゃってる事を知ったらがっかりするかも。。。
もしかしたら本をたくさん読んでる方には珍しくもない仕掛けなのかもしれませんが、山田風太郎の『柳生十兵衛死す』の時空移動にはびっくりしました。
以前は時代小説はほとんど読まなかったのですけど、これを読んでから
時代小説にSFがっ!!
と狂喜乱舞して瞬く間に山田風太郎の世界にはまったのです。
さてネタバレですが少し内容に触れておきます。
冒頭に柳生十兵衛が斃れているところのシーンから始まります。
剣豪の彼は一体誰に斬られたのか?
そして彼の遺体を見つけた人間はある奇妙な出来事に気がつきます。
なぜこんなことが起こったのか。
それは2人の十兵衛と能が絡んできます。
十兵衛がふたりというのはご存知慶安の世の十兵衛と、なんと彼の祖先である室町時代の十兵衛。
この2人が互いに江戸時代と室町時代を飛び越えて活躍するのです。
ではどうやって?
ここで慶安の十兵衛に話す竹阿弥のセリフを引用させていただきます。
夢幻能はまた亡霊の世界であるとも申せまする。これを見物する人を、亡霊が生きておったころの世に送りこむ芸術でござります。もしいまあなたさまに金閣寺が見えたとすれば、それは世阿弥が生きておったころの金閣寺であったのでござりましょう
で、作家ご本人は数行あとに
実に、この慶安の能楽師は、能は過去へ飛ぶタイム・マシーンになる可能性があるといっているのであった。
とあっさり解説しているのですが。
ということで竹阿弥の秘曲『世阿弥』でふたりの十兵衛はお互い相手の住んでいた時代へと移動しつつ、彼らが遭遇した事件にお互いがお互いに成り代わって関わっていくのですけど、時代が違うため2人の価値観やタブーとされるものが違い、その辺の齟齬を含め、ストーリテラーの山風が大変面白く描いています。
とはいっても、山風の自己評価はBなんですよね。
晩年に書かれた作品で往年の破天荒なところがまろやかになっている点なのかもしれませんが、『柳生忍法帖』『魔界転生』と並ぶ十兵衛三部作の締めくくりだけにきっちりと十兵衛の最期を描ききっています。
山風やはり只者ではないwww
「柳生十兵衛死す」は未読です。面白そうで興味あります。
ぜひ読んでみたいです。
~ 2人のタケルちゃんに愛されるなんて…。私、確率時空一の幸せ者だね。
マブラヴシリーズの白銀武(しろがね たける)さんを紹介します。
白銀君は、クラスの親友とゲームセンターで友達と遊ぶ普通の高校生。隣に住んでいる幼馴染の鑑純夏とは、特に関係が進むでもなく平和な毎日を過ごしていました。
あの日までは。
いわゆるギャルゲーの主人公らしく、とにかくモテモテです。
作中で別のクラスを担任している先生に「恋愛原子核」と呼ばれているほどです。
隣の席をかけた料理対決イベントが開催されるほどです。
時空移動は、何度も行われています。どうやら死ぬと別の世界のあの日に意識が復活させられているようです。どの世界でもひどい目にあいます。
自分が一緒に食事をしたせいで、担任の先生が惨殺されたり、自分が持ち込んだ因果で、幼馴染が両手足切断されたりします。それでも、最後まで生きてゆく主人公の強さが素敵です。
~人類は負けない。絶対に負けない。俺がいるから。俺がいるから。
P.S.ケン・ソゴルは、姉の初恋の人らしいです。
マヴラブオルタネイティブは魅力的な瓜二つでも紹介してくださいましたね。熱心に薦めてくださるので興味はあるのですが陰惨な画像がちょっと苦手なものでまだ二の足を踏んでます。申し訳ないです。
神秘の世界エルハザードOVA版のイフリータを紹介します。
この作品全七夜なのですが、第一夜と第七夜で、学校の地下にある遺跡での同じシーンを主人公視点とイフリータ視点で描いています。
「夢をみたよ。数え切れぬ夜の狭間で、ただお前の夢だけをみていたよ。
時間がない。一万年の間にあたしはほとんどの力を消耗し尽くした。残った力のすべてを費やして、あたしはお前をエルハザードへと送り届ける。」
「あの懐かしい世界に着いたら、わたしによろしく言ってくれ。」
別れの瞬間に伝えた一万年分の夢。
一万年あせない愛。
イフリータが持つビームランチャー『魔神の発条(ゼンマイ)』で街が壊滅したりしますが、頭がつぶれた遺体とか、下半身が千切れた遺体とかは出てこないので、安心してみてください。(マブラヴオルタでも、全年齢版では、モザイクかかっています。)
等身大の昆虫が気持ち悪い人にはお勧めできませんが。
↓今なら第一夜無料です。
「OVA 神秘の世界エルハザード」 | バンダイチャンネル
一万年越えとはワクワクします。複数視点で描かれてるのが面白そう。
無料動画見てみます。
旅人(主人公)が魅力的、という要請から外れるのですが個人的に読んで印象に残った魅力的な世界観を持ったSF作品をご紹介したいと思います。
逆転世界
都市が無限軌道でゴリゴリ押し進んで時空を移動する話。
第二創世記
人類以後の世界はどうなっているのか。
地球間ハイウェイ
平行世界にはとんでもないのが居たもんだ。
終りなき戦い
深宇宙の戦闘から帰還する度に地球で強烈な時差ボケに見舞われる。
永劫
接近してきた小惑星は異次元の扉だった。ソ連軍やエジプト王朝が出てきます。
時の果ての世界
植民した惑星系が猛スピードで飛んでいって冷凍された主人公が目覚めた時…。
永遠の終り
歴史を管理運営する団体に於ける一職員の逸脱行為に就いて。
夏への扉
名作古典。未来だと純金はタダみたいなもの。友人の娘と結婚します。
ドゥームズデイ・ブック
歴史研究のため時間移動するも誤った時間に送られる。中世描写が興味深い。
最果ての銀河船団
時を越え交易する貿易集団と全体主義世界とに翻弄される蜘蛛型宇宙人。
あー、いちおう今回のお題は人物メインなんですよね。
すっごく素敵な作品を挙げてくださって嬉しいですけどポイントはちょっぴり減点するかもしれませんごめんなさい。
すみません、前言撤回いたします。とくに減点はいたしません。
どんなところが魅力的か詳しく教えてくだされば、さらに加点いたします。
回答文に加筆するなり、このコメント欄に書き加えてくださるなり、ご都合のよろしいように。お待ちしております。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 (第51巻) (ジャンプ・コミックス)
「こちら葛飾区亀有公園前派出所 51巻 第4話」
2回目回答失礼します。
両さんがタイムスリップします。
あえて詳しく書きませんが、とても笑えます。
両さんが体験してないことって、もうないんじゃないかという気がします。
時空の旅人で思いついたのは、「幕末高校生」の 川内雄輔役こと武田真治さんです。
先生と高校生が幕末にタイムスリップする話で今は懐かしい細川ふみえさんも出ていました。確か記憶では平賀源内の力で元の世界に戻った記憶があったようななかったようなあやふやな記憶ですが、ドタバタしていた記憶があります。現在は、リメイクされた幕末高校生があるようです。
次によく考えて思い出したのは、涼宮ハルヒの憂鬱の未来人、大人版「朝比奈みくる」です。ある事がきっかけで未来から大人に成熟した朝比奈さんがキョンにある騒動の原因が何なのか教えに来てくれます。キョン自身もハルヒと出会っていない頃にタイムスリップして会話をします。
涼宮ハルヒの憂鬱4 笹の葉ラプソディ (第1巻) 通常版 [DVD]
また、涼宮ハルヒの消失でもキョンはタイムスリップした時の自分の時に戻るという複雑で奇妙な時系列の場面があります。
幕末高校生は興味あるのですが何故かご縁がなくてドラマも映画も未見です。
涼宮ハルヒもなかなか面白そうです。
id:goldwellさんが小松左京「時間エージェント」を紹介していらっしゃいます。あれはおもしろい。小松左京が時間旅行というテーマに正面から取り組むとこうなるという見本のような作品だと思います。僕もときどき読み返す作品です。
小松読みとして、「時間エージェント」の前夜作と、「時間エージェント」とほぼ同じ時期に著された「大風呂敷」を紹介します。
「御先祖様万歳」。みなさんおそらく、自分の家の裏山や秘密基地が過去や未来につながっていたらという妄想をお持ちだったころがあると思います。あるいは、納屋や蔵から大昔の写真や絵が出てきて、そこにはどうしても辻褄の合わない最新のテクノロジーが映り込んでいる。あらどうしましょう。
東京オリンピックの前年、1963年にS県T郡蹴尻村字富田というところでそれは起こりました。幕末のきな臭い頃の真っただ中(1863)に穴が通じてしまった。本作の特徴はそれがタイムトラベラー個人の体験談でなく、主人公とそのばあ様、村、市、県、国、国際関係をも巻き込んだスケールの大きな法螺話に仕上がっていることです。そして穴の向う側から何人かはこちら側に取り残される。こちらからも幕末の世界に飛び込んで切られたり戻れなくなったりする人が出る。小松作なので細部には目をつぶってください。個人的な体験が一気に世界レベルの問題に広がったりすぼんだりする動きの激しさがスラップスティックで楽しい。落語「あたま山」を僕は想起しました。
オチは…読んでみてください。大したことはないですが(笑)、楽しいです。僕が子供のころに読んだのはハヤカワです。角川からも出ているようです。
もう1作が「題未定」です。小松左京が週刊Sの連載の第1回に間に合わず、苦し紛れにタイトルを「題未定」としたところから時間軸がゆがみます。締め切りから逃れたい一念が出版社のビルにミサイルを落とさせる、そういう時間軸のゴーストが生じてしまう。結果、1976年7月29日午前に世界は第三次世界大戦を迎え、同じ年の10月に地球は滅亡する…。
dime teaだとか大明帝だとかの語呂合わせが出てきて、まあ小松左京にとっては苦し紛れ半分の実験作だったと思います。それでもこの作品は、小松先生の博覧強記、イタリア語、壬申の乱から天草四郎、鄭成功までが登場する、知的で強烈なドタバタSFになっていて、もうちょっと評価されてもいいんじゃないかと常々思っています。お題に引き付けていうと、本作のタイムトラベラーは作中人物の小松左京です。
果たして彼は自らが招いた世界史レベルの時間軸の輻輳を、その作家倫理によって(笑)収めることができるのか。読んでくださいとお勧めはしにくいのですが、忘れられない1冊としてご紹介しました。
小松左京の時間旅行ものは、スケールが大きく遊び心もあって実に楽しいですね。「御先祖様万歳」も「題未定」も大好きです。挙げてくださって嬉しいです。
> 長期間冷凍睡眠した人
冷凍ではありませんが永年眠らせられたのでしたら、ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」。本来は北欧神話です。
R.ワーグナー:ニーベルングの指環Blu-ray Disc BOX《日本語字幕》
音楽は↓の部分が有名になっています。
ブリュンヒルデ(ポニョの本名もこれに由来します)がウォータンの命令に背いてジークムントを助けたため、炎に囲まれた岩の上で眠らせられます。その後、ジークムントの息子ジークフリートが生まれて成長してブリュンヒルデを起こします。
その後、ブリュンヒルデは受け取ってならないものを受け取ってしまい、大混乱になりますし、現在の法律論としてはかなりつっこみどころのある話ですが、とにかく人を助けるために命令に背いたのであり、十分に魅力的だと思います。
珍しいジャンルの作品が登場しましたね。長期間眠っていた人が意外と出ないので寂しいなあと思ってました(No.8のid:gongrenさんがちょっと挙げてくださってます)。嬉しいです。
こんばんは。仕事納めしてきました。こちらが本当の仕事納め、本年の書き納めです。
3作(+α)行きます。
まず1人目は火田七瀬。
テレパスで長身で美人でスレンダーで処女の元家政婦で元ホステス(20)です。それだけでなく、心優しい。強い。
彼女の超能力者としての基本属性は読心能力(テレパス)です。が、シリーズ3作を順に読むと(ここ大事)、2作目から3作目に移り終えようとするところで、あーなるほど筒井康隆御大、七瀬を大切にするあまり、苦労して時空を超越させているなあと思われること請け合いです。なるほどそうやって時を超えさせますかと、僕は唸りました。
第1作「家族八景」、第2作「七瀬ふたたび」、第3作「エディプスの恋人」この順番でぜひお読みいただければと思います。
脇道にそれますが、僕にとって「七瀬ふたたび」の導入、ノリオ君、岩淵青年と出会うシーンは、宮部みゆき「竜は眠る」を思わせる感慨深いところです。岩淵さん渋すぎる(T_T)。七瀬はその美貌のあまり男性の気を引くわけですが、テレパスにとってそれは苦痛以外のなにものでもないわけで(再び「竜は眠る」の織田直也みたいだ)、果ては命まで狙われ…。
「わたしのグランパ」に連なる、筒井文学の傑作ではないでしょうか。
2人目はヒッタイトの皇妃ユーリ(日本人名:鈴木夕梨)です。篠原千絵さんの「天(そら)は赤い河のほとり」のヒロイン。僕はかつて予備校で歴史を教えていたことがありますが、日本史受験者には「あさきゆめみし」を、世界史受験者には「天は赤い河のほとり」をもれなく勧めていました。
閑話休題。高校に合格して恋人の氷室君とデートするうかれ気分の夕梨が、水たまりに引き込まれて古代オリエント世界に飛ばされ、王位継承争いに巻き込まれ(中略)イケメン皇族に見初められ(中略)数々の危機と苦難をその神がかり的な運動神経と幸運により乗り越え、鉄器をもたらし…(後略)。
とにかくテンポよくハラハラ読ませてくれます。学生のときは余裕がなく恋愛描写には耐えられなかったものですが、いまおっさんになって読むと、作品世界をうまく泳ぐことができる(笑)。展開は少女漫画特有のご都合主義だとかいわれますし、君ら統治よりも色恋の情動に左右されて痴話げんかかと思わないでもないですが、そう思ったころには7巻か8巻まで読み進めているでしょう。カイル・ムルシリ(イケメン皇族)の造形は見事。
3人(作)目は楳図かずお「漂流教室」の学校給食の卸業者、関谷久作(38)。
魅力…トラウマです。詳細はここにいらっしゃる皆様には説明不要かと思います。楳図先生、鬼気迫りすぎ。天才のひとことです。
漂流教室 文庫版 コミック 全6巻完結セット (小学館文庫)
「閉じた」学校を舞台とした生存競争の物語はいくつかヒットしています。それでも、本作を超えるものに出会ったという感触はいまだにありません。そうだ、アンチヒーロー関谷で紹介を終えるのは高松翔君を初めとする登場人物に申し訳ない。翔君のお母さん、高松恵美子さんこそ、時空のこちら側に残された本作の主人公でしょう。
おしまいに、プラスαで、必ずしもタイムトラベルではないですが、時空を超えた哀しい男の物語として、小松左京「地球になった男」を紹介させてください。カフカ「変身」へのオマージュなのかなあ…切なくて美しくて、七瀬が女神なら、地球になった男もやはりひとりの神かと思います。
『七瀬ふたたび』は魅力的な超能力者の宝庫でしたからねぇ。
初めて読んだ十代の時は漁藤子の「色白でフランス映画の女優のような美人」の女子高生という表現がうまく想像できませんでした。
たぶん筒井康隆的には七瀬とはまた違う意味で最上級の形容なのでしょう。
ぎゃー藤子さん脳内では紹介したつもりで…^^;
夏への扉は id:goldwell さんが匂わせちゃったし、実は私も大好きなエルハザードは既に出ちゃったし、・・で、出てないところを幾つか。
琉伽といた夏 全4巻完結(ヤングジャンプコミックス) [マーケットプレイスセット]
外園昌也の傑作と言っても良いでしょう。
詰めが若干甘いけど、ダイナミックな構成とリアルなタッチで読ませる作品です。
ドラマとしても面白い。
鉄腕バーディー全20巻 完結セット (ヤングサンデーコミックス)
時空を駆けめぐる宇宙世界の構造がタイムトラベルした未来のパラレルワールドからの影響を受けていたって落ちでした。
そこまでたどり着くまでの物語が面白い。
アクションやドラマティックな筋立てでも楽しませてくれる・・まあ、皆さんご存じの有名マンガです。
この作家は昔からタイムトラベルを作品に多く取り入れてきた人ですが、今回の新作は宇宙船ごとタイムスリップするって設定で、かなり楽しませてくれます。
基本的にドタバタSFってやつですが、キチンと設定されて辻褄合わせて面白く作ってあるところがミソです。
ジパング コミック 全43巻完結セット [マーケットプレイス コミックセット]
かわぐちかいじの少し前の作品ですが、軍国主義だとかどうとか五月蠅い事を言う人が多く今ひとつ盛り上がらなかった。
最新の自衛艦がタイムスリップしたってお話しです。
主義主張はともかく、文句なしに楽しめる作品です。
熱い血潮がたぎるようなストーリーです。
バビロンまで何マイル? (1) (花とゆめCOMICS (1032))
お気楽お天気作家、川原泉教授の未完のタイムトラベルものです。
調べ物が増えて疲れたせいか途中で打ち切られてしまった。
だいたい、この作家それほど律儀なタイプじゃないのに、妙なところで正確さにこだわって煮詰まる人だ。
色々な意味で楽しんで読める作品です。
ミニスカは一話完結型ですが、一応継続中で、途中の巻からタイムトラベルします。
パタちゃんは如何にも・・・なんで・・。
外にも本棚を漁れば色々出てくるんですが、ただいま年末鳥忙し週間の真っ最中でして、かきつばたの方もあえて行かないようにしている。
かなり手抜きなのはそういう事情なのでご理解をいただければ幸いです。
・・・って素直に理解してくれるほど優しくない?
いやね、一つ作品が増えるとたいへんなんですよ・・これが。
候補としてはブルーホール&ブルーワールドとかシンバットなどあったんだけど、ネタバレしないように解説を書くのってたいへんなんだから。
・・と言う事で、素直にご理解のほどを伏してお願い奉ります。
御名御璽
ま、年が明けましても回答お待ちしておりますのでなにとぞよろしく(極悪笑)。
よいお年を♪
おいそこの貴様!なぜ答えない?
モニターのそっち側にいる間抜け面の貴様だ!
まあいい、とりあえず先に回答しておくとしよう。
私が紹介するのは未来ガジェット研究所ラボメンNo. 001、ラボ創設者にして狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真、、、世を忍ぶ仮の名では岡部倫太郎だ。
いちいちストーリーを説明するのも面倒だ。ネットに転がっているテキストでも拝借しておくとしよう。
ここで話題にしているのはアニメ版の話だと思って欲しい。
舞台は2010年夏の秋葉原。厨二病から抜け出せない大学生の岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ、用途不明の発明品を日々生み出していた。だが、ある日、偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出す。世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返すが…!?
「STEINS;GATE」 | バンダイチャンネル
どうだ、ショボそうな話だろう。まず主人公が厨二病なイタい台詞ばかり吐くせいか全く感情移入できない。キャラクターがみなオタクっぽくてどうも話に深みが出そうにない。
ところがどうだ、全体像が見えてくるにしたがってこのなぜか常に白衣を着た意外とお人好しなタイムリーパーの運命がだんだん気になり始める。そして知る、タイムスリップものの道具立ての巧妙さなど大した問題ではない、その耐えられない過去を、耐えられない未来を時空を歪めてでも正そうともがき苦しむ人間の姿に我々は惹かれるのだと。たとえそれが厨二病であろうが魔法少女であろうがそうなのだ。最終盤の主人公の厨二病的な台詞は、それが厨二病的であるが故にかえって感動的ですらある。
ーーーー
(2014/12/24 16:55追記)
私の回答時にはまだ日和見を決め込んでいたあのユーザーがすでに回答していることになっているではないか。
これは機関による工作なのか?おっと、ここでは機関ではなく当局と呼ぶのだったか?
まあいい。昨今の世知辛いはてな界隈をゲル化することもなく無事に生き延びたらまた会おう。
ではさらばだ。メリークリスマス。
熱烈な回答ありがとうございます(^^)
もともとはゲームで、のちにアニメ化されたんですね。
> ここで話題にしているのはアニメ版の話
とのことですが、ゲーム版とずいぶん違うのでしょうか。
とりあえず第一話を見てみます。
ゲームだとマルチエンディングなので、未プレイの回答者ではカバーしきれないという、ただそれだけの理由だったり(爆
二回目いきます。
冷凍睡眠
冷凍睡眠と聞いて思い出したのが3作(うち「遙かなる賭け」については後述)でした。
『スリープ』
主人公は若年向け科学番組の人気レポーター・羽鳥亜里沙。
頭脳明晰・才色兼備、それでいて十代とは思えぬ落ち着きと常識を持ち合わせています。
未来科学研究所を取材した時、彼女のファンというより崇拝者であった所長によって開発段階だった冷凍睡眠カプセルに入れられ、目覚めた時には30年後の世界だった。
かつてのレポーター仲間で今はノーベル賞科学者の男性の助けによって目覚めるのですが、そもそも人の生死にまつわる冷凍睡眠技術は倫理的な解決がなされてなく、勝手に覚醒させるのは法に触れてしまう。
しかし亜里沙への想いが男性を突き動かし、30歳差の二人の逃避行が始まるというもの。
あらすじ的には冷凍睡眠によって一気に時間を超えた魅力的なヒロインのタイムトラベルストーリーのようなのですが、著者は『イニシエーション・ラブ』の乾くるみだけに単純な話ではなくて、驚愕の展開が待っているのですよ。
結末を知っている自分としてはここで紹介するにはふさわしくない気もしました。
かといってネタバレしちゃうとつまらない。だから特にレビューのリンクもしません。
そこは読んでみて判断してほしいところです。
『コールドスリープ』
冷凍睡眠から目覚めた主人公。繭のような容器から出て気付けば周りは小学校の教室みたいな部屋だった。
そして部屋を出て遭遇したのはいい歳して遊びに興じる頭のイカれた大人たち。
ここはどこでいったい何時なのか?
本格的なSFかと思わせておいて待っているのは予想外の展開。
正直、魅力的なタイムトラベラーと言えるのかどうか迷ったところですが、昨日読み直してみて登場人物たちの顛末が愉快だったのでつい入れたくなりました。
ホラー文庫として収録されていますが、どっちかと言うとブラックジョークの類ですね。
筒井康隆がお好きということなので、気に入るんじゃないかなぁと思いまして。
繰り返す一日
繰り返しものでは先に『リプレイ』と『七回死んだ男』を紹介しましたが、今度は同じ一日を延々と繰り返す二作です。
『ターン』
先に紹介した北村薫『スキップ』と同じく時と人の三部作の一つで『スキップ』と同じくらい大好きな作品です。
交通事故をきっかけにヒロインは自分ひとりしか存在しない世界でひたすら同じ一日を繰り返す。
まさに時間の牢獄といいますか孤島といいますか。
終わりの見えないターンの中で突然電話のベルが鳴ったことで物語は動き出す。
電話相手の男性はいったい?そしてヒロインはターンから抜け出せるのか?ヒロインの行く末に手に汗を握る展開はさすがと言えましょう。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20071031/1193837784
『秋の牢獄』
『ターン』がたった一人で一日を繰り返し、最終的に外との繋がりがその脱出のきっかけになるのに対し、こちらでは主人公のヒロインの他、同じ境遇の仲間がいることと、北風伯爵という異形の存在がいるという設定がおおいに違っています。
北風伯爵に出会ったリプレイヤーは抹殺されるとも脱出できるとも噂され、その存在は神か悪魔か。
ストーリーおよび全編に漂う幻想的な雰囲気の良さではこちらも『ターン』に劣らず読むものを惹きこませる内容だと思っています。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20101222/1293028206
パラレルワールド
『時砂の王』
25世紀において宇宙に進出した人類は突如侵略してきた機械型の異星人との戦いに明け暮れていた。
人類の反撃を受けて劣勢に陥った異星人が取ったのは時間遡行技術により過去の脆弱な人類への攻撃だった。
そこで人類も人間に限りなく近い人工知性体を過去の時代に送って、神のような存在となって人類を助けて戦うのです。
その中で本隊とは別に100年ごとに移動しながら戦っているのが主人公のO(オーヴィル)。
過去の人間たちは目の前の利害に執着するばかりにその隙を衝かれてしまって連敗続き。そんな中でオーヴィルが最終決戦として選んだのが邪馬台国の時代の日本であり、彼と組むことになった卑弥呼が魅力的なヒロインとして描かれています。
未来からの時間旅行者が神のような存在として扱われて神話として遺ったという設定はたまに見ますが、そこに異星人との戦いを入れたのがユニークでしたね。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20100911/1284183246
『ダイノサウルス作戦』
『異聞ミッドウェー海戦』にも登場するタイムパトロールのシリーズで、今回は恐竜進化のIFを取り上げています。
ちなみにここではタイムパトロール隊員のヴィンス・エベレットはお邪魔虫じゃなくて、ちゃんと主人公として活躍します(笑)
猿の系統から人類が進化したこの世界と、恐竜から進化した異類(実質、恐竜人と言える)の世界が存在し、それぞれ時間航行を発明した未来からやってきて、地球の歴史上で枝分かれした重要なポイントで睨み合っているという設定が面白いです。
そこで我らが主人公はトラブルに巻き込まれて時空を超え、知能を持った恐竜人と出会って戦ったり友情を結んだりするわけです。
恐竜人の扱いがエイリアンではなく、ひょっとしたら有りえたかもしれない人類と同等の存在として親しみを持って描かれていたのが良かったです。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20110131/1296480024
なお、著者の豊田有恒は恐竜ではなく有袋類が進化した世界を描いた、これまたタイムパトロールシリーズの『カンガルー作戦』も発表しています。
どちらも生物の進化史を学びたくなるような興味そそる内容ですよ。
アンソロジー
アンソロジー短編集は内容がバラバラだったり玉石混淆だったりするので一回目は対象にしなかったのですが、この二つは特にセレクトが優秀なので入れてもいいかなと思いました。
中でも特に印象に残ったものを紹介します。
『タイム・トラベラー―時間SFコレクション』
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20120609/1339232235
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」という映画はご存じでしょうか?
http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/
80歳の状態で生まれ、年を取るごとに若返る人生を与えられた男の一生を描いています。
通常の人とは歳の取り方が逆ゆえに教育や恋愛などさまざまな面で障害にぶち当たる、なんともやるせない物語であり、その原作なのが「若くならない男」です。
他には記憶を改竄されてしまった男が愛する人のために自らも過去に溯って賭けに出た「ここがヴィネトカならきみはジュディ」。
不治の病の恋人を冷凍睡眠カプセルに入れ、未来への長い長い旅に出た男「遙かなる賭け」などただのタイムトラベルとは一味もふた味も違う優れた時間SFの短編が収録されています。
『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20100911/1284183247
id:a-kuma3さん、ありがとうございます。おお、19世紀末にはすでに冷凍睡眠が小説に登場していたんですね。
Lydia Maria Child, ”Hilda Silfverling”
氷浸けのマンモスが発見されたのが 1799年らしいので、それからのインスピレーションかな、という気がしてたのですが、文章からは人工冬眠といった感じですね。
時の旅人といえば、これですよこれ
今となっては大御所ぞろいの脚本だった、「NHK少年ドラマシリーズ」
中でも、「タイムトラベラー」は印象深く、私の日本SF人生の出発点。
原作は言わずと知れた「時をかける少女」
この世代だった大林監督が、映画化したのが、あの写真。
映画館で5回見てますから、細かいところまで覚えてるんだけど。
原田知世の時をかける少女。
この映画は、最後のPVが一番出来がいい。そして、知世ちゃんの笑顔。
時を経て、
今の世代は、この時かけかな。いい出来でした。
そして、
仲里依紗版。いい感じに仕上がってます。
そのほかにも、テレビドラマが南野洋子や内田由紀で作成されている。
まあ、これほど何度も映画やドラマになっている小説も珍しい。
どれがいいって? 大林版かな。うん。
魅力的な人物といえば、筒井の「笑うな」
タイムマシンの使用法として、これ以上バカバカしいのはないと思う。
迷惑な旅人もいます。欧米SFショートショートの「3分間の宇宙」の
「何時からおいでで」
タイムマシンで未来からやってきた人に遭遇するんだけど、そのタイムマシンが
「地球の全エネルギーを使う代物」
出発した後の地球はどうなってしまっているか・・・
で、いつ出発したんです?
それは・・・
何時なのかがこのSSの落ちですが、「そりゃ、やらない方がよかったかなぁ」
板橋しゅうほうのペイルココーン
OUTっていうオタクを作り上げた雑誌にはるか昔に載っていた漫画。
アメコミとマンガとの融合された、洗練された絵を描く作家でした。
第一回と第二回の落差も大きくて、最終回も尻切れトンボで、作品としてはあまり評価できないのです。
が、その雰囲気の良さが抜群でした。
突然主人公たちが過去に飛んだり、それを操作する「タイムりさちゃん」(タイムリサーチャーの略)が登場したり。タイムボカンのパロディかと思えば、独自のハードSFの面も見せる。
当時は期待してたんだけど、今どうしているのか…
時かけづくしありがとございます。嬉しいなあ。
質問画像の知世ちゃんは、少女と大人の狭間を揺れ動く雰囲気が大好きでした。
回答の追記ありがとうございます。
「笑うな」はくだらないけどつい笑わされてしまいます。ペイルココーンは初めて見ました。"荒唐無稽SF大傑作"っていうのがなんとも素敵です。
さあて、幾つか行ってみましょう。
使っちゃ駄目なのは使わないつもりですが、被っていたらご愛敬。
岡崎二郎の作品からタイムトラベルものを幾つか。
彼の作品では基本的に情報だけのタイムトラベルですが、初めてのお伽噺に出会ったときのような感動を与えてくれるのは彼の物語の技術でしょう。
不思議な独特の世界は常に新鮮で魅力的です。
私を月まで連れてって! 全6巻 完結セット (FLビッグコミックス) [マーケットプレイスセット]
使っちゃいけないのを・・と言いつつ敢えて登場させるタイムトラベルマンガの老舗。
竹宮恵子さんのドタバタSFロリコン超能力マンガですね。
この作品が彼女の頂点だったと思うのは私だけではないと思う。
実際問題、普通の男ならあんなネコからは逃げ出すぞ。
時の罠と言うか、強引な関連付けと言うか・・繰り返して楽しめる作品です。
光瀨龍の原作を萩尾望都が漫画化して当時は一大ブームでした。
時空を駆けめぐる壮大な宇宙世界を禅的な観点から構築しています。
かなり古い感覚の世界ですが、当時の雰囲気を伝えてくれる作品です。
鉄人二十八号を描いた作家横山光輝の作品です。
あまりにもノスタルジックという感覚でしょうけれど、昔からタイムトラベルものはかなり描かれている。
タイムトラベルものの原形のようなテイストで、少年マンガの王道といった造りの作品です。
ハインラインの集大成と言うべき作品を。
タイムトラベルが可能になったとして、その後はどうなるか?・・ってお話しになってくるんだけど、想像しきれない部分を創造しようって試みている作品です。
さらにその後の展開をシリーズ物で書き散らしているうちに彼は未完の人になってしまった。
夏への扉のその後とでも言えるでしょう。
彼の未来史シリーズは、膨大な量がありますが、とても魅力的です。
これくらいにしておきましょう。
外にも色々あるけど、僕もう寝る。
おお♪回答第二弾ありがとうございます。
とっても嬉しいです。無茶ぶりしてみてよかった(^^)
なんだか懐かしい香りがする作品たちですね。『国立博物館物語』はタイトルが抜群に魅惑的だし、レビューを見ても面白そう。ぜひ読んでみたいです。
『百億の昼と千億の夜』は原作も漫画も大好きです。また読み返したくなりました。
ハインラインは好きなのと苦手なのとありますが『愛に時間を』は好きです♪挙がって嬉しいです。
「時空の旅人」というフレーズからは、自由自在に現在・過去・未来を行き来するというイメージが沸きますが、この質問の予告が出たときに頭に浮かんだのは、時間にほんろうされ、思うが儘にならない人達でした。
まずは既出の、北村薫の三部作。
スキップとターンが紹介されてて、リセットが紹介されてないのは、厳密な意味で旅をしているわけじゃないからか。
一応、『時と人』の三部作が出そろってないと、気持ち悪いので。
西澤保彦では、「七回死んだ男」が既出なので、こちらを。
過去に起きた事件をタイムスリップした俺は解決できるのか、という、有名な車のやつでも踏んでいる、タイムスリップ物の王道のストーリーのひとつ。
西澤保彦というと、トンデモなシチュエーションの中に本格推理の背骨が通ってる、というものが多いですけれど、こちらはちょっと違った趣。
タイムスリップしてる時点で、トンデモなシチュエーションではあるんですけれど、いわゆる本格のきっちりとしたロジックを前面に出した、という氏のいつもの作風とは違います。
チョーモンインやタックのシリーズなんかを読んだ後に読むと、ああ、こういうものも書けるのか、という感じ。
有名な車のやつで、思い出した。
「車や猫のやつ」と id:goldwell さんが書いたのを見たときに、ぼくはマジでこっちの方を思い浮かべてました。
犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (1) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-6)
犬は勘定に入れません 下―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-7)
一応、狙った時代に何度も行ったり来たりしているのですけれど、余りに飛び過ぎて時間酔いをした主人公の紹介から始まる辺りから始まって、着地点が微妙にずれることでの行き違い。
SF というよりはラブロマンスかな。
嫌いじゃないです、こういうの。
できれば、もうちょっと若いときに読みたかった(我儘)。
ままならないタイムトラベルを見た最初は、これのはず。
タイム・トンネルDVD COLLECTOR'S BOX Vol.1
昔のドラマでは、若き科学者は自分を研究のモルモットに、よく使っていました。
ご多分に漏れず、彼も時を彷徨うことに。
なんでこんなの記憶にあるのかなあ。
ぐるぐる回る感じのオープニング(ただ、タイムトンネルが映ってただけなのかも)と、出発するときのバキュン って煙が出る映像は覚えてます。
締めは、また古いやつですが、とても好きなこれで。
彼は思いを遂げたのでしょうか。そして、パパは。
Amazon だと画像がでなくてさみしいので(くちゃくちゃですみません)。
コニー・ウィリスは『ドゥームズデイ・ブック』と『航路』はややテーマが重いので大人になって読んだからこそ楽しめたかもしれませんが、『犬は勘定に入れません~』に関してはa-kuma3さんと同意ですね。
B.T.T.Fの映画を見に行った頃の自分にタイムスリップして渡しにいきたい(笑)
そうそう、車のやつと言えば入間人間の『昨日は彼女も恋してた』~『明日も彼女は恋をする』なんてのもありました。
『タイムライン』は以前、時間旅行ものを漁った時に知りましたがそのままでした。
これを機会に読んでみますね。
すみません。ついうっかり寝とぼけてコメントを削除してしまいました。
直上のa-kuma3さんとgoldwellさんの間にあったもので、手元に残ってるデータだとこれだと思います。
>「戦国時代に飛ばされた現代人」
むかし見た芝居で、江戸の火消しが戦国時代にタイムスリップして“戦乱の火を消す”ために奮闘する、てのがありました。面白かったっす。
中世ヨーロッパにタイムトラベルと言えば、No.8 工人さんが挙げておられる『ドゥームズデイ・ブック』が好きです。
クライトンの『タイムライン』…はどなたも挙げておられないのかまあいいや、も面白かったです。
タイムスクープハンターは私も結構好きです。
id:a-kuma3さん、ありがとうございます。おお、19世紀末にはすでに冷凍睡眠が小説に登場していたんですね。
2014/12/29 17:09:01Lydia Maria Child, ”Hilda Silfverling”
2014/12/29 18:24:27氷浸けのマンモスが発見されたのが 1799年らしいので、それからのインスピレーションかな、という気がしてたのですが、文章からは人工冬眠といった感じですね。