民法のベタな鉄板学習項目での一つで「抵当権者による火災保険の支払いに対する物上代位はその支払い前の差し押さえによるものでなければならない。」

というのがありますが、下記民法の第一項との兼ね合いがわかりません。

民法第481条
1 差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。
2 前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。

換語読みを試みると、「差押えを受けた保険会社が加入者に弁済をしたときは、抵当権者はその受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を保険会社に請求することができる。」

という風に読め、だったら「支払い前の差し押さえ」という条件自体不要であるように思えますが、私の理解のどこが間違っているでしょうか? 補足欄に続く

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  • 終了:2022/09/14 16:20:06
id:minminjp2001

自分なりに色々考えてみた仮説としては、抵当権は「物権」なので481条の「純粋債権の第三債務者」に係る問題とは別個に切り離して考えられるべきなのかな?とも思いました。

回答1件)

id:minminjp2001

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id:MIYADO No.1

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自分が火災保険会社の立場だと思って考えてみましょう。

あるいは、もっと馴染みのある例として、自分が借家に住んでいるとして、大家が銀行に債務不履行をした場合のことを考えてみましょう。

 

もし481条に差押えの条件が無かったら、あなたは契約どおり自分の債権者(保険加入者や大家)に契約どおり払ったのに抵当権者(普通は銀行)にも払わなければならないことになってしまいます。差押えの場合は裁判所からあなたに「債権者に払わずに抵当権者に払うように」指示が来るのです(ついでにあなたの債権者には「取り立てないように」指示が来ます)から、あなたが裁判所の指示に従わない方が悪いということになります。

 

一応、「なら、差押えでなく通知でいいじゃないか」という問題はありますが、通知ですませてしまうと、抵当権者からは「こちらに払え」と言われて、債権者からは「こちらに払え」と言われて、どちらに従っていいのか分からなくなってしまいます。

 

実はこれに対する反論として、「いや、たとえあなたに指示がなくても、あなたは利害関係者として抵当権者に第三者弁済したら、代位行使としての債権と自分の債務を相殺すれば済むことだ(いや利害関係者でなくても現在は弁済してしまえば代位はできる)」と言うかもしれませんが、まあ保険会社であれば顧問弁護士がそれをやれば済むかもしれません(保険会社だと利害関係者とも言いかねますが、とにかく弁済すれば今なら可能)が、借家人にそんな法律知識などなくておかしくないし、あったとしても大家と揉める原因になるのでやりたくはありません。実はそういう反論をする人は、「これは趣旨が別個にあって、抵当権が複数ついている場合にどちらに従えばいいのか分からなくなるのを防ぐためだ」と主張します。しかしそういった主張に対しては「なら1つだけの場合まで差押えを必須にする必要はないし、複数あったとしても登記順にするなり通知順にするなりで解決できるではないか」という問題が生じます。

 

ついでながら、借家の場合に建物(と普通は底地も)の競売と家賃差押えの双方をやることは一応可能ですが、双方やると超過差押えになる可能性があります。ですから、借家が競売になった場合でも家賃について裁判所から指示がなければ、今までどおり払うべきものです。

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id:minminjp2001

段落分けして書いていただきましたが、第四段落「実は・・・」で始まる段落以降、読解不能です。すいません。

2022/11/12 06:33:18
id:MIYADO

こちらはむしろ誰も反論してこないので拍子抜けしているんですけどね。

 

自分が借家人だと思いましょう。それで、ある日突然、裁判所から競売の通知がやってくるわけです。それで、大家の(通常は抵当権者は銀行ですから、以下では銀行と言っておきます)銀行への債務不履行が判明するわけです。それだけなら、家賃は差し押さえられていませんから、家賃は今までどおりに払うべきものです。

 

しかし、

「銀行に不払い起こした大家は許せない。大家に不払い食らった銀行さんかわいそう」

と思うかもしれません。まあ、銀行のようなプロに対してかわいそうと思う必要などないわけですが、

「もう大家に家賃は払わない。代わりに家賃相当分を銀行に払う」

ということを借家人側の主導で行う(逆物上代位という制度はありませんが、それに等しいこと)は、実は可能です。勧めはしませんけどね。

 

どうやるのかというと、まず大家でなく銀行に対して家賃相当額(相当額でなくてもいいのですが、後述の相殺の都合上、相当額とします)が5万円だとして、それを「利害関係者の弁済」として払います。大家の不払いのために競売になるのですから、借家人は利害関係者と言えます。ですから、債務者でなくても銀行に弁済はできます。もっとも、銀行の窓口の人に「利害関係者の弁済をしたい」と言ってもどうせ分からないので、「法務担当者出して」とか何とか言わなければならないと思いますが、どのみちここに書いたことを実際にやることを勧めてなどいません。

 

それで、借家人が5万円を銀行に払ったら、借家人は銀行に代位して大家に5万円請求できます。一方、大家は借家人に家賃5万円請求できます。これらを相殺すればいいんです。これを続ければいいんです。これが逆物上代位に相当することです。

 

ですから、借家人保護のために差押えが必要だという主張に反論する人は、別に差押えなんかしなくても銀行がまっすぐ借家人に請求したって、借家人は困らないじゃないか、と主張するわけです。しかし、借家人に逆物上代位を説明するだけの法律知識がありますか。なくたってどこもおかしくないでしょ。あったとしても、そんなことをして大家と揉めたくないでしょ。だから私は勧めないと言ってるんですが。と言うわけです。

 

それで、別な趣旨として主張されることは、A銀行が第1抵当権をつけて、B銀行が第2抵当権をつけた場合に、A銀行とB銀行のどちらに払うかという問題が生じるからだということですが、だったら抵当権が1つの場合まで差押えを必須にする必要はないし、複数あったとしても登記順にするなり通知順にするなりで解決できると主張したまでです。

2022/11/12 09:05:22

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