こんばんは。私はコーヒー業界で業務用・家庭用のエスプレッソマシン、およびエスプレッソコーヒーのホールビーンズやパウダー(挽き豆)の販売を行っています。正直申しまして、挽き豆で美味しいエスプレッソというのは中々抽出できません。ご存知のようにエスプレッソ用に挽かれたコーヒー豆はドリップよりはるかに細かく、その為酸化の速度が非常に早いからです。イリーのノーマルローストというと、恐らく250g缶もしくは125g缶だと思いますが、缶を開けた時の1杯は、しっかりタンピングをすればエスプレッソにはなりますが、数日経つと冷蔵庫やキャニスターに入れても確実に酸化が進み、酸化が進むとコーヒーの粒子が膨張する為、俗に言う“シャバイ”エスプレッソしか作れなくなってしまいます。
ロースター(neriyokanさんの言うところのメーカー)も勿論大切ですが、挽き豆で使用するならなるべく少量パックのものを使うのが良いと思います。
ロースターについてですが、量販されているもので美味しい物を探すのは至難の業です。というのも、量販されているエスプレッソは小規模ロースターとは“焙煎方法”が違うからです。大量に焙煎する必要がある為、焙煎時間が短くなりやすく(焙煎時間が短くなると豆の芯まで火が通りにくくエグミが残ってしまう)、また焙煎後の豆の冷却に水のシャワーをかける水冷式を使用しているロースターもあり、中々美味しいエスプレッソとはいいかねます。ちなみに、イリーは冷却方法こそ水冷ではなく空冷式ですが、焙煎時間は12分程度です。これは一般的なドリップコーヒーでおよそ18~20分、エスプレッソ用で20~24分と比べると非常な速さです。
長くなってしまいましたが、結論を言いますと、美味しいエスプレッソをお探しならイタリアの小規模ロースターの焙煎している豆で250g程度のパックになっているものが最高だと思います。また、イタリア産の豆は、船で送られると日本に来る途中で赤道を通過します。赤道上での貨物船のコンテナの温度は非常に高く、コーヒーの品質には少なからず影響を与えてしまいます。ですので、エアーで日本に届けられるものが一番です。確かアルベルト・ベラーニというロースターの豆が日本で扱われていて、上記の条件を限りなくみたしていたと思います。
ちなみに、ドリップ用の豆は焙煎が浅く、あくまで気圧を掛けずに大気圧のみで抽出する為、、豆の芯の成分を抽出する事を考慮されて焙煎されていません。その為、エスプレッソのように9気圧もの圧力をかけて抽出すると、豆の芯に残っている生臭ささやエグミが抽出されてしまうので、ドリップ用の豆はドリップで楽しむ事をお勧めいたします。
イタリア人の友達がラバッツアをすすめてくれました。
彼は「イリーは美味しくない」と、かたくなにラバッツアを愛飲しているのですが、都内ではイリーに比べると入手しにくいようです。
http://www.ovada.jp/lavazza.html
楽天などでも入手できます。
http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/02ba5f3d.d6190eba/?url=http://www....
Ernesto Illy氏はIllycaffe社の社長であり創業者の子息ですが、このかたが、SCIENTIFIC AMERICAN誌に寄稿しています。(The Complexity of Coffee June 2002)
彼は博士号を持っておられるようで科学の専門誌に掲載が認められています。
日本では日経サイエンス2002年9月号に翻訳して掲載されております。邦題は「科学で味わうコーヒーの魅力」となっています。
ここでの彼の記述は質問者への直接の回答にはなりませんがかなり興味深い話をされています。特に現代社会では食品業界においても科学技術とどのように折り合いをつけるかは、(あんまり表に出したくないかもしれないけれども)最重要課題のひとつですよね。
ローストについても触れていますね。3番の回答者の言うとおり確かに目安は12分と記述されています。
日経サイエンスのバックナンバー常備店は名古屋では丸善と名古屋大学生協北部書籍店だそうです。丸善なら明治屋から近いですね。
蛇足ですがIllycaffeの最後のeはほんとはウムラウトですね。