無心有心 vs 魚心水心
一般論ですが、ヤクザはカタギに対して、劣等感を抱いています。
彼らは誰にも「俺のほうがエライ」と思うだけの自信がないのです。
育ちや学歴や容姿など、コンプレックスを裏返して、威張るのです。
とくに、あなたのような人品いやしからぬ紳士が、とても苦手です。
さらに、理路整然とした話しぶりも、よく理解できないのです。
かといって、つくり笑いで、慣れなれしくされるのも、嫌います。
そこで、あなたは屈託ない笑顔で、一流の紳士に対するときのように、
折り目ただしく名刺を出し、たえず相手の苗字で、呼びかけましょう。
「ようこそ、○○さん。早速、お話を承りましょう」
あなたは、あらかじめ「A・B・C」の腹案を用意しているはずです。
彼が「A」の条件を提示してきたら「C」の条件で応じ、中をとって
「B」で妥結するだけです。
この手順を、根気よく、ねばりづよく笑顔を絶やさず、彼が怒っても
顔色を変えずに、繰りかえします。あいづちが尽きたら、相手のセリフ
を反復し「なるほど」「せっかくですが」「残念ながら」と応じます。
私見ですが「総会屋・企業舎弟・渡り合う」などの用語は、平素から
使うべきではありません。陰口を利いていると、敏感に伝わるのです。
最終的に、相手に不本意な交渉を呑ませることに配慮しましょう。
── 善人なおもて往生をとぐいわんや悪人をや ── 親鸞《歎異抄》
http://www.oct.zaq.ne.jp/vows/tanni/tanni05.htm
── 城山 三郎・原作《総会屋錦城 196311‥ 新潮文庫》1958年下期 直木賞
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD26447/story.html
島 耕二・監督《総会屋錦城 ~ 勝負師とその娘 ~ 19591110 大映東京》
筋を通し、屈服しない
己の過ちと補償は別問題である