テーマは『対比』
相反する二つのものをあれこれしたりしてください。
あとやっぱり夏っぽいのがいいよね~
締め切りは参加希望者さんの中で一番遅い人かその辺で決めます。なので、参加意思のある方は希望の締め切り日をコメントしてね。
詳しくはこちら。はてなキーワードさん↓
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5
なお、開催者がわたしですので、文字数は限界突破! 1万字前後まで受け付けます!! (140文字以内でもあり←ついったー小説家さん用)
返信は、感想的なのが良いのか、講評的なのが良いのかぐらいの希望を受け付けます。
以上です。
『Baby,I love you』
私には母親がいない。正確にいうと、誰だかわからない。ずっと教えてもらえず、最早諦めていたことをさらりと聞かされたのは、何年かかるか分からない研究の為に、パパが単身渡米する当日、見送りに行った空港で初めて聞かされた。
「叶恵はもう、大人だから」
たったそれだけの理由で、誰が聞いているか分からない状況で機密事項を漏らすパパは、やっぱり研究者肌であると思った。好きなことばかりに目を向けてきたから、世界の常識とパパの基準はずれているのだ。人の考えは人の数だけあるから、中学を卒業した子供を大人という概念を責めることはできないのだけれど。
「俺も写真は見ていない。上層部が決めた女性だ。データだけで申し訳ないが、叶恵の母親は日本に住む、旧帝大を首席で卒業した、美しい女性、らしいぞ」
まるで他人事。マスコミを完全シャットアウトできたのは数十分だから、簡潔にいう必要があったのも分かっている。
「……どうしてパパは、その話をするの。私の出生は、倫理的に受け付けない人の方が多いのに」
「そうだな」
握っていた缶コーヒーを飲みほし、私に渡す。研究成功を願って私が奢ったコーヒーなのに、捨てるのも私かと思うと、少し癪に障った。
「叶恵の目が、求めてたからかな。行ってくる。宿題しろよーちゃんと歯ぁ磨けよー」
「分かってるわよ」
そういってパパは旅立った。二年前のことだ。あれ以来、私たち父子は何の連絡も取っていない。
きっとパパにとって私は、“研究結果”なのだろう。私がパパと初めて会ったのは分娩室ではなく、研究所。人類で初めて試験管から生まれた私は、周りの一般家庭のように愛されることはないのだろう。天才・椎名教授の“最高傑作”である私は、もうすぐ大学受験の日を迎える――
「叶恵さま、叶恵さま。朝ですよ」
「……沖田」
久々にパパが旅立つあの日の夢を見た。昨夜のニュースで降雪の見込みがあると言っていたからか、カーテンから漏れる朝日がいつもより眩しく感じられる。
ああ、もうこんな時期なのだ。高校三年間の努力が形を成すはずの、受験シーズン到来。一週間前から自由登校になり、規則正しい生活が乱れたために、何もかもが億劫に感じられる。
「あと十分」
「叶恵さまの十分は、私たちの六分の一です。今日の午前は古文です。睡眠学習もいいですが、起床し次第、数学総合の小テストも受けていただきますよ」
「……あんたって、嫌な女ね」
「旦那さまから、自堕落な叶恵さまを最高学府へ首席合格させよとの命をうけております。さあ、東和さんが朝食を作ってお待ちです」
機械の様な家庭教師・沖田。高校入学と同時に、パパが残した無駄に大きな家に、使用人の東和と共に、住み込みでやってきた。パパがどういう基準で雇ったのかは知らないが、目的の為なら何でもする女である。沖田が来てからは勉強漬けで、寝る時間が欲しいと懇願したら、朝イチで肩慣らしに小テストを受けるなら、と条件をつけてきた。ノンフレームの眼鏡の奥の目じりのつりあがった瞳は、冷徹さを感じさせるが、腕は確かであるし、発する言葉は鋭いだけで的確だから文句が言えない。
それに、家庭教師を変えることなんていくらでも出来るけれど、私は沖田を変えたいと思ったことはない。沖田は糸なのだ。パパが私を思い雇ったのだから、彼女を中心に私たち父子は繋がっている。少し触れば切れそうな、細い、糸。
「おはよう、東和」
「おはようございます、叶恵さま」
「この香り……フレンチトーストね」
「叶恵さまの大好物ですね。糖分もとれるし丁度いい」
「はい……果物ものせてみました。最近、流行っていると聞いたもので」
全てを機械的にこなす沖田とは違い、私専属の使用人である東和は機転の利くあたたかい人間だ。私の好物も熟知しているし、性格も良く理解している。二十も上の女性なのに、友の様な存在でもある。いや、私が産まれてからずっと家に使えていたから、世に言う“母”といったほうが的確かもしれない。
母親なんて、私にはよくわからないけれど。
「うん、美味しい。気に入ったわ」
「ありがとうございます」
「パパが私専属にしたのも分かる。どっかの誰かとは大違い」
「どなたでしょうね。叶恵さま、ちゃんとサラダも召し上がってください」
「分かったわよ。どっかの誰かさん」
「まあまあ、叶恵さま、沖田さん」
私の憎まれ口に応対しようとした沖田を、沖田が珍しく制した。東和は、仕事はキチンとするし、いつも笑顔を絶やさないおっとりタイプの女性だ。歩くアイスピックみたいな沖田に舌戦で勝つところを見たところがない。よくよく考えると、東和と沖田が言い争うところなど見たことがない。お互い、視界に入っていないのか、波長が合うのか――私にはよく分からない。
「叶恵さま、先程お手紙が届きまして」
「手紙?誰からよ」
「高校のご友人からです。お誕生日、おめでとうございます」
「あ」
自分の記念日なんて、すっかり忘れていた。“私”のモトとなる受精卵が出来たのは夏らしいが、戸籍上は冬生まれになっている。それでなくとも冷徹家庭教師沖田との受験勉強で、自分に構っている余裕などなかったのだ。
友人たちの手紙を一通ずつ開け、隅々まで読む。お誕生日おめでとう、受験頑張ろうね。温かい言葉に自然と口角が上がっているのを自覚できる程に、嬉しい友人たちの心。
外は寒いが、心は朗らかだ。最後の一通を発見するまでは。
「……東和、読まなきゃダメかしら」
「それは、叶恵さまにお任せしますよ。ねえ、沖田さん」
「そうですね」
パパからだった。
「普通はさ、両親からプレゼントをもらったり、お母さんが手料理を振る舞ってくれたり、そういうものなんでしょう。誕生日って」
「……否定はしません」
「別に、東和の料理が不味いとかじゃないのよ。ただ……」
お金なんて、必要最低限でいい。
この豪邸も、なくていい。
私がほしいもの、それは――
「お母さんがいないって、寂しいね。研究の為の試験管ベイビーなんてさ、一生孤独よ。父母参観の日だって苦痛だし、母の日なんて拷問だし。プレゼントは何にすればいいかな、なんて言われても分かるわけないじゃない。いないんだから、私にはいないんだから!」
「……私と東和さんでは、役不足でしょか」
「そう言う意味じゃない!でも満足いかないの!」
「……私は、どうして自分の様な、ぶっきらぼうな人間が雇われたのか、旦那様に聞いたことがあります」
「私もですよ。そうしたら、ねえ。沖田さん」
「『母親代わりになってほしい。沖田には、叱る時は叱ってほしい。東和に甘えてくれば、願いを叶えてほしい。あの子に、母親の温もりを感じさせてほしい』そう、言われたんです」
「母親……」
ゆっくりと、エアメールの封を切る。
「……沖田」
「はい」
「受験日まで何日?」
「大体、一か月です」
「……するわよ、勉強」
「勿論」
“ハッピーバースデイ。早速だが、お前に話しておきたいことがある。俺が試験管ベイビーの研究チームに入ったのは、上層部の命だ。最初は反対した。自然の断りに反するからな。まあ、結局、圧力をかけられ引き受けたが、俺は世界を飛び回るような仕事をしている。お前が育つ過程を、実の親が見られない。親として、こんなに辛いことはないよ。だから、お前と喧嘩できるような沖田と、無償の愛を注ぐ東和を雇った。普通の家庭に負けない、寧ろ勝つような愛情を注いでもらっている筈だ”
「理屈が多くて困るわ、男って。数で隣の芝生に対策を練るとか、科学バカって嫌い」
「どうかされましたか」
「別に」
“寂しい思いをしていると思う。科学を研究している俺が言っても説得力に欠けるが、母親の愛は、俺とはものが違う。許してくれ。その代り前には母親が二人もいる。だから、”
「最後の文だけで分かるって話。パパのゼミがある大学に首席合格して、目にも見せてくれるわ」
“叶恵の願いよ、叶え。俺は、俺たち家族は、いつもそう願っている”
もう少ししたら東京に旅立ちます。ガールズファクトリーというイベント。
その後、原宿とかでひとりで遊ぶかも。そして宿無し生活。
原宿ってカラオケとか漫画喫茶とかあるんですかね? もはやはてなとも関係ないコメント。
〆切についてですが、
15日まで……は、長すぎですかね。
今週末には完成してれば嬉しいな、という感じで
書き始めておりますが。。。
(挫折する可能性あります……)
原宿について。
学生の時以来行っていないので、
今はどうだかわからないのですが、
カラオケはあった気がしますよ。
(何年も前の竹下から渋谷まで歩いた経験からです)
さらに延長希望の方はコメントください。
あと、折角コメントいただいたのにもう帰ってきちゃいました。
原宿よいとこでした。
東京大好き
執筆時間は捻出するものなのですっ! 作ろうと思えば時間は作れる。
ただどうしてもって人はおっしゃってください善処します。