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”準備中”の札が下がったドアを押し開け、男が一人入ってきた。
男はカウンター席に向かうと、マスターの向かいに座った。
「アイスコーヒー」
特に何をするでもなく立っていたマスターは、ちらりと厨房の方を見て言った。
「今日は早じまいなんだよ」
「友達と待ち合わせなんだけど、走ってきて喉がからからなんだよ」
「こ、ここで待ち合わせかい?」
「違うけど…その友達も遅れるっていうから、ここで一服してるって言ってあるんだ。都合悪いなら、一杯だけ飲んで出るからさ、お願いっ!」
マスターは再び厨房に向かって言った。
「おい、冷コーひとつ!」
ほどなく厨房からウェイターが現れ、客の前にだまってコップを置いていった。
「新しい人だね。いつもの人は?」
「今日は休みなんだ。
おい、テーブルの上に直接コップを置くやつがあるか!」
男はコップの中身を一気に飲み干した。
「これアイスティーだよ」
「彼も来たばかりで…お代はいいよ」
「そういうわけにも…あ、レシートお願い」
もうレジは閉めたから、とマスターは伝票に走り書きした。
「ごちそう様」「毎度」
マスターが強盗に準備中の店に押し入られてしまった。
キッチンで金庫をあさっていると客が突然は行ってきたので監視をかねてウェイターのふりをしている。
伝票の走り書きには「たすけて」
マスターと厨房からでてきた、新人はこの店の人間ではない。
本当の店員は厨房の奥で縛られて、金のありかをききださされている。
マスター役は早くこのずうずうしい客を追い出したくていわれるままにアイスコーヒーを出したり、するが、関西でしか通用しない「レイコー」という略語を口走ったり、レジが打てなかったりと明らかにボロを出し続ける。
実は客に見えた男は捜査員で・・・・とまで考えましたが妄想にはいってきたのでやめときます。
妄想OKです。
「レイコー」は前に何かで聞いたので使ってみたのですが…そっか、関西かぁ。
恐らく、客の男は目が見えなかったのでしょう。
なのできっと、準備中の札にも、実は店に強盗がいたことにも、全く気づかなかったのです。
(恐らく"いつもの人"は厨房で刃物を突きつけられ、マスターは脅されていたのでしょう。)
さらに強盗グループは外国人で、マスターたちが何を話しているかはわからなかったので
アイスティーが運ばれてきたのでは?
きっとマスターは伝票に「たすけて」と書いていたのです(強盗団は日本語が読めない)
マスターは男が待ち合わせをしているという友達が偶然みつけてくれることに期待してメッセージを残しました。
しかし願いは叶わず、男は後日、マスターといつもの人が強盗に殺されたニュースを聞くこととなり
友達に自分が犯行時刻直前に店に行ったことを話すのです。
「行った証拠もある」と伝票を友達に見せるとそこには「たすけて」の文字が・・・・・・
むむ、心を打つものがありますね!
マスターはカウンター内にいるもう一人の男と共謀して以前からいるウェイターを殺害したところでした。
厨房内では共犯の男が偽装工作中。その間、いきなり閉店にすると不審に思われるのでとりあえず「準備中」の札を掲げて、通りがかりの客が不用意に入ってこないようにはしておきました。マスターは、カウンター内に立って、じっと外の様子をうかがっていたのです。
しかし、その「準備中」の札にもかかわらず、男が入ってきてしまいました。その男は、殺害されたウェイターの顔もよく覚えている常連だったのです。常連客だけにマスターも断りづらく「早じまいなんだよ」と言い訳します。
厨房の方を見て、共犯者に「邪魔者が来た」ということをそれとなく知らせました。
入ってきた男がこれから友人と待ち合わせというので、「こ、ここで待ち合わせかい?」と、動揺を隠せません。
あとで、ウェイター殺人が発覚すると、この男がよけいな証言をしないとも限りません。
そこで、この男も殺害してしまおうと決意。
「おい、冷コーひとつ!」
きつい命令口調が出るのも、その決意の表れ。
アイスコーヒーを注文したにもかかわらず、もう一人の男が差し出したのは毒薬入りの紅茶でした。
注文と違うものを出したことで、マスターの意をくんで、「別なものを出した」ことを伝えています。
また、コップをじかにテーブルに置くなど、ウェイターとしてのマナーが身に付いていないことからも、この男は実は新しいウェイターとして雇われたわけではないということが想像できます。
(もう一つの解釈は、不慣れなので「冷コー」というのが「冷コーヒー」の符丁だとわからず、「冷紅茶」を出してしまったというものですが・・・。それではホラーにはならないような気がするので)
代金の受け取りや、レシートの発行を拒否したのは、この男が来たという証拠を極力残したくなかったからです。レジを使うとこの時間に一人の客が来たことが記録されてしまいます。手書きの伝票には時間も品目もないのでいつのものかわかりませんし、この男が倒れたあと、その手から奪ってしまえば証拠隠滅は簡単です。
ガムシロップをたっぷり入れて味をごまかした毒入り紅茶を一気に飲んだ男は、第二の犠牲者となるのでしょう。
この話の方が面白い!
いろいろ発展しそうです。
新しいウェイターは強盗で、いつものウェイターを殺し
マスターは強盗に脅されながら男を接客した。
強盗はもちろん店のことはわからないので、
アイスティーとアイスコーヒーを間違えたり
直接コップを置いたりしてしまう。
これじゃホラーにならないかな…。
そういえば、なんとなくお笑い要素もあるような…
■犯罪交差点■
1つ目の犯罪、喫茶店の中では殺人事件。被害者はお休みのはずのウェイター。
2つ目の犯罪、アイスティーを飲んだ男の友人殺害。これからおきる。
【喫茶店側の検証】
【男側の検証:全てはアリバイ工作】
「ごちそう様」「毎度」→お互いの言葉と行動の矛盾点に気付き、暗黙のうちに口止めを確かめ合った。
これも良く出来たストーリーですね。
面白いです。
登場人物のプロフィール
・厨房の奥にいる男
・客(以降Aとする)・・・(=犯罪組織の組員)
・喫茶店オーナー・・・(=犯罪組織関係者 死体処理などの面倒ごとも引き受ける)
Aはボスに死体処理を依頼するように指示され喫茶店に入った。
『友達(死体)と待ち合わせなんだけど、走ってきて喉がからからなんだよ。』
『こ、ここで待ち合わせかい?』
オーナーは、この時点でたずねてくるAを殺すようにボスから依頼を受けていたが、死体処理の話は聞いていなかったので少し戸惑った。
しかし、まだAに具体的な情報が来ていないことからボスが適当な都合をつけて寄こしたに違いないと判断。倉庫で始末しようと予定していたが、店で始末することを決めた。
Aは、出てきたウエイターを見てウエイターらしくないことに気がつく。接客がまるでなっていない。場違いなウエイターの出現に
寒い気持ちになり、飲み物をイッキに流し込んだ。Aは、周囲を取り巻く違和感が気になったがとりあえず勘定を済ませ店を出ることに・・・・
『ご馳走様』
『毎度』
ポム。
背中で湿ったような音が鳴ったのでAは振り返ろうとしたが、急に床に引き寄せられるような感覚を覚え、そのままもんどり打って倒れてしまった。腹部がじんわり暖かい。厨房の奥からボスの高笑いが耳に響き、周囲の闇が
より暗くなり全てが消えていった。
十人十色の解釈があって面白いですね!
2人組の強盗に押し入られて、1人は店の中を物色中、もう1人はマスターを拳銃か何かを持って見張っている。客が突然来たので、そいつはとっさにカウンターの下にでも隠れた。既にレジは荒らされているので使えなかった。いつものウェイターは、客の男がすぐに殺されない所から見て、縛られて厨房の奥にでもいるのだろうか? 伝票には「助けて」とでも書いて渡したのだろうか。
なんか違和感もありますが、自分はこのように思いました。
これは私の想定と同じですね。
妥当な線で考えるなら、厨房の奥で「いつもの人」とやらが殺されてしまっているというところでしょうか…。
お客は「いつもの人」の発言から判るとおり、何度かこの店に来たことのある人物、マスターの顔はわかると考えていいでしょう。
出てきたウェイターは実行犯、「冷コー」の意味がわかっていなかったり(冷たい紅茶と勘違いした)、テーブルの上に直接コップを置く素人っぷりからもウェイターではないことがわかります。
マスターがレジを打たなかったのは何故か?
それは予想外のお客が来た記録をレジに残さないようにするためでしょう。
でも何のために??レジに記録を残そうが残すまいが彼が一言警察に口を開けばおしまいです。
幸い、彼がここに寄ったのは待ち合わせ相手の友人とやらも知らない様子…
この後彼がどうなったのか…考えるだに恐ろしいですね……
いつもの人殺害説は意外に多いですね。
このマスターの本業は麻薬の売人。大きな取引があるので早仕舞いしたところに今日の取引とは関係ない予期せぬ客が。追い返したりすると後が面倒な組の関係者だ。中毒症状があるので「喉がからから」。驚いたマスターは思わず上ずって「こ、ここで待ち合わせかい?」客は引き下がらない。「冷コー」はしゃぶの隠語でテイスティングがはじまる。「テーブルの上に直接コップを置く」とこぼして勿体無いだけでなく、証拠が残ってトラブルの元に。「アイスティー」は二級品の意味か。マスターが走り書きしたのは、この客とのブツの引渡し場所メモ。商談も成立してほっと一息。
おお、麻薬の売人説ですか!
人が死なないところがいいですね。
マスターは強盗に脅迫されている。
恐らく厨房には銃を突きつけられている、拘束された本物の従業員がいる。
犯人は突然出現した常連客からの注文を受けてしまったので、提供しないと不自然な状況に陥った。
そこで強盗は一人なので片手に銃を持ち人質に向け、片手に飲み物を持って男に飲み物を提供した。片手に銃を持っているためコースターは持ってこれなかった。
しかし紅茶とコーヒーのピッチャーを間違えるというミスを起こす。
恐らくコーヒーは冷蔵庫保管であり、紅茶は常温保管であったためおこったミスであろう。紅茶は冷蔵すると濁りが生ずるので常温保管をするものである。
犯人は手近なピッチャーの中身を色も似ていたためコーヒーと間違えたのだ。
レジは強盗にあらされているため開けられない。
伝票には「強盗だ、警察をよんでくれ」といった旨の事が走り書きされている・・・
これも私の想定と一緒でした。
> 紅茶は冷蔵すると濁りが生ずるので常温保管をするものである。
知りませんでした~(赤面)、そういうものなのですね。
お見事!
回答が簡潔なところがいいですね。