米を備えると書いて糒(干し飯)。ご存じ日本の伝統的な穀物加工法です。大宝律令に続く律令である養老律令の中の倉庫令では、炊かない米の保存期間は9年と定められていましたが、干し飯に加工した物はずっと長期の20年保存出来るとされていたそうです。干し飯というと武士の野戦食や旅人の携帯食のイメージが強いかもしれませんが、これはれっきとした保存食なんですね。
また延喜式にも新嘗祭などの供え物として干し飯の項目があります。このことから、干し飯は他に食べる物がない時の代用食ではなく、立派な主食のひとつだったことがわかります。
今は災害に備える非常食のひとつとしてアルファ化米がありますが、多少製法は異なっても、デンプンを熱によってアルファ化(糊化)して乾燥させた物という点では同じです。米のデンプンはそのままでは消化されにくいですが、いったんアルファ化すれば乾燥させても同じ分子構造を保ち、消化されやすい状態が保てるのです。
ちなみに桜餅などに使われるお米の形の残った餅粉である道明寺粉も、餅米で作られた一種の干し飯です。しっかり作られた干し飯なら、ほぼ道明寺粉に匹敵する手軽さで長期保存が可能であることがわかります。
以下に作り方を書いておきます(米は普通の精白したうるち米を使うことを前提にしています)。
1.まず米は、普段食べるご飯より水を少なめにして炊いてください。普段の水加減の8割5分といった感じです。
2.炊き上がったご飯をザルに取り、さっと水をくぐらせてばらします。5分ほど静かに水を切ったら、目の細かい網状の物の上に広げて天日で干します。この時はどうしても手水が必要です。乾いた手でやるとべたべたと指に貼り付いて文字通り手に負えなくなります。これから干しますので、多少の水分は気にしない方向でいきます。
3.日が暮れたらいったん室内の風通しの良い場所に移し、軽く固まりをほぐしておきます。
4.翌日また日が高くなってきたら天日に当てて干し…を5日から1週間ほど繰り返すと、パラパラ、カラカラの状態になります。これで出来上がりです。天候などの関係で完全にカラカラにならないようでしたら、120度くらいの低い温度のオーブンで加熱乾燥させればOKです。
5.保存は密閉出来る容器に乾燥剤と脱酸素剤を入れて冷暗所に。食べる時は干し飯と同重量の水を加えて5~10分ふやかした後、焦がさないよう注意しながら弱火で加熱していくと、そのうち普通の白飯と同じような状態に炊き上がります。非常時には水と一緒に口に含んでひたすら噛むでもOKです。
注意事項は次の2つくらいだと思います。ほとんど難しいことはありません。
1.炊いたご飯ですから、高温多湿環境では乾く前に「すえて」しまいます。ですから干し飯作りは気温の低い冬に行うものと考えてください。作るなら今がラストシーズンです。
2.万が一カビが生えてきたら、もういくら天日に当てても食べられませんので破棄してください。
3.お米なので鳥がよってきます。上に網を被せれば食べられてしまうことは防げますが、寄ってきた鳥がもたらす埃などは防げませんので、田んぼに張り巡らすようなアルミ蒸着の鳥除けテープを張るなどして鳥除けをしてください。わが家ではこういう干し物をする南のベランダに鳥を寄せ付けないようにする意味も含めて、反対側の北の窓に野鳥の餌台を作って、そちらに鳥を誘導しています。
なお、干す台は、下からも空気が通るような網状の物が最適です。私は角材で枠を作り、網戸用の網を張って作りました。同じ物を2つ作り、片方を蓋にしてかぶせれば飯干し台の出来上がりです。これでミカンの皮でも何でも干せます。
そうそう。話の順番が前後しますが、干し飯を3倍くらいの多めの出し汁で戻してから加熱していくと、おいしい雑炊が作れます。普通のお米で作るよりも早くできて、その分サラッとした仕上がりになりますのでおいしいですよ。
サバイバル食にもキャンプにも、日常の食材としても使える干し飯作りは楽しいです。もちろん製作時の衛生上の注意は自己責任ですが、興味がある方は一度試してみてください。
米を備えると書いて糒(干し飯)。ご存じ日本の伝統的な穀物加工法です。大宝律令に続く律令である養老律令の中の倉庫令では、炊かない米の保存期間は9年と定められていましたが、干し飯に加工した物はずっと長期の20年保存出来るとされていたそうです。干し飯というと武士の野戦食や旅人の携帯食のイメージが強いかもしれませんが、これはれっきとした保存食なんですね。
また延喜式にも新嘗祭などの供え物として干し飯の項目があります。このことから、干し飯は他に食べる物がない時の代用食ではなく、立派な主食のひとつだったことがわかります。
今は災害に備える非常食のひとつとしてアルファ化米がありますが、多少製法は異なっても、デンプンを熱によってアルファ化(糊化)して乾燥させた物という点では同じです。米のデンプンはそのままでは消化されにくいですが、いったんアルファ化すれば乾燥させても同じ分子構造を保ち、消化されやすい状態が保てるのです。
ちなみに桜餅などに使われるお米の形の残った餅粉である道明寺粉も、餅米で作られた一種の干し飯です。しっかり作られた干し飯なら、ほぼ道明寺粉に匹敵する手軽さで長期保存が可能であることがわかります。
以下に作り方を書いておきます(米は普通の精白したうるち米を使うことを前提にしています)。
1.まず米は、普段食べるご飯より水を少なめにして炊いてください。普段の水加減の8割5分といった感じです。
2.炊き上がったご飯をザルに取り、さっと水をくぐらせてばらします。5分ほど静かに水を切ったら、目の細かい網状の物の上に広げて天日で干します。この時はどうしても手水が必要です。乾いた手でやるとべたべたと指に貼り付いて文字通り手に負えなくなります。これから干しますので、多少の水分は気にしない方向でいきます。
3.日が暮れたらいったん室内の風通しの良い場所に移し、軽く固まりをほぐしておきます。
4.翌日また日が高くなってきたら天日に当てて干し…を5日から1週間ほど繰り返すと、パラパラ、カラカラの状態になります。これで出来上がりです。天候などの関係で完全にカラカラにならないようでしたら、120度くらいの低い温度のオーブンで加熱乾燥させればOKです。
5.保存は密閉出来る容器に乾燥剤と脱酸素剤を入れて冷暗所に。食べる時は干し飯と同重量の水を加えて5~10分ふやかした後、焦がさないよう注意しながら弱火で加熱していくと、そのうち普通の白飯と同じような状態に炊き上がります。非常時には水と一緒に口に含んでひたすら噛むでもOKです。
注意事項は次の2つくらいだと思います。ほとんど難しいことはありません。
1.炊いたご飯ですから、高温多湿環境では乾く前に「すえて」しまいます。ですから干し飯作りは気温の低い冬に行うものと考えてください。作るなら今がラストシーズンです。
2.万が一カビが生えてきたら、もういくら天日に当てても食べられませんので破棄してください。
3.お米なので鳥がよってきます。上に網を被せれば食べられてしまうことは防げますが、寄ってきた鳥がもたらす埃などは防げませんので、田んぼに張り巡らすようなアルミ蒸着の鳥除けテープを張るなどして鳥除けをしてください。わが家ではこういう干し物をする南のベランダに鳥を寄せ付けないようにする意味も含めて、反対側の北の窓に野鳥の餌台を作って、そちらに鳥を誘導しています。
なお、干す台は、下からも空気が通るような網状の物が最適です。私は角材で枠を作り、網戸用の網を張って作りました。同じ物を2つ作り、片方を蓋にしてかぶせれば飯干し台の出来上がりです。これでミカンの皮でも何でも干せます。
そうそう。話の順番が前後しますが、干し飯を3倍くらいの多めの出し汁で戻してから加熱していくと、おいしい雑炊が作れます。普通のお米で作るよりも早くできて、その分サラッとした仕上がりになりますのでおいしいですよ。
サバイバル食にもキャンプにも、日常の食材としても使える干し飯作りは楽しいです。もちろん製作時の衛生上の注意は自己責任ですが、興味がある方は一度試してみてください。