君と出会ったあの頃はまだ、
がむしゃらに受験勉強をしていた時期で、
笑いかけてくれた君の視線を避けて、
つまらない参考書にいつも表情を沈めていた。
てれ隠しの様に軽く髪をかき上げた君は、
くもった表情の僕を、只、見つめていたっけ。
れんあいの「れ」でも始まるのではないかと
るんるんと期待していた女学生の君にとっては、
なぜか、それでもまだ憧れの夢の続きは消えず、
らくたんすることはなかったのだと話してくれたね。
僕らにとっての出会いを含めたすべてのそんな
はじまりは、すべてをおしまいにするほどには
悪くはなかったのだけれども、今ではもうなぜか、
にても似つかない、とても変わった関係だけが残る。
でも、恋愛を乗り越えた男女の永い友情が、
もうときめきは感じない様な落ち着いたものでも
なんとかなるんじゃないかと僕は思っている。
るんるん期待はさせてあげられないけど…、家族として。
昨日、電話した。
今日、メールした。
明日、会いに行く。
返事は、ない。
君の心がなくなってから、もう1年だろうか。
今朝も、返事のない電話を、僕は楽しんだ。
向こうで息をしている君。
何かにふっと反応したのを、僕は知っている。
少しずつ、心が戻って来たのだ。
嬉しくて、僕は待ち合わせ場所までスキップをした。
大通りが、珍しく静かだ。
車道の真ん中を、王様気分で渡っていく。
ベンチの上に、君は立っていた。
振り向いてくれた。
嬉しい。
僕は君の手を取った。
ふわっとスカートをなびかせて、君は降り立った。
羽根は、ない。
天使は、口元を少し歪ませた。
笑顔を、君は取り戻した。
近くの海まで、駆けていく。
白い帽子が、風にさらわれていった。
気にしない。
海を見下ろす崖の上。
君を抱き上げて、僕は飛ぶ。
夜空に溶け込む、黒い翼。
月明りに照らされた、君の笑顔をもっと見たい。
羽根を千切られた背中は、もう何も生えていない。
でも、僕が君の羽根となる。
夜空を翔る漆黒の翼が、君の羽根となる。
それを、僕らの契約にするんだ。
羽根を千切られた天使は、人間となり、心を無くす。
天使と悪魔は、恋をしてはいけない。
天使と悪魔は、恋い慕う人間と契約を結ぶ。
契約を破ることはできない。
僕は悪魔。
君は天使。
恋をしてはいけない。
ならば君の羽根を千切ってしまえば良い。
人となった君となら愛し合うことができるのだから。
失った君の心は、僕が取り戻してみせるから。
だから君は、僕の愛を受け止めて、幸せに微笑んでいて欲しい。
そして僕を愛して欲しい。
「フガー!クラエーハドウケーン」
佐竹の波動拳が安達を襲った。
「同情するなら、金をくれ!」
安達の「同情するなら金をくれ」キックが炸裂。「ウワーヤラレター」佐竹死亡。
安達の脳裏には、母親の顔が浮かんでいた。
「東京に行くときはね、京本政樹に気をつけるんだよ。何でも治すとかいう医者で高額の医療費取って結局治せなかったからね」
安達の頬に涙が流れた。
しかし、我々はここで気がつくのであった。
家なき子と、聖龍伝説がごっちゃになっている事を。
ED? 君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる ?
fin.
「ねえ、空って、どうして青いのかなあ」
そうだね、光ってのは、赤とか緑とか、いろいろなのが混ざってて、波長ってのがあってね。
「ねえ、青空は、どこから始まってるの」
「ねえ、夕陽が赤いのはどうして」
「ねえ、青空から夕陽に変わるときには、紫色にならないの、どうしてだと思う」
また、いつものが始まった。
前にも、似たようなこと、聞いていなかったかな。
「ねえ、お星様っていくつあるの」
「ねえ、お星様って、ものすごく熱いってホント」
「ねえ、ペンダントにするなら、どの星が良いと思う」
知らないよ、そんなこと。
「ねえ、どうして黙ってるの」
「ねえ、なんで眉間にしわが寄ってるの」
「ねえ、怒ってるの」
「ねえ、教えてよ」
「もう、しらない!」
ぼくは、君の笑っている顔が一番好きなんだ。
機嫌を直してくれよ。
なんだっけ、星の数がいくつって話だったっけ。
一枚の紙になってしまった君の笑顔が、ふくれっつらになることは、もうないんだということは分かってるけど、
君がいつまでも笑っていられるように、せめて質問に答えよう。
神様がいないんだ、ってことは、二年前のあの日に分かってる。
そうだな、ID は、
俺は悪魔の子。悪事を働くことが何より喜びを感じる瞬間だ。夢は悪魔の帝王になること!
「クワッ、今日もいつものように悪事を働いて人間を困らしてやろう・・・」
「待てぃ!」
「うん?」
「貴様、さてはブラックデビルだな?」
「俺はただのサラリーマンだ」
「ウソをつけ!」
「いやいや、俺はただのサラリーマンだ」
「では、これを聞け!」
「(私の青い鳥の歌)ようこそ ここへ♪」
「クワッ、クワッ、クワッ、クワッ、クワッ♪」
「やはり、ブラックデビルじゃないか!」
「なんで分かったんだ!!」
「分かるわ、この野郎!」
あぁ、あの頃が懐かしいなぁ・・・。
お互い年をとったけど、「君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる」
終わり
PS:問題)回想しているのは誰でしょう?d(^-^
『この話でピンとくる人が今どれくらいいるんだろう?』と思って書いてみました(笑)