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匿名回答1号 ベストアンサー |
わたしはメタファーといってもあまり作者の背景を理解しておりませんので浅いものばかりですが。
1. 浦の船 端午の 菖蒲 載せて 漕ぐ 水原秋桜子
外来植物のジャーマンアイリスなどは普通の乾いた土地で育ちますが、
日本の菖蒲は水気の多い土地でよく育つ植物です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%83%96
花札の菖蒲にも橋とともに描かれたものがあります。
菖蒲は尚武と音が通じているので武士の子息の成長を言祝ぐ象徴でした。
また端午の節句前後にあおあおと葉をのばします。
ですので、端午の節句の飾り付けにつかう菖蒲を売る農民もいるわけで、
収穫した菖蒲を浦(湖)の船がはこんでいるということは、天候も悪くありません。
もうすぐ端午の節句。5月初旬のはれた空の下の水辺の情景です。
きっとさわやかな雰囲気でしょう。
2. 鯉幟 大垂りに 垂れ 昼餉せり 永井東門居
鯉のぼりは、鯉が滝を登り天に昇って龍になるという伝説をふまえて
子供の出世をお祈りするために作った筒型の旗です。
これが横になびかず垂れています。
「昼餉せり」としていますから、昼どき。
なのに「大垂りに垂れる(まっすぐ下に垂れている)」ほど風がないのです。
これも天候としては風のふく曇りや雨ではなく快晴でしょうね。
また動かないのは死んでいるのではなく昼ゴハンを食べているのだと見立てています。
常にたなびいて元気に泳いでいるように見られるのが仕事の鯉のぼりも、
今はしずかに昼休みをとっているのだ、とコミカルな見立てです。
平和でのんびりした雰囲気でしょう。
ちょっと暑いけれど室内ではほっとする涼しさが感じられるような五月の気候かもしれません。
3. 旅の空 矢車 鳴りて 端午なり 及川 貞
詠み人は「旅の空」といっています。定型句で、旅の最中、屋外を移動していることです(現代は自動車や電車でも旅の空などといいうほど定着していますが)。
ここに矢車がなっています。矢車は鯉のぼりの竿のてっぺんにとりつける矢尻のかたちの風車で、
風でカラカラと音をたてて回ることで邪悪を追い払います。
旅で外を歩いていると上の方から矢車が風に吹かれてからからとなった。ああ、今は端午だったな。
自分の子孫が初節句だったら旅には出なかったでしょうが、この人にはたぶんお祝いすべき男子はもういない(成長してしまった)のでしょう。しばらく縁遠い行事となっていたのだが旅先できちんと祝っている家庭の様子をみて思い出した。
そういう情景ではないでしょうか。
端午 - Wikipedia