今昔そば物語 ? 夏とはいえど固い仲 ?
…… まかった数字が三つ、ね、七つ長野の善光寺八つ谷中の奥寺で、
竹の柱に萱の屋根、手鍋下げてもわしゃいとやせぬ。信州信濃の新そば
よりも、あたしゃあなたのそばがよい、あなた百までわしゃ九十九まで、
共にシラミのたかるまで、と、きやがった、どうだチキショウ。
── 山田 洋次・脚本《男はつらいよ 19690827 松竹》渥美 清・主演
…… 妻は夫をいたわりつ、夫は妻を慕いつつ、頃は六月なかのころ、
夏とはいえど片田舎、木立の森のいと涼し、小田の早苗も青々と、蛙の
なく声ここかしこ、聞くも涙の夫婦連に、その夜にかぎ雲一片あるでな
し、名月や浅黄に銀の一つ紋、老いたるごとくをさしこみし、葉越しの
月を拝みつつ、ようやくたどる足成山の狼谷。
── 《壷坂霊験記 1875-1879 大阪大江橋席》浪花亭 綾太郎・浪曲
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