ビットコインについては性質上、誰が保有しているのかが正確にはわからず、予想が難しいですが、経済に与える影響という意味では軽微であると考えられます。
現在のビットコインの時価総額を確認します。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/post-7790.php
上記記事では25万円/BTC程度で4.1兆円、7/16現在が22万円/BTC程度なので3.6兆円程度でしょうか。
これが一夜にして無価値になる、とすると保有者は大損をします。
しかし、過去の金融危機のような状況までには至らないと思います。
リーマンショックで破綻したリーマンブラザーズの負債は当時のレートで約64兆円程度といわれています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF
このとき、日本も大きな影響を受け、日経平均株価はひと月ちょっとで40%以上下落しました。
なぜ、リーマンショックではこのような事態になったのでしょうか。
上記のウィキペディアでも触れられていますが、リーマンが破綻したことで同社の発行した株や債券の価値が無くなり、他社へ波及しました。
しかし、リーマンが破綻した直後は、どの会社がどの程度影響を受けるかわかりません。連鎖して破綻する会社もあるかも知れません。
疑心暗鬼になった投資家が、ひたすらリスクのある資産を投げ売りしたことで世界中で株価が下落し、融資が引き上げられ、需要が冷え込み、経済が打撃を受けました。
社会で習う信用創造の逆回転(=信用収縮)が起こった、というところでしょうか。
リーマンショック以外にも、大規模な経済危機が起こったときには、背景に大規模な信用収縮が起こっています。
逆に、信用収縮を伴わない単なるパニック的な株価下落の場合、数日であっさりと株価が回復する場合も多いです。
最近ではトランプ大統領の当選が判明した2016/11/9に日経平均株価は900円程度下落(-5.4%)しましたが、翌日には1000円以上上昇(+6.7%)しました。
リーマンショック以降、金融機関の健全性を高めるために自己資本を積み増すなど、金融システムを強固にする規制が作られてきました。
(↓関西弁ですがざっくりした雰囲気はつかめるかと思います)
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65897012.html
金融システムが昔より強固になった今、ビットコインが無価値になったとしても金融機関の破綻にまでは至らないと思います。理由は以下の2点。
1.金融機関が直接、ビットコインのような信用格付けの無い資産を大量に保有するのが難しいこと。
2.仮にビットコインを保有した会社の株式、のような形で保有していたとしても積み増した自己資本を吹き飛ばすほどにはならないと思われること。
結局、現時点でビットコインは信用創造の仕組みに本格的に組み込まれていません。
そのため、無価値になったとしても信用収縮までには至らず、実体経済にはあまり影響が無いのではと思います。
今後、仮想通貨がひとつの資産クラスとして扱われ、格付けが付与され、ビットコインを担保に融資が受けられるといった状況になると、また状況が変わってくると思います。