ちょっとあまのじゃくで、①大胆な仮説を元にしつつも史実の出来事を巧みに織り交ぜた、あるいは②歴史的にさほど有名でない人物を魅力的に描いた歴史小説を読みたいです。
例)
①隆慶一郎『影武者徳川家康』、宮本昌孝『ふたり道三』、井沢元彦『日本史の叛逆者 私説壬申の乱』
②隆慶一郎『一夢庵風流記』、宮本昌孝『剣豪将軍義輝』、池波正太郎『真田騒動 恩田木工』
既読の判断は、下記プロフィールにある作家を参照にして下さい。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/about
今回は国内外にこだわりません。
よろしくお願いします。
「反三国志」は、三国志の途中から筋が変わってしまい、結末が史実と違ってしまいます。
「楊家将」は、日本ではあまり知られていない武将一族の物語です。
『反三国志』
文庫で上巻を読みましたが、どうにも入り込めませんでした。すんません。
『楊家将』
これおもしろそうですね。中国史は三国志と元・明時代以外はよく知らない分、先入観無しで読めるし、歴史の面白さが感じられて、結構好きですよ。
この作者のでは他に「四十七人の刺客」が有名らしいですが、まだ読んでないのでこちらを。
吉良上野介と浅野内匠頭の刃傷沙汰には実はこういう行き違いがあったのではないか…という想像を元に書かれた短編「その日の吉良上野介」などをまとめた短編集です。吉良が地元では名君と呼ばれていたこと、浅野の伝えられる性格(癇癪もちで融通が利かないなど)を考えると、案外こういう原因があったのかもなあと考えさせられました。
他の作品も忠臣蔵関連の「裏エピソード」っぽいノリで書かれており、不思議な読後感が残ります。
忠臣蔵一般的に知られていない裏エピソードについては、以前にした質問で杉浦日向子『ゑひもせず』という漫画があることを知り、気になりつつもそのままでした。
池宮 彰一郎と言えば『島津奔る』の印象が強いですね。それなり面白かったけどくどい面もあったような・・・
でも、こういう「裏エピソード」っぽいの好きですねぇ。ありがとうございます。
「波王の秋」は足利時代、高麗の海賊と北九州の上松浦党が協力して、支配者であり3度目の日本出兵(元寇)を目論む元と戦う話。風(帆)と人力(櫂)に頼る船での海戦が、手に汗握る緊張感で描写されています。なにより、主人公たちが元からも足利幕府からも自由な「海の民」であることの素晴らしさが主題でもあります。
「黄金旅風」も「海の民」の話。江戸初期の長崎で、海外貿易を制限しようとする幕府に抵抗し、自由と町民を守ろうとする町代官末次平左衛門の闘いを描きます。
ただし、平左衛門の敵はキリシタン弾圧や私服を肥やそうとする長崎奉行などであり、いわゆるチャンバラも少なくて「読んでストレス発散」という話ではありません。もう一人の主人公、火消しの棟梁の才介にもっと活躍の場をあたえて欲しかったというのが私の感想です。
しかし「始祖鳥記」にもチャンバラはないけど、そんなことは全然気になりません。こちらは江戸時代、凧に乗って空を飛ぼうとした幸吉の話。でもプロジェクトX風の展開ではありません。空を飛ぶなんてことは、軍事的には大変な脅威で当然幕府は禁止します。それでも飛ぼうとする主人公。空飛ぶ凧は幕府の悪政に耐える江戸の民の間でいつしか抵抗の象徴となっていきます。そして彼の周囲では限られた商人による塩流通の独占に対し、新たな航路・流通経路を開拓する人々の闘いも始まっていました。この本もやはり、自由を守るため大きな力に立ち向かう人々の物語です。
それにしても飯嶋和一さんは寡作すぎです。
丁寧な紹介をありがとうございます。
北方 謙三はまだ手を出していないんですよね。
『波王の秋』こういう歴史の裏舞台を扱ったものって最近好きですね。テーマとして良さそうです。
飯嶋 和一も味読です。レビューも見ると初心者よりある程度の歴史知識を持つ人向きに思えるところがよさそうですね。
有名な吉宗と、吉宗と将軍位を争って負け、失意のうちに死んだ尾張家当主の弟である宗春を対比した小説。
読むまでは吉宗を完全に賢政を布いた将軍だと思っていましたが、認識が少し改められました。
そして何より宗春が格好良い。おすすめします。
宗春については、豊田有恒『異聞・ミッドウェー作戦』所収の短編で知りました。
私も昔は吉宗を名君だと思っていました。でも実は有能であったのかもしれないけど、向いている方向が現実と合っていなかったのですね。むしろ田沼意次や宗春の方が経済を理解できていた君主であったのだと印象が改められました。これを読めばもっと詳しく知ることができそうですね。ありがとうございます。
怒涛のごとくは国姓爺合戦で有名な日本と中国の混血児「鄭成功」の生涯を描いた作品です。
重耳と孟嘗君は中国の春秋戦国時代の人物です。今もっとも春秋時代をしっかり書ける宮城谷さんから選ばせてもらいました。時代自体がマイナーですがはまってくれると嬉しいです。
出ました。海洋歴史小説のパイオニア・白石一郎。実は『戦鬼たちの海』は例にあげようかと思ってたりして。
実は鄭成功は、中嶌 正英『黄土の夢』での印象が強いです。実にスケールが大きい人物ですよね。
宮城谷 昌光
来るかと思っていました。読もうか迷っていた作家の一人です。やっぱ中国史なら押さえるべきでしょうねー。ありがとうございます。
日本ファンタジーノベル大賞受賞作の宇月原晴明『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』なんかはどうでしょう。
アントナン・アルトーの『ヘリオガバルス 或いは戴冠せるアナーキスト』を下敷きに、信長にまつわる俗説・妄説を意図的に盛り込んでいて、歴史小説というより伝奇的な面が強いかもしれません。
結構トンデモ色が強く、また小説として引っかかる部分もあるので好みは分かれるかもしれませんが、胡散臭いものが好きなので個人的には面白く読みました。
まら、こちらは未読ですが、秀吉を題材にとった連作の『聚楽 太閤の錬金窟』もあります。
うわーその作品にまた出会えるとは(実はnegativeな意味で)。
信長好きなんで読みましたが、どうにも合いませんでした。すぐに古本屋に売り飛ばしてしまいました。
別に一般的に定まった史実に合わないから、とか俗説・妄説を認めないからとかじゃないです。仮想戦記好きですし。荒唐無稽に思えそうな大胆な仮説でも、そこに徹底的なリアリティを望みたい複雑な心情があります。
レビューも毀誉褒貶が激しいので、はまる人にははまる作家なんでしょうね。
私は駄目です。ごめんなさい。
お邪魔いたします。
藤沢周平のこの作品は既に読まれましたか?
藤沢周平の作品は実はまださほど読んでいなくて(『たそがれ清兵衛』から入ったくらいですから)、これも未読です。
昔、藤沢周平は友人から薦められたんですけど、ひねくれ者なんで、その頃は自分で読む本くらい自分で決める、なんて一人よがり入っていました。反省_| ̄|○
上杉鷹山が当質問的にマイナーかどうかは疑問が残りますが、それはさておきここは素直に読んでみたいと思います。
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匿名さんからのっかり戴きました。ありがとうございます。
当質問を期待して下さるユーザーが他にもいるってことで嬉ばしい限りです。
もとより最低1週間は締めるつもりないですし、届いた回答は全てオープンするつもりなので、よろしくお願いしますm(_ _)m
amadeousさん。ありがとうございます。再回答歓迎ですよ。
『ゼーランジャ城の侍』イイですね〜。こういう内容。
新宮 正春は知らなかったです。ここにも私の知らない作家がいたわけですね。
それにしても入手困難とは残念。
AMAZONではユーズドの文庫の価格が4倍以上に上がっているし。本やタウンでは、かろうじて単行本が入手できるらしい。値が上がるってことはそれだけ内容もいいってことになるのでしょうかね。
http://www.bk1.co.jp/product/2079532
オンライン書店ビーケーワン 404 ページを表示することができません
名君の碑
中村彰彦著
文春文庫
江戸時代、二代将軍秀忠が側室に生ませた子供保科正之について描かれたものです・いかがでしょうか
司馬遼太郎『王城の護衛者』の冒頭に「会津松平家というのは、ほんのかりそめの恋から出発している」という出だしで、結構好きなんですよね。
まぁこちらは松平容保が主人公で、私は保科正之については概略しか知りません。
この人は意外と知られていない名君かもしれません。同じ立場に立ったとしたら、保科正之のように振舞える人はわずかでしょう。
きちんと読んでみたいものです。
大真面目に作られた架空の世界の話ということで『十二国記』みたいなもんすかね。
それはそれで興味はないと言ったら嘘になりますが、当質問の意図とは違う気がします。
わかっていて回答してくださったのならば、お薦め理由を熱く語ってくれれば、その気になったかもしれませんが(笑)
goldwellさんがせっかく「国内外にこだわらない」とのことなので、あえて今までの回答者の方とは違う路線でお勧めします。
1.「ブルボンの封印」
舞台はフランス、時代はルイ14世の頃、日本ならば寛永年間以降の家光の時代ですね。
そのフランスにほど近いイギリス領の島で捨て子として育てられた少女マリエール。彼女を引き取って育てるジェームスもまた、実の親から捨て子に近い扱いを受けて島に流された少年でした。
物語は一見この二人のラブロマンス中心の少女漫画のように(実際、漫画化も宝塚での舞台化もされておりますが)進みますが、やがてこの二人の出生の秘密が時のフランス王朝に迫り、またフランス史に実在したある謎の囚人がテーマになっていたことが解ります。
このテーマはデュマやボアゴベの作品(と解釈)で有名ですが、本作ではデュマ説に則った上、更に新しい解釈と肉付けをしているのがとても魅力的です。
作者の藤本ひとみさんはラノベ出身なので少女小説苦手の私は最初敬遠していたのですが、読んで良い意味でかなり驚かされました。
2.「双頭の鷲」
英仏百年戦争時の物語です。
デュ・ゲクランという、フランスではとても愛されていて有名な、しかし日本ではまるでジャンヌ・ダルクの陰に隠れたかのようにほとんど無名の将軍の物語を書きたい、背中を押したいと作者の佐藤賢一さんが思われて書かれた小説です。
実は1.では本当は同じ佐藤さんの「傭兵ピエール」をイチオシしたいところですが、別の質問で同作品を答えてしまったばかりなのと、この作のヒロインが当のデュ・ゲクランを陰に隠してしまった観のあるジャンヌ・ダルクですので控えました。
この「双頭の鷲」は本当に人間の魅力のあふれるような小説ですね。
大人になってもまったく純真無垢にやんちゃ坊主で厳格だったはずの国王陛下の前に出てもただ天真爛漫さで礼儀もなにも全て吹き飛ばしてしまうデュ・ゲクラン、けれど戦陣を敷けば超一流。
その戦場での姿も、普段の性格のあっけらかんとした幼児のような振る舞いと対比するというよりはごく自然な延長のように思えます。
幼な児のような彼を守ろうとする周囲の人々も魅力的です。戦場では敵なしのゲクランですが、権謀術数が必要な政治の場では従兄弟エマヌエルや妻ティファーヌが裏から表から彼を支えてゆく姿も読みどころです。
また彼のライバルになる敵将達も際だって字面から肉薄してくるようです。
ついでに、3番の回答者様のコメントにおんぶさせて頂きますと、忠臣蔵の裏エピソードっぽい小説と言えば井上ひさし氏の「不忠臣蔵」が白眉ではないかと思っています。
史実に則りつつ作者の洞察力と想像力がよく結びついた小説群で、この大きな事件の周囲でこんな小事件がたくさん起こっていたのだろうな、と想像させられる一冊です。
green-arrowさん、今回もありがとうございます。
3作とも未読です。
ヨーロッパ史については特に中世〜近代について興味はあるものの、どんな作家が良いのか(塩野七生は読んでいますが)わからない状態なので、お薦めして下さると有り難いです。
1.「ブルボンの封印」
小説の方は他のサイトを見ても、残念ながら絶版のようですね。入手し難いと余計に気になる・・・。漫画版はあるようですが、絵柄によって受け付けるかどうか・・・(銀英伝やパタリロなんかはわりと平気でしたが)。
2.「双頭の鷲」
ツボに入りそうなストーリーです!デュ・ゲクラン−人間的な魅力に溢れる天才的軍人として小説の素材にピッタリな人物なのに確かに日本ではあまり聞きません。
これは「傭兵ピエール」と合わせて読みべきかもしれませんね。
ところで「双頭の鷲」といえばドイツですよねー。
ってそりゃ鷹だろー!
一人ボケ・ツッコミ失礼しました。「双頭の鷲」の意味は読んでみなきゃわかりませんね。
あと別の質問とは現時点でランキング1位のあの質問ですね。私も回答しましたが気になって見ているところです。
3.「不忠臣蔵」
内容紹介より「華々しき赤穂浪士の討入りに行けなかった、行かなかった不忠不義の士19人の理由と言い訳。」
あはは。面白いテーマの作品ですね。浅野内匠頭の心身的な問題点については他の作品で言及されていたのを読んだことありますが、脱落組浪士の視点というのは新鮮です。
一つの事件について、立場が違えば評価が全く違ってくる。歴史の面白さであり、難しさですよね。
http://www.bk1.co.jp/product/1574216
オンライン書店ビーケーワン:蝦夷地別件 上巻 新潮文庫
船戸与一『蝦夷地別件』全三巻(新潮文庫)はいかかでしょう?無名のアイヌ、和人、ロシア人。クナシリ・メナシの乱とフランス革命(どちらも1789年)。蝦夷地とロシアとフランス。これが船戸与一の手で豪快かつ丁寧にドラマ化されています。私が道産子だからかもしれませんが、本当に感動しました。
おっとこれは盲点でしたね。アイヌの叛乱については一通り知っている為、無残にほろびゆく様をどう描いていくのかが気になりましたが、レビュー見ても良さそうな感じです。
しかもこれを日本のただの地方騒乱と見ず、世界的に結びつけた着眼点が素晴らしいと思います。
この作品も要マークですね。
ありがとうございます。
王朝序曲―誰か言う「千家花ならぬはなし」と〈上〉 (角川文庫)
王朝序曲―誰か言う「千家花ならぬはなし」と〈下〉 (角川文庫)
永井路子さんの歴史小説はいかがでしょうか。
女性作家の作品と言うことで、好き嫌いは
でるかもしれませんが、結構、面白く読めると思います。
「朱なる十字架」
明智光秀の娘、細川ガラシャが主人公。
一般的なガラシャ観とは、やや解釈が違っていたので、
逆に面白く感じます。
「王朝序曲」
藤原北家の基礎を築いた藤原冬嗣が主人公。
藤原4家での権力争いを描いた作品。
永井路子
さほど数は読んでいないですが、嫌いではないですよ。
『歴史をさわがせた女たち』とか『悪霊列伝』は面白かったですね。
ご紹介された作品はいずれも未読です。
『朱なる十字架』
>一般的なガラシャ観とは、やや解釈が違っていた
えーと、本の紹介とかレビュー見る限りは、私としては印象どおりに書かれている気がしますが。私の感じる印象が一般的じゃないのかな?
『王朝序曲』
興味をそそられました。今までの私の時代好みによるんでしょうけど、平安貴族を対象にした作品で良さそうなものをよく知らないわけで、そういった意味では今、読んでみたい気がします。
ありがとうございました。
http://hatena.g.hatena.ne.jp/hatenamagazine/20060309/1141897640
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人力検索はてな
ということなので、もっと長く募集していたかったのですが、本日の夜に締め切らせていただきます。
先日はてなからメールが来ていたので、質問は終了させなければならないのは、わかっていたのですが、ここでその内容を回答するScorpionGrassさんって一体何者なんでしょうか?
よく見たらはてなの人ではないらしいし。
締め切り自動オープンや自動振り分けを狙ったポイントゲッターね。ご苦労さん。
>新撰組でそれまでまったく無名だった吉村貫一郎を見事に描ききり、一躍有名にした
なるほど、そういうのもありますね。私は新撰組関連は司馬遼太郎以外ではあまり読んでいない気がします。
浅田次郎は好きでしたが、これは未読でした。映画やドラマにもやった作品ですよね。ドラマは少しみたような。
でも小説をきちんと読んでみたいと思います。