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☆契約電話回線の使い方。
・電話をかける時は、受話器を持ち上げ、あて先の番号をダイヤルしてください。
※通話を終了する時は、受話器を置いてください。
・電話を受ける時は、電話のベルが鳴っている時に受話器を持ち上げてください。
※通話終了前であれば、受話器を置いても、再び受話器を上げれば、お話を続ける事ができます。
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電話がかかってきたのは、てんぷらを揚げている時だった。
↑続きを考えて答えてください。
(「受話器を置く」など、電話の操作に関する言葉は、普通の解釈でOKです。)
通話が終了したのか終了前なのかは、機械には判断できません。
天ぷらをあげていた人が、通話を終了したつもりではなく(再び受話器をもちあげ話をしようと考えて)、「今天ぷらあげてるから、ちょっと待っててもらえる?」と受話器を置いた場合、通話が終了したか否かは、通話の相手によって決まります。
「今天ぷらあげてるから、ちょっと待っててもらえる?ガチャン!」と受話器が置かれたため、通話の相手は「通話終了」だと思い受話器を置いた。向こうから折り返し電話がかかってくるものだと思っている。
しかし火を止めてから、すぐに戻って話をしようと思っていた主人公にとっては、あくまで「通話終了前」だった。戻ってきた主人公が、受話器を持ち上げる「もしもし?ごめんね待たせて」と声をかけようとすると、電話が切れている!「説明書によれば、「通話終了前」に受話器を置いても通話は切れないはずなのに!」ということになる。
○その1
わたしは電話に出た。緊急の用事かもしれない。
もし違うのなら、電話を切ればいいだけの話である。
相手は友達だった。明日のことで話があるようだ。
「今、大丈夫?」と聞かれたので、「てんぷら揚げてるから」と告げた。
すると友達は「じゃあ、またあとで掛け直すね」と言って電話を切った。
てんぷらがあげ終わった頃、友達から見計らったかのように電話が掛かってきた。
「ちょうど良かった。今終わったところ」
そして、明日のことの打ち合わせに入ろうとした。
しかし、玄関の呼び出し音が鳴った。
「あ、ちょっと待ってて」と言い、受話器を置いた。
訪問者は宅配業者の人だった。
荷物を受け取り、再び受話器を持ち上げると、なぜか電話が切れていた。
通話終了前であれば、受話器を置いても、再び受話器を上げれば、お話を続ける事ができます。
という説明があったのに。
再び電話が鳴った。
「何か切れちゃったみたい。ごめんね」とお詫びを入れた。
話していると、再び玄関の呼び出し音が鳴った。
同じように受話器を置いて応対した。
再び戻って受話器を持ち上げると、やはり電話が切れていた。
その後、もう1回同じことがあった。
このときも電話が切れていた。
全ての用事が終わり、再び説明書を読んだ。
すると
通話を終了する時は、受話器を置いてください。
という文字が目に入った。
わたしは気付いた。受話器を置くと、自動的に通話終了となってしまうということを。
(完)
○その2
わたしは電話に出た。緊急の用事かもしれない。
もし違うのなら、電話を切ればいいだけの話である。
相手は友達だった。明日のことで話があるようだ。
実は明日、友達のバイト先へ面接をしに行く予定があったのだ。
「今、大丈夫?」と聞かれたので、「てんぷら揚げてるから」と告げた。
すると友達は「じゃあ、またあとで掛け直すね」と言って電話を切った。
てんぷらがあげ終わった頃、友達から見計らったかのように電話が掛かってきた。
「ちょうど良かった。今終わったところ」
そして、明日のことの打ち合わせに入ろうとした。
しかし、玄関の呼び出し音が鳴った。
「あ、ちょっと待ってて」と言い、受話器を置いた。
訪問者は宅配業者の人だった。
荷物を受け取り、再び受話器を持ち上げ会話の続きをした。
打ち合わせをした結果、面接の時間は不確定だから、明日連絡をする。ということになった。
連絡があったら、面接に来て欲しい。そういう流れになった。
次の日、友達からの電話が無かった。
もしかしたら、今日は出来なかったのかもしれない。
しかし、その次の日も電話が無かった。
その次の日も……。
例の打ち合わせから一週間が過ぎた日。
友達が家に来てくれた。
顔を合わせた途端「どうしたの?」と聞かれた。
「どうしたって?」こちらは聞き返す。
「バイトの面接の日、電話をかけたけど、ずーっと繋がらなかったじゃない」
私は驚いた。あの日は、電話が全く鳴らなかったのだから、繋がらないはずがない。
「次の日とかも電話したけど繋がらないし……結局、違う人が新しく入ったわ」
おかしい。おかしすぎる。わたしは友達に聞き返した。
「もしかして、番号が間違ってるとかじゃない?」
「そんなはずないわよ。ほら、この番号でしょ?」
そう言って、友達は携帯の発信履歴を見せてくれた。
確かに私の家の番号だ。間違いない。発信時間を見ると、面接をする予定だった日になっている。
しかし、電話は鳴らなかった……。
「ねぇ、試しに今かけてみてもいい?」
「ちょっと前に掛けたら、まだ繋がらなかったわよ?」
そう言いながらも、友達は掛けてくれた。
「ほら……繋がらないでしょ?」
そう言われて、友達から電話を渡された。
すると、『ツーツー』という音信不通音が聞こえてきた。
おかしい。明らかにおかしい。家の電話は使ってないのだから。
友達も気付いた。
「もしかしたら、コードが抜けてるかもしれない」という友達の助言で、配線を見てみた。
しかし、ちゃんと繋がっている。
試しに受話器を上げてみる。すると……
『ツーツー』という音信不通音が聞こえてきた。
私は頭が混乱した。どうして、音信不通音なんかが。
ふと、液晶画面が視界に入った。そこにはとんでもないものが表示されていた。
通話時間:159時間38分49秒
159時間。大体7日間くらいになる。
友達からの電話があったのが1週間前。つまり、この日から電話が切れていないことになっている。
意味が分からない。
そう思ったとき、友達がマニュアルを見て言った。
「ねぇ、この部分がいけないんじゃない?」
友達が指したのは
・電話を受ける時は、電話のベルが鳴っている時に受話器を持ち上げてください。
※通話終了前であれば、受話器を置いても、再び受話器を上げれば、お話を続ける事ができます。
という部分だった。
「これって、通話終了というのはどうやって判断するの?」
「それは、受話器を置いたらじゃない?」
「でも、そしたら再び受話器を上げても、話を続けることは出来ないわよね」
友達の指摘で初めて気が付いた。
そうすると、受話器を置いただけでは通話終了にならない。
だから、ずっと通話中だったのだ。
だから、電話が通じなかったのだ。
そして今もなお、液晶画面では時を刻み続けていた……。
(完)
二つのパターンを考えてみました。
受話器を置くと電話が切れるパターン。
もう一つは、受話器を置いても電話が切れないパターン。
本当なら「電話を掛けた後、切れないために通話料が膨大になった」というオチを付けたかったのですが。
そうすると、最初の時に電話が切れた説明が付かないので。
これは、ちょっと想定外でした。
(出題の)マニュアルの書き方がまずかったようです。
こんにちは。こんな感じでどうでしょうか。
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てんぷらのことを気にしながらも私は受話器を持ちあげた。
それは△△投資からの勧誘の電話だった。
「忙しいですから」と断り、受話器を置いた。
しかしすぐまたベルが鳴る。△△投資からの電話。
そうなのだ。この電話はかかってきた電話に出たが最後、
かけた側が受話器を置かない限り通話が終了しない。
何とか断ろうとするが、先方も中々あきらめない。
ふと気付くと焦げ臭いにおいがする。天ぷらの油が引火したのだ。
あわてて119番に連絡しようとするが、先方が切らないため電話が
出来ない。火事だと話しても、断る方便と考え先方は切ってくれない
こうして私は一本の電話からすべてを失った・・・
正解です!
私の想定した解答と同じです。
前半の部分の説明は全くその通りですが、後半の説明はこちらの想定とちょっと違います。