※原案・みやど様 小説化・lionfan2
4人はJ尼家のリビングで、味噌汁を飲もうとしている。J尼が切り出した。
J尼「ニッポン人ガヨク食ベル、伝統的ナ食ベ物、アリマス」
みんなは興味を持った。
B美「何なの?」
J尼「日本人デモ、採レタテヲ食ベタコトノアル人ハ限ラレテイルウエニ、季節ヤ地域限定デス。デスガ保存ガ利クヨウニシタ物ナラ、ホトンドノ日本人ハ食ベタコトガアルデショウ。季節モ地域モ問ワズ食ベラレマスシ、高級品デモ入手困難デモアリマセン。通常ハ、『生』ト称シテ売ラレテイテモ、実際ハ処理サレテイマス。アメリカデハ普通食ベマセンガ、最近デハ日本食トシテ食ベラレテイマス。植物ダ、ト言ウ人モ、ソウデハナイト言ウ人モイマス。生殖器ノ部分モ食ベラレマスガ、別ナ名前デ売ラレテイマス」
J尼はウィンクした。
J尼「コノ食べ物、何カ、ワカリマスカ?」
※小説風回答を10月21日(火)21:00-21:59に。22:00以降に締切。その他の注意は下の「質問者から」に。
F吉「はいはい、はーい。日本の伝統的な食べ物ですねっ。それは鰹節です!」
B美・D菜「カツオブシ~!?」
F吉「ほとんどの日本人が食べたことあるし、季節・地域関係ないし、入手困難でもないでしょ。生節あるいは生利節と称して売られているものも、実際は生ではなくて加工品ですし。日本食の普及とともに海外でも食されてきてますよね。でも馴染みがない海外の人にとっては鰹節=木屑に見えるそうだから、植物だという人もいるかも」
D菜「《日本人でも採れたてを食べたことのある人は限られている》ってのはどうなの?熟成していないできたての鰹節も、生節・荒節として一般に供給されてるわ」
B美「それに《生殖器が別な名前で売られてる》ってのがあてはまらないわねえ」
F吉「ううーん、B美~、いけませんよ、うら若き乙女が生殖器なんて言っちゃあ」
B美「ごまかそうとしてもダメ!」
F吉「へっへっへ、ばれたか。でも実はちゃあんとわかってるんですよう。答は…」
…と、F吉が手に取ろうとした味噌汁の碗を、B美がかっさらった。箸で中の具を持ち上げて見せる。
B美「カツオ君でなければ、ワカメちゃんってね。答は、ワカメです。ワカメは、生の状態では酵素で自己消化して日持ちしないので、生わかめと称して売られているものは、たいてい湯通し塩蔵ワカメなの。採れたての旬は1月から3月下旬。もともとワカメを食べる習慣は日本と朝鮮半島にしかなかったけれど、最近では海外でも普及してきてるわ。ワカメ・コンブなどの褐藻が植物であるかどうかについては意見が分かれているようね。ワカメの生殖細胞が集まっている部分はメカブと呼ばれて食されてるわ」
J尼は、にっこり笑って味噌汁に入っていたもうひとつの具を持ち上げて見せた。
J尼「F吉、《鳶ニ油揚ゲ》ヲサラワレマシタネ!」
このクイズの回答方法については、過去の問題を参考にしていただければと思います。
答えが分かった方も、コメント欄やtwitter、ブックマーク等でネタばれしないようにお願いします。
回答予定であることをコメント欄に書いていただけると少しうれしいです。
またいつもどおり、小説風回答歓迎です。
http://q.hatena.ne.jp/1409027227 ニッポンの夏の風物ドリンク grankoyan2様作
http://q.hatena.ne.jp/1408404964 ニッポンの公開犯罪
http://q.hatena.ne.jp/1407773038 ニッポンの謎キャラ
http://q.hatena.ne.jp/1406471216 ニッポンの嘘魔法
http://q.hatena.ne.jp/1405081515 ニッポンの羊頭狗肉デザート
http://q.hatena.ne.jp/1400504972 ニッポンのイメージダウンフード 222さん原案・lionfan2編
http://q.hatena.ne.jp/1399040599 ニッポンの悲劇的な役職
http://q.hatena.ne.jp/1375089952 ニッポンの伝統のドール
http://q.hatena.ne.jp/1374476099 ニッポンの伝統のグッズ
http://q.hatena.ne.jp/1369538017 ニッポンの伝説のゲーム
http://q.hatena.ne.jp/1357488272 ニッポンの伝説のダンス
http://q.hatena.ne.jp/1346141930 ニッポンの伝統のフード grankoyama様作
http://q.hatena.ne.jp/1346009507 ニッポンの伝統のフード
http://q.hatena.ne.jp/1339511191 ニッポンの伝説のレジャー
http://q.hatena.ne.jp/1334497733 ニッポンの伝説のフード
http://q.hatena.ne.jp/1333979251 ニッポンのゲーム
D菜はうれしそうに答えた。
D菜「梅干しでしょ? 生梅は少し毒もあるし、すっぱくておいしくないから、採れたてを食べたことのある日本人なんて少ないわね。『生梅』って名前で売ってても、実際は洗ったりしてるんだろうし。梅の実は初夏限定だし、採れる地域も、たぶん限定されるんだと思う。でも梅干しにすれば保存が利くから、ほとんどの日本人は食べたことあるでしょ? 梅干しは季節や地域に関係なく食べられるし、高級品でもないし、どこでも簡単に買える。普通アメリカでは食べないけど、きっと最近では、梅干しのおにぎりを、日本食として食べるのよ!」
F吉は質問した。
F吉「植物じゃないって言う人もいる、って言うのは?」
D菜は自信たっぷりに答えた。
D菜「梅は植物だけど、『梅干し』は植物じゃなくって加工食品だ、って言う人もいるんじゃない?」
F吉はさらに尋ねた。
F吉「『生殖器の部分も食べられるが、別な名前で売られている』っていうのは?」
D菜は口ごもった。
D菜「えーっと、梅の花って、食べられるのかも。桜の花だって、塩漬けにしてあんパンに入ってるんだし・・・。どう、J尼、これで正解?」
J尼は首を振った。
J尼「梅ノ花、普通、食ベナイデース! ソレニ梅ハ日本ノイロンナ地域ニ生エテテ、地域限定トハ言エナイデース。ソモソモ、梅干シナンテ、食ベルドコロカ、知ッテイルアメリカ人サエ、メッタニ、イナイデース!」
D菜はがっかりした。
D菜「F吉は何かアイデアある?」
F吉は得意げに言った。
F吉「生餡(なまあん)だね!」
D菜は驚いた。
D菜「生餡? 何それ?」
F吉はうれしそうに解説した。
F吉「砂糖の入ってないアンコなんだ。小豆をゆでてつぶして、皮を取り除いただけのものだよ」
D菜は不思議そうに言った。
D菜「へー、はじめて聞いた」
F吉は勢いづいた。
F吉「アンコだったら『ニッポンの伝統的な食べ物』だし、でも収穫直後の小豆を食べたことのある人なんて、まずいない。小豆は冬が旬で、北海道とか寒い地域限定だろ? アンコにすれば保存が利くから、ほとんどの日本人は食べたことがある。アンコなら季節も地域も問わず食べられるし、そんなに高級品でも入手困難でもない。『生餡』は、実際にはゆでてつぶして皮を取り除いてるから、処理されてるよね。アメリカでは普通、アンコは食べないけど、最近では日本食として食べられてるんだろう」
D菜「植物ではないと言う人もいる、っていうのは?」
F吉「『小豆は雑穀の一種で、つまり穀物だから植物じゃない』って言う人も、たぶんいるのさ」
D菜は突っ込んだ。
D菜「穀物って植物の一種じゃないの?」
F吉は慌てた。
F吉「あー、でもまあ、狭い意味では植物っぽくないしさ・・・」
D菜は容赦なく追求した。
D菜『生殖器の部分も食べられるけど、別な名前で売られている』っていうのは?」
F吉は弱気になった。
F吉「んー、小豆の花を、食べる地域があるのかも…J尼、どう?」
J尼は叫んだ。
J尼「F吉サン、素晴ラシイ回答デース!」
F吉はガッツポーズをした。
F吉「やったー! 正解なんだね!」
J尼は首を振った。
J尼「残念デース。小豆ノ花モ、普通、食ベナイデース!」
F吉はがっかりした。
F吉「今度こそ正解だと思ったんだけどなー」
J尼は慰めた。
J尼「デモ、ソレ以外ハOKデシタ。『生餡』、タイヘン良イ答エデス。F吉サン、冴エテマース!」
F吉は照れた。
D菜は不思議そうに尋ねた。
D菜「でも砂糖ぬきのアンコなんて、おいしいの?」
F吉は首を振った。
F吉「そのままじゃおいしくないけど、後から砂糖の量を調整できるから、ケーキとかパイ作りに便利なのさ。メレンゲみたいなもんだよ」
D菜は感心した。
D菜「F吉、よく生餡なんて知ってたわね。やるじゃない!」
F吉は調子に乗ってしまった。
F吉「いやー、ラッキーだったんだよ。つい最近、生餡を使った手作りのタルトを食べたばっかりでさ・・・」
F吉の声がだんだん小さくなった。
D菜は冷たい声で言った。
D菜「どこ・で、だれ・の・手作り・を、かし・ら?」
ヘッドロックをかけられているF吉を尻目に、J尼が尋ねた。
J尼「B美サン、答エ、ワカリマスカ?」
B美は頷いた。
B美「今回は簡単すぎね・・・答えが目の前にあるじゃない」
D菜とF吉は驚いた。
D菜&F吉「目の前にあるって!?」
B美は箸をとると、味噌汁の具をつまんだ。
B美「ワカメね」
J尼はうれしそうに叫んだ。
J尼「B美サン、正解デース!」
D菜は質問した。
D菜「どうしてワカメが答えなの?」
B美は解説した。
B美「新鮮なワカメは、産地で春にしか食べられないでしょ。普通に売られている『生わかめ』は、湯通しして塩漬けにするか、乾燥処理されてるし」
D菜は感心した。
D菜「たしかにワカメは、ほとんどの日本人は食べたことがあるわね。季節も地域も問わず食べられるし、高級品でも入手困難でもない」
F吉が質問した。
F吉「でも『植物だ、と言う人も、そうではないと言う人もいる』っていうのは? ワカメは海草なんだから、当然、植物だろ?」
B美は解説した。
B美「教育界では、生物は動物と植物の2つに分けて教えられていたんだけれど、マーギュリスの5界説っていうのが出てきて、ワカメは植物界でなく原生生物界に分類しよう、って提案もあったの」
D菜「『生殖器の部分も食べられるけど、別な名前で売られている』っていうのは?」
B美「『めかぶ』のことね」
F吉「何それ?」
B美「ワカメの根元にある、分厚くてひだ状になった、生殖細胞が集まった部分のこと。酢の物にするとおいしいわね」
D菜とF吉は納得した。
B美「それで、『ギリギリ! ジャパン・ガイド』には何て書いてあったの?」
J尼は答えた。
J尼「『海ノ雑草、ワカメヲ喜ンデ食ベルノハ、日本人、韓国人、中国人クライノモノデアル。低カロリーナノデ、ダイエットニ適シテイル。ワカメハ髪ノ毛ニ似テイルノデ、禿ゲ予防トシテ食ベル人モイルガ、迷信デアル。ナオ、ワカメ酒ハ、刺身ノ女体盛リト同様、決シテ注文シテハイケナイ禁断ノメニュートナッテイル。理由ハ本書デハ説明シナイ』ト書イテアリマシタ。ナゼ、ワカメ酒ハ、タブー・ドリンクナノデスカ?」
F吉は説明しかけた。
F吉「あーJ尼、いい質問だね。それはね、D菜、痛い痛い、やめてー」
B美が宥めた。
B美「味噌汁も冷めちゃうし、早く飲まない? J尼には後で私から説明しておくから」
J尼は頷くと、椀に手を伸ばした。
J尼「ソレデハ、味噌スープデ乾杯デース!」
------ 謎解き・説明解読クイズ・ニッポンの伝統的な食べ物・解答編・終わり ------
http://q.hatena.ne.jp/1427275191