【謎解き・説明解読クイズ・ニッポンの公開犯罪】


B美、D菜、F吉、J尼は、J尼家のリビングでかき氷を作ろうとしている。J尼が切り出した。
J尼「ニッポンニ、公開サレ黙認サレテイル犯罪、アリマス」
みんなは興味を持った。
B美「何なの?」

J尼「ゴク一部ノ、選バレタ若者ダケガ出来ル犯罪デス。彼ラハ皆、ソノ犯罪ヲ犯スヨウナ状況ニハ置カレタガラナイノデスガ、ホトンドハ、イツカハ、ソウ追イ込マレマス。最後マデソノ犯罪ニ手ヲ染メナイコトモ可能ナノデスガ、ミンナ、自分ノ意思デ泣キナガラ、ソノ犯罪ヲ犯スノデス。犯罪ノ一部始終ハ、テレビ中継サレルノデスガ、ミンナ温カク見守リマス。厳密ニ言エバ窃盗デスガ、武士ノ情ケデ見逃サレルノデス。盗ンダ物ヲ彼ラガドウスルカハ不明デスガ、キット部屋ニデモ飾ッテオクノデショウ」

J尼はウィンクした。
J尼「コノ犯罪、何カ、ワカリマスカ?」

※回答を8月25日(月)21:00-21:59に。22:00以降に締切。その他の注意は下の「質問者から」に。

回答の条件
  • 1人2回まで
  • 登録:
  • 終了:2014/08/25 22:02:16
※ 有料アンケート・ポイント付き質問機能は2023年2月28日に終了しました。
id:lionfan2

このクイズの回答方法については、過去の問題を参考にしていただければと思います。

答えが分かった方も、コメント欄やtwitter、ブックマーク等でネタばれしないようにお願いします。

またいつもどおり、小説風回答歓迎です。

http://q.hatena.ne.jp/1407773038 ニッポンの謎キャラ

http://q.hatena.ne.jp/1406471216 ニッポンの嘘魔法

http://q.hatena.ne.jp/1405081515 ニッポンの羊頭狗肉デザート

http://q.hatena.ne.jp/1400504972 ニッポンのイメージダウンフード 222さん原案・lionfan2編

http://q.hatena.ne.jp/1399040599 ニッポンの悲劇的な役職

http://q.hatena.ne.jp/1375089952 ニッポンの伝統のドール

http://q.hatena.ne.jp/1374476099 ニッポンの伝統のグッズ

http://q.hatena.ne.jp/1369538017 ニッポンの伝説のゲーム

http://q.hatena.ne.jp/1357488272 ニッポンの伝説のダンス

http://q.hatena.ne.jp/1346141930 ニッポンの伝統のフード grankoyama様作

http://q.hatena.ne.jp/1346009507 ニッポンの伝統のフード

http://q.hatena.ne.jp/1339511191 ニッポンの伝説のレジャー

http://q.hatena.ne.jp/1334497733 ニッポンの伝説のフード

http://q.hatena.ne.jp/1333979251 ニッポンのゲーム

ベストアンサー

id:grankoyan2 No.2

回答回数121ベストアンサー獲得回数34

ポイント350pt

F吉「黙認されている犯罪といえば、スカートめくりなんじゃないかなあ?」

 言いながら、F吉はD菜とJ尼の太もものあたりをチラチラと見ている。

D菜「F吉! 実演したらしばきたおすわよ!」

J尼「違イマース! すかあとメクリハ、黙認サレナイデース!!
 ぎりぎりじゃぱんがいどニハ『オ医者ゴッコ』ト並ブ、淫靡ナ遊戯デアリ、度ヲ超エルト、ワイセツ罪トナルトシテ紹介サレテマシタカラー!!」

F吉「そうか、違うのか……」

D菜「そうよ、子供がやるならまだしも、若者がしたら黙認なんてこの女尊男卑の世の中では罷り通らないし、泣きながらする男の子なんてみたことないわよ! そもそも窃盗じゃないじゃない!」

 それを聞いて、泣きながらスカートをめくってその後にあろうことかその流れで窃盗まで犯してしまったことのある黒歴史がF吉の脳裏によみがえったが、あまりにもあまりな内容なのでここでは触れない。

J尼「D菜サンハ、ナニカ、ヒラメクモノアリマスカ?」

D菜「黙認といえば、食い逃げとかで……」

 ◆◇◆◇◆

 ああ、ついふらふらとこの食堂の匂いに釣られて店に入ってしまったけど……。
 支払うお金がない……。
 どうしよう……?

「兄ちゃん、良い食いっぷりだったねえ。美味かったかい?」

「ええ、とても……」

 だめだ。こんないい店の親父さん相手に逃げるなんて。
 正直に言わなきゃ。

「すみません。もう何日も何も口にしてなくって。
 でも、そうじゃなくても美味しかったと思います」

「そりゃよかった。
 また来てくれよな!」

「で、あの、お勘定のことなんですが……」

 そうだ、謝らなきゃ。
 何時になるかはわからないけど……。
 正直に謝って、絶対にお金を払いにくるって約束させてもらおう。

「そうだ、サービスだ。
 よかったらこれも喰いな!」

 (ガタ)席を立って、床に土下座をする音。

「すいません。
 お腹が減って、あまりにもいい匂いがしたもんで。
 つい入って注文してしまいましたけど、僕、実はお金を持ってないんです。
 今は無理ですけど、絶対に、仕事を見つけて支払いに来ますから……」

「んなもん、兄ちゃんの顔みりゃ最初からわかってたよ。
 何年店をやってると思ってるんだい。
 うちはしがない定食屋だがな、これでも人様の役にゃあ立っているつもりだ。
 金はまた将来に兄ちゃんが立派になった時でいい。
 また、腹が減ったら食いにきな。
 間違っても金がないくらいで変な気おこすんじゃねえぞ!」

 な、なんて優しい人なんだろう!!
 その時出された料理を泣きながら食べた思い出は一生忘れないだろう……。

 ◆◇◆◇◆

D菜「で、その時に泣きながら食べた定食の味が忘れられずに、それでもそれをきっかけに努力して立派になっていずれお店に恩返しするんでしょう?
 地上げかなんかで立ち退きを迫られている時に?
 出世払いは選ばれた若者だけが出来るものだし、泣きながら犯す犯罪でおそらく窃盗だわよね?
 みんな、食い逃げなんてしたくないけど、お金が無かったら仕方がないし、武士の情けで見逃されるわ。
 でもって、そういういい話ってその人が出世した後に、感動のエピソードとしてテレビで放送されるのよね!」

J尼「変ナ、挿話ガ入リマシタケド違イマース!
 準正解ミタイナ感ジデスガ、コジツケガ酷ク、サラニイエバ、部屋ニハ飾リマセン!!
F吉「違うのか~」

J尼「B美サンハ、オ分カリデスカ?」

B美「F吉が、スカートをめくりそうだった時に、みんなこういうべきだったのよ」

 と、B美はかき氷の素材として用意してあった氷を手にして、

B美「F吉、この氷でドタマかちわったろか!!」

 と、すごんだ。

J尼「サスガB美サン。カチワリニ辿リ着クトハ!!
 正解ガワカッテイルヨウデスネ!!」

D菜「かちわり? かちわり氷? あの甲子園で……
 あっ!!」

F吉「D菜わかったの?」

D菜「そう! 甲子園ね!!
 甲子園といえば高校球児。
 甲子園名物の、選ばれた出場高校の選手だけができる、負けてそんなことはしたくないのに、優勝校の一校を除いてみんながやらざるを得ない行為!!
 泣きながらテレビ中継されるのをみんな温かく見守る奴!!」

B美「全部いわれちゃったけど、そう、負けたチームが甲子園の砂を集めて持ち帰る行為ね」

F吉「なるほど~。あれも見方を変えれば窃盗か~」

J尼「砂ハ、毎年補充サレ、費用ハ馬鹿ニナリマセンガ、イワバ夏ノ風物詩ナノデス!」

 おしまい。

id:lionfan2

id:grankoyan2様、ありがとうございます。今回はボケ回答が難しく、あとで読んでみていただければわかるとおり、自分の「正解」でも、ボケ回答は思いつかなかったため、省略してしまいました。その中で「スカートめくり」「食い逃げ」でボけ、「かき氷」の伏線を回収しており、「ギリギリ! ジャパン・ガイド」にも触れ、しかも正解をわかりやすく明示している、良い回答でした。ベストアンサーを差し上げます。

2014/08/25 22:01:06
id:grankoyan2

ベストアンサーやら、前回のコメントへのポイント送信やらありがとうございました。

一応、夢というか、目標としては、模範回答に如何に近づけるか? というところを目指してやってたりします。いつも独自色がちらほら出てしまい、遠く及びませんが。

たけじんさんやa-kuma3さんとはベクトルが違う方向に向いているのです。という内部告発。
他人の文体や思考を真似るというのはそれはそれで文章修業になりますの。

2014/08/26 09:53:08

その他の回答3件)

id:a-kuma3 No.1

回答回数4974ベストアンサー獲得回数2154スマートフォンから投稿

ポイント300pt

『CRIMINAL GAME』    


「お忙しいところ、すみません。プリーズ、ハリーアップ」

受話器をたたきつけたくなる気持ちを抑えて、そっと戻す。
電器屋には罪は無い。
このローストチキンになりそうな暑さと、くそったれな おんぼろクーラーがすべて悪い。

極東の外れにあるちっぽけな島国に事務所を構える羽目になったのは何の因果か ――― アメリカにまでブッキョーのシステムが及ぶなら、だが ――― 分からないが、東京のベッドタウンと呼ぶには、やや離れすぎているこの街に来てから、何回目の夏なのかは、もう片手では数えられない。

ビーチまで車をブッ飛ばしてもゆうに二時間はかかる この山間の都市で、気温が体温を超えてから、そろそろ一時間が過ぎようとしている。
音量だけは立派な安物の扇風機のぶんぶんという音にも飽きた俺は、この殺風景な事務所の最後の設備、ラジオのスイッチを入れた。
サイズも重量も、オックスフォードの辞書並みにある、今じゃ骨董品の部類だろう。
体積の大部分は、今では手に入らない媒体のために備えられたパーツで占められ ――― しかも二つ分だ ――― 、有効に機能しているのは十分の一くらいだろう。
だからというわけではないだろうが、地方都市とは言え、都市部のビルに構えた事務所なのに電波の入りが悪い。
ダイヤルは、その中でも割と受信できる放送局から移動したことがない。

・・・を盗まれ・・
・・・で、刺せない!
あそこで殺せなかった・・・痛いですねえ。


愛想が良いだけの電器屋が時間通りに来ることを期待するほどの世間知らずではない俺は、一階のカフェーに電話を入れる。
泥水よりはましな程度のコーヒーだが、熱帯気候のコンクリートの檻の中よりは、まだましだろう。

・・・また、盗まれた!
いや、今度は矢の・・・
・・・で刺され・・・
最後の・・・が、殺され・・・


探偵事務所向けに言葉をチョイスしているわけでは無いだろうが、盗難に殺人とは、なんと殺伐とした放送だろう。
まるで犯罪者のバトルロイヤルのようではないか。
わが愛する祖国のベースボールよ。
サムライの国では、スポーツも命がけなのだ。


勝敗が決した球場では、応援席に感謝の意を示した敗者が最後の儀式にとりかかっている様子が流されている。
不思議な儀式だ。
また来年、土を返しに来るという意味があるというような話を聞いたことはあるが、実際に返しているという話は聞いたことがない。

グラウンドの土は専用のものが使われていると聞いたことがあるが、それなりに費用がかかるものだろう。
白昼堂々の窃盗を黙認しているということには、ならないのか。
参加している高校は五十くらいあるのだったか。
シューズバックに詰めると0.5リットルくらいとすると、約二十人が五十校というと全部で約500リットルというところか。
あの土の単価をかけると被害額は……

いや、許可されているかどうかは聞いたことはないが、いまさら誰が止めさせることができるだろう。
入場料の内の何パーセントかが土の代金なのだ。

くだらない思考に終止符を打ち、報告書と、証拠の写真を確認する。
どちらも犯罪のラインを少しだけ超えないと、手に入れられないものだ。
クライアントが来るまで、後三十分。
まだまだ気温は上がりそうだ。


(了)
 
 

id:lionfan2

id:a-kuma3様、いつも回答ありがとうございます。もちろん「甲子園の土」で正解です。
クーラー修理人を待つ探偵事務所、という設定が楽しいです。
「入場料の内の何パーセントかが土の代金」は、言われて見ればそのとおりだと思いました。

2014/08/25 22:00:52
id:grankoyan2 No.2

回答回数121ベストアンサー獲得回数34ここでベストアンサー

ポイント350pt

F吉「黙認されている犯罪といえば、スカートめくりなんじゃないかなあ?」

 言いながら、F吉はD菜とJ尼の太もものあたりをチラチラと見ている。

D菜「F吉! 実演したらしばきたおすわよ!」

J尼「違イマース! すかあとメクリハ、黙認サレナイデース!!
 ぎりぎりじゃぱんがいどニハ『オ医者ゴッコ』ト並ブ、淫靡ナ遊戯デアリ、度ヲ超エルト、ワイセツ罪トナルトシテ紹介サレテマシタカラー!!」

F吉「そうか、違うのか……」

D菜「そうよ、子供がやるならまだしも、若者がしたら黙認なんてこの女尊男卑の世の中では罷り通らないし、泣きながらする男の子なんてみたことないわよ! そもそも窃盗じゃないじゃない!」

 それを聞いて、泣きながらスカートをめくってその後にあろうことかその流れで窃盗まで犯してしまったことのある黒歴史がF吉の脳裏によみがえったが、あまりにもあまりな内容なのでここでは触れない。

J尼「D菜サンハ、ナニカ、ヒラメクモノアリマスカ?」

D菜「黙認といえば、食い逃げとかで……」

 ◆◇◆◇◆

 ああ、ついふらふらとこの食堂の匂いに釣られて店に入ってしまったけど……。
 支払うお金がない……。
 どうしよう……?

「兄ちゃん、良い食いっぷりだったねえ。美味かったかい?」

「ええ、とても……」

 だめだ。こんないい店の親父さん相手に逃げるなんて。
 正直に言わなきゃ。

「すみません。もう何日も何も口にしてなくって。
 でも、そうじゃなくても美味しかったと思います」

「そりゃよかった。
 また来てくれよな!」

「で、あの、お勘定のことなんですが……」

 そうだ、謝らなきゃ。
 何時になるかはわからないけど……。
 正直に謝って、絶対にお金を払いにくるって約束させてもらおう。

「そうだ、サービスだ。
 よかったらこれも喰いな!」

 (ガタ)席を立って、床に土下座をする音。

「すいません。
 お腹が減って、あまりにもいい匂いがしたもんで。
 つい入って注文してしまいましたけど、僕、実はお金を持ってないんです。
 今は無理ですけど、絶対に、仕事を見つけて支払いに来ますから……」

「んなもん、兄ちゃんの顔みりゃ最初からわかってたよ。
 何年店をやってると思ってるんだい。
 うちはしがない定食屋だがな、これでも人様の役にゃあ立っているつもりだ。
 金はまた将来に兄ちゃんが立派になった時でいい。
 また、腹が減ったら食いにきな。
 間違っても金がないくらいで変な気おこすんじゃねえぞ!」

 な、なんて優しい人なんだろう!!
 その時出された料理を泣きながら食べた思い出は一生忘れないだろう……。

 ◆◇◆◇◆

D菜「で、その時に泣きながら食べた定食の味が忘れられずに、それでもそれをきっかけに努力して立派になっていずれお店に恩返しするんでしょう?
 地上げかなんかで立ち退きを迫られている時に?
 出世払いは選ばれた若者だけが出来るものだし、泣きながら犯す犯罪でおそらく窃盗だわよね?
 みんな、食い逃げなんてしたくないけど、お金が無かったら仕方がないし、武士の情けで見逃されるわ。
 でもって、そういういい話ってその人が出世した後に、感動のエピソードとしてテレビで放送されるのよね!」

J尼「変ナ、挿話ガ入リマシタケド違イマース!
 準正解ミタイナ感ジデスガ、コジツケガ酷ク、サラニイエバ、部屋ニハ飾リマセン!!
F吉「違うのか~」

J尼「B美サンハ、オ分カリデスカ?」

B美「F吉が、スカートをめくりそうだった時に、みんなこういうべきだったのよ」

 と、B美はかき氷の素材として用意してあった氷を手にして、

B美「F吉、この氷でドタマかちわったろか!!」

 と、すごんだ。

J尼「サスガB美サン。カチワリニ辿リ着クトハ!!
 正解ガワカッテイルヨウデスネ!!」

D菜「かちわり? かちわり氷? あの甲子園で……
 あっ!!」

F吉「D菜わかったの?」

D菜「そう! 甲子園ね!!
 甲子園といえば高校球児。
 甲子園名物の、選ばれた出場高校の選手だけができる、負けてそんなことはしたくないのに、優勝校の一校を除いてみんながやらざるを得ない行為!!
 泣きながらテレビ中継されるのをみんな温かく見守る奴!!」

B美「全部いわれちゃったけど、そう、負けたチームが甲子園の砂を集めて持ち帰る行為ね」

F吉「なるほど~。あれも見方を変えれば窃盗か~」

J尼「砂ハ、毎年補充サレ、費用ハ馬鹿ニナリマセンガ、イワバ夏ノ風物詩ナノデス!」

 おしまい。

id:lionfan2

id:grankoyan2様、ありがとうございます。今回はボケ回答が難しく、あとで読んでみていただければわかるとおり、自分の「正解」でも、ボケ回答は思いつかなかったため、省略してしまいました。その中で「スカートめくり」「食い逃げ」でボけ、「かき氷」の伏線を回収しており、「ギリギリ! ジャパン・ガイド」にも触れ、しかも正解をわかりやすく明示している、良い回答でした。ベストアンサーを差し上げます。

2014/08/25 22:01:06
id:grankoyan2

ベストアンサーやら、前回のコメントへのポイント送信やらありがとうございました。

一応、夢というか、目標としては、模範回答に如何に近づけるか? というところを目指してやってたりします。いつも独自色がちらほら出てしまい、遠く及びませんが。

たけじんさんやa-kuma3さんとはベクトルが違う方向に向いているのです。という内部告発。
他人の文体や思考を真似るというのはそれはそれで文章修業になりますの。

2014/08/26 09:53:08
id:takejin No.3

回答回数1543ベストアンサー獲得回数203スマートフォンから投稿

ポイント300pt

『魔物』

禍々しい建物がある。そこは周囲を高いレンガで囲われ、すり鉢状になっている内部の底は、舗装などされておらず、土と草で覆われている。
近年、同様の施設があちこちにできているが、その建物は時代に乗り遅れ、内部は雨ざらしである。
銀の傘がかかるそこには、遠い欧州の山脈が鎮座し、近くの山地から季節風が召喚される。そして、時には海からの風が、旗をポールに巻きつけたりする。
フェンスで仕切られたその内部では、若者たちが戦い、敗れていく。勝負が付かなければ、そこから立ち去ることも叶わない。
古来より、そこには魔物が住んでいるという。そして、その魔物は、そこを訪れた若者たちに呪術を掛ける。
その呪術に掛かった若者は、いつもできていることができなくなり、やろうとしてもできなかったことができるようになる。
魔物は何を求めているのだろうか。

それは、涙。

魔物は、涙を求めて、春と夏を過ごす。

そして、この国の人々は、毎年魔物の暗躍を見守るのだった。

今年も、また、夏がやってきた。魔物の見守る、夏が。

*******************************************************


「サンプルは採取したか?」
白衣に身を包みボサボサ頭に黒縁の丸メガネの、誰が見てもマッドサイエンティストの格好をした初老の男が、助手らしきこれまた白衣の小男に声を掛けた。小男は、背中に背負ったサイクロン掃除機から伸びるホースをたたみ、外から中が見えるダストボックスを取り出した。
「さすがダイソンですね。アルプススダンドの空気から、こんなにいろいろサンプルが取れました。ハカセ」
小男は、大き目のキャリーバッグからジップロックを取りだし、ダストボックスの中身を入れ、アルプススタンド(大阪桐蔭)とマジックで書いた。
「急げ、明徳のサンプルも取るんだ」
ハカセと呼ばれた男は、メインスタンドのグラウンド脇を走る。小男も後に続く。
内野席の端から、掃除機のホースを伸ばし、敗色濃厚な明徳義塾のアルプススタンドのサンプルを採取する。
「ハカセ、今日は魔物は居るんですか」
「難しいところだな。順当とも言えるが、それが魔物のセイなのかそうでないのかは、わからんなぁ」
「明確な魔物の影響を考慮するんですよね」
「だから、こうして毎試合のサンプルを採取しておるのだ」

内野席を歩きながら、ベンチ脇に立ち止まったハカセは、小男を手招きした。
「ここから、内野の土を吸い取るんだ」
「え、怒られません?」
「何を言っておる、毎試合選手たちが取っていっているだろ。いいのだよ、もらっても」
「本当ですか?」
「いいから、吸い取れ」
小男は、ダイソンのホースを目いっぱい伸ばし、ベンチ脇から内野の土を吸い取ろうとした。
「こらっ!何してる」
球場の警備員が、小男の様子を見て駆け寄ってきた。
「いけね」
「にげるんだ」
ハカセは小男を残し、走り出そうとした。と、気が付いて、小男の手からキャリーバッグを奪い、内野席の階段を駆け上がった。
小男はネットにからむホースと格闘しながら、警備員と距離を保っていた。抜けたホースを警備員に投げつけると、ハカセを追った。
「土泥棒!」
警備員が追ってくるのを振り切り、階段を駆け下り、小男はなんとか外に出た。そのまま走り続けた小男は、近くに止めてあった車に、やっとのことで乗り込んだ。そこには、ハカセがちゃっかり助手席に座って、カチワリをすすっていた。
「ハカセ、ひどいですよ。置いてくなんて」
「そりゃ、サンプルが大事だからな」
「車で助けに来て下さいよ」
「運転できないからな」
「どうやって帰る気だったんです?」
「君の運転に決まってるだろ」
「だったら、置いてかないでくださいよ」
車を運転しながら、小男は背中が押されるのに気が付いた。ダイソンの掃除機を背負ったままだった。
「ハカセ、この掃除機外してください」
「おお、土が取れてるな。さすがだ」
「そうですよ。命がけで取ったんですから」
「さすが、ダイソンだな」
「もう、ハカセ。そ・う・じ・き・を・は・ず・し・て。ダストボックスじゃなくて」
ハカセはそれを聞いてないのか、ダストボックスの中身をジップロックに収めた。
小男は運転しながら掃除機を、体をくねらせてはずした。肩から外したダイソンがハンドルに当たり、車は歩道に乗り上げそうになった。ダイソンをハカセにほおり投げ、小男はハンドルを握り直してホッと息をついた。
「もう、命がいくつあっても足りない。」
小男はハカセを睨みつけるが、ハカセはジップロックの中身を見比べていて、気にも留めない。
「ほおお、どこにも土が混じっておるなぁ。風で飛ぶからか」
ハカセは急に黙り込んだ。難しい顔をして、考え込んでいる。
「ハカセ、ハカセ。どうしたんです?」
「急げ。これを早く分析した方がいい」
小男は、ハカセの声の真面目さに押され、研究室までの道のりを急いだ。


研究室に着くと、ハカセはあわただしくサンプルを取り出し始めた。
「それぞれふるいにかけて、粒度分布をとる。それから、土の粒を取り出してくれ」
そういうと、ハカセはベンチ脇から取った土を、顕微鏡にかけている。
しばらくすると、ハカセはこう呟いた。
「これは、なんなのだ」
「え」
研究所の助手である小男は、これを聞いてハカセの方に振り向いた。ハカセの見ているPCの画面には、顕微鏡の画像が写っている。
「これは、甲子園の土の粒だ。そのなかに、こんなものが混じっていた」
その画面には、黒い丸い粒が写っていた。よく見ると、小さな蝙蝠のような羽と、角のような突起と、短い尾が付いているようにも見える。
「どうも、生き物の様にみえる。羽や角やしっぽのある生物に」
助手は思わずこう言った。
「ドラゴンの丸いのみたいです。」
すると、画面の黒い粒の角の下が、僅かに動いたようにも見えた。
「笑ってる」
そう、ニヤリと笑っているように助手には見えた。その画像に気を取られたのか。助手は手に持ったサンプルを取り落してしまった。
「どうした、実験でミスするとは、君らしくないな」
「はい、すみません。」
「このちいさなドラゴンを集めてみよう」
ハカセと助手は、さまざまなところから採取したサンプルから、角のある粒を選別して集めた。
そして、土のサンプルを、仔細に撮影・分析した。
「土には、20分の一程度の数のこのミニドラゴンがいるな。スタンドにも飛んできていることもわかる。特にアルプススタンドに飛んでいるな」
「ハカセ、それはどういう事なんでしょう」
助手は、ミニドラゴンを集めたジップロックを持ち上げようとした。
「ハカセ」
助手の持ち上げたジップロックは破れ、周りに土が散乱していた。
「おい、土を集めないと」
助手が土を集めて、トレーに入れた。
土は、トレーに山盛りになり、それでも収まらなかった。
「ハカセ。土が増えてます」
「何?」
ハカセは先ほど観察していた画面を見た。すると、その瞬間、黒い粒が二つに分離したのが見えた。よく画面を見ると、粒の周囲に同じような粒が増えている。
「こ、これは。増殖するのか。」
「結構増えてます」
今や、土はトレーから溢れ出し、床に広がりつつあった。
ハカセは、PCに取りつき、何かを調べ始めた。
「わかったぞ。甲子園の土の増減が合わない理由が。毎年投入している土の量より、無くなる土の量が多いというデータの説明は、これでつくのだ」
「ハカセ、これは」
「この増殖は抑えられない。どうなってるんだ」
すでに、研究室は土でいっぱいになりつつある。

ドンドン。ドンドン。
研究室の扉が叩かれ、その直後に扉の上部のガラスが割れた。
一瞬、その隙間から顔が覗き、すぐにホースに繋がったノズルが差し込まれた。ほどなく、そこから白いガスのような霧の様な物が吐き出されてきた。
研究室内の土は、このガスに触れて縮小し、室内は平常な状態に戻った。
扉を開けて飛び込んできたのは、甲子園の警備員ともう一人の老人だった。
「大丈夫ですか」
「あんたたち、なんてことをするんだ」
「誰ですか」
「あ」
助手は警備員と目を合わせ、ハッとなった。
「よかった、間に合って。だめです、土を無断で盗んじゃ」
警備員にこう言われ、ハカセと助手は老人を見つめた。
「この人は」
警備員が言おうとするのを制し、老人は二人に向き合った。
「ワシは、甲子園の土の管理をしております。山本と申します。」
山本老人は、部屋の中へ進み、トレーに残っている土を持ち上げた。
「これを集めてはいかんのだ。これだけを、集めては」

ハカセは山本氏を土の粒が映っているディスプレイの前に連れて行った。
「これのことですよね。これって、おっしゃってたものは」
山本氏は画面を見て、大きく頷いた。
「そうなのだよ。これだ。こんなに大きくしてみるのは初めてだが。これだ」
「これは、いったいなんなんです?」
山本氏は、一堂に向き、こう言った。
「これは、甲子園の魔物だ」
ハカセは画面に向き直り、呟いた。
「これが、これが探し求めていた魔物の正体か」

「魔物は、暑い夏をとりこんで増える。それも、仲間同士がくっついているとドンドン増えてしまう。」
山本氏は、魔物について語り始めた。
「さっきここに吹き込んでいたのはなんですか?」
助手が山本氏に聞く。
「あれは、液体窒素だよ。急激に氷点下に冷やすと、消えてしまうんだ」
「寒さに弱いんですね」
「暑さだけが好物なんだ」
「暑ければいいんですか」
山本氏は、遠い目をしながら言った。
「いや、熱い心が一番の好物なんだよ」
ハカセは山本氏に向いて聞いた。
「魔物って何者なんです?」
「青春の凝縮したもの、かもしれない」
「青春ですか」
助手はトレーの上の土を見て、山本氏に尋ねた。
「甲子園の土が増えないのはなぜなんです?なにか混ぜているんですか?」
「そうだ。増えない配合を、いつもやっている」
「ほっておくと増えちゃう?」
「そうだ。魔物の好きなプレーと、若者の涙があったときは特に」
ハカセは、何かに気が付いた様子だった。
「ベンチ前で甲子園の土を持って帰るっていうのは」
山本氏は大きく頷いた。
「増えた土を持って帰ってもらってるんだ。それが魔物の望みでもある」
助手はこう聞いてみた。
「土を全部取り替えて、この魔物が居なくなるようにはできないんですか?」
山本氏は腕組みをして、画面を睨んだ。
「やってみた。やってみたのだが。いつのまにか、土がこうなってしまう」
「増えないように配合するのが精一杯なんですか?」
山本氏は頷く。
「甲子園の魔物は、消えることは無いんですか」
ハカセの呟きに、警備員が頷いた。

高校野球大会決勝戦のアルプススタンドに、ハカセと助手は再び足を運んだ。
「なあ、あの魔物たち、それぞれ持って帰った後どうなってるんだろう」
ハカセが助手に聞く。それに応えて、助手はこう言った。
「それに、ここを飛んでる魔物ですけど、われわれ吸い込んでますよね。これ、どうなるんですかね」
ハカセは、スコアボードを見ながらこう言った。
「あの魔物は、山本氏の言うように日本全国に散らばって、日本人に感染症を起こしているに違いない。そうじゃなければ、こんな下手くそな高校生の野球を見て興奮するはずがない。これは、この魔物が引き起こしてる病気だ。そして、魔物に感染すると、甲子園に帰りたがるようになる。高校球児なら、勝って甲子園を目指し、そのほかの生徒なら学校を応援し、そのほかの人たちは、テレビで甲子園球場を見る。」
「それは、野球をやってるんじゃなくて」
助手の言葉に、ハカセは大きく頷いて言った。
「そう、甲子園に還りたいだけなんだと思う」


今日、平成二六年夏の甲子園は、熱のこもった接戦で幕を閉じた。今年も、魔物は様々なドラマを引き起こした。そう、魔物はいい試合も作り出す。

そして、日本中に蔓延している、この夏の熱病は、当分収束しそうにない。

この熱病の元は、毎年持ち帰られて、パンデミックは常に生じているのだから。

id:lionfan2

id:takejin様、いつも本格的な小説、ありがとうございます! 正解を出すだけでは物足りない、という高い志がいいですね。あまりに本格的な小説だと、初見のユーザには何が正解なのかわかりづらく、かえってベストアンサーからは遠ざかってしまうのが心苦しい限りですが、せめてポイントで心意気に応えたいと思います。

2014/08/25 22:01:24
id:takejin

いえいえ、いいんです。キーワードにかこつけて、小説の発表の場にしたいだけですんで。BAなんてほかの真面目な方に差し上げてください。

2014/08/25 22:02:58
id:Baku7770 No.4

回答回数2832ベストアンサー獲得回数181

ポイント300pt

B美、D菜、F吉、J尼は、Baku7770の自宅を訪れていた。
「J尼があのクイズを出してからもう3年も経つのね。」
とB美が切り出した。
D菜「でも、あの後の福井沖地震には驚いたよね」
4人はあの日のことを、しっかり覚えていた。

J尼が「コノ犯罪、何カ、ワカリマスカ?」
と聞くとすぐにF吉が
「解った!甲子園の土を持ち帰る球児達だ!」
J尼が唖然とした表情で、
「何デソウダト思ウノデスカ?」
F吉は自慢げに解説を始めた。
「ごく一部の、選ばれた若者は甲子園に出場できた球児達。夏なら4千校の内、たった49校。しかもベンチ入りできるのは各校から18人だけだよ。」
「そんな彼らが試合に負けたら、甲子園の土を持ち帰る。彼らは皆負けたくない。でも、49校の内48校は負けるんだから、“彼ラハ皆、ソノ犯罪ヲ犯スヨウナ状況ニハ置カレタガラナイノデスガ、ホトンドハ、イツカハ、ソウ追イ込マレマス”だ。」
「しかも高校野球の試合は、NHKと春ならTBS、夏はTV朝日系列で泣きながら甲子園の土を袋に詰めるところまで中継される。まさに“自分ノ意思デ泣キナガラ、ソノ犯罪ヲ犯スノデス。犯罪ノ一部始終ハ、テレビ中継サレルノデスガ、ミンナ温カク見守リマス”だ。」
J尼「正解デス。」
B美「F吉としては早かったわね。何でこれだけ早く解ったの?」
F吉「実はTVの高校野球中継を見ていたんだ。ホラ」
F吉がTVの方を指差すとほぼ同時に、画面が変わった。
アナウンサー「高校野球中継の途中ですが、気象庁の発表によりますと、先程福井県沖でマグニチュード8.8の地震が観測されました。福井放送局と電話をつなごうとしておりますが、いまだ繋がっておりません。現地はかなり混乱しているものと思われます」

B美が尋ねた。
「Bakuさんは今度政府が成立させようとしている土砂の県外移動禁止法案をどう考えています。」
「福井県沖大地震でいくつもの未稼働の原子力発電所で、収容されていた核燃料が暴走し、放射性物質の拡散を恐れて高校球児達が甲子園の土を持ち帰ることすら禁止しようとする法案だよね。」
「一部の大人たちの無知。原子炉は休眠状態でも何かあれば放射性物質を撒き散らすことがあり得るという当たり前のことを理解していなかった。そして本来一都道府県が困っている。それを、日本全部で助け合おう。それが日本人としての常識だと僕は考える。それを高校球児達にも押し付けるようで反対だよ。」
「大人が、子供達の夢や希望、願いをイデオロギーで潰すのは僕は絶対に許さない。」
「過去に、実際甲子園の土を持ち帰った球児たちに、それを大人が捨てさせるという事件が実際にあった。昭和33年返還前の沖縄から、首里高校が甲子園大会に招待された。甲子園の土を持ち帰った首里校ナインを待ち受けていたのは、沖縄がアメリカ領土という現実だった。那覇港に上陸する前に検疫官がナインに植物検疫法に基づいて甲子園の土の廃棄を命じた」
D菜「へぇそんなことがあったんですか?
Baku「そう。この話しはこれで終わらないからいい話しとなる。アメリカが禁止していたのは土の移動だけだからと、日航のスチュワーデス近藤 充子さんが土がだめなら甲子園の石をということで、球場近くの海岸で拾った石を首里高校に届けた」
「今回法案が成立しようが、子供達の気持ちに一部でも大人が叶えてあげられる。そんな結末になって欲しいと僕は願っている。」

id:lionfan2

id:Baku7770様、珍しい方の回答、楽しみにしておりました。もちろん「甲子園の土」で正解です。首里高校の件は興味を持ったので、たった今、マンガ「ハイサイ!甲子園」を、Amazonでポチりました。ありがとうございます!!

2014/08/25 22:01:35
  • id:NAPORIN
    なるほどー、なるほどー あとはどう処理するかですなあ
  • id:a-kuma3
    あはは、あれは黙認か :-)
  • id:grankoyan2
    ふう、難産でしたが、回答に辿り着けました。
  • id:lionfan2
    皆様、ありがとうございます。たいへん期待しております!! さすがですね。
  • id:Baku7770
    問題を読み終えて2分でしたね。

    で、突っ込みどころは満載なんですが、一つだけ。

    厳密に言えばむしろ窃盗じゃないとも考えられます。
    窃盗罪、刑法235条の条文をよく読んでみてください。

    物語り風ねぇ、今思いついているのは、SFでそれを盗んだ若者を死刑にするって法律ができたというある社会問題への風刺も含んだ内容なんですが、そんなのでもいいですか?
  • id:takejin
    突っ込みどころを楽しむってことでは…

    厳密に対応すると、窃盗罪な気がしますが、面倒な議論はやめましょう。
  • id:lionfan2
    id:Baku7770様、id:takejin様、コメントありがとうございます。
    各人、自分の良いと考える回答でOKです!! 楽しみにしています。

    昨日、研究会で9人の人に出題したのですが、この問題を解けたのは1人だけでした。
    そこそこな難易度だと思ったのですが、「はてな」の皆様には瞬殺でしたね。
  • id:Baku7770
    たけじんさん。

    >厳密に対応すると、窃盗罪な気がしますが、面倒な議論はやめましょう。
    むしろ、議論をさせてください。そうでないと“選ばれた若者”が泥棒になってしまいますからね。
    はてな地方裁判所における弁護士としてコメントしたいと考えます。
    これには強い思いを抱く理由もあります。それについては、ネタバラシになってしまいますので、回答が公開されてからとさせてください。

    lionfan2さん
    >各人、自分の良いと考える回答でOKです!! 楽しみにしています。
    ありがとうございます。謎解きだけではちょっと面白くないと思ったもので。

    >そこそこな難易度だと思ったのですが、「はてな」の皆様には瞬殺でしたね。
    かなり早いです。私の数少ない質問の中でのクイズの時もそうでしたし、
    http://q.hatena.ne.jp/1290587901
    の時なんて、あっさりトリックが見破られたので、その後のコメントの書き方に苦労させられたのを覚えています。
  • id:lionfan2
    ---------- 謎解き・説明解読クイズ・ニッポンの公開犯罪・解答編 ----------

    J尼はB美に尋ねた。
    J尼「B美サン、答エハ、ワカリマスカ?」
    B美は頷いた。
    B美「J尼、厚めのジップロックとストローをくれない?」
    J尼はジップロックとストローを持ってきた。
    B美はジップロックを受け取ると、氷を入れ、砕いてストローを差した。
    F吉「B美、何やってるの?」
    D菜「氷水でも飲みたいわけ?」
    J尼も不思議そうだった。
    J尼「今回ノB美サンハ、私ニモ、ミステリーデス!」

    B美は氷入りのジップロックを示すと答えた。
    B美「これは甲子園名物の『かち割り』のつもりなの」
    J尼はうれしそうに言った。
    J尼「ヤット、ワカリマシタ。B美サン、正解デース!」

    D菜とF吉は不思議そうだった。
    D菜「F吉はわかってないみたいだから、解説してあげて。もちろん私にもわかんないんだけどさ」
    B美は正解を言った。
    B美「高校野球に負けたチームの『甲子園の土集め』ね」

    D菜とF吉は感心した。
    D菜「確かに甲子園は、ごく一部の、選ばれた高校生しか出場できない。みんな勝つために出場してるわけだから、土を集めるような状況には置かれたくない」
    F吉「でも優勝チーム以外は、いつかは負けるよね。土集めをしないことも可能だけど、一生の記念だから、みんな、自分の意思で泣きながら土を集める」
    D菜「一部始終はテレビ中継されて、みんな温かく見守る。厳密に言えばドロボーって言う人もいるけど、それくらい見逃すわね」
    F吉「甲子園の土なんて、特に利用価値もないから、部屋や部室に飾るくらいしかないだろう」

    B美は解説した。
    B美「甲子園の土を持ち帰る習慣が、いつから始まったかははっきりしていないけれど、1937年大会の決勝で、熊本工の投手だった川上哲治も甲子園の土を持ち帰ったみたいね。『ギリギリ! ジャパン・ガイド』には、なんて書いてあったの?」
    J尼は答えた。
    J尼「米国ニオケル、アメリカン・フットボールノヨウニ、日本人ニトッテ野球ハ、特別ナ球技デアル。コトニ高校野球ハ、若者ノ純粋サヤ、二度トナイ青春ヲ実感サセルタメ、神聖視サレテイル。夏ノ高校野球ノ全国大会ハ、兵庫県西宮市ノ甲子園球場デ行ワレルタメ、『甲子園』ハ高校ノ野球部員ニトッテ、聖地トナッテイル。日本人ハ物ニ過度ニ思イヲ込メル。『甲子園ノ土』ヲ持チ帰ルノハ、ソンナ日本人ラシイ伝統デアル。日本人ハオ土産ガ大好キダガ、『甲子園ノ土』ハ、家族ヤ野球部ノ後輩ヘノ、オ土産ニモナルノダロウ、ト書イテアリマシタ」

    みんなは楽しそうに笑って、かき氷を食べ始めた。

    -------- 謎解き・説明解読クイズ・ニッポンの公開犯罪・解答編・終わり --
  • id:takejin
    私は昔の甲子園優勝校出身なので、校内に土がありました。
    息子の高校は神奈川の中でも強豪校で、甲子園に何度も出場しており(昔、初出場してそのまま優勝してしまった)、校内に土が存在している。
    まじかに実物見たことあるんだけど、何の変哲もない土でしたよ。(触らせてはくれなかった)
  • id:lionfan2
    id:takejin様、ありがとうございます。校内に飾るんですね。
    ちなみに自分の高校は、都立でして、甲子園なんて夢のまた夢です。
  • id:takejin
    私の出身校は県立です。(優勝はスゲー昔なので、高校の数が少なかったんでしょう)
  • id:a-kuma3
    都立だと、国立高校も甲子園に行ってますよね。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E7%AB%8B%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1

    ぼくの出身校(県立とは、ちょっと違った言い方)も、甲子園に行ってたりします。卒業してからなので、甲子園の土はお目にかかってませんが、飾られてたりするのかなあ...
  • id:Baku7770
    lionfan2さん。高額ポイントありがとうございました。

    で、突っ込み。
    優勝校は全てのセレモニーが終わってから、こっそり土を持ち帰るんです。問題からそこが抜けていましたね。そっちの方が窃盗っぽいでしょ。

    次に、窃盗にはならないと以前コメントしましたが、a-kuma3さんには土で無価値だからだろうって推測させてしまいましたかね?
    実は窃取には、意に反して盗るという意味があります。そうすると、少なくとも現在は主催者も高野連も持って帰るなとは言っていない。むしろ主催者であるマスゴミはその姿を報道したがっています。感動を伝えるとか言って。だから窃盗罪は成立しないと考えます。
    この件はコメントしてから、段々腹が立ってきたことなのでここで止めておきます。

    で、私はある高校が甲子園初出場、初優勝を果たした時にその高校の付属中学の1年生でした。で、その後5年間、予選敗退でした。息子の学校は中高6年間で何度か出場してくれましたが、途中敗退でした。
    確かに甲子園優勝とそれ以外というのがあります。ただ、学校や選手たちにとって、まず甲子園に出たい。というのが本音ではないでしょうか。私のように親子三代(父の時代は中等野球)で学校が甲子園に出場した例は少ないでしょう。
    それで少しだけカチンときてのコメントかもしれません。
  • id:takejin
    土は、部室にさりげなく置いて有りました。飾ってある感じじゃなかったなぁ。

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